ハリケーンブロッサム   作:びしゃもん

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こんにちは。第14話です。
鞠莉はどうして苦労させられてしまうのか。
前回からですが、ここから話の主軸は鞠莉です。今までは梨子だったんですよ。
鞠莉の葛藤と奮闘を最後まで見届けてやってください…!


嵐花の力

ーーー鞠莉・梨子・嵐花:ホテルーーー

 

「フライボード?」

「うん!そう!足にボードをはめてね…えーっと、はい!これ!」

【?】

 

ホテルを出る前に、鞠莉は小原家の粋を集めたマリンスポーツの説明をしていた。

鞠莉がフライボードの動画を見せる。

足にはめたボードから高い水圧で水が出て、人が宙を華麗に舞っている様子が映し出されていた。

 

「いやいやいや、無理でしょこんな…。」

「そう?できるよ!梨子なら!」

【楽しそう!】

 

ーーー大瀬崎:ビーチーーー

 

かなり高い技術、というよりセンスを問われるものではあるが、コツさえ掴めれば浮くことは素人でもできる。

実際鞠莉は少し浮くことができた。

 

【すごーい!!】

「でしょ〜!!…うわっぷ!」

「あ!鞠莉ちゃん!」

 

すぐに落ちてしまったが、身体が浮く感覚はなかなか味わえるものではない。

 

ーーーーーーーーーー

 

梨子は生唾を飲み込む。

 

(大丈夫かな〜…海に一直線に落ちたりしないよね…?)

 

海に垂直落下し、そのままチューブが絡まって水難事故…。

最悪の状況を想定している梨子の隣に立ち、鞠莉は囁く。

 

{大丈夫!サルベージは任せてクダサーイ!}

「落ちるの前提!?」

 

足にボードをはめ、船が岸から離れる。

 

(ここまできたら…やるしかない!)

 

インストラクターがスイッチをオンにすると、梨子の身体が一瞬の浮遊感に包まれる。

 

「お?おお…!?」

 

しかし。

 

「っあ…。」

 

次の瞬間、海に真っ逆さまに落ちてしまった。

 

「梨子!?」

 

インストラクターの様子がおかしい。

必死に電源をオフにしようとしているが、できていないようだ。

 

「梨子!!!」

 

たまらず鞠莉は海に飛び込もうとする。

その時。

 

「!!?」

 

突然船がボードごと真上に吹っ飛び、岸まで飛んできた。

そして砂浜に着きそうになると急に減速し、ゆっくりと着地する。

これは言うまでもなく…。

 

「花…丸…?」

 

嵐花の身体が少し浮いていた。どうやら何か不思議な力を使って梨子たちを助けてくれたようだ。

 

【ふぅ…。】

 

嵐花はひとつ息をつくと、梨子に近づく。

もうすでにフライボードの水は止まっていた。

 

【大丈夫?梨子ちゃん。」

「んん…。…?

あなたは…?」

 

梨子は無事なようだ。嵐花が近づいて心配そうに梨子を見つめている。

あまりに突然の出来事で、鞠莉はその光景を少し離れたところから見ていることしかできなかった。

 

ーーーーーーーーーー

 

「ゴメンっ!梨子!!」

 

鞠莉が梨子に頭を下げる。

幸い大事には至らず、梨子はピンピンしていた。

 

【大丈夫?】

「もう大丈夫よ。そんなに謝らないで、鞠莉ちゃん。」

 

梨子はそう言うと、鞠莉に笑顔を向ける。

 

「鞠莉ちゃん、私のことちゃんと助けてくれたじゃない。」

「…。」

 

その笑顔に堪えきれず、鞠莉は目をそらす。

 

「ううん。違うよ。」

「?」

 

そして、嵐花を見て言った。

 

「梨子を助けてくれたのは…花丸なの。私は…。」

「そうだったの…ん?花…?」

「ああ!気にしないで!ニックネームよ!嵐花のニックネーム!」

「ああ、なるほど!

ありがとう。嵐花ちゃん。助けてくれて…。」

【?】

 

梨子が嵐花の頭を撫でる。

当の本人はなぜお礼を言われているのか分かっていないようだ。

 

【えへ〜…。】

 

撫でられるのが嬉しかったのか、梨子にすり寄る嵐花。

その時梨子の目に、不思議なものが映った。

 

(あれ…?この子さっきもいたな…。)

 

嵐花のすぐ側に、嵐花がもう1人いる。

 

「どうしたの?梨子。」

 

梨子の視線が嵐花から外れているのを見て、鞠莉が声をかける。

 

「いや…。嵐花ちゃんの後ろに…もう1人嵐花ちゃんがーー」

「!!ーー本当!?」

 

梨子の言葉を遮り、梨子の肩を掴む鞠莉。

 

「う…うん。…鞠莉ちゃん?」

「あ、ああ!ごめん…。」

 

ようやく冷静になった鞠莉は、梨子から手を離す。

 

(まだ梨子には花丸が見えてる…ということはまだ花丸を助け出すチャンスはある!!)

 

まだ取り憑かれてから2日目ということもあるだろう。

まだ自分にもできることがあることに、鞠莉は安堵した。

 

「ところで…鞠莉ちゃん?」

「…?なに?」

 

急に梨子に呼ばれたので、鞠莉が振り向くと…

 

「えいっ。」

「いたっ!?」

 

デコピン。

 

「とうっ。」

「ぐ…!?」

 

腹パン。

突然の襲撃に鞠莉が驚いていると、梨子が嬉しそうに言った。

 

「罰ゲーム♪」

「なっ…!?」

(泣いたことは覚えていないのに…罰ゲームのことは覚えている…??)

 

声こそ優しかったが、じんわりと痛いパンチを喰らってしまった。

鞠莉が混乱していると、梨子が笑って言う。

 

「昨日、謝ったら罰ゲームって決めたでしょ?うふふ〜鞠莉ちゃん油断したな〜?」

【なにそれ!?楽しそう!】

「お、嵐花ちゃんもやる?」

 

違う。

梨子との約束は、そんなに軽い気持ちでしたことではない。

こんなに簡単に実行していいものではない。

 

【やるやる〜!】

「うん!じゃあ今から開始ね♪」

 

梨子と嵐花の屈託の無い笑顔を見て、鞠莉はひどい嫌悪感を抱いた。

今の2人と一緒にいると、この世界全てが嘘に見えて気持ちが悪くなる。

もしかしたら自分1人だけがおかしいだけなのではないのかと思えてしまう。

 

(ダメよ…。もう少し耐えなきゃ…。)

 

鞠莉は揺らぎそうになる自分をなんとか抑え、はしゃぐ2人に笑顔を向けた。

 

「もう!梨子!花丸!マリーも混ぜてよ〜♪」




第14話『嵐花の力』いかがでしたでしょうか。カギカッコの大小で少しおかしなところがありますが、変換ミスじゃないですよ。
自分に嘘をつくのは慣れていても辛いものです。
普段、自分を演じている分、気を許した友の前ではありのままでいたい。今の鞠莉にはそれすら許されません。
次回はどんな困難が待ち受けているのやら…お楽しみに!
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