この話でグレン編は一旦終わり、次話から三人目が始まります。
今回も残酷描写は少ないです、若干ありますが。
「」は日本語
『』は英語だと思ってください
ではどうぞ!
二年前…とある紛争地域があった。
独裁者でありその国の大統領でもある男、その男が持つ、国の軍隊。
高度な訓練を受け、士気も高く統制も取れ、更には近代的な兵器を所有してた国軍は圧倒的な強さを持っていた。
国を守るとは名ばかりの私兵と化した軍隊を率いて、国に圧政を敷く大統領に業を煮やした市民達は自ら武器を取り、レジスタンスとして活動していた。
国は一瞬の内に銃声、爆音、悲鳴が響く地獄と化し、毎日数百もの人が死んだ。
そんな地獄に、俺は居た。
傭兵として、多額の報酬を貰う代わりにこの国を壊しにやって来たのだ。
何も考えずに兵を殺し、人を殺す日々。
国に来てから二週間程経った、ある昼下がり…
「……頼む、私には家族がいるんだ…」
目の前には血塗れの、少し太った男が居た。
「………次は、もっと賢く生きるんだな」
M1911A1の銃口を男の眉間に合わせる。
「お前にも…家族がいるだろ…?
なぁ、頼むよ助けてくれ…金なら倍払う…」
「……家族…か、悪いな…俺にはいねぇ…」
ーーパンッ!!
綺麗な赤い花が咲いた…
…兄様…私は貴方の家族では無いのですか…?
ねぇ…兄様………
「グレンさん、大丈夫ですか?グレンさん…」
椛の声と体が揺れる感覚で、夢から覚醒する。
「……大丈夫だ、揺らすな」
「ごめんなさい…でもうなされてたから…」
どうやらまたうなされてたらしい、あのクソみたいな夢のせいだ。
あれから二年、悪夢の様な記憶は未だにあの頃の夢を見せる。
「…昨日は悪か」
「謝らないでください、私は後悔なんて微塵も感じてません…ちょっと体が痛いですけどね」
椛が笑いながら俺の手を握る。
小さくて、握り返したら折れそうな程細い指だ…
「それに、私も…良かった、ですから…///」
赤面しながら何を言ってんだコイツは…
「聞いてねぇよ…」
「それと、グレンさんってやっぱり優しいですよね
何回も大丈夫か?大丈夫か?って聞いてくれましたし///」
「だから聞いてねぇって、てか何小っ恥ずかしい事べらべらヌかしてんだテメェは…ベタベタくっつくな…ベタ付くから早いとこ風呂入って来いよ…」
椛が腕に抱き着いてくる。
だがベタつく体で擦り寄られても不快でしかねぇ。
「わ、分かりました、じゃあ行ってきますっ」
椛は俺のYシャツを着たままシャワールームに向かって行った、若干歩き辛そうだったな。
シャワーの水温が聴こえると同時に、タバコに手を伸ばす。
「……ふー……ホント、柄にもねぇ…」
その後、シャワーから出た椛が洗濯した自分の服を着て出てきたのを見てから俺もシャワーを浴びた。
乾いた服を身に包み、愛用のコートを羽織ってリビングに戻る。
「お帰りなさい、グレンさん」
戻ると椛が昨日のシチューの余りを温めていた。
良い匂いを鼻で感じると俺の腹が小さく鳴った。
「ふふ、もう出来ますよ」
……チクショウ、何かムカツク。
シチューを鍋ごと平らげ、それを見た椛が嬉しそうに洗いモンをしてる間にさっさと準備をする事にしよう。
イサカと弾薬、工具の入ったバックにグレネード二つとフラッシュバン二つ、M4A1カービンライフルを詰め、予備のマガジンをいくつか入れておく。
背中のホルスターにイングラム二挺を押し込み、かなりの重量になったバックを背負う、肩が痛い。
「そろそろ行くぞ、準備は?」
「大丈夫です、行きましょう」
俺達は一度人里に向かう為に、トレーラーハウスを後にした。
「無縁塚ってのは、具体的にどんな場所なんだ?」
慧音にも聞いたが、アイツの説明は分かりづらい上に長ったらしくて好かねぇ。
殆ど話を聞いてなかったので、椛に聞いてみる事にした。
「そうですね…自殺志願者や身寄りの無い人間何かが良く迷い混む所ですね…
ただそれを狙って妖怪や亡霊何かが沢山集まってます、外から流れ着いた物が沢山落ちてるんですけどそれ欲しさに行くような地ではありませんね。
危険すぎますし辿り着くのも容易ではありませんから」
「なるほど、だから幻想郷一危険な場所、なんて呼ばれてんのか」
今日は多めに弾持って来てて良かったぜ。
「はい、だから気になるんです。
確かに霊夢さんは強いですよ、この幻想郷でも一番に近い強さを持っています
だからと言って一人で無縁塚に居る、なんて事無いと思うんですよ。
妖怪達が力を増し、絶大な驚異になっている今の状況を危機視していた霊夢さんがわざわざそんな場所に一人で行く、なんて馬鹿な事絶対しないと思います」
「……」
霊夢はこの幻想郷って世界の中枢に限り無く近い存在らしい。
そんな霊夢が危険を省みず、自ら死地に赴く必要があったのか……ダメだ、情報が全く足りねぇから考えても分からん。
「霊夢…ねぇ……」
「…今回、私も同行します」
「理由は?」
「私も、人捜しをしているので…」
「…お前もか、ったく…ポンポンポンポン誰でも消えやがって…」
俺の仕事は人捜しじゃねぇんだぞ…
どっちかって言うと人殺しが仕事だ。
「…ソイツも一緒に捜してやる、だが霊夢を捜すついでだからな」
「…ふふふ、ありがとうございます」
ーー人里、寺子屋
「よう、椛とグレン」
「二人とも遅かったな」
寺子屋に入ると既に魔理沙と浅木が居た。
相変わらずの魔女とジャージの不思議コンビだな。
「寝たのが遅くてな、ったく誰かさんのせいで…」
「ってことは、グレン…昨晩はお楽しみでしたね…」
「テメェも魔女とお楽しみか?あ?」
「あんたと一緒にするなよ…」
「あれ?慧音さんと妹紅さんがいませんね?」
「二人は用事があるらしいぜ。
それと、二人から…検討を祈る、勝ちは落としても命は落とすな、ってよ」
「…慧音さん…妹紅さん……」
「さて、行くか…」
行くのは良いが、歩いて行くには少し時間が掛かるだろう。
「…よし」
「…グレン、どうした?」
「肩、出せ」
「…………えっ」
「イテテテ!!痛いって!」
「いい加減慣れろよ、肩揉みだと思え」
浅木の肩を強く掴み、空を飛ぶ。
なんかもう恒例行事みたいになってんな、これ。
「あ、浅木大丈夫か?」
箒に跨がり、隣で椛と飛んでる魔理沙が声を掛ける。
「大丈夫…じゃない、イテェッて!!」
「よしよし大丈夫大丈夫」
「何で更に強く掴むんだよっ!」
全く、煩わしいのは嫌いだ。
「ここからは歩きだぜ、再思の道を抜ければ無縁塚だ」
息苦しく気味の悪い森の中、一本の道が生者を誘うように佇んでいる。
「此処からは気を抜かないことだぜ、何時何があるか分からないからな」
「さっさと行って片付けちまおうぜ」
「グレン、今のフラグだよな」
「あ?意味わかんねぇぞ…」
ガバメントをホルスターから抜き、構える。
取り敢えずこうしとけば大概の事態に対応出来るからだ。
「気を取り直して、行くぜ…私が先導する」
「俺が一番後ろだな、なに後方支援くらいはしてやるさ」
魔理沙が先導を買って出る、何かあったら命くらいは拾ってやる事にするか。
こうして、四人で無縁塚を目指して歩き始めた。
「なぁ、この赤い花なんてんだ?」
さっきから沢山咲いてる見覚えの無い花について浅木に尋ねる。
「これか?これは彼岸花って花だ。
毒があるらしいから触らないようにな」
「へー、毒がねぇ……使えそうだな」
主に拷問に。
「摘まないほうがいいと思…」
ーーグルル…
「黙れ……聴こえたか?」
「ん?何がだ?」
「鳴き声がした、椛…」
「はい、待ってください……居ます、大型の妖獣が四匹…」
「…本当か?
待て魔理沙、ストップだ」
「分かった…」
魔理沙と椛を後ろに避難させ、俺と浅木が前に出る。
ガバメントを構え、臨戦体制を取る。
浅木は目を瞑り拳を握っていた、どうやら心眼ってヤツらしい、スゲェ。
「………」
「……来るぞ!」
ーーガァアアア!!
いきなり側面から大きな熊みたいなヤツが飛び出して来る。
いきなり過ぎて反応が遅れてしまった。
妖怪の爪が俺のガバメントを弾き飛ばす。
「うぉっ!?」
「グレン!!」
浅木が妖怪に近付き、拳を振ろうとするがそれよりも先に妖怪の爪が俺の腹を抉るだろう。
こうなったら…仕方ねぇ。
「……遅ぇ…」
妖怪の爪が腹に届く直前に、妖怪の動きが遅くなる。
妖怪だけじゃない、浅木も、椛も、魔理沙も、本当に動いているのかも分からない程に遅くなった。
「ハァ、やれやれ…気ィ抜きすぎたか…」
ゆっくりと歩き、転がったガバメントを拾い上げる。
そして銃口を妖怪の頭に向け…
ーーパンッ!!パンッ!!パンッ!!
三発ブチ込んでやったところで能力を解除する。
「グレン!……!?」
「何面白ぇツラしてんだ、気ィ抜くな」
「でも今…」
「後で説明してやる、ほら来るぞ」
「お、おお」
ーーウオオオオオオオオオ!!
結局その後、四度の襲撃を受けたが難なく撃退した。
そして道なりに進むと拓けた場所に出る。
「ここが無縁塚だぜ」
そんなに広くはないが、かなり不気味な場所だ。
至るところに大きな石が無造作に転がり、ただならぬ空気が漂ってる。
「二手に別れよう、俺と魔理沙、グレンと椛ちゃんで霊夢ちゃんを捜す、良いな?」
「それで良い、行くぞ椛」
「はい」
足元にはガラクタが散乱していて歩きにくい、ゴミを蹴り飛ばしながら辺りを散策する。
「キタねぇとこだな」
「そうですね、でも珍しいものが沢山ありますよ」
「へー………ん?」
目の前に一際デカイゴミが置かれていた。
しかし良く目を凝らして見ると…
「…俺のバイクじゃねぇか」
幻想郷に来る前にトレーラーに積んでた愛車が無造作に落ちていた。
まさかこんな場所にあるとは…
「帰りはこれ乗って帰るか…」
「これって乗り物なんですか?」
「乗りモン以外に何に見えんだよ」
「……鉄の塊?」
「そのまんまだな」
バイクを見て、故障してないかを確認してから再び捜索を開始する。
「……これは…」
血の痕、それも乾いて変色しているとこを見ると二、三日は経ってる。
そのすぐ側に、乾いて一時間程であろう赤い血の痕が残っていた、こりゃどういう事だ…?
「グレンさん、これって…」
「……訳が分からん」
『兄様!』
少女の声が聴こえた。
聞き慣れた言語、そしてその声も。
俺の心臓は驚く程跳ね上がり、鼓動が止まりそうになる。
全身の汗腺から汗が溢れ、喉が渇き、意識が遠退く。
『兄様!兄様!!』
体が硬直する、指先ですら動かせずゆっくりと汗が頬を伝った。
椛が心配半分不思議半分と言った表情で俺の顔を見ていた。
『兄様…?』
震えた声で、俺を呼ぶ。
俺をこう呼ぶ人間はただ一人しか知らない…
俺は意を決してゆっくりと振り返り、その姿を見る。
背格好は変わって無い、髪が少し伸びたのか…相変わらず綺麗な金髪だ…
『……ヴィクトリア』
『兄様…兄様………!!
忘れられたのだと…捨てられたのだと思っていました…っ!!』
形振り構わず強く抱き着くヴィクトリア。
俺はお前を一日の日も忘れた事はない、ずっと愛し続けていたさ…
気付けば俺は、ヴィクトリアを強く抱き締めていた。
『う…うわあああ…ぁあ…』
『…ごめんな…ヴィクトリア…』
「ねぇ、お取り込み中に悪いんだけどさ…」
突然聞こえた男の声に素早く反応してヴィクトリアを抱く腕を離し、ガバメントをホルスターから抜くと銃口を声の主に向ける。
「…なんだテメェ」
「おいおい…物騒だなぁ、それが君の妹さんを助けた恩人に対する態度なの?」
「……何?」
「ボクの名前は…姫神碧生、ひ・め・が・み、あ・お・い、だよ、宜しくね~」
何だコイツは、生理的に嫌いなタイプだ。
はい16話でしたー!
新たな主人公が登場しましたね、はい。
ここで詳しくキャラ説を。
一人目、浅木
名前は裁斑浅木(たちむら あさぎ )
日本の東京生まれ東京育ち。
身長186㎝の体重77㎏で、年齢は19歳
顔は上の下か上の中と言った所で髪色は黒、瞳も黒でかなり色白。
能力は「全ての枷を外す程度の能力」
その名の通り、心身におけるあらゆる枷や、人間の常識や限界などの枷をも外すことが出来る。
使いようによってはチート級の能力。
性格は情に流されやすかったり冷徹だったりと本性は不明。
基本的に常識人で三人の纏め役だったりもする。
二人目、グレン
名前はグレン・ブレスウェート
カナダのオンタリオ州生まれケベック育ち。
身長195㎝の体重83㎏、年齢は23歳
顔は上の上、だが目付きが悪く口も悪い。
髪色は元が金髪だったが今は全て白髪になっている、瞳は濁った深紅。
体中(両腕、背中、脇腹、胸)に刺青を施していてそれぞれテーマがある、左腕は地獄、背中は現実、右腕は天国、脇腹は痛み、胸は孤独がテーマになっている。
性格は、酷く荒んでいる。
また麻薬常用者であり性格破綻者であるため言動は予測不能、麻薬を使用していない時はある程度の常識はあり、暴れることはないが、ひとたび麻薬を使用すると一気にブッ飛んだ行動をする←
嫌いなものは差別とお節介、少しでも差別されると相手が行動不能になるまで痛め付ける。
能力は「時の概念を再構築して隷属させる程度の能力」。
流れる時間をグレン自らが定めた時間へと改編し、その時間にグレン以外を強制的に従わせることが出来る。
要するにどれだけ速かろうが遅かろうがグレンの定めた速度しか出すことが出来ず、人間の匍匐前進も天狗の全力飛行もまったく同程度のスピードにすることが出来る、使いようによってはかなり強い能力(寧ろ無敵)
さて、最初に言いました通り、次話から碧生編です。
中々の不思議君である碧生くんも結構お気に入りだったりします。
碧生編の最終話の時に残りのキャラ説を書きたいとおもいます。
さて、
感想、批判、アドバイス、誤字脱字指摘
お待ちしております!
ではまた次回!