魔法少女リリカルなのは エース・オブ・エースの弟   作:ロア

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剣が好きです。ロマン技はもっと好きです。
王道展開は大好きです。
投稿遅れてごめんなさい

UAが100000、お気に入り登録が700を越えました。とても驚いたと同時に、とても嬉しかったです。不定期なうえに思い付きで話を作っていくこんな作者ですが、これからもよろしくお願いします。


69話 Original Episode 19

 お互いに吼え、デバイスをぶつけ合う。シグナムさんのレヴァンティンをティルクは剣鋸で真っ向から迎え撃つ。

 剣がかち合い、お互いに離れると同時に空戦機動(シザース)。空中で幾度もぶつかり合い、その度にお互いダメージを負う。

 空戦機動中にシグナムさんは連結刃に切り替え、それを操る。ティルクは正面から加速して身体を回転させ、その連結刃の切っ先を螺旋状に回避して突っ切った。

 

「――ッ!!」

 

 更に身体の回転を早め、その勢いのまま剣鋸を鋭く振り抜く。

 シグナムさんは歯を食い縛って急停止し、まるで跳ぶように上へ急加速してそれを避ける。

 そこからはお互いに牽制するように、円を描くように空中を回っている。

 

「長引いてんな」

「はい」

 

 ヴィータさんの呟きに頷いて返す。ヴィータさんは既にティルクとの模擬戦を終わらせている。結果はヴィータさんの勝ちだ。

 叩きのめされたティルクはキャロとぼくの回復魔法で身体を癒すと、既に戦闘準備をしていたシグナムさんに向けて剣鋸を抜いた。

 

「あいつも充分に強くなってる。少なくとも六課に来たときよりもよっぽどだ」

「でしょうね。出向当時はシグナムさんの飛竜一閃食らって吹っ飛んでましたし」

 

 けれど、今ティルクはそれを避けてシグナムさんに斬り込んだ。無茶苦茶な動きだ。だが、あの芸当は昔のあいつには出来ていなかったことだ。

 現に、一応ではあるが、シグナムさんと打ち合うことができている。

 

「でも、満足していない」

「それが面倒なところだよなぁ」

「そのうえ、シグナムさんは苛ついてるみたいですし」

 

 ぼくの言葉を示すように、シグナムさんの目付きは鋭く、怒り混じりの鋭い闘気が離れているぼくらにまで届いてくる。

 

「ま、気に入らないんだろうな」

 

 ぼくは頷いた。

 シグナムさんが求めていたのは、単純な剣技。それによる戦い。剣に頼りきらず、しかし剣を使って。お互いの全ての「剣」をぶつけ合う騎士の決闘。そういうものだ。

 しかし、今のティルクは強さはあれど、我武者羅で、『剣技』が無いように見える。騎士の気質であるシグナムさんには、それが認められないのだろう。

 

「おぉぉおおおぉおっ!!」

「微温い!」

 

 吼え、鋭い一閃。

 それをティルクはすんでのところで盾をかざす。まるで鉄塊を叩き付けたかのような音が、盾から響く。

 ティルクが歯軋りをして耐えていると、間髪入れずに連撃が打ち込まれていく。

 その全てが、先のものに劣らず重い斬撃だ。ティルクはたまらずシールドバッシュをレヴァンティンに合わせるようにしてぶつけ、剣鋸を振り下ろす。

 それをシグナムさんは僅かに後退し、紙一重で避ける。ギリギリだが、しかし余裕を持って避けている。

 

「ッ――」

 

 ぎり、とシグナムさんの口から息が漏れる。

 

「――らぁっ!!」

 

 ティルクは右、左の薙ぎ払い、それに続けて突きを繰り出す。シグナムさんは薙ぎ払いをレヴァンティンで受け流し、体捌きで突きを避ける。

 ティルクは突いた状態から腕に力を込め、身体を回転させるようにして無理矢理斬撃を繰り出す。

 シグナムさんはそれを読んでいたかのように、脚を畳んで前宙するように回避し、同時にティルクの背に回り込んでレヴァンティンで肩口を斬り付ける。

 それを受けてなお、ティルクは攻撃を続ける。痛みに顔を歪めながら、剣鋸を振るう。

 それすらもシグナムさんは両手で握ったレヴァンティンで受け、払うと同時に斬り付ける。

 ティルクの鎧に阻まれても構わず、シグナムさんは攻撃を止めない。

 

「その程度か! これしきの剣を捌けずに、どうして騎士を名乗れる!」

「そんなこと……俺が一番わかっている!」

 

 シグナムさんの激励に息を荒げながらティルクは激昂し、盾で剣鋸で攻撃と防御を行っていく。

 斬撃を盾で防ぎ、その隙に斬り込む。盾持ちの基本であるその戦い方は、しかし精細を欠いていた。

 

「ぜぇぁ!」

「微温いと言っている!」

 

 シグナムさんは吼え、剣鋸の腹を斬りつけて逸らし、そのまま回転しながらカートリッジをロード。炎を纏わせたレヴァンティンを背中に打ち込む。

 衝撃を逃がすこともできず、ティルクは空中から地面に叩き付けられた。

 うつ伏せで呻き、息を喘がせながら身動ぎをするティルク。その目の前に、シグナムさんは静かに降り立つ。

 

「確かに力は増している。技量も上がってはいる……だが。六課に来た頃(むかし)のお前の方が、もっと強かった」

 

 そう呟き、剣を降ろす。

 ティルクはその言葉を聞いて、とうとう顔が怒りに染まる。

 地面を殴り付けるように跳ね起き、地面を蹴ると同時に飛行魔法で加速。担ぐように構えた剣鋸が火花を散らしながら回転し、それを思いきり叩き付ける。

 シグナムさんはそれを避けず、炎を纏わせたレヴァンティンで受け止めた。

 炎と火花が撒き散らされ、お互いに鍔迫り合いのために脚を踏ん張る。

 

「俺があの時の俺より弱い……!? そんなこと!」

「事実だ……現に、お前の剣はこんなにも軽い」

 

 シグナムさんは少し哀しそうな表情になり、容易くティルクの剣鋸を上に弾く。

 両手で剣鋸を握っていたティルクは、はね上げられた瞬間に腹にレヴァンティンを叩き込まれる。

 ぐぅ、と唸り、膝を付きそうになるのを剣鋸を杖にして堪える。

 

「俺は……」

「思い出せ。なぜお前が剣を握っているのかを。考えろ。今のお前と昔のお前、なにが違うのかを」

 

 ティルクは歯軋りをし、その場で脚を軸に回転。そのまま遠心力を乗せた剣鋸を横薙ぎに叩き付け――それを屈むようにして避けたシグナムさんの、身体ごと跳ね上げるような斬り上げを食らって大きく吹き飛ばされた。

 

 

~~~~~

 

 

 剣を習っていたとき、親父はこう言った。

 力無き者を守れ。仲間を守れ。おとぎ話に出てくる騎士がいるだろう。お前が目指すのはああいうものだ、と。

 俺は、守るためには力が必要だと思った。だから剣の修練に励んだ。親父に追い付くために。強くなるために。

 剣の振り方。盾の使い方。近距離で打ち合う際の連撃、その組み立て方。

 

「お前が何かを守るために戦うのなら、敗北は許されない。わかるな」

 

 その時自分が負ければ、背負っている誰かの命は危険に晒される。わかっている。痛いほどわかっている。

 俺は何度も敗北した。その度に周りからフォローされ、それは結果的に周りを危険に晒した。

 あの時、俺が敗北し、気絶していた間に、齋藤は満身創痍になりながら戦い続け、高町は戦闘機人に拉致された。

 俺はずっと、負けてばかりだ。訓練校で高町と手合わせしたとき。アグスタであの黒い虫に剣を折られたとき。黒い虫と再戦したとき。公開意見陳述会であの騎士と打ち合ったとき。

 そして、技術主任を殺した齋藤を拘束しようとしたとき。

 俺は、道を違えた友を止めることすらできなかった。

 

「悔いるな。憎むな。相手の全てを見ろ。自らの糧としろ」

 

 親父はずっと剣を振っていた。ずっと、ずっと。俺も親父の隣で剣を振っていた。

 

「いいか、力任せに振るな。剣は身体全体で振れ。自らの全てを研ぎ澄ませろ」

 

 そうして思い出すのは、ある日親父がたった一度だけ見せてくれた、あの剣(・・・)

 

「今から見せるのは、魔力斬撃の神髄。俺が調べ、復元したものだ。古代ベルカにおいて編み出された、単純にして最大の奥義」

 

 親父の一撃は、岩を割った。岩だけでなく、地面までもを深く斬り裂いた。

 物理破壊指定で放った斬撃は、その軌跡の全てを両断していた。

 

「いいか、ティルク。決して恐れるな。自分の無力を。全てを受け入れ、全てを剣に乗せろ」

 

 ――そうすれば、お前はもっと強くなれる

 

 

~~~~~

 

 

 意識を回復したティルクは吹き飛ばされた身体を反転させ、逆手に持った剣鋸を地面に突き刺すようにして着地する。

 しばらくその体勢で目を閉じたままだった。

 シグナムさんはレヴァンティンを握り直すと、軽く揺らす。

 ティルクは大きく深呼吸をすると、目を開いた。その表情は先程とうって変わって穏やかなものになっている。

 それを見て、シグナムさんの表情が引き締まる。先程までの怒りに染まったものではなく、純粋な闘気に満ちたものに。

 ティルクは静かに立ち上がると剣鋸を抜き、盾を前にして剣を担ぐように構える。

 そして僅かに前傾し――緩やかに加速に移行すると同時に剣鋸を振り下ろした。

 

「――シッ!」

 

 その加速はかなりの速さで、剣の振りも鋭いものだった。それをシグナムさんは反応してレヴァンティンで受け止める。

 その瞬間ティルクはしゃがむように剣鋸を構え、斬り上げを繰り出す。先程のシグナムさんと同じ技。見様見真似といった体ではあるが、不意をつくには充分な威力。

 そこから、流れるような連撃に入る。右からの斬り上げ、左からの薙ぎ、右の斬り下ろし。

 

「――っ!」

 

 僅かにシグナムさんの表情が強張る。ぼくにもその理由がわかった。

 あの斬撃は、先程までのものと勢いが違う。力任せに叩き切るものではなく、足捌きから腰の捻り、腕の振りを最大限駆使した、鋭く斬り裂くような振りだ。吼える事なく、僅かに息を吐き出すようにして、斬撃の瞬間にのみ力を込めている。

 

「――ハァッ!!」

 

 ティルクの恵まれた体躯、それらをフルに活用した斬撃は、繰り出される全てが速く重い。急に動きが変わったこともあり、シグナムさんでも僅かに反応しきれなくなっている。

 この瞬間のティルクは、剣の扱いでは恐らくぼくを完全に上回っていただろう。

 

 

~~~~~

 

 

 余計な思考は無くなっていた。

 極限まで身体を酷使したせいか、全身が鈍い痛みを発し、 動かす度に体力を消耗する。しかし、そのお陰で無駄な事を考える余裕は無くなっていた。自分が悩んでいたこと、悔やんでいたこと。それらを考える余裕が。

 

 そして、余裕が無くなって尚、残っていたものがあった。

 

 それは、親父の剣。幼い俺が一度だけ見た技。幼い俺を魅了し、俺が剣一筋に生きる切っ掛けとなったあの日の事。

 俺の魂に刻まれたといっても過言ではない、あの日の親父の剣。

 

「――セァッ!」

 

 今の俺の動きは、親父が教えてくれた基礎を思い出し、それにならった動き。全身を使って剣の威力を倍増させる、基本にして剣の本質。

 焦っていた俺は、その基礎すらも忘れていたのだ。そして、俺が剣の虜になった切っ掛けの、あの親父の剣すらも。

 雑念が消えることで、俺はそれを思い出すことができた。

 

「――ハァッ!」

 

 剣鋸を振るう。手に伝わる鋸が駆動する振動も、重さも。今の俺にはただの剣と変わりない。親父の全てを学び、全てを体得すれば。俺はきっと誰にも負けない。

 今はまだ勝てないかもしれない。俺はまだ親父のような強さは持っていない。追い付いてはいないのかもしれない。

 

 だが、昔とは確実に違う。

 今の俺なら。幾多の戦いを経て、それを糧とするならば。

 親父の剣を、使うことができるという確信があった。

 

 シグナム二尉のレヴァンティンと打ち合い、弾かれるようにして距離を取る。ここだ。この距離こそが。親父の剣を活かす絶好の間合い。

 すう、と息を吸い、両手で握った剣鋸を上段に構える。

 魔力を剣鋸に流していく。

 

 そして、それ(・・)は完成する。

 

「シュヴェルトシュナイデン――!!」

 

 

~~~~~

 

 

 目を疑ったのはぼくだけでは無かった。

 ティルクが剣鋸を上段に構えて静止していた。そして、呟いたトリガー。

 

 その瞬間、ティルクの剣鋸が巨大な魔力剣(・・・・・・)となっていた。

 

 身の丈を遥かに超える大きさの、鍔元から噴出する魔力で構築された両刃の大剣。

 シュヴェルトシュナイデン。剣で断つ。いや、その本当の意味は――

 

「一刀、両断ッ!!」

 

 ティルクが叫び、その巨大な剣を振り降ろした。

 それはまるでギロチンのような迫力と威力をもって襲い掛かる。

 これには流石にシグナムさんも驚いたようで、愕然とした表情を浮かべている。

 しかし気概を取り戻すと、避けることは不可能と判断したのか、睨むように力強い目付きに変わると、炎を纏わせたレヴァンティンを腰だめに構え直す。

 

「斬り裂けぇぇぇぇ!!」

「紫電――一閃!!」

 

 お互いの叫びと斬撃のぶつかりあい。それは今までのものとは比較にならない激しさだ。耳障りな、金属ではなく魔力の塊がぶつかり、削れる音。

 そしてそれに劣らず響き渡る、二人の雄叫び。

 

「「おおおおおおおおッ!!」」

 

 そして巻き起こる、魔力の過干渉による爆発。魔力量が膨大だったこともあって巨大な爆発と粉塵が巻き起こり、思わず腕で顔を覆う。

 そして、粉塵が晴れたそこにあったのは。

 

 ティルクは負荷を超えて稼働させたせいで破損し、火花を散らす剣鋸を振り抜いた体勢で止まっていて。

 シグナムさんの握っているレヴァンティンは刀身がヒビ割れていて、騎士甲冑はボロボロ。その姿で片膝を着き、息を荒げていた。




つまりは巨大なレーザーブレードみたいなもの。
でも思い付いた切っ掛けはOOのライザーソードとかアーマードコアのヒュージブレードじゃなくて、カービィWiiのウルトラソード。
ジェットザンバーとは別物。
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