はい23話です!
碧生編も今回を入れて残り2話、ようやく三人が揃いますね。
今回の話はかなり短いです、碧生の心境を書きたかったので。
ではどうぞ!
あれから三時間が経とうとしていた。
外は未だに凄い雨で、大粒の雨が窓を叩いている。
碧生さんはずっとルナサちゃんの手を握ったまま動かない、俯いたまま動かないのを見る限り精神的に参ってるらしい。
碧生さんは私に、少しでも寝ておかないと後がツラいよ、と言ってくれて、見張っててくれてるけどとても寝られる心境ではない。
さっきの、ルナサちゃんの表情が、悔しそうな表情が脳裏から離れないから…
私は彼女の顔を見る、まるで生きてるみたいに綺麗で、可愛くて、でも蒼白した顔色をしてる…
何故彼女達が死ななければならなかったのだろう。
理不尽で、悲しくて、怒りが、涙が込み上げて来る。
碧生さんは涙を見せずに、ただ強く、彼女の手を握り締めていた。
雨が上がり、雲が晴れる頃には昼過ぎになっていた。
ボクはあれから一度も、ルナサちゃんの手を離さず握り続けていた。
窓からは光が射し込み、昨日の惨劇がまるで嘘のように晴れ晴れとした陽射しがボクを包んでいる。
だけど、ボクの心が晴れることはないだろう。
彼女達が、もしも人間だったらならば、彼女達を救うことが出来ただろう。
ボクにはその力がある、力がある者はソレを正しく使うのが使命だからだ。
でもボクには彼女達を救うことが出来なかった。
それは、彼女達が生きてはいなかったからだ。
最初から生きてはいない者を生き返らせるなど、ただの天神のボクには出来ない。
いや、それはただの言い訳に過ぎないのだろう。
ボクの力が及ばない、それはボクの責任だ。
もしも、ボクがもう少し早く屋敷に来ていたら?
もしも、ボクがもう少し早く彼女達を助けていたら?
ボクには彼女達を、救うことが出来ただろうか…
彼女達の、濁りのない、綺麗なままの瞳を濁らせずに済んだだろうか。
ボクは、またしても無力だ…
この心に芽生えた、自分自身と獅童に対する怒り、哀れみ、そして殺意…彼女達に対する悲しみ、痛み、悼みの念はボクの脳内を支配し、これから元の世界に帰って甘いものをたらふく食べるという計画をぶち壊すのに充分な効果をもたらしてくれた。
ボクはこの世界を鎮め、そして救わなければならない。
それがボクの今の使命、そして彼女と、彼女達と交わした最初で最期の約束だからだ。
辺りが夕陽に照らされている。
騒霊屋敷は燃えている。
一人の男が放った火により燃えている。
一人の女が泣いている。
でも二人には確かに聴こえた。
楽しそうな演奏が。
三人が奏でる演奏と、それを聴いて楽しそうに笑う少女の声が…
ーー霧の湖の畔にて
さっきから一言も喋らず、湖面を見ている碧生さんを私はただ見ていた。
ルナサちゃんから手を離した碧生さんは、私を先に屋敷から出して…しばらくすると両手を血塗れにしながら出てきた。
碧生さんはゆっくり振り向き、片手に電気を溜めてそのまま電気を屋敷に放った。
激しく燃え上がる屋敷を見ながら、私は碧生さんに何をしていたのか聞くと、碧生さんは…
「…最後の晴れ舞台のためにメイクを、ね」
とだけ答えて、黙ってしまった。
ボーッと屋敷を見てるかと思うとフラフラと湖に向かって歩いて行ってしまって…今もずっと湖面を見ている。
「……碧生さん、そろそろ行きましょうよ」
私は碧生さんの右肩を掴み、優しく問い掛ける。
「………君のお兄さん、捜さないとね、手懸かりはあるよ…ボクの友達に聞きに行こうか」
碧生さんはゆっくり立ち上がると私に向かってニコリと笑う。
その表情は酷く恐ろしく、怒りを溜めているのは見ればすぐに分かった。
「…はい、すみません…ありがとうございます」
「気にしないで、行こう」
碧生さんは振り返らず、歩いて行く。
私は必死に後ろ姿を追って行った。
はい23話でした!
碧生が覚醒しましたね、はいw
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ではまた次回!