このゴムの体は基本的に常にゴムの状態なのだが、自分の力の入れ具合によって弾力が変わるという、結構融通の利く体のようだった。
例えば二本足で立つことなどは普通にできるし、そこからさらに力を抜けば足がタコみたいにぐにゃぐにゃになる。
普段の生活では無意識に力を入れているようで、不便だと感じることは無かった。不意に引っ張られること以外で、ゴムの体がバレる機会というのは無いだろう。
また、これが一番重要なことだが、自分自身を殴ってみても、衝撃をすべて吸収するのかほとんど痛くなかった。
打撃を我慢できる体になったということで、もう少し危険な漫画の中にも入れるようになったわけである。ということで万が一入って出られなくなったら嫌だと考え敬遠していた漫画にも挑戦し、入れる漫画の検証をもう少しだけ詰めることにした。
その結果、さらにわかったことを書いておく。
第一に、入れる漫画はやはりジャンプ、サンデー、マガジン、チャンピオン、ガンガンに関係するものであり、それ以外の漫画は例外なく入れなかった。コロコロだとかエースとか。
しかし逆にその五つの雑誌の漫画でも、入れない例外というものがあった。
それが、ゲーム原作の漫画と、小説原作の漫画である。『ドラゴンクエスト』や『とある魔術の禁書目録』など。どうやらこれらは、ゲームやラノベ扱いになってしまうらしい。
正直、ドラゴンクエストの世界に入れってホイミの魔法などが使えたらかなり便利だと考えていたので、残念すぎた。今後訪れるであろう就活のときの面接で、イオナズンが使えると答えることももうできない。いやまあもともと答えるつもりもなければ、そんな胆力もないのだけれど。
あと、うすうす分かっていたのだけれど、ドラえもんの中にも入れなかった。やはり五大誌扱いではないらしい。残念。
秘密道具が持ち帰れないのなら意味が無いと思うだろうが、それは大きな間違いである。なぜならもしもボックスがあるからだ。願い事叶え放題の秘密道具なのだから、これで特殊な能力や強い肉体をいくらでも手に入れられるだろう。
なお、もしもボックスは平行世界を作り出す道具だとどこかで聞いたことがある。そういう変な設定を無視したい場合は、ソノウソホントという道具もしくは、ウソ
さて、入れる漫画の検証の二度目が終わったということで、次に入る漫画について考えよう。防御面が強化されたので、次は何かしら敵を倒せる攻撃的な能力がほしいところ。
しかしその前に、そろそろやっておきたいことがある。新しい力を得るのもいいが、漫画に入れるなら絶対にやっておきたいことがあるだろう。
それは、二次元の女の子とキャッキャウフフをすることだ。さらに可能ならニャンニャンもしたい。
表現が古臭いとか言うなよ。マイルドであると言ってほしい。
二次元の女子に会うというのは、オタクの夢だ。思えば小学生のころはポケモンのカスミが好きだったし、中学生のころ嫁という言葉を知ってからは、長門は俺の嫁などと言っていた。
残念ながら今言った二人は入れる対象の漫画ではないのだけれど、二次元の女の子なんてかわいい存在ばかりなのだから、会えるのならば誰にだって会いたい。
ということで次は方針を変えて、かわいいキャラが出る漫画に入るとする。
どの漫画がいいかといろいろ考える。考えに考えた結果、結論は出なかった。
だって、考えてもみてほしい。世の漫画の主人公は、何もしていないのに女の子に好かれてる主人公なんてほとんどいないのだ。
例えば『いちご100%』。色んな女の子に好かれる主人公・真中は男性読者羨望の存在だが、奴は最初からモテモテだったわけじゃない。物語が進むうちにかっこいい姿を見せて、たくさんの女の子が落ちたに過ぎない。
他に『ToLOVEる』や『ゆらぎ荘の幽奈さん』など有名なハーレムものだって、最初からハーレム状態だったわけじゃない。早くとも一話に一人の話があって、その結果周囲に好かれる存在となったのだ。
そう、まるで一人の生徒の問題を順番に解決し、最終的にクラス全員に慕われるようになった金八先生のようなものである。
女の子に好かれるために何かしら頑張る必要があるなら、二次元じゃなくて現実で頑張ったほうが得だろう。
しかし、少々最低なことだとは思うが、俺は手っ取り早くモテたいのだ。少なくとも、二次元に入れるという条件ならば。
なので俺は考える。最初から主人公への評価が最高値である女キャラが出る漫画は無いものかと。
その条件で真っ先の思いついたのが『未来日記』の由乃だったのだが、あれは少年エースなので入れない。あと由乃はヤンデレだからちょっと怖い。
他の条件として、主人公以外のキャラが全員女の子という世界観の漫画だったらというのも考えた。
結果思いついたのが、『ながされて藍蘭島』と『終末のハーレム』の二冊。
どちらも良さげに思えるが、どちらも序盤に問題があった。
終末のハーレムは、主人公以外の男が病気にかかり存在しないという世界観。つまり主人公補正のない俺が行った時点で、俺も病気になる可能性が大である。
そして藍蘭島は、海難事故で女しか住んでいない島に流れ着く話なのだけど、その時点ですでに怖い。海のど真ん中に放り出されるとかどんな拷問だ。しかも俺は悪魔の実を食っているからカナヅチである。おいおいおい、死ぬわ俺。
というかなぜ俺は、前回悪魔の実を食べてしまったのだろう。泳げないということは、今後経験するかもしれない水着回を全力で楽しめない可能性が出てきてしまった。
くそう、悪魔の実の能力者でも泳げるようになる作品は無いものか。
それを考えるのは後にして、今は女の子にモテる漫画のことを考える。
そうだ、最初から女の子にモテる主人公を選ぶのではなく、女の子にモテるような能力が手に入る漫画にすればいいのではないか。『プラチナエンド』の赤の矢のような。
それを思いついてから、漫画を決定するまでは早かった。
次に俺が選ぶ漫画は、チャンピオンでやってる『六道の
惜しむらくは、こちらに好意を寄せるようになる女の子が、全員共通して悪い女の子だけということだろうか。
いや、ハーレムなんて実際に経験しても普通の男に対処なんて不可能なのだから、このくらいでちょうどいいのだ。彼女いない歴イコール年齢の俺が何を言っているんだという話だが。
まあ、なによりその能力はオンオフが利かない。現実でヤンキーの女の子など人生で一度もないのだから、リアルに支障をきたさない分むしろこちらのほうがいいとも言える。
六道の悪女たちの世界に入ると、クラスメイトのヤンキーからいじめられているとこから場面は始まる。
MARのときもそうだが、クラスでいじられて始まるものは多いな。またワンピースのように痛みの伴うものも多い。暴力などは現実ではあまり見かけないものだから、漫画や映画などの作り物でそういう描写が多いのは仕方ないのかもしれない。
主人公、今は俺の弁当の中身を投げて遊んでいる金髪のヤンキーは、飯沼くん。後で仲良くなるキャラクターなせいか、このような仕打ちを受けてもあまり腹は立たなかった。まあ、それでも少しは腹は立つのだが。被害を受けているのだから当然である。
学校が終わり、大佐、課長と呼ばれている友達と自宅に帰る。不良が多い学校の中で、不良ではない友達キャラだ。今日は一緒に俺の家で、ゲームをする予定だったらしい。
「なんだ六道そのダンボール。ゲームかと思ったが、じいちゃんから荷物が届いたのか」
大佐の言うダンボールを開けてみると、中に巻物が一つ入っていた。何を隠そうこれが、悪女に好かれる必須アイテム。手に取ると光を放ち、額に魔方陣が刻まれる。
この魔方陣は消えないのだが、前髪を伸ばせば隠せる程度の範囲である。
よし、能力を手に入れたのでもうこの世界に用は無い。と、いつもならさっさと現実世界に帰るところなのだが、大佐たち友達が遊びに来ているのにそのまま帰ってしまうのはもったいなくて、二人が帰るまでは残ることにした。
リアルにはいないタイプの友達だったので、話すのは結構楽しかった。