僕の友人がヤンホモだった。   作:ぐ腐腐

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「…………」

 

 …………

 

 

 何この状況。

 目が覚めたら茶髪のおさげの女の子が僕の顔を覗き込んでいた。それもすごい近さで。

 しかもこの子に凄い見覚えがある。

 …………あ、あのわんちゃんの飼い主だ。

 

 

 ……その、何か用?

 

 

 目を見開いて、瞬きを一切せずに僕をじっと見つめているわんちゃんの飼い主さんに恐る恐る声をかける。

 

 

「…………王子様」

 

 へっ?

 

「あ、いや!なんでもないよ!その……サブレを助けてくれてありがとうございました!!」

 

 

 何かを呟いた後彼女は僕から離れると、昨日の雪ノ下さんのように頭を下げてきた。

 なんていうか、最近謝られてばっかりだな。

 雪ノ下さん以外にも、というか比企谷君と小町ちゃんにも昨日は謝られた。なんか、顔を紅潮させながら謝られたけどなんで赤くなってたんだろ?

 それと、なぜか無性に胸と首がベトベトしていた。あと、首にはいつのまにかできていた虫刺されのような赤い跡も。

 

 

「あ、あの…?」

 

 あ、ごめん。ちょっとボーッとしちゃってた。あのわんちゃんの飼い主さんだよね?

 

「はいそうです!由比ヶ浜結衣って言います!」

 

 あのわんちゃんは元気?

 

「おかげさまで毎日元気です!」

 

 そっか…良かった。僕もそれを聞いて安心したよ。

 

 

 由比ヶ浜さんから伝わってくる一直線な感謝の思いが感じられ、恥ずかしくなって顔を逸らしながら返事をする。

 でも本当に助かってよかった。

 

 

「そ、それでですね…その…お礼にクッキーを焼いてきたんです!」

 

 クッキー?

 

「はい!佐々木さんに迷惑をかけてしまったので…そのお詫びも込めて」

 

 

 そう言って由比ヶ浜さんが鞄から取り出したのは……クッキーから程遠い、真っ黒な物体Xだった。

 ………え?これ、クッ…キー……?

 

 

「はい!佐々木さん!」

 

 あ、うん。ありがとね。

 

「いえ!あと…その……もし良かったら、今食べていただけないでしょうか!」

 

 …………

 

 

 まじで?これ食べられる?

 ……いや、食べられるか食べられないじゃない。食べるんだ。

 きっと由比ヶ浜さんは料理が苦手なりに頑張ってこのクッキーを作ってくれた。その思いを無下にすることなどできるわけがない。

 よし…!覚悟を決めろ佐々木咲人!

 

 ゆっくりとラッピングを外して行くと、由比ヶ浜さんが不安そうに僕を見つめてくる。

 

 

 それじゃあ、いただきますね。

 

「はい!」

 

 

 恐る恐る物体Xを口に運ぶと………

 ………!?なんだこの味…!?苦味とか酸味とか色んな味がしてる!?それに食感もじゃりじゃりしていて思わず戻してしまいそうになるが、それを何とか押さえ込んだ。

 

 

「どう…ですか…?」

 

 あ、ああ、うん。すごい独特な味だと思うよ。

 

 

 今の僕の声はきっと震えているだろう。

 けどこんなところで諦めるわけにはいかない。このクッキーを作った由比ヶ浜さんのためにも、彼女の前で全部食べきってやる。

 

 

 

 

 

 …………ふう。

 

 

 

 

 やった。やったぞ僕は。

 由比ヶ浜さんのクッキーを全部食べた。

 途中何度も諦めそうになったが、その度に由比ヶ浜さんの悲しそうな表情を浮かべているのを想像して無理やり自分を鼓舞していた。

 

 

「佐々木さん…!全部食べてくれたんですね…!!」

 

 う、うん。そ、それと由比ヶ浜さんって僕と同い年でしょ?敬語は使わなくていいよ。

 

「…分かった!佐々木君がそう言うならそうする!」

 

 

 そう言って嬉しそうに顔を緩ませる由比ヶ浜さん。

 ……うん。こんな嬉しそうな顔を見れただけで頑張って食べた甲斐があるってものだ。

 

 その後由比ヶ浜さんと学校の話や由比ヶ浜さんのわんちゃん、サブレくんの話を聞いたりしてその場はお開きになった。

 サブレくんの話をしている由比ヶ浜さんの顔はとても柔らかく、どこか母性的なものを感じる顔だった。

 いい奥さんになれそうだと口を滑らせ言ってしまったが、嫌そうな表情はされなかったためセーフだと思う。

 それと、比企谷君と良かったら仲良くしてほしいと伝えた。すると由比ヶ浜さんは笑顔で「もちろん!」と返事をしてくれた。

 

 急に物体Xを渡された時は驚いたけど、凄くいい子だった。

 僕も早く怪我を治して学校に復帰しないと。

 

 

 

 

 

 

 ****

 

 

 佐々木君はやっぱり私の思っていた通り、ううん、思っていた以上の人だった。

 病室に入った時、この前と同じように寝ていたから起きるまでずっと佐々木君の顔を見てたけど、本当にかっこいい寝顔だった。

 

 近くで見すぎていたせいか起きた時に驚いた顔をしていた時の佐々木君はかっこいいというよりか可愛い感じだったけど。

 

 それに私が作ったクッキーも食べてくれた。

 中学生の時は、家庭科の時間にクラスメイトから料理は私たちが作るから由比ヶ浜さんは何もしないで!と言われるほど、私は料理が下手くそだった。

 今回のクッキーもお世辞にも美味しくできなかった。勿論、精一杯愛情を込めて作ったよ?

 そのクッキーを佐々木君は笑顔で、それも全部目の前で食べきってくれた。

 

 私はその時気持ちが舞い上がりすぎて、今すぐにでも佐々木君に抱きつきたい気持ちになった。でもいきなり初対面で抱きつくだらしない女だと思われたくないため、それはやめた。

 

 その後は私の普段の学校生活の話だとか、佐々木君が助けてくれたサブレのこととかを喋った。

 佐々木君はどうやら動物が好きなようで、サブレが元気に過ごしていることを伝えたら凄く嬉しそうにしていた。

 

 

 …………それと、いい奥さんになれそうとも言われた。

 

 

 これは、そういうことでいいんだよね?

 私のことを奥さんにしてくれるってことだよね?

 えへへ……由比ヶ浜咲人?それとも佐々木結衣?子供は何人くらいほしいかなぁ、二人はほしいなぁ…それにお家は綺麗な一軒家を建てて、家族団欒と過ごしたいなぁ。

 

 

「佐々木君……ううん、将来の旦那さんになるんだから名前で呼んじゃおう。咲人君、えへへ、咲人くん」

 

 

 なんだかとってもぽかぽかしていい気持ちになる。

 そうだ、怪我が治ったら今度は私の家に来てもらおう。お母さんとお父さんにも紹介したいし、その後は私の部屋で………えへへ。

 

 咲人くんの寝顔の写真を見ながら、私はそんなことを思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 あれから数日後。

 僕は無事、一週間で退院することができた。

 比企谷君に小町ちゃん、それに由比ヶ浜さんまでお祝いしてくれて凄く嬉しかったです。

 

 そして今は、ようやく念願の学校への初登校をしているところだ。

 横で比企谷君が手を繋いできているため、少し注目を集めているが、なんてことはない。

 

 

「なあ咲人ー俺たち同じクラスで良かったな」

 

 そうだねー。それに由比ヶ浜さんも同じクラスなんでしょ?

 

「みたいだな」

 

 ふふっ、楽しみだね。

 

「ああ、そうだな」

 

 

 …?

 心なしか比企谷君の右手を握る手が強くなったように感じた。

 ………気のせいか。

 

 

「………… (咲人は俺だけを見てればいいのに)

 

 ん?何か言った?

 

「なんにもー」

 

 ……?

 

 

 何を言ったか気になるが、比企谷君がなんでもないと言っている以上無理やり聞き出すわけにもいかない。

 まあなんにせよ、今日は初めての高校生活だ。頑張っていかないと…!

 

 

 

 




ゆいゆいの口調がコレジャナイ感。
由比ヶ浜って俺ガイルの中じゃ一二を争うくらいバブみがあると思うんだ。あ、因みに私が一番好きなキャラは陽乃さんです(どうでもいい)
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