東方四面楚歌   作:ソーヤー麺

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はい11話です。

あー、もっとお気に入りや評価がほしい…
もっともっと頑張らないと!!

今回も暴力表現や下品な表現がございますのでご注意ください。

では11話目をどうぞ!




二人目の男 本領を発揮する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺がワンコをクソ共から助けてから20分、ずっと山道を歩き続けてる。

俺はともかく、ワンコは息を切らせながらツラそうに歩いてやがる。

どうやら腹の傷が痛むらしい、気丈に振る舞ってはいやがるが、しきりに脇腹を押さえる所を見ると中々酷いらしい、ウゼェ……

 

「ハァ…ハァ……ん…」

 

「……おい、ワンコ」

 

「だーかーらー…狼ですって…」

 

「ウルセェ、ちょっと休憩させろ」

 

「でも…早く行かないと暗くなりますし…」

 

「疲れたんだよ、ほら止まれ」

 

「……分かりました」

 

無理矢理歩みを止めさせ、近くの岩に座らせる。

ったく、中々強情な犬だな、コイツは。

 

「……あの…?」

 

俺はワンコを見つめる、腹の傷以外の怪我はないか…なるほど、肩に切創か。

 

「脱げ」

 

「………え?」

 

「服を脱げ」

 

「えぇ!?///」

 

「だから、服を脱げっつってんだよ…」

 

「そ、そんな…屋外だし…それに心の準備が////」

 

顔真っ赤にしながら何を考えてるんだコイツは…

 

「…早く脱げよ、殴るぞ」

 

「そんな!!は、初めてなのに…殴るなんて酷いです!///」

 

……話が噛み合わねぇ。

ああ、俺の言葉が足らねぇのか。

 

「おい、勘違いすんじゃねぇよ、お前の腹診てやるだけだ」

 

「え、ああ、も、もちろん分かってますよ!!はははは///」

 

「……脱ぎたくねぇんだったら服捲ってろ」

 

「…はい、流石に屋外ですし脱ぎたくはないです…て言うかそんなに深い傷では無いので大丈夫ですよ…?」

 

「そうは見えねぇけどな、見たところ内臓まではイッテねぇけどかなり深いだろ」

 

「…………」

 

「ほら、腹診せろ」

 

俺がそう言うとワンコはゆっくりと恥ずかしそうに服を捲り、腹を出す。

割りと引き締まってるのには中々驚いた、てか色白いな、少し触ってみるか。

 

「ひゃあっ!!?」ビクッ

 

「いきなり大声出すんじゃねぇよ」

 

「だ、だっていきなりお腹…っ!///」

 

「当たり前だろ、腹診てんだから」

 

多分俺スゲェ気持ち悪い顔してんだろうな。

でも何故だか、ワンコを見てると嗜虐心が抑えれなくなって来やがる、虐め甲斐のある奴だ。

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「ジッとしてろ」

 

気を取り直して傷を診る、成る程な…結構な傷なのにまだ余裕があるのは妖怪っつう種族のお陰なのかね。

 

俺はコートのポケットから処置キットを取り出す、中には傷を縫う針と糸、消毒液、ガーゼ、抗生物質と痛み止め、小さいハサミとピンセットが入ってる。

処置キットからガーゼと消毒液取り出し、ガーゼに消毒液を染み込ませる。

因みにこの消毒液、良く効くがかなり沁みる、俺でさえイテェ。

 

「……ちょっと沁みるぞ」

 

「は、はい…」

 

ワンコはすぐに来る痛みに備え、服を掴んだ手を固く握り締め、顔にも緊張が浮かんでやがる。

この表情は中々良い、好きなツラだ。

そしてそのまま傷をガーゼで拭いて行く。

 

「っ…んん…く…ぅ…」

 

「よしよし…ほらあと少しだ…我慢しろ…」

 

目をギュッと閉じて、痛みに身を震わせるワンコ。

何とも可愛らしいじゃねぇか…

少し虐めたくなった。

 

「……うっ…ぁ…い、いた…っ」

 

「もう終わる、動くな」

 

傷口に消毒液が沁みるように、わざとグリグリと押し付ける。

痛いのか少し涙目になりながら身を捩ろうとするワンコはやっぱり虐めたくなる。

まぁ、あんまりやり過ぎて泣かれてもウゼェからそろそろ止めるか。

 

「ん、終わった」

 

「…ハァ…ハァ……あ、ありがとうございます…」  

 

ガーゼを離してやると、呼吸を整えながら礼を言う。

これで遊びで痛め付けてるって言ったらどんな顔するんだろうな、見てみてぇ。

 

「歯ァ食い縛れ、イテェのはこっからだ」

 

「っ…は、はい…っ」

 

消毒液が終われば今度は裁縫の時間だ、今時の男となれば裁縫の一つや二つは出来ねぇとな。

さて、妖怪とは言えワンコは見た目メスガキだ。

傷跡はあまり残してやりたくねぇから細い糸を使う。

釣り針のような形の縫い針とナイロンの糸取り出すと、ワンコは体を強張らせた。

 

「…や、優しくお願いします…ね?」

 

「善処してやるよ」

 

糸を針に通し、硬く結ぶと傷口にそれを近付ける。 

ワンコは服を握りながら心配そうに俺を見下ろす、まぁ、丁寧にやるさ。

 

「い…っ…!」

 

「落ち着け」

 

ゆっくり、丁寧に傷口を縫合していく。

針が皮膚を突き破る度に悲痛な声を上げ、糸が体内を通る度に体を震わせる。

少しずつ血が流れ、俺の手を汚す、正直メンドクセェ。

 

「あと三回」

 

「は、はい…!」

 

やがて、傷口は綺麗に縫い合わされた。

仕上げに化膿止めを塗り、抗生物質と痛み止めの錠剤を手渡す。

 

「これ飲め」

 

「は、はい…あの、ありがとうございました…」

 

ワンコは疲れたのか、力無く錠剤を受け取ると錠剤を凝視したまま動かなくなった。

 

「あの、これは…まさか毒何て事は…」  

 

ああ、コイツ疑ってんのか…流石アホ犬。

 

「俺がテメェを殺るつもりなら最初から助けてねぇよ、てかわざわざ助けてやってんのに疑うのか?」

 

「そ、それはそうですよね…すみません…」

 

俺はワンコを睨みながら言ってやる、するとワンコは尻尾と耳を下げ、申し訳なさそうに謝った。

こうして見ると飼い主に怒られた犬だな。

 

「……疑う事は悪い事じゃねぇ、人間でも何でも信じられんのは自分だけだ、テメェの身一つ守んのもシンドイのに他人に構う方がどうかしてんだろ」  

 

事実その通りだと俺は思う。

綺麗事抜きで他人を守んのは自分を守るよりも大変だ。

それに普通は他人の為に自分の身を挺してっつうのは映画やゲームの世界だけだ、普通の思考してる奴は自分が一番可愛いに決まってるからな。

 

「…じゃあ、何でグレンさんは私を…?」

 

中々痛い所を突いて来やがる…

 

「それは俺がイカれてるからだろうな」

 

「……グレンさんは優しいです」

 

…ウルセェ、テメェに俺の何が分かる

 

「…へぇ、そうかい」

 

「私は…グレンさんに救われました、なのにグレンさんを疑ってしまった。

でも、これからはグレンさんを信じます、だってグレンさんはいい人ですから」

 

そう言うとワンコは錠剤を飲み込んだ。

しょうもねぇ…どんだけ忠犬なんだよテメェは…

 

「…信じてくれんのは勝手だ、でもな…俺がテメェを助けたのはただの気紛れ、俺からすりゃテメェの命よりコーク1gの方が価値がある」

 

「……こーく、って何ですか?」

 

チッ、話が通じねぇな…ホントにメンドクセェ…

てか何でこんな流暢に日本語喋ってんだ俺は。

元々日本語が話せた訳でもねぇのに…ワケわかんねぇ。

 

「要するに、テメェを助けたのはただの暇潰しだってことだ」

 

「…嘘です」

 

「…は?」

 

「嘘です、違うって顔に書いてます」

 

……ホントに、痛い所を突いて来やがる奴だ

 

「教えてください、何で私を助けてくれたんですか…?」

 

「…黙れ、暇潰しだって言ってんだろ、これ以上詮索すんならブッ殺すぞクソガキ」

 

「…分かりました、すみません」

 

「詮索してごめんなさいって言え」

 

「…せ、詮索してごめんなさい…って、何言わせてるんですか…っ」

 

やれやれ、コイツと居ると疲れやがる。

まぁ、暇はしねぇか…

 

「ほら行くぞ、さっさと里に連れていけ」

 

「ふふっ、さっさと里って…」

 

「……ぐたらねぇ事言ってねぇでさっさと行けや」

 

俺はワンコに睨みを利かせながら言う。

すぐにワンコは謝りながら立ち上がり、歩き始めた。

 

暫く歩いてるといきなりワンコが立ち止まる。

 

「…少し止まってください」

 

「あ?どうした?」

 

「…………300メートル程先に4人の妖怪が居ます」

 

何?

どういう事だ、見えてもねぇのにそんなもんが分かるのかよ。

 

「何で分かる?」

 

「私の能力です、千里先まで見通す程度の能力、本当に千里先まで見える訳では無いですけどね…」

 

成る程、こりゃ便利だ。

戦いに置いて大事な事の1つ、それは敵が何人居てそれがどこに居るかを把握することだ。

それさえ判れば先手を打つことも遣り過ごすことも出来るからな。

流石は妖怪、人間とは出来が違う。

 

「他には?」

 

「……妖怪の近くに、何か大きな鉄の箱が見えます」

 

「鉄の箱?」

 

「はい、扉が付いてます…あ、あと窓も…」

 

おいおい、もしかしてそりゃ…

 

「おい、鉄の箱に行くぞ」

 

「でも迂回すれば…」

 

「俺にとって大事なもんなんだよ、別に付き合わなくて良いぞ、一人で十分だ」

 

十分、ではねぇけどな。

銃には弾は1発、後はナイフだけ。

どんだけ妖怪ってのが強いか分からねぇ以上ナイフで挑むのは自殺行為だ。

 

「お手伝いします、貴方に救われた命、貴方の為に使います」

 

…他人の為に命使うとか、このガキホントに、バカだわ。

 

「足引っ張んじゃねぇぞクソガキ」

 

俺はコートを脱ぎ、タンクトップ1枚になると右手に銃、左手にナイフを逆手に持つ。

銃を構え、左手を添えると腰を落とし、ゆっくり移動を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は息を殺し、ゆっくりと妖怪の背後に忍び寄る。

殺した人間の物であろう着流しを来た若い男のような姿、あまり見ない珍しい妖怪。

私の手には刃こぼれした剣が1本、これを使って目の前の妖怪を退治しなければならない。

掌に汗が滲む、鼓動が早まる…

心中で数字を数える…1…2…3…4…5…6…7…8…9……10!

 

「ハァァ!!」

 

ーーザクッ!!

 

背後から、目の前の妖怪の心臓を一撃で貫く。

掌かは確かな手応えを感じる。

やがてゆっくりと妖怪は倒れ、血が土に染みを作った。

 

「アブねぇ!!」

 

急に叫ぶ声が聞こえる。

前を見るとグレンさんが私に向けて銃と呼ばれる物を向けていた。

私は咄嗟に屈み、身を隠す。

 

ーーパンッ!!

 

空気を切り裂く様な破裂音が聞こえる、私は目を閉じて耳を塞いだ。

暫くして、目を開き、背後を見る。

すると頭が半分だけになった妖怪が倒れていた。

どうやらまたグレンさんに救われたらしい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クソッ!!

駄犬のせいで最後の弾を使っちまった!

俺に残されたのはナイフのみ、それにさっきの銃声で回りの妖怪が集まって来やがるはずだ。

最悪だぜ、足を引っ張りやがってクソガキが…

もう知らねぇ…どうにでもなりやがれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はその場に座り込んでいた。

だけど、待っても待ってもグレンさんは来なかった。

どうやらグレンさんには身限られたらしい。

今日二回目だ、私は駄目だ…失敗ばかりでまた見捨てられる、また独りだ…嫌だなぁ…

 

「………」ポロポロ

 

また涙が込み上げてきた。

私ってこんなに弱かったっけ?

あの頃はこんな事無かったのに…

ああ、後ろから何かが近付いて来てる、多分後二人の妖怪だ。

またにとりさんと将棋を指したい、また文さんと口喧嘩がしたい。

これが走馬灯かな?

たくさん思い出が……

 

「お前何泣いてんだ?」

 

…グレン…さん?

 

「……下がってろクソガキ、流れ弾に当たらねぇようにな」

 

グレンさんは大きな銃を持って不敵に笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は機嫌が良かった。

何故か?

そりゃあ愛する相棒に会えたからだ。

イサカM37フェザーライト、俺が一番愛するショットガンだ。

正しくキングオブショットガンって感じのシルエット、2㎏弱の軽さ、5発しか装填出来ない弱点を補って有り余る威力、どれも最高だ。

そんなイサカを手にした俺のテンションは最高潮だ、ん?

なんだよクソガキそのツラは、ゴーストでも見たようなツラしやがって、邪魔なやつだ。

 

「ほら来いよ、ミンチにしてやる」

 

俺はイサカを構える、脇を締め、足を広げて踏ん張り、少しだけ銃身を前に突き出す。

これがもっとも撃ちやすい構え方だと思ってる。

 

「…来い来い来い来いよ来やがれクソヤロウ……!」

 

まだか……見えた…ッ

 

ーードォン!!カシャンッ

 

イサカの銃身から火が吹き出る。

その瞬間に多数の散弾が飛び出す、妖怪が姿を現した瞬間に散弾が妖怪の体をズタズタに引き裂いた。

 

ーードォン!!カシャンッドォン!!カシャンッ

 

続けざまに2発お見舞いしてやる。

1人目は1発目で穴だらけになり、チラリと見えただけの妖怪は2発の散弾でミンチに変わり果てた、ざまぁねぇな。

 

「……ふー、最高…」

 

銃身から煙が昇る、俺は息を深く吸い込み、吐き出す。

火薬の匂いと血の匂いに混じって肉の焦げた匂いが辺りに立ち込めていた、心地いい気分だ。

 

「あ、あの…」

 

目を閉じて悦に入っていると涙声のワンコの声が聞こえた。

 

「何だよ?」

 

「…また、救われました…本当にありがとう…ございます…」

 

「…ハァ…」

 

俺はワンコの頭をぐしゃぐしゃと撫でてやった。

これは本意じゃねぇ、けど…何時までも泣かれたらたまんねぇからな…

 

「……それ、どうしたんですか」 

 

「お前が言う鉄の箱から取ってきた」

 

「わざわざ、ですか」

 

「…………」

 

「止めないでください、もっと撫でてください」

 

このクソガキが…

 

「……何で、また助けてくれたんですか…暇潰しはもう駄目ですよ…」

 

ハァ、散々だ…

 

「…まえ………て…から…」

 

「え…?」

 

 

 

 

 

 

「お前が…妹に似てたから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本心をさらけ出すってのは…恐ろしい事だ

 

 

 

 

 

 





はい、11話目でした!

感想、批判、アドバイス、誤字脱字指摘
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ではまた次回!
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