今回はかっこいいアベルさんは出てきません。聖書時代が垣間見えるアホの子です。
っていうかうちのは無知天然わがままっ子な気がする…あれ?ちゃんとKeterしてるのキチと腐男子くらいしかいねーなここ??
キングオブKeterの二人は収容違反するけどどっか抜けてるしヒイロに至ってはクラス下げられてるし。
俺の収容室が水没してアベルの部屋に居座ることになって数日。とりあえず…
早く帰りたい。
収容室に帰りたいなんて財団に捕まってから一度も思ったことはなかったが、初めてそう思った。
何せアベルの奴、俺が考える以上に能天気と言うか…ちょっと違うような気がするがマイペースと言うか、そんな感じだ。
「何か白いのが浮いているが、美味いのかそれ?」
「?あー…フラッペのことか。まぁ美味いけど」
例のごとく294で買ってきたフラッペを飲んでいたらアベルが食いついた。
「アイリスも似たようなのを飲んでいるが…飲みづらくないのか」
「ああ?こんなので飲みづらいとか言ってたらタピオカドリンクのストローとかどうなるんだよ」
「そんな穴が開いた棒何か使わないで直で飲み干せばいいだろう」
「いやそれはない」
「ソーダはねーのか?」
「あるかんなもの」
「じゃあ●ンスターエナジーか●ッドブル」
「アンタ炭酸大好きかよ…ハイになってサイトの廊下を暴走されても俺は知らんからな。そのときは閉め出す」
「おい、ここは俺の部屋だぞ!」
「アーソウデシタネ」
するとアベルは何かを閃いたように部屋を出ると、片手に緑色の飲み物を持ってきた。
…が、どうもその緑色は不透明で飲み物とは思えないものだった。極東の"お茶"とかいう飲み物だと言われても何か違和感がある…あ、わかった。そもそもその液体の色が妙にドギツいんだ。あのポンコツAIのスカートと同じ緑色してるんだ。
「…何、それ」
「俺のおごりだ。言っただろ?"今度会ったらさわやかな飲み物とピザをおごってやる"って」
そういうアベルは少し誇らしげだった。
そんなことでどやられても困るんだが。つかピザの方はどこやった。
「?…あ、悪い。腹へってたから食った」
「何で██年前のことは覚えといてピザのことは忘れるんだ」
「腹が減ってはナントカって言うだろ。しょうがない」
「はぁ…アンタ自分より強い奴には突っかかるくせに腹の虫には抵抗しないのかよ。その辺の動物と脳みそ同等なんじゃねえの?」
「まぁ飲めよ、さわやかで結構いけるぞ」
「おい待て飲むとは言ってなiアガッガッガ!!!」
…くそっ、酷い味だった。まだ舌がビリビリする。
AIが呼びに来たお陰で少しの量で済んだ。アベルは大分不満そうだったが。
「やっと帰れる…疲れた」
「アンタ何飲まされてたの?メロンソーダ??」
「何か緑色のシュワシュワした奴…少なくともメロンの味はしなかった」