僕の友人がヤンホモだった。   作:ぐ腐腐

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やべぇよやべぇよ…


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 時が過ぎるのは本当に早い。

 あれから僕たちは互いのことを話し、仲を深めていった。

 それと比企谷君の妹とも仲良くなった。比企谷君が溺愛しているという妹の小町ちゃんはとてもいい子で、お兄ちゃんと仲良くしてくださってありがとうございます!と言われた時は思わずじーんと来てしまった。

 

 そして現在。

 僕らは数週間後にある受験に向けて、比企谷君の家で勉強をしているところだ。

 小町ちゃんもお茶を入れてくれたりしていて手伝ってくれている。

 ………なぜか最近小町ちゃんの距離感もかなり近くなっている気がするが、気のせいだろう。

 

 

 

「よし、休憩するか」

 

 比企谷君がそう言い、伸びをしながらこちらに近づいてくる。

 

 うん、点数どうだった?

 

「いい感じだ。このまま行けば合格できそうだ」

 

 おお!流石だね比企谷君。

 

「咲人はどうだった?」

 

 うーん、僕はギリギリって感じかな。

 

 

 僕たちが受験する総武高校は市内じゃかなりの進学校で、僕の平凡な頭だとギリギリ合格圏内な学校だ。

 一方比企谷君は頭が良いようで、理系は少し苦手そうだけど文系はバッチリなようだった。

 普通に羨ましいです。

 

 

「……咲人ぉー」

 

 僕が自分の平凡さに悲しくなっていると、突然比企谷君がいつかのように抱きついてきた。そして猫のように僕の胸板に頭を擦り付けてくる。

 僕が初めて比企谷君の家に行き、抱きつかれた時からこういうのは何度かあった。

 親に甘えられなかった環境だったせいか、たまに甘えん坊になる時がある。

 だから僕も否定はせず、優しく頭を撫でるだけ。

 

 

「咲人…少し、真剣な話いいか?」

 

 いいよ。どうかした?

 

 

 言葉の通り、比企谷君は真剣な表情だ。

 何を言われるんだろうか。「テメェの体臭、臭えんだよォ!」とか言われたら死にたくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………好きだ」

 

 

 

 

 はっ?

 

 

 今、比企谷君は…なんて…?『好き』?それは僕に対して?

 

 

 

「……だから、俺は咲人のことが好きなんだ」

 

 あ、ああ。うん。それは友達的な意味?それとも…

 

「違う。俺は本気で咲人のことが好きなんだ」

 

 

 本能的に身の危険を感じ、思わず比企谷君を突き飛ばそうとする。

 だが、比企谷君が不安そうな顔をしているのを見て、手を止めた。

 

 同性を好きになる。

 それは別におかしなことじゃないし、差別してはいけないことだ。

 そして、僕は今、僕から拒絶されることも覚悟して僕を好きだと言った比企谷君を突き放そうとした。

 

 

 比企谷君。

 

 

 僕が小さく声を出す。

 比企谷君が小さく震えた。

 

 

 僕は…その、同性どころか異性を好きになったことすらないんだ。……だから、だから…

 

 

 君の想いに応えることはできない。

 

 

 そう言おうとした。

 だが、

 

 

「うん。分かってる。だから返事はまだしないでくれ。俺はただ、俺の気持ちを咲人に知っていてほしかっただけだ」

 

 

 比企谷君本人に止められ、それは叶わなくなる。

 

 

「その…気持ち悪いって思うかもしれないけど…これからも仲良くしてくれないか?」

 

 それは勿論だよ。

 

「そうか…ありがとう…!」

 

 

 嫌だと言う気は元から無かった。

 僕が勿論、そう答えると比企谷君はまた僕の胸に顔を埋めた。

 僕もいつもみたいに頭を撫で始める。

 

 

「……好きだよ。ずっと、ずうっとな」

 

 ……そっか。こんな僕を好きになってくれてありがとう。

 

「ーーっ!好き…!好きだよ咲人…!」

 

 

 比企谷君は、強く僕を抱きしめてくる。

 告白の返事一つもできない情けない僕は、ただ抱き返すことでしか答えることができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 ついに、咲人に告白をした。

 拒絶されることも覚悟の上での告白だった。

 だが、彼は、咲人はそんな俺を受け入れてくれた。

 

 返事は言わせなかった。咲人も自分で整理したいだろうし、俺は俺の気持ちを伝えられるだけで良かった。

 

 咲人から好きになってくれてありがとうと言われた時は、感情が爆発して思わず何度も好きだと言ってしまった。

 気持ち悪いと、もう近づくなと言われても大丈夫なように構えていた。

 それなのに、返ってきた言葉は『好きになってくれてありがとう』という感謝の言葉だった。

 そしてそれが、たまらなく嬉しかった。

 

 明日はどうやってアプローチしようか。

 そんなことを考えられる余裕すらある。

 

 

「お兄ちゃん」

「…びっくりした…小町か…」

 

 一瞬、お手洗いに行っている咲人が帰ってきたのかとびっくりするが、小町の声であったため少しだけ安心する。

 今、咲人に戻られたら、自分の感情を我慢できる気がしない。咲人が戻る前までに沈めとかないとな。

 

 

「お兄ちゃん…ついに告白したんだね」

「……ああ。やっぱり咲人は俺の思った通りに受け入れてくれたよ。……小町は言わなくていいのか?」

「……ふふっ。大丈夫だよお兄ちゃん。咲人さんは絶対に小町のところに帰ってくるから♪この前だって小町にキスしてくれたし(・・・・・・・・・・・)

 

 

 小町が恍惚の表情でそんなことを言い出す。

 それは兄の俺から見ても充分色気の帯びたものだった。

 小町がこういう風になったのは咲人と初めて会った時からだ。

 小町は咲人が帰った後、いきなり俺に向かって「咲人さんって…かっこいいね」と言い出したのだ。

 咲人は俺の妹までも魅了した。

 それは別にいいんだが、困ったことに小町は『もう既に自分は咲人と婚約者である』という妄想を信じ込んでいるのである。

 

 

「いい加減に妄想はやめろ。咲人はまだ誰ともキスしたことねえよ」

「ぶー!いいじゃん!咲人さんのファーストキスは結局小町が取るんだし〜♪」

「はぁ…勝手に言ってろ」

「ふふん♪お兄ちゃんなんかに負けないからね!」

 

 

 幸せそうな顔で身体をクネクネさせている小町。どうせ碌なことを考えていないだろう。

 そんな小町は放っておき、俺はいつものように咲人が口につけていたコップを持つ。

 そして咲人が口をつけていた部分の匂いを嗅げば、咲人の強い匂いを感じられるのだ。

 

 

「んはぁ…咲人さんの使ったスプーンおいしい…」

 

 

 ……小町も小町で咲人が出されたお菓子を食べるために使ったスプーンを舐め回している。

 

 

 なあ咲人。

 俺たち二人をここまでかき回したんだ。

 勿論、責任は取ってくれるよな?

 

 




こ、こうなるはずじゃなかったんや(震え声)
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