東方四面楚歌   作:ソーヤー麺

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10話目です。

もう10話か、早い物ですねw
今回も暴力的な表現や下品な表現が多分に含まれておりますので、ご注意ください。

では10話目をどうぞ!



二人目の男 妖怪の山で迷う

 

 

 

 

 

俺は親父の顔を知らない。

お袋は俺に親父の事を話してはくれなかった、唯一話してくれたのは、親父がどれだけクソッタレでインチキで甲斐性無しだったか、と言う話だけだ。

 

お袋は娼婦で、俺には何人も親父がいた。

だが、俺を愛してくれ無かった。

お袋は病気で死んだ、誰にでも股を開く淫乱売女にはお似合いの末路だ、ざまぁみろ。

だが、お袋は俺を愛してくれなくても俺はお袋を愛してた、少なくともママと呼ぶ程度にはな。

 

俺には妹がいる、俺と同じ眼の色をした妹。

俺達兄妹は眼の色で差別を受け、迫害されていた。

誰も俺達を愛しちゃくれない、だが妹だけは俺を愛してくれた、俺も妹を愛している。

お袋が死んでからは二人だけで生きてきた、だが、金を稼ぐにしても、まだガキだった俺に出来る仕事と言えば限られてる。

出来る仕事は何でもやった、普通の仕事から裏の仕事までな。

 

やがて俺はヤクを覚えた、14になった寒い冬の時だ。

妹を寝かし付けた後に俺は、現実から逃げるために初めてヤクをキめた。

16になると初めて人を殺った、その時に貰った金がそれまで貰った金とは比べ物にならないくらいに多かったのを覚える。

 

その頃か、俺の頭が白髪になりやがったのは。

妹とお揃いの金髪、白くなっちまった、眼も、酷く濁ってやがる。

俺は必死に言い訳を考えてたっけな、もちろん妹に対するな、妹に嫌われたら生きていけねぇ。

 

俺は妹に満足な暮らしをさせてやりたくて必死に仕事をこなした、妹には学校に行って貰って、俺とは違う真っ当な人生を送ってもらいたいからな。

 

俺が17で妹が12の時だ、妹が急に学校を辞めて働くと言い出した。

もちろん俺が許す訳が無く、俺が何故頑張っているか、如何に働いて欲しくないかを伝えると妹は泣きながら頷いてくれた、やっぱり妹はいい子だ、改めてそう思った。

 

妹を平穏な生活を送らせてやりたい一心から俺は自らを厳しく鍛え上げた、実戦を交えながらの体のトレーニングはもちろん射撃、格闘術、証拠を残さない方法…

そして更に過酷な仕事を請け負い、こなした。

ある時は紛争に参加したり爆破テロの手伝いもやった。

どんどん傷の増える体、その度に増えるタトゥー、擦り切れて行く心、どんどん増える酒、そんな中でも妹が居ればそれで良かった、彼女が笑えば俺も笑っていられた。

 

何時しか妹は15になっていた、そして俺にもとうとう訪れた、妹離れの時がな。

俺は妹を全寮制のお嬢様高校に入学させた、妹は泣いて嫌がった、俺だって嫌だ、だけどこうするしかないんだ、わかってくれ。

俺は必死に頼んだ、やがて妹は折れ、涙ながらに頷いた。

その代わり、俺はある約束をする、果たすつもりの無い約束を。

 

 

 

お前が学校を卒業したら、俺はお前を迎えに来る。

 

 

 

その言葉を聞くと彼女は涙を浮かべながらも嬉しそうに頷いた。

ごめんな、許してくれ、俺がお前についた、最初で最後の嘘を…

 

妹には普通に生きてほしい、だから俺と居ちゃいけないんだ。

俺はそのままの足で、クソッタレでいい思いでなんぞ欠片も無い、愛すべき地元、カナダを出た。

 

それから俺は毎月使いきれない程の金を妹の口座に送り続けた、妹からの手紙も届かないようにトレーラーハウスに移り住んだ。

 

今の俺を見れば彼女はどう思うんだろうか?

まあ、今となっては関係無い、もう会うこともないんだからな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うっ…ぐ…」

 

痛む頭を押さえながら俺は体を起こす。

辺りを見渡すと見覚えの無い、木々や岩が目に付いた、ここはどこだ?

 

「ぐ…ファッ○…」

 

俺は一人愚痴るとさっきまで見てた夢を思い出す、まるで走馬灯だな、こりゃ。

現状を確認する、トレーラーを運転してたらいきなり何かにぶつかって気絶した、そんで起きたら身に覚えもない場所に一人。

 

まさか拐われたか?

いや、それなら腰にぶら下がった銃を奪われてた筈だ、それにこんな外に放置したりはしないだろう。

拐われたんじゃないなら死んだか?

試しに自分の頬を殴ってみる。

 

ーーゴッ

 

……イテェ、口の中切れた。

てか俺のトレーラーはどこ行ったんだ…

謎だらけで頭がパンクしそうだ、クソッタレ。

 

「……探すか」

 

取り敢えず、立ち止まってても仕方無い。

動かないと始まらねぇ、移動しよう、

俺は銃のグリップを握りながら歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

どうやら此処は何処かの山らしい、さっきから結構な傾斜面が続いている、疲れたぞチクショウが。

 

「ハァ、ハァ、」

 

イライラしながら山道を進んでいると目の前を何かが横切った。

 

ーースッ

 

「ッ!」

 

俺は咄嗟に銃をホルスターから抜き取り構える、銃にはまだ6発の弾丸が残っている、何が出ようが殺るには充分な数だ。

さて何処から来る?

左か、右か、後ろか、真っ正面か…もしくは…上か!

俺は上を見上げる。

 

ーーガアァァ!!

 

「前かよ!」

 

ーーパァンッ!!

 

ーーギャヒッ!!?

 

大きな狼みたいなやつが飛びかかってくる、だが俺にとって大した敵じゃねぇ、的確に頭を撃ち抜いてやった。

しかし、コイツは狼にしてはデカイし色も禍々しい、まるで映画に出てくるモンスターだ。

 

「ったく、ふざけやがって…」

 

今ので弾丸は5発になっちまった、次は何時補充できるか分かんねぇから温存しとかねぇと。

 

「…行くか」

 

俺は再び山道を歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「クッソ、休憩するか…」

 

思ったよりもキツイ山道で体力を消耗している、せめて水か酒でもあればな…

 

「ハァ、どこなんだここは…」

 

大きな岩に座り、辺りを見渡しながら呟く。

木々には真っ赤な葉が生えている。

これが、モミジっつうもんか…綺麗だな、目障りだけど。

 

ーーウワアアアアア!!

 

「!!」

 

俺は突然聞こえた絶叫に思わず立ち上がった、声色からすると男か、この山に俺以外の奴がいると分かり、無意識に走り出していた。

さっさとこんなふざけた場所からバイバイして、雇い主の所に行かないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は危機に瀕している、現在三人の妖怪に囲まれているからだ。

一人は何とか倒せた、だけどそろそろ限界だ。

剣は既に刃こぼれしていて使えない、盾はひしゃげて鉄の塊と化している。

私自身も相当ダメージを負っている、脇腹に血が滲む、まずい…

 

「ハァ、ハァ、んっ、ハァ…」

 

「そろそろ諦めろよ、一人殺ったら充分だろ?」

 

「そうだぞ、諦めろワンちゃん」

 

「五月蝿い、黙れ!!」

 

「……そろそろ立場弁えろよ、今の俺達はこの世界のパワーバランスの上の方、だけどワンちゃんは下の方、中々頑張った方だと思うけどここまでなの、分かる?」

 

「そうそう、大人しく言う通りにしなよ、悪いようにはしないからさ♪」

 

こんな奴らの慰み物になるなんて、絶対に嫌だ。

慰み物になるくらいなら死んだ方がマシだ…

私は脂汗を滲ませながら刃こぼれした剣をゆっくり首筋に当てる。

 

「おいおい、死んじまったら面白くも無いぜ」

 

「やれやれ、困ったなぁ」

 

奴らは醜悪な笑みを浮かべながら、私を煽る。

何で…何で私がこんな奴らに…

気付けば私は涙を流していた。

 

「あーあ、泣いちゃった…」

 

「泣いてる顔も可愛いよ!」

 

こいつらには泣き顔を見せたくなかった、でも悔しくて悔しくて…

私は完璧に油断してしまっていた。

 

「はい取った」ガバッ

 

「!!は、離せッ!!」

 

「ほら、何時自殺するか分からねぇんだからさっさとヤれ」

 

私は奴らの一人に羽交い締めにされた、凄まじい力で身動きが取れない。

自分の不甲斐なさにまた涙を流す。

 

「う…っ…ぅ、ふぅ…っ」

 

「あー、号泣だよ、可愛いねー…」

 

そう言いながら奴は私の身体に触れようとした…その時

 

「大丈夫、優しくーー

 

ーーパンッ……バシュッ!

 

目の前の妖怪の頭が弾け飛んだ。

 

「え…」

 

ーーパンッパンッ…バシュッ!プスンッ!

 

「うっ…」

 

「っ!アアア!!」

 

続けて私を羽交い締めにしていた妖怪の頭が吹き飛び、私をイヤらしく見ていた妖怪の足に大きな穴が空く。

一瞬の出来事に思考が追い付かない、自由になったはずの身体は動かずペタリと座り込んでしまった。 

 

 

 

 

 

 

3発も使っちまった、もう残り2発だ。

全く、強姦魔っつうのはどこにでも居やがるもんだから困る。

さて、あのガキの様子でも見に行きますかね。

しかし60メートルってのは歩いて行くには中々の距離だな、メンドクセェ。

 

「え、な、何が…」

 

「ああっ!グッ…クソ…!」

 

座り込んだガキと、のたうち回る野郎に近付く、足撃たれたくらいでウルセェなコイツは。

 

「あ…」

 

ガキが俺に気付いた、座り込んだまま上目遣いに俺を見て来やがる、視線かこそばい。

だが、一睨みしてやると目を逸らしたので無視して野郎の傍に立つ。

 

「ぐ…!貴様ッ!こんなことしてただで済むと思うなよッ!!」

 

「へー、じゃあどうなるか教えろよ」

 

この野郎は現状を理解してないのか、何でそんな高圧的な態度を取れるんだろうか、俺ならヘーコラしながら命乞いするわ。

 

「ここは妖怪の山だぞ!!?すぐに私の同胞が貴様を八つ裂きにするぞ!!気の毒にな!」

 

「そうか、俺が気の毒なら今から俺にブッ殺されるテメェもだいぶ気の毒だな」

 

もはや馬鹿の域を越えてやがる。

哀れすぎて言葉もねぇわ。

てか妖怪って何だよ、ジャパニーズモンスターか。

 

俺は銃口を妖怪に向ける。

妖怪はその減らず口でベラベラと煩く喚いていたがウゼェから無視することにした、そのまま引き金を引く。

 

「じゃあおやすみ、次生まれ変わったら賢く生きろよ」

 

ーーパンッ!!

 

妖怪の頭の足らない中身が地面に染みを作る、キタねぇな。

 

「……さて」

 

「ひっ…」

 

俺はガキの方を見た、見た途端にガキはヒッて言いやがった、俺のツラってそんなに恐ろしいのか?

 

「あ、あの…ありがとうございます…」

 

「別に、見てて気分ワリィからな」

 

ガキはおずおずと礼を言った、正直お前のせいで弾を無駄遣いしたんだ、腹が立ってるがガキに怒鳴っても仕方ねぇから我慢だ。

しかし、コイツの格好…剣と盾って何世紀前の兵士だよ。

てか犬の耳生えてねぇか?

こいつも妖怪ってやつか?

謎は深まるばかりだ、頭がイテェ。

 

「あの、私は犬走椛と言います、貴方は…?」

 

「俺か?俺はグレンだ、よろしくなワン公」

 

「っ!!誰がワン公ですか!!私は白狼天狗です!狼です!!」

 

「犬も狼も大した差はねぇだろうが…」

 

「大有りですよ!良いですか?狼とは気高い孤高の存在なんです、犬と一緒にしないでください!」

 

さっきまでヤられそうになってやがった癖に、おかしなガキだな、こいつ。

 

「ウルセェよ…」

 

「あ、あの…先程は助けて頂いて本当にありがとうございました…私、もう少しで…」

 

……泣くな鬱陶しい、目障りなんだよ。

 

「泣くな、ウゼェ」

 

「は、はい!すいません!」ゴシゴシ

 

「ハァ…」

 

全く、自分で首を突っ込んだとは言えメンドクセェ事になっちまったな…

 

「なあ、ワンコが何であんなことになってたとかはどうでも良いから聞かねぇけど、一つ教えろ」

 

「だから!…ハァ、分かりました、何でしょうか?」

 

「ここはどこだ?」

 

「………貴方、やっぱり外来人だったんですね」

 

ガイライジン?

なんだそれ、新手の外人か?

 

「はぁ?」

 

「ここは…幻想郷です、少し前から狂ってしまいましたが…」

 

コイツ何いってんだ?

全く理解出来ねぇ…幻想郷?

 

「…………」

 

「あ、その顔は信用してませんね…まぁ良いです、里に行けば良いですよ、キチンと説明してくれる人がいますから」

 

里?

もう、話が飛躍し過ぎて何が何だかわかんねぇよ。

 

「里ってどこにあるんだよ…」

 

「あ、そうか…仕方無い、助けていただいたお礼も兼ねて道案内します!」

 

勝手に話を進めやがって…もういい、何でも。

 

「………ハァ、頼むわ」

 

「分かりました、此方ですよ」

 

ワンコは笑いながら俺が歩いて来た反対の道を歩き始めた。

 

 

 

 

 

 





はい10話目でしたー



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ではまた次回!
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