東方四面楚歌   作:ソーヤー麺

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はい31話です!

今回から本編スタート、注意は特になし

剣士登場話って事で話は短めです

ではどうぞ!



chapter2 無名剣士
31話 名も無き剣士


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー冥界、白玉楼ーー

 

無数の霊が集まり、暮らす土地。

幻想郷の中でも特に、特殊な環境であるこの場所に、一人の男がいた。

 

整えられた黒髪に日本人らしい整った顔立ち、だが日本人の中でも珍しいくらいの長身で、背中には二メートルは悠に越す大太刀を背負い、腰には一本の太刀、紺色の着流しの上には赤い線で描かれた龍が飾られた黒い羽織、足袋と草履を合わせた履き物を履いた、古風な侍の様な外見の男。

 

白く雪が積もり、静寂が支配する白玉楼へと続く長い階段を、その男が一段、また一段ゆっくりと登る。

 

「此処が…白玉楼か」

 

男の口から言葉が発せられる。

その声は、凛としていながら重厚で、何処か親しみを覚える様なそんな声だった。

 

やがて男は、階段を登り切り、白玉楼の門の前に立つ。

来る者全てを拒絶し、断絶する様に佇む門を見上げた男は、その顔に小さな笑みを貼り付ける。

 

「…西行寺…幽々子」

 

男は腰に下げた刀へと手を伸ばすと、柄を握る。

スルスルと鞘から抜かれた刀身は、一点の曇りも無い刃紋を外気へと晒した。

 

抜いた太刀を、右手と左手でしっかりと握り、中段の構えを取る男。

男はその太刀を、上へと振り上げ、そして思い切り振り下げた。

 

ーーズガアアアン!!

 

凄まじい轟音と共に門は一刀両断、真っ二つになりその役目を果たせず、崩壊した。

 

門を切り裂いた太刀の、その刀身は、一切欠ける事無く天光を浴び、光輝いていた。

 

「…結界も張って無い…?」

 

男は不思議そうに眉をひそめる。

普通これだけの場所に結界も張らず、ましてや今の幻想郷の状況を考えれば不自然過ぎたからだ。

 

「成る程…そう謂う訳か」

 

男が何かに気付き、ニヤリと笑う。

そして刀を鞘へと納刀し、白玉楼の敷地内へと足を踏み入れた。

 

男は、その大きな建物を見上げる。

和風な造りの大きな屋敷、雪化粧が施された屋敷とそれを見上げる男は、何処か調和していて風情が溢れていた。

 

建物を一頻り見渡した男は、その歩みを庭の方へと進める。

そして、大きな一本の桜木の前に立ち、その桜木を見上げると同時に、男の背後から少女の声が聞こえる。

 

「貴方が侵入者ですね?」

 

男が、ゆっくりと後ろを振り返る。

目の前には、銀髪を短く揃え、長袖の白いシャツに濃緑色のベスト、同じ色のスカートを履き、ピンクのマフラーを首に巻いた少女が無表情で立っていた。

 

「私?私は只の観光客さ」

 

男は優しく微笑む。

その表情を見ても、表情を変える事無く少女は、腰に下げた長刀に手を掛けた。

 

「貴方が何者でも、そして無害だとしても…門を破壊し無断でこの白玉楼へ侵入した時点で…貴方を排除しなければなら無い」

 

そして長刀を鞘から抜く。

常人ではとても扱い切れないであろうソレは、男が背負う大太刀と、ほぼ同程度の長さを誇っている。

 

「…お嬢さん、今、刀を納めれば…未だ遊びとして解釈するが?」

 

その刀を見ても、男も同じく表情を変えない。

優しげな微笑みを浮かべながら少女を諭そうと励む、だがその行為は少女の逆鱗に触れてしまった。

 

「…私の剣が、遊びだと仰られますか?」

 

「…気を悪くしないで欲しいね、私は只、事実を口にしただけなのだから」

 

「……それは、どう謂う意味ですか?」

 

「…君みたいな子供の剣が、私に届くとでも?」

 

「…妖怪が鍛えた、この楼観剣に…斬れぬ物など、あまり無い!!」

 

刹那、目の前の少女が消える。

そして男の首へと斬撃を放っていた。

 

少女は確信する。

目の前の男の首を落とした、と。

だが真実は違った。

 

「もう一度言う、私に届くとでも?」

 

少女の放った斬撃は、男の太刀に由って受け止められていた。

 

「なッ…!?」

 

少女の表情が驚嘆へと変わる、それもその筈、何故なら少女の斬り込みは誰よりも速く、そして絶対に受け止められない物の筈だからだ。

 

妖怪に由って打たれた楼観剣、この刀の威力は幽霊十体分。

その刀身に切れない物は今まで無かった。

そして、男の持つ刀が…ただの刀ならば、楼観剣で斬れていたであろう。

 

「踏み込み、太刀筋、力、素早さ、何れも甘い」

 

男の声に、少女の額に青筋が走る。

これまで一度たりとも鍛練を怠らず、祖父から受け継がれた剣術に絶対の自信を持ち、更にソレを高める為に頑張って来た全てを、男は一言で無下にしたからである。

 

「だ……ま…れッ!!」

 

少女が斬り掛かる。

渾身の力を込め、男を殺そうと本気で襲い掛かる。

だがその刃はやはり届かなかった。

 

「…その心意気、私と交おうか」

 

ーーガキィィンッ!!

 

「…う、そ…」

 

少女の刀が、真ん中から二つに折れた。

長刀の半身はクルクルと廻りながら地面に突き刺さり、見るも無惨な形へと姿を変える。

 

全身の力が抜け、地面に尻餅を付く少女に向け、男は言い放った。

 

 

「…私に、斬れない物など…何も無い」

 

 

変わらない微笑みを浮かべながら。

 

 

 

 

 

 





はい31話でした!

感想、批判、アドバイス、誤字脱字指摘
お待ちしております!

ではまた次回!


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