「1048が見つかった?!」
O5-■は私の報告を聞いてコーヒーを吹くとオフィス内に響く程の甲高い声で叫んだ。
当然オフィスにいた他の職員もそれを聞き、おのおのが露骨に不安の表情を浮かべた。中には発狂しだす職員もいた。無理もない。
「お前…アイツが何をしてるか知ってるだろう?!
あんなサイコテディーを野放しにしていられるか!
おいエイム!起動部隊呼んでこい!!出来ればΩ7を!!」
「ダメですよO5-■!!もし1048がアベルを使ってテディーベアを作り出したらどうするんですか!!
それこそ二次災害がえげつないことになりますよ?!」
「くそったれ!!ああわかった!じゃあD呼んでこい!ソイツに1048を片付けさせる!!」
「待ってください!1048は一緒じゃないと嫌だって、2295が…!」
するとO5-■は私を睨んだ。
「そんな情任せの譫言が
私は反論しようとしたが、黙り込んだ。
わかっている。ここは財団…下手をすれば人類が、世界が滅亡しかねないような怪物を収容しているから私情に突き動かされては最悪自分の死だけでことが収まらないことになりかねない。ましてや今回いくらか認識災害で可愛らしくなったとは言えど、相手はKeterクラスオブジェクトだ。
私は心のなかで2295に謝った。
サイト37 SCP-2295の収容室
私が戻ってくると2295は駆けよって来たが、DとO5-■を見ると直ぐに私から離れた。
O5-■は私が言わなくともリボンをつけた方が1048とわかったらしく、二人をみるや否やDに命令した。
「リボンの方を捕まえろ」
2295が割って入ったが力が及ばず、Dは難なく1048を抱き上げた。
当の1048は相変わらずニコニコ笑っている。
2295は私の方に駆けて「博士!どうして!?」と私のズボンの膝を引っ張って抗議した。
「すまない、カイロス…本当にごめん」
私には謝ることしか出来なかった。
2295は私の声を聞くとぼろぼろと大粒の涙を流しだし、ついには声をあげて泣き出した。
その時だった。
1048を抱き上げていたDがばたりと抱き上げたまま倒れた。
Dの腕を振りほどいた1048はどこにしまっていたのかともなく包丁を持っていて、エプロンを赤く染めていた。
私はいよいよ弁解の余地がなくなったと絶望した。
2295も姉の姿に驚いて泣くのを止めた。
O5-■はこれにも動じず、むしろこちらを「ほれ見たことか」と言わんばかりに一瞥すると1048に言い放った。
「俺達におとなしく収容されろ。Dの一人殺したところで何も変わらない。むしろお前の凶暴性を示すものとして余計2295と離されるだけだ…無駄な抵抗は止めな」
「イヤだね」
1048は張り付いたような笑顔でO5-■に包丁を突き刺した。
まさかの3話目突入…(;・ω・)