前回は梨子が鞠莉に、嵐花が花丸に叱られていましたね。
こうして並べると、関連性がある気がしますね。偶然です。
どうぞ!
手を繋いで座っている2人に近づいてくる嵐花。
その顔はもうすでに半ベソだった。
【うぐ…ヒック……ごめんなさい…。】
2人は直り、嵐花の方を見る。
「嵐花ちゃん、もういいのよ。
ーね!もう1人の嵐花ちゃんも、もう嵐花ちゃんを許してあげて。」
梨子が嵐花に近づき、その頭を撫でてやる。
そして誰もいない方向に向かってなだめるような言葉をかけた。
「梨子…。いるの…?そこに…。」
鞠莉は梨子の向いている方を見ながら訊く。
「?ーーうん。もう1人、嵐花ちゃんがいるの。その子が嵐花ちゃんを叱ってくれたみたい…。」
嵐花を抱きしめながら梨子は言う。
鞠莉は梨子の見ていた方向に手を伸ばす。
何かに触れられたような気がした。
そのまま何もない空間に向けて声を出す。
「花丸…梨子を助けてくれてありがとう…。ーあなたがいなかったら…私…一生自分のことを責めて生きていくことになっていたかもしれない…。
ー本っ当っにっ…うぐ…うぅ…。」
途中から泣き崩れて言葉にはならなかった。
その時、
温かい何かが、鞠莉の体を包む。
そして
『鞠莉ちゃん、泣かないで。』
花丸の声が確かに鞠莉の耳に響いた。
「!!」
鞠莉はふっと起き上がり、辺りを見回す。
もう気配は消えていた。
【うぐ…ヒック……ごめんなさい…。】
こわい少女に大声で叱られた後だ。
当然、ひどい目に遭いそうになった梨子には散々に怒られると思っていた。
しかしーー
「もうーーいいのよ。」
そう言われ、頭を撫でられ、抱きしめられて。
張り詰めていた気が一気にほぐれていった。
【う…う…ーうぇぇぇぇぇん…グズっ…ぇぇ…ん】
こんなことは初めてだった。
今まで見たことがあるのは
畏れ
悲しみ
苦しみ
諦め
怒り
そんなものばかりだったから
だから
梨子だけは悲しませないように
いつまでも楽しくいてもらうために
嵐花はーー
鞠莉が自分に手を伸ばす。
触れられないと分かっていても、手を重ねずにはいられなかった。
「〇〇…梨子を助けてくれてありがとう…。」
そう言って言葉を詰まらせる鞠莉に、少女は優しく声をかける。
そして、再び薄れ行く意識の中で鞠莉の言葉を思い出していた。
(鞠莉ちゃん、誰の名前を呼んでいたんだろう…。ー何か、大切なものを見落としている気がするーー)
それが何なのかまだ分からないまま意識は呑まれて行くーー
第17話『ありがとう』いかがでしたでしょうか。
鞠莉と梨子、花丸と嵐花
嵐花と梨子、鞠莉と花丸
いろんな関係性を、前回から引き続き描けたかな?
次回もお楽しみに!