ハリケーンブロッサム   作:びしゃもん

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第10話です。
皆さんは友達欲しいですか?私はこれ以上は要らないです。
人生において、友達は2、3人でいいと思っているからです。
ですが、その友達が短命で、すぐ消えてしまうものだとしたら
そして心の穴を埋める方法が、友達しかいないと思っていたとしたら
私は、どんな方法を取るでしょうね。


ハグ

ーーー梨子・鞠莉:大瀬崎ーーー

 

ホテルに着いた2人は、気まずい沈黙に包まれていた。

鞠莉がいたずらでホテルに置いてもらっていたハネムーン仕様のベッドが完全に裏目に出ている。

シャワーを浴び床に就いたまでは良かったが、ベッドが落ち着かないのと、今日あった出来事が頭の中でぐるぐるするのとで、梨子は眠れなかった。

結局、窓際で座りながらぼーっと外を眺めている。

 

「まだ眠らないの?」

 

鞠莉が声をかける。

 

「はい…眠れなくて。」

「早く寝ないと、明日持たないよ?」

「ええ…。」

 

上の空で返事をしながら、しかし梨子は何も考えていなかった。

1日で色々な出来事がありすぎて頭の処理が追いつかない。

それは鞠莉も同じだった。

結局、鞠莉も眠れず、梨子の隣に腰かける。

 

「…。」

「…。」

 

素晴らしいオーシャンビューのホテルだが、今の2人には無味乾燥なモノにしか見えない。何かが足りない。

 

『うわぁ〜!!すごいずら!何このベッド!見たことないずら〜!!』

『梨子ちゃん!すごいね!海が綺麗に見えるずら〜!』

『ねぇねぇ!』

 

ー楽しいね!梨子ちゃん!鞠莉ちゃん!ー

 

無表情の2人の目から涙が溢れては落ちていく。

梨子は隣の鞠莉を見た。

 

「あれ…?鞠莉さん、泣いてるの?」

 

そして鞠莉は隣の梨子を見る。

 

「梨子だって…泣いてるじゃない。」

「あれ?本当だ…。何でだろう…。」

 

おかしくなったのはいつからだっただろう。

壊れてしまったのは何故だろう。

どうしてこんなに辛くなってしまったんだろう。

そう考え、2人は向き合う。

先に話し始めたのは鞠莉だった。

 

「梨子…ごめん。私…梨子に自分の考えばっかり押し付けて…。

梨子の気持ち、全然考えてなかった。悩んでいたのにそれを邪魔して、茶化してーー」

「そんなことない…!私も…鞠莉さんの気持ち、全然分かってなかった…。

辛いのは鞠莉さんだって同じなのに…『鞠莉さんは強いんだ』って勝手に決めつけて…羨んで…

あんなひどいこと…!」

 

鞠莉の言葉を遮って続ける梨子。

あの時からずっと心に引っかかっていたこと。

 

「本当に、ごめんなさい…!」

 

ようやく言えた。

 

「梨子。」

 

鞠莉が頭を下げている梨子に声をかける。

 

「ハグ、しよう?」

「うん…。」

 

2人で抱き合い、仲直りをする。

大好きな親友の一番大好きなスキンシップだ。梨子が大切な仲間だからこそ、鞠莉はこれで仲直りをしたかった。

 

「うふふ…。」

「どうしたの?」

「鞠莉さん、果南さんみたい。」

 

鞠莉の温もりを確かに感じながら、梨子は呟く。

鞠莉が思っていることが、今なら分かる気がした。

 

「うふふ…そうかしら?

ついでだから、その堅苦しい呼び方もやめて、『マリー』って、呼んでほしいな。」

「マリーはちょっと…。

…じゃあ…『鞠莉ちゃん』これでいい?」

 

体を離し、面と向かって梨子は鞠莉の名前を呼ぶ。

『ちゃん』をつけられて嬉しそうな表情になる鞠莉。

そんな鞠莉を見て、梨子も笑顔になる。

そして再びハグをした。

 

「もう一回言って?」

「鞠莉ちゃん。」

「もう一回。」

「鞠莉ちゃん!」

「もう一回〜!」

「鞠〜莉〜ちゃん!!」

 

そのままベッドに転がり込み、ふざけあう2人。

 

「うふふ…!」

「あははは…!」

 

ひとしきり笑った後、2人は寝ながら向き合う。

そして、明日の再起を誓った。

 

「鞠莉ちゃん。」

「なあに?」

「花丸ちゃん、絶対に見つけようね!私、もう諦めない…!」

「もっちろん!私達ならできるよ!do our best!」

 

花丸はまだ見つかっていない。しかしこれは大きな一歩だと2人は思った。

ここから状況が好転していきそうな、そんな予感。

その予感は着信音となって、鞠莉のスマートフォンにやってきた。

 

「はい。ーーそうですが…。ーーー……え!!?花丸が!?」

 

鞠莉は梨子と目を合わせる。

その時

遠くの森がざわめき始め、風が窓を叩いた。

 

「!!」

 

梨子は咄嗟に窓の外を見る。

その時、梨子の耳に誰とも知れない、だが確かに聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

【遊ぼう…?】

「花丸…ちゃん?」

「…え?」

 

電話を終えた鞠莉は梨子の方を見る。

すぐに梨子も鞠莉の方を振り向いた。

 

「鞠莉ちゃん…!」

「分かってる。行こう!」

 

寝間着を着替えることも忘れ、2人は外へ飛び出した。




第10話『ハグ』いかがでしたでしょうか。
ちなみにホテルのモデルは『オーシャンビューフジミ』さんです。サンシャインコラボのパズルラリーが12月16日までやっているそうですよ。まだ間に合う。ということで採用。行ったことはないです。
そしてハネムーンベッドのネタはラブライ部員には説明するまでもないでしょう。詳しくは『ラブライブ! the school idol movie』を観て下さい。
さて。本編ですが、また一期の第9話です。ハグ。ヨーロッパ辺りでは当たり前のスキンシップですがアジアでは特別な意味を持つことが多いですね。多分。
鞠莉にとっても大切な行為なので、大事に書かせていただきました。ふざけあう2人が何をしていたのかはご想像にお任せします。
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