認識災害が起きたようです。
「おっすカイン!今日も相変わらずシケた顔してるな!」
朝から寝不足の頭に甲高い声が響く。しんどい。
しんどいし面倒だから睨み返した。
「あ゙ぁ?朝からうるせえよブライト博士…とりあえず俺から離れろ。面倒だからあっち行け」
「もおー何でそんなストレートに言ってくれるのさ?もうちょっとオブラートにくるんでくれたっていいじゃない」
そう言う割にヘラヘラして楽しそうだ。
「あっ、そうそう。一つアンタの特異を見込んで頼みたいことがあるんだけどさ、いい?」
「内容による…アベル関係なら断る」
「相変わらず弟ちゃん嫌いだなぁ~?ま、いいや。
そこは置いといて。カイン、今財団内で原因不明の認識障害が発生してるの知ってるだろ?」
「グラスから話は聞いた」
「ちょっと
「はあ?嫌だ」
「いーじゃん別にアンタは首折られないんだからさあ?」
「首の心配はしてねえよ。単純にあの気持ち悪い動く彫刻の実物なんか見たかない」
俺はそう吐き捨てて立ち去ろうとしたが、
ブライトがまーまーそう言わずに!としつこくまとわりついてくる。あんまりしつこいからついに俺は「会えばいいんだろ会えば!」と折れてしまった。
まして今回は認識災害だ。いつもより気持ち悪さが増してるなんてことだったら洒落にならない。いくらSCPの俺でもアベル程ではなくても発狂はする。
そのときは責任取ってくれんだろうな、ブライトの奴?
俺は財団に収容されて[編集済]年ぐらいになるが、173の収容室には初めて来た。
来る途中チラチラと研究員やDクラスを見たが、何か忙しそうだった。
まぁ忙しいのはバケモノ博物館に等しい財団では当たり前だが。
…今俺の近くにいる一部を除いて。
「…ブライト博士」
「んっ?」
「173に関わる時は特異上こっちが3人以上いなきゃダメだよな」
「おう」
「今ここにいるのは?」
「二人」
「…もう一人どうすんだよ」
するとブライト博士は「フッフッフ…」と得意そうに笑った。
「今回は俺とカインだけで伊波ちゃんとこに乗り込みまっす!」
…頭おかしいんじゃねえのこの博士??
「はあ?アンタ死ぬぞ?…どうせ無限残機だから問題ねえだろうけど」
「大丈夫死なない死なない!今回の認識災害で幾つかのSCPの特異が薄れてるらしくてさ、多分大丈夫だろ。
おっ、着いた着いた。じゃ、いってらー」
「は?…俺だけ?!」
「ほらほら早くいってあげなよぉ、可愛い猫ちゃんが待ってるぞー?」
「それはJの173だろ!はぁ…」
SCP-173の収容室
収容室の重い自動扉が開いた。
特異が薄れてる?そんな嘘に騙される程俺はバカじゃない。アベルじゃあるまいし。
収容室には黒い服を着たクリーム色の髪の女がいた。
(多分Dだろう…それより173は……?)
あの気持ち悪い彫刻の姿はどこにもない。
すると瞬きした瞬間、黒い服の女が俺の首を締め付けていた。
「ッ?!」
しかし俺の特異ですぐに短い悲鳴をあげて離れ、自分の首を押さえた。
…その時俺はこの女こそがSCP-173だとわかった。
173は何が何なのかわからないままこっちをじっとりした目で睨んでたいたが、また俺の首を締めようとしてきた。
しかし今度は俺が締めようと伸ばした腕を掴んだ。
「やめとけ、お前が死ぬ」
すると思ったより素直に173は腕を降ろした。
表情はかなり不機嫌そうだったが。
「…勝手にあたしの収容室に上がりこんどいて何よ」
「特に用はないが…強いて言えば今起こっている認識災害?を確認に来た」
「ふーん…あたしがどう見えるの?」
「人の姿に見える」
「あぁそう…道理で最近財団職員がざわついてたわけね。Dは未だしも博士まであたしを見て驚いてたから。それにッ」
怒り任せに壁を殴った。ぐわん、と鈍い音が響く。
「力が弱くなった」
サイト17
「…まさかブライト博士が本当のことを言うとはな
これは明日槍が降るんじゃねえの?」
「アッハハハ!カインも面白いジョークが言えるようになったじゃないか!」
「いや、これジョークじゃなくてだな…」
本当に明日収容中の全Keterクラス大脱走という思い付く限りでは最悪のKクラスシナリオが起きそうで怖いんだけど。
…いや、ここは財団世界だからもっと酷いことが起きるかもしれない。
一見動く可愛いテディベアが胎児を抉りだして仲間を作る、ここはそんな世界だ。
「まぁ伊波ちゃんがあの調子だ!さらに聞いたところだと嬉しいことに
「……」
「…あ?おーい、カイーン?」
ダメだ 頭が追 付 …。
SCP-073"カイン" http://ja.scp-wiki.net/scp-073
"ブライト博士の人事ファイル" http://ja.scp-wiki.net/dr-bright-s-personnel-file
SCP-173"彫刻-オリジナル" http://ja.scp-wiki.net/scp-173