暇な時にゾンビ作ってる奴。ーSCP-076
おい、何処の黒ひげだ。ーSCP-073
サイト19 SCP-049の収容室
「先生ごめーん!伊波ちゃんと喋ってたら時間に気づかなくて!」
収容室に入るとマロは声をあげた。
すると手術台で作業をしていた全身黒づくめの人がこっちを向いた。顔には鳥のマスクをしていて、目付きが悪い。
「おやマロ、お友達?」
「うん!SCP-173、伊波ちゃんだよ!」
「どうも…049先生」
すると049先生はうやうやしくあたしの手をとって握手をした。
「初めましてSCP-173、私はここで医師をしているSCP-049だ…"ペスト医師"と呼ばれているよ。私としてもそっちの方がやりやすい」
「じゃああたしのことも伊波でいいよ、ペスト医師」
「あっ先生!患者さん!」
収容室に別のSCP…丸いクマ耳を頭につけたエプロンドレスの女の子達がエージェントを担架で担いで来た。二人ともよく似ている。
「大丈夫ですよー!今から手術しますから暴れないで!」
「言うこと聞かないとその手足切っちゃうよ!」
「手術?!やめろこの程度治るから!ここから下ろしてくれ!!」
担架の上でボンレスハムのように体を縛られたエージェントは必死に体を捻ったり転がしたりしている。
そしてペスト医師の姿をみると顔を真っ青にしてより一層暴れだした。
ペスト医師は暴れるエージェントの肩をぐっと押さえ込んだ。
「暴れたらどこが悪いのかわからないじゃないか。少しじっとしていてくれ」
「どこも悪くねぇ!!悪くねえからこの縄をほどいてくれよ、なぁ?!」
「ふーむ…」
しばらくペスト医師はエージェントを調べていたが、
「火傷をしているな」
そう言ってペスト医師はエージェントの袖を捲った。ペスト医師のいう通り、エージェントの腕には痛々しい火傷の傷が残っていた。
エージェントは「うわっバレた」と嘆きとも諦めともとれる声を漏らした。そして何を決意したのか
「本音を言えば未練しかねえけどよ…ゾンビにするなら俺をゾンビにしな、049」
負け惜しみのような言葉を呟いた。
しかしペスト医師はクマ耳エプロンドレスの女の子のナース帽を被った方を呼んだ。
女の子はちょこちょこと走ってくると、ペスト医師と話をして、そしてもう片方の緑のリボンをつけた女の子と一緒に
これにはエージェントはともかく、私も「えっ?」と声をあげた。
唖然とする私にマロが説明してくれた。
「あの子達はキチとパチ!二人とも元々はテディベアのSCPなんだけど物を作るのが好きで、特に妹のパチは布で生き物の体を文字どおり"補正"出来ちゃう子なの!」
マロが話している間にもパチはすいすいエージェントの皮膚と布とをパッチワークのように縫い合わせていく。自分の皮膚が縫われていくのを見ているエージェントは少し不思議そうな顔をしていたが、苦痛は感じられなかった(一応言っておくけど麻酔は射ってない)。
そしてあっという間に縫い上がり、火傷の傷口があった場所には可愛いプリント柄の布が縫い付けられていた。
かなり予想外ではあったが、とりあえず命を落とさずに済んだことにエージェントは安心しているようだった。エージェントはパチにお礼を言った後縫われた傷痕を眺めながら去って行った。
「そういえばマロはペスト医師のこと"先生"って呼ぶけど」
「ああ!私もちょっと先生に教えて貰ってるんだ!双子や先生みたいに大がかりなことはできないけど、応急処置くらいならできるかなって!何か人間の役にたちたいからさ!」
「…」
「だから、人間も思ってるより悪い人ばっかりじゃないよ!」
マロのおかげで少し人間嫌いが失せた気がする。
SCP-049"ペスト医師"http://ja.scp-wiki.net/scp-049
SCP-1048"ビルダー・ベア"http://ja.scp-wiki.net/scp-1048
(グロ注意)
SCP-2295"パッチワークのハートがあるくま"http://ja.scp-wiki.net/scp-2295
(感動注意)