東方四面楚歌   作:ソーヤー麺

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はい42話です。

また言いますが、何かこの小説より愛狂録の方が更に人気がある今日この頃。
だからって此方を疎かにしたりはしません!数少ない読者様の為に!←

残酷描写注意&新キャラ出現警報←
コラボキャラ&主人公は次話で動かします。

ではどうぞ!




42話 新たなる脅威

 

 

ーー白玉楼、21時10分ーー

 

 

白玉楼の一室。

大きな広間に幽々子、妖夢、トレバー、そして剣士の四人が居た。

剣士は「機密事項」と書かれたファイルをパラパラと捲りながら読み、トレバーは手にした大型回転式拳銃(リボルバー)を弄っている。

幽々子は二人を見比べ、ハァ…と溜め息を吐くと、木製のテーブルに置かれたお茶菓子を頬張っていた。

そんな三人を気にせず、妖夢は黙々とテーブルにお茶を置く。

 

端から見れば、何とも不思議な光景である。

そんな沈黙を破る声、トレバーが妖夢にある疑問をぶつけた。

 

「…なぁ妖夢ちゃん、さっきから早苗の姿を見ないんだが」

 

「早苗さんなら二人を追い掛けて行きましたけど?」

 

「無縁塚にか?一人で?」

 

「はい。剣士さんに聞いてませんか?」

 

「……剣士さん、アンタ何故言わなかったんだ?」

 

怒りを表し、語気を強めながらトレバーは剣士に問い掛ける。

そんなトレバーに目も呉れず、剣士はファイルを読みながら答えた。

 

「訊かれて無いからね」

 

予想通りの返答に、トレバーは頭を抱える。

そして剣士はトレバーに目を遣ると、こう続けた。

 

「其れに彼女はもう用済みだ。居ても居無くても別に困ら無いだろう?」

 

これまた予想通りの言葉だ。

トレバーは反論する気も起きず、そうだな。と呟きながら席に腰を下ろした。

 

「さて、そろそろ行こうか」

 

読んでいたファイルを閉じ、剣士はおもむろに席を立つ。

トレバーは不思議そうな表情を浮かべながら剣士に問う。

 

「行くって何処に?」

 

剣士はトレバーを瞥見すると、口許から特徴的な八重歯を覗かせながらニヤリと笑い、告げる。

 

「人員勧誘さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー東京都、神楽坂刑務所ーー

 

 

東京都の某所にある、日本屈指の極秘刑務所。

それが「神楽坂刑務所」である。

此処には重罪を犯して長期懲役や終身刑、死刑等の判決を告げられた犯罪者達が大勢、秘密利に収容されている。

 

そんな異質な刑務所の中、特に異質な一房があった。

神楽坂刑務所地下五階。通常は厚いアクリル製の房なのだが、この階にある唯一の房は「合金製」なのだ。

そんな合金製の房を閉ざす扉もまた合金製。 

其処まで厳重な房の前には、「89式小銃」をスリングで肩から提げた、軍人の様な風貌の男が二人、無表情で立っていた。

 

一体誰を、イヤ「何を」閉じ込めていると言うのか?

常人には理解し得ない。

 

自衛官が、疲労が溜まった脚を地面に張り付けたまま少しだけ動かした、その瞬間だった。

突如として目の前の空間に亀裂が走り、割れる。

そして中から現れたのは和装の日本人。そして傍らには軍服姿の外国人が居た。

 

「紳士諸君、交代の時間だ」

 

和装の日本人が、二人の自衛官に声を掛ける。

凛とした、何処か安心感を持たせてくれるしっかりとした声色。

余りの出来事に、二人の自衛官は暫く固まってしまっていた。

しかし軍服を着た外国人を見ると丸腰なのだが、和装の日本人を見ると、何と日本刀を携行している。

その事実が、二人の自衛官の意識を覚醒させ、防衛本能と使命感が身体を動かせた。

 

「なッ…何者だ貴様ァ!!」

 

二人の自衛官が、小銃を構える。

銃口が日本人を捉える、その瞬間…

 

「安心したまえ…命までは奪わないよ」

 

二人の自衛官の持つ小銃が真っ二つになった。

日本人が手にした日本刀が、同じ鉄製の銃身を切り裂いたのだ。

 

「!?!?」

 

一人の自衛官が、驚きを隠し切れないながらも腰にぶら下がった「シグ・ザウエルP220」に手を伸ばす。

だがそれよりも早く、傍らにいた軍服姿の外国人。トレバーが動いた。

 

「トレバー君」

 

「ああ…」

 

ゴスッ!

 

「グハッ…!」 

 

「お前も寝てろ」

 

ドスッ!

 

「ウッ…グゥ……」

 

自衛官の一人がトレバーのパンチを受けて気絶し、

もう一人の自衛官が拳銃を抜いてトレバーに向けるのと同時に、拳銃を持った自衛官の鳩尾にトレバーの蹴りが深々と突き刺さる。

蹴りを受けた自衛官は呻き声を漏らしながら崩れ、意識を失った。

 

こうして戦闘のスペシャリスト二人が、正面からやって来た二人の侵入者に僅か三秒で無力化されたのだった。 

 

「さて、事を済まそうか」

 

剣士が、自らの刀を抜刀する。

目の前には合金製の鉄扉。キロ単位の爆薬をもってしても抉じ開ける事は困難であろう扉に向かって、剣士は刀を振るった。

 

ザクッ!ザクッ!ザクッ!ザンッ!!

 

まるで熱したナイフでバターを切るかのように、剣士は厚さ15㎝以上はある鉄扉を簡単に切り裂いた。 

そしてそのまま、剣士は房へと侵入する。

それを見ていたトレバーは別段驚いた様子もなく、剣士を追って房へ続いた。

 

全面コンクリート打ちっ放しの房内は、切れ掛けた蛍光灯が薄暗く、適度な広さがある。

良く見ると、部屋の端には真新しい洋式便器が鎮座しており、他には簡易なベッドとこれまた真新しい机が一つ。

余りにも生活感が無い、ただの箱と呼ぶに相応しい程の独居房であった。

そんな中、トレバーがある事に気付く。

 

「……剣士さん」

 

「嗚呼、トレバー君…少し離れていたまえ」

 

そう、ベッドに掛かる薄い毛布が不自然に膨れているのだ。

小柄な人間が一人、居るような大きさで。

 

「…君を捜しに来たんだ。話を聴いて貰えるかな?」

 

その言葉を聴いた瞬間、毛布がモゾモゾと動く。

そして毛布の中からーー

 

 

 

 

 

「………誰?」

 

 

 

 

 

ーー身長は160㎝後半、小柄で華奢な体格の人物が現れた。

長く伸びた前髪が片目を隠し、襟足は背中にまで達している。

顔立ちは、美少年とも美少女とも見て取れる。 

 

「…なぁ剣士さん、こんなガキを捜しに此処まで来たのか?」

 

トレバーは更なる苛立ちを募らせる。

早苗の事や、日頃振り回されている鬱憤が少しだけ爆発したのだ。

「そう謂うなトレバー君」

 

「だがこんなガキ…」

 

「ガキじゃない…」

 

彼(彼女?)が突然声を上げる。

トレバーは更に不思議そうな表情を浮かべながら、剣士に訪ねる。

 

「…せめて何故コイツを迎えに来たかだけ教えてくれ」

 

剣士はヤレヤレと言った表情で懐からファイルを取り出し、一つのページを開くとトレバーに差し出す。

 

「何だこれ、なになに…」

 

トレバーがファイルに目を通す。

するとトレバーの表情が驚嘆に変わった。

 

 

囚人番号0233

 

名前 : 夜ヶ谷 静葉(ヨルガヤ シズハ)

年齢 : 20歳

血液型 : AB型

身長 : 165㎝

体重 : 41㎏

 

罪状 : 殺人 殺人未遂 死体遺棄 死体損壊 公務執行妨害 傷害 傷害致死

 

罪状詳細 : 13年間で約427人の人間を殺害、及びその死体を損壊させ、遺棄した。

遺棄のみならず、その死体を食す等の行為を行っており、自身の証言のみならず、被疑者の自宅からは夥しい数の人骨が発見された。

 

判決 : 以上の事態を考慮し、精神的異常性が見られる被疑者には異例の、死刑判決を裁す。

神楽坂刑務所での死刑執行を待ち、充分な警備の元で身を拘留する事。

 

 

「マジかよ…とんだサイコパスだぜこのガキ」  

 

トレバーの額に嫌な汗が浮かぶ。

こんなにも無害に見える、弱々しい生き物が…元軍人である自分よりも人間を殺しているのだから。

 

「表に出ているだけで其の数だ。君は一体何れだけの人間を喰らって生きて来たんだ?」 

 

剣士が疑問をぶつける。

だが静葉は首を小さく傾げ、代わりに問い掛けた。

 

「……そんな話をしに来たの…?」

 

「…否、止そう。実は君を連れ出しに来たんだ」

 

「…連れ出す…?」

 

「そう、私達の世界に…」

 

「…無理だよ、僕は死刑だから…きっとまた捕まっちゃう…」 

 

そう言いながら悲しそうに下を向く静葉。

そんな静葉に、剣士は手を差し伸べる

 

「…私の手を取れ。そうすれば望みの物を与えるよ」

 

八重歯を覗かせながら微笑む剣士。

そんな剣士をジッと見詰めていた静葉は、剣士の掌に自分の小さな掌を乗せ、呟いた。 

 

 

「取り敢えず…お風呂に入りたい…かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





はい42話でした!

感想、批判、アドバイス、誤字脱字指摘
お待ちしております!

ではまた次回!

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