面白いものが好きである。
それはゲームやマンガといった単純な娯楽はもちろん、人の不幸や無様な醜態、または辱しめを受けている様なども、個人的に『面白いもの』と判断する。
人によっては悪趣味と揶揄されるであろう我が趣向であるが、これは自分なりに人生を楽しもうとして生まれた結果であり、そこに至るまでの過程がある。まあ、そんな数奇な人生はここで語るつもりは無いし、この際関係無い。
ちなみに、意外に思うかもしれないが、身近な友人が感じる楽しみや幸せも、自分にとっては見ていれば『面白いもの』である。
つまるところ、気に入ったものがいわゆる『面白いもの』となる。
根無し草となった我が身であるが、何の気なしに街をぶらぶらと放浪していたところ、それを見付けたのであった。
「俺は人を待っている。すまないが、他をあたってくれないか」
「そんな固いこと言わずに~」
「あたし達も待ち合わせしてたけどすっぽかされちゃってさぁ」
「お兄さんも一緒にどう? どうせ女でしょ? ほっといても大丈夫だって!」
金髪で身長の高い顔の整った青年が、洒落た服で着飾った女共に言い寄られている。
昨今では珍しい逆ナンである。しかも、青年はティルクである。最近クラナガンを文字通り飛び回っているので、お手本のような騎士甲冑と共に各地で話題を呼びつつある人物である。
今でこそまだ知る人ぞ知るレベルであるが、将来的には『エース・オブ・エース』に並ぶ有名人になるであろう『守護騎士』、ティルク・アローンである。
そんな局員の彼がなぜ(夏らしくネイビーを取り入れたセンスのある)普段着で、しかも朝からこんな
わからないからこそ、面白そうだと思った。キャップを目深に被り、顔を見られないようにベンチに座り、あれを観察する。
なお、この身はティルクと知り合いであり、彼とは共に戦場を駆けた仲であるのだが、あれを助けようとは思わなかった。それは決して、怠惰やティルクが嫌いという理由ではない。
もちろん、絡まれている対象が女性であれば真っ先に向かうし、今から助けるのであればあの女共を追い払うための手段はいくらでもある。誠実な手段から猥褻な手段まで、およそ女という生物を嫌悪させ、追い払う方法は網羅し、熟知している。彼が戦友であるのなら尚更である。
しかし、そんな技術や関係を持っている自身を押し留めているのは、なんとなく、という『直感』であった。このまま放っておけば、何か面白いものが見られるのではという勘である。
そして、ある意味ではそれは正解であった。一人の少女が真っ直ぐにそちらに向かっていく。
ほう、と思わず口から声が漏れた。
「ちょっといいですか」
凛とした声。声を掛けられた女達が振り返り、そして気圧されたように表情が固まった。
「私、その人と約束をしてるんです。どうかお引き取り願います」
つとめて丁寧な口調。しかし、声色には苛立ちが滲んでいる。彼女の凛とした雰囲気に相まって、中々な迫力を醸し出している。
ここで説明しておくが、ティルクに絡んでいた女達の容姿は――もちろん個人的な感想としてだが――別に悪くは無い。流行を取り入れたファッションはそれなりの綺麗さを産み出し、スタイルもそれなりで、ナチュラルなメイクで顔はそれなりに整えられている。
対して声を掛けた彼女は、わりとカジュアルな服装である。シンプルなシャツにカーディガンを重ね、ミニスカートにこちらもシンプルなブーツ。手首にはアクセサリーも見える。どれも彩りは明るい色でしっかりと纏まっているが、それらは女達と比べればめちゃくちゃ『オシャレ』というわけではない。顔にも目立つような化粧はない。もしかしたらすっぴんかもしれない。
ちなみにスタイルは悪くない。
そんな彼女に対し、逆ナンをするような自信家な女達はなにも言い返さない。
何故なら、彼女は美人であった。いや、年齢からすれば美少女と表現する方が適切であろうか。確か彼女は
つまるところ、顔である。可愛いのだ。
しっかりと着飾っても平均的な容姿の女達と、シンプルな服の美少女。まあ、誰だって後者が良いだろう。僕だって可愛い娘がいい(煩悩)。
極めつけは、ティルクがそんな彼女を惚けたように見つめていたことである。女達はそれを見て両者の関係を悟ったのか、ばつが悪そうな顔をしてごめん、と謝り、その場から去っていった。良い引き際である。自信家だが、ナルシストではないようだ。
そして、ティルクがはっとして口を開く。
「すまない、ランスター。助かった」
その言葉を聞いて、女達を追い払ったランスター嬢はほっとしたように息を吐き、
「ティルクさんは優しいから仕方ないかもしれませんけど、ああいうのは本気で拒否しないとしつこいですよ」
「面目ない。断っていたんだが、しつこくてな。俺なんかより、他にもっとマトモな男がいるだろうに」
「……そんなこと、ないと思いますけど」
ランスター嬢は少し不満そうな表情で、しかし頬を染めて呟いた。
――なんと! あれは恋する乙女の表情ではないか!
そんな
六課時代はランスター嬢に対して適当にかまをかけていただけなのだが、まさか共に街に出掛けるほどの関係になっているとは。
これを逃す手は無い。
「ともあれ、時間を食ってしまった。行こうか、ランスター」
「――はい、ティルクさん」
お互いに微笑み、歩いていく。
そんな楽しみを逃さぬよう、気付かれないようにその二人の後をつけた。
~~~~~
彼らを尾行していると、奇妙なことに気付いた。
ティルクとランスター嬢は歩幅を合わせて歩き、時には風景を楽しみ、時には公園で休憩がてら話をする。小物を見付けては吟味し、ティルクはプレート・タイプのペンダントをプレゼントする。気取った感じはあったが、ランスター嬢は顔を赤くしながら、首に着けられたペンダントのプレート部分を両手で包むようにして礼を言う。
二人の表情に笑みは絶えず、ティルクの完璧で、かつ自然なレディファーストや階段などでの
非常に絵になる。阿呆として腐りきったこの心にさえ、嫉妬よりも先に微笑ましさを感じさせるような、そんな二人。
しかし。どこか奇妙である。
(……距離感、か?)
二人の性格を考えれば、一歩引いた付き合いは当然とも言える。まあ、それはいい。清い男女交際こそあって然るべきものだ。婚前交渉などもってのほかである。
しかし。
だがしかし。それを踏まえても、あれは距離がありすぎる。せめて手を繋ぐだとか、ちょっとしたコミュニケーションはあってもいいんじゃないか。僕は別に彼女いたことないけど。彼女いたことないケド。ぶつくさ。
あれは清い男女交際という以前に『ちょっとお互い気になってる仲の良い先輩後輩』のような――
(まさか、僕は何か思い違いを……)
もしや、あれはまだ――交際にまで至っていないのだろうか。
尾行のために店内までついていったレストランで頼んだ抹茶パフェを貪りながらそう考え、二人を観察する。
そんな想像を肯定するかのように、ランスター嬢が食後のコーヒーカップを置いて口を開いた。
「……ティルクさんって、女の人と出掛けること、多いんですか?」
~~~~~
「出掛けること?」
「はい。こんな風に……女の人と二人で、とか」
ふむ、と俺は考え込む。
答えようによっては、何か取り返しのつかないことになる気がする。身の危険とかそういうものではなく、人間関係を失ってしまうような、そんな悪寒が。
そういうわけで、俺は慎重に言葉を選び、その問いに答えた。
「いや、無いな。仕事の付き合いで食事をしたことはあるが、こうして一緒に街をまわったのは初めてだ」
言葉は選んだが、嘘はついていない。いや、隠し事などもちろん無いのだが何故だか緊張し、俺はポーカーフェイスを保つ。
コーヒーカップを傾けながら、ランスターの表情を伺う。俺の言葉を聞いてから口を開き――
「そうですか」
その言葉と共に浮かべた表情は、安堵の笑みだった。
俺はほっとする。どうやら正解を選んだようだ。
「でも、それにしては手慣れてたように感じましたよ。女に対する接し方とか」
「女性の護衛を請け負ったことがあってな。護衛は単純な襲撃とかだけでなく、身の回りの些細なことにも注意を払う必要がある。それで身に付いているだけだ」
「ティルクさん、そんなこともしてたんですか?」
俺や斎藤のような近接型は便利だからな、と頷き、
「ただ、今回はそれを真剣にやったつもりだ。誘っておいた身でありながらランスターに怪我をさせたとなれば、執務官に面目が立たん」
「……そうですね」
~~~~~
なんとも。僕はスプーンをガジガジと噛みながら、ティルクの当たり障りの無さにやきもきする。
(……あれだったら素直に『お前に怪我をさせたくないからな』的なことを言っておけば良いものを)
僕が言ったら絶対に(キリッ)とか馬鹿共に茶化されそうな台詞であるが、あの生真面目な騎士が言えば立派な口説き文句となるだろうに。
ティルクも多少はランスター嬢を意識しているはずだ。先程までの笑みが消え、緊張が顔に浮かんでいる。それは『偵察課』であった僕だからこそ『緊張』まで読み取れるわけだが、おそらく一般人にはただの無表情にしか見えないだろう。まあ、そんな僕のスキル自慢よりも、単にティルクから笑顔が消えればランスター嬢は恐縮するだろう。
(むーん……)
しかし、手を貸すとかそういうことはできない。一応は真面目な思考を有しているつもりであるが、他人には『気がフれている』と酷評される我が思考回路だ。何を言っても効果は無いであろうし、そもそもあの会話に割り込むほど僕は阿呆ではない。
言葉を選びすぎている。
そう考えても、僕にはパフェを食べる以外出来ることはなかった。
~~~~~
「……なに?」
ぼくが訓練中にも関わらず、そんな間抜けな声をあげてしまったのには理由がある。
エマージェンシーと通信がきたので教導から離脱して応答すると、無表情のティルクが念話で繋いできたものだった。
こんな平日の真っ昼間に。ぼくが仕事に精を出していたにも関わらず。緊急のメッセージがあると言うから繋いで間髪入れずに奴が喋った言葉が。
『ランスターの機嫌が悪くなっている。助けてくれ』
というものであったなら。
ぼくは今からこいつの首を落としに行っても許されるような気がした。
「……死ね」
そんな呪詛を吐くことも許されると思った。はあぁ、と長い溜め息でひとまず苛立ちを抑え、
「話題返しはしたか。聞かれたことをそのまま聞き返してみろ。あとは自分で考えろ」
早口にそう言い、今度会ったら
「すみません高町教導官。
「そうですか。十分後に模擬演習に移ります。射撃戦闘の準備をしておいてください、高町三尉」
「了解しました」
イノセントハートをエクシードモードに変形させ、
拡張現実にテストパターンが表示されるのを眺めながら、ぼくはしっかりと意識を切り替えた。
~~~~~
キレ気味の高町からありがたい助言を貰い、今度スイーツでも奢ろう、と心の中で感謝を述べた。ちなみに
「そういうランスターこそどうなんだ?」
「はい?」
ランスターは話を振られ、思わずといった様子で首をかしげた。
「出掛けることがあるのか、と聞いてきただろう。ランスターは異性と出掛けることは多いのか?」
「あ、いえ……私も、こんな風に二人で出掛けたことも、誘っていただいたのも初めてです」
そう、コーヒーカップを傾けて喉を鳴らし、続ける。
「訓練校でも、卒業してからも、スバルと遊びに行ったりすることがほとんどで」
「まあ、普通なら仲の良い友人と行く方が楽しいだろうな」
「そうですね――」
ランスターは俺の相槌に頷き、直後はっとした表情になって、
「――もちろん、今日はすごく楽しかったですよ! 誘っていただいて、感謝してます!」
と弁解した。
そんな様子に思わず苦笑し、そうか、と頷く。
「俺は、『街に出掛ける』なんてことをしたことがなかった。基本的に休みなんてとらなかったし、たまに休んだとしても、剣の
なんだか想像できます、とランスターも苦笑する。
俺は気恥ずかしさを誤魔化すように頭を掻き、
「だから、こうして出掛けるのは新鮮だった。更に女性と二人、なんて状況だ。正直緊張もあるが、なかなか楽しめる」
「緊張、してるんですか?」
「ああ、もちろん」
見えないですね、とランスターは呟く。少し、疑問を感じたような顔で。
俺は感情を表情に出すことは避けようとする。喜びや苛立ちは隠す必要が無いので表現するが、緊張や恐怖や動揺といった、『相手に悟られると不利なもの』は、ことさら
それは『偵察課』で学んだことの名残と言うべきものだ。
だから、ランスターの疑問はそれについてのことだろう、とあたりをつけたのだが――
「あの、こんなことを訪ねるのは良くないかも知れませんが……どうして、私を誘ってくれたんですか?」
訪ねられた言葉は、そんなものだった。
そんなことを聞かれると思っておらず、思わずコーヒーカップの持ち手がピキ、と音を立てる。
「ランスターを誘った理由、か」
俺はそう復唱し、予想外の問い掛けに対する答えを頭の中で纏めるために考える。
コーヒーカップにヒビが入っていないことを指で確認しつつ、昨日の経緯を思い出す。
――執務官に頼まれたからだ。ランスターを街に連れ出してほしい、と。
そう説明するのは簡単だった。だが、それでは問いの答えにはならない。
ランスターの問いに対する正しい答えは、『
執務官の事を話しても、なぜ断らなかったのかと問い返されれば、明確な答えで無いことが露見する。
故に、その理由を話さねばならないだろう。ちょうど単純で明確な理由が、俺にはあった。
「……お前と過ごしてみたかったからだ」
「……え?」
ランスターはぽかんとした顔をした。そして意味を理解したのか、かぁ、と顔が赤くなる。
「それって――」
「正直に言おう。俺はお前を好意的に想っている。だからお前を誘った」
「あ、あの……ティルクさん?」
「もちろん、理由はある。お前を誘ったことに関してはそれが理由だが、俺が
「いやその、それは気になりますけど――いきなりすぎませんか!?」
ランスターが慌てた様子で俺を止めようと手をかざすが、俺は首を振ってそれを拒否する。ふざけているわけではない。告白しようしているわけでもない。
だが、言わなければならないことだと思った。俺がランスターに対して
「半年前。俺達がまだ六課に居たとき。そして――斎藤を止めた後のこと」
そう、俺は呟いた。
ランスターも思い当たったのか、浮かし掛けた腰を下ろし、俺の言葉の続きを待った。
「俺は『強行偵察課』で、『人殺し』の部隊だった。任務だったから――そう命令されていたから――皆も俺も、人を殺す罪悪など微塵も感じていなかった。人殺しと罵られても、ほとんどの奴等は意に介さなかった」
斎藤はそう言われても動じなかった。『組織なんて殺しもすれば助けもする。そういうもんだろ』と一蹴していた。レイナを救ったことのある斎藤だからこそ、その言葉は意味を持っていた。
高町は興味も無さそうだった。『たとえ人を殺したとしても、ぼくが守るのは姉さんが飛ぶ空と、帰ってくる陸だ』と言い切った。誰のために戦うかを決めているからこそ、何を言われてもそれは揺るがなかった。
しかし俺には、そんな理想など無かった。
「堪えたよ。自分の為している事は、正しい事だとと思っていた。法に背き、人に害成す研究を続ける『悪』を裁いているつもりだった。だからこそ、俺は考えた」
偵察課での行いは無意味だったのかと。
俺が行っていたのはただの殺人だったのかと。
真っ向から罵られ、打ちのめされた。俺は思わず座り込み、頭を抱えた。
「そんな俺に、お前は言ってくれただろう」
俺の隣に来て、ランスターは言った。『私は、ティルクさん達の行いは正しいと思います』と。
俺は、何も返せなかった。だが、ランスターは構わず続けた。
――だって、必要なことだから。誰かがしなければならないことだから。手段に構っていられない状況なんてたくさんあると思いますし、その状況によっては、命を亡くすことだってあります。
――私だって、命のやりとりをしたことはあります。死にかけたことがあります。身内を亡くしたこともあります。だから、ティルクさん達が行ってきたことがどれだけの意味を持つか、他の人よりは理解できるつもりです。
「あの言葉は、俺の救いになった」
――だから、私はティルクさんを人殺しなんて罵ったりしません。怖がったりしません。やらなければ多くの人が被害にあったかもしれないんです。それを防ぐために、やるべきことをやり遂げた。そんなティルクさんを私は尊敬してますし、信頼してます。
「お前はまっすぐに、俺を認めてくれた。それが嬉しかった」
「……そう、だったんですか」
ただ思ったことを言っただけなんですけどね、と続ける。
だからだ、と俺は応えた。
「だから俺は、お前に惹かれている。俺の行いがどういうものかを理解して尚、俺を肯定してくれた。それが何よりも救いになったからな」
「――なら、よかった。あの時以来、二人で話す機会が無かったですし。ティルクさんのお役に立てたなら、私は嬉しいです」
俺の言葉に、ランスターはそう答えて微笑んだ。
「……長くなってしまった。つまり、俺がお前を誘った理由はこういうことだ」
そう締め括って俺は窓の外を見る。
どれだけ話していたのか、陽が赤みがかって傾いている。
そろそろ行こうか、と俺は支払いのためにカードを取り出しながら立ち上がる。
「あ、支払いは――」
「俺が持つ」
「――たぶん譲りませんよね、ティルクさんは」
ランスターは自分が払うと言おうとしたが、俺の性格を知っているからか諦めたように息を吐いた。
「その代わり、
次は、と強調してウインクをするランスター。
次、と言った。陽も暮れるし、今日はこの後どこかに行く予定は無い。つまり、その言葉の意味するものとは――
「そうだな――」
俺は苦笑して頷き、
「――次はお前にお願いするよ」
そう言って踵を返して歩き出す。緩み掛けた顔を見られないように。
~~~~~
(おっ、やっと終わったみてぇだな)
僕は三杯目となるチョコパフェ――ちなみに二杯目はチーズクリームパフェである――をかき込みながら、
(……あん? ランスター嬢、どした?)
ティルクが当然のように伝票を取って会計に向かう。
そんなティルクの背中をランスター嬢が微笑みと共に見つめ――少し、陰った表情をした。
(困惑ではない。不満でもない。あれは……)
複雑な表情だ。様々な感情が混じっている。
(悲観? 諦念? いや……疑問、か?)
判断がつかない。あそこまで読み辛い顔は初めてだ。人間とは――特に悩み多き少女は――かくも難しい表情をするものなのか。
しかし、何故にランスター嬢はあんな顔をしているのだろうか。盗み聞きしていた会話の中には、そんな顔をする要素は無かったように思うが。
(……まあ、女心というか。常識人のランスター嬢がどう話を受け取り、どんな疑問を抱くかは僕にはわからんしな)
表情からの感情は読めるが、それを浮かべるにどんな解釈を行ったかは僕にはわからん。
まあ、自分で解決するも、誰かに相談するも、好きな方を選ぶだろう。
(陽も傾いているし、僕も帰るとするか)
パフェを平らげ、コーヒーをずずずとすする。うーむ。ヴィンズの淹れるコーヒーと同じくらい美味い。
(……さて、録画しておいたデート模様をどうしたものか。編集して高町家のテレビに自動再生されるイタズラでもしてみるか)
たぶん姉御にバレるからやめとくか。ここ半年会っていないが、間違いなく彼は僕の仕業だと気付くだろう。
(……まあ、しっかり保管しておこう)