フィオーレ王国 マグノリア
そしてこの街に存在するギルド 『フェアリーテイル』
そのギルド内から話し声が聞こえてくる。
「ミラさ~ん、報酬の高いクエストって無いんですか?」
ギルド内のカウンター席に座りながら項垂れているのは、このギルドの新人魔導師 ルーシィ。
「う~ん.....残念ながら今のルーシィに勧められるクエストにはそこまで高いものは無いわね。」
ルーシィの質問に答えるのはこのギルドの看板娘 ミラジェーン
通称 ミラだ。
「でももう少し強くなればS級魔導師になれるし、二階のクエストボードから依頼を受ける事が出来るようになるわよ。」
笑顔でそうルーシィに答える。
「そういえばミラさん、このギルドにはS級魔導師って何人居るんですか?」
ルーシィはミラの話の中で疑問に思ったことを聞いた。
「う~ん、そうねぇ....エルザ、ラクサス、ミストガン、ギルダーツと.....あっあとは
「エクレール?....誰ですかその人?」
ルーシィはミラが口に出した名前の中でエクレールという人物に興味を惹かれたのかミラに質問する。
「あぁごめんなさい....ルーシィはまだ会ったことなかったわね。...このギルドで"二番目"に強い魔導師よ。」
「二番目!!?」
ルーシィは名前から女性だと思っており、その人物がまさかこのギルドで二番目に強いと思わなかったので驚いた。
「そ、そんなに強い人なんですか....その、エクレールって人。」
「うん!でも私の中では一番強いんだけどね」
「え?」
ミラが何か言っていた気がしたが小声だったのでよく聞き取れなかった。
「今はS級クエストの中でも一番過酷な100年クエストってクエストに行ってるけど暫くしたら帰ってくるわよ。」
「あの...100年クエストって何ですか?」
また聞き慣れない言葉が出てきたのでルーシィはまたミラに聞く。
「100年クエストっていうのはね、S級クエストの中でも一番過酷なもので100年間誰もクリアしたことのないクエストだから100年クエストって呼ばれてるの。」
「誰もクリアしたことがない!?」
「そうよ、だからルーシィも頑張ったら受けられるようになるわよ。」
ミラは笑顔でルーシィにそう言う。
ルーシィは難しそうだなと感じていた。
「おいお前ら!今エクレールの奴から「今から帰る」と連絡があった!」
ギルドマスター マカロフからエクレールが戻ってくると聞いた一同、すると突如騒ぎ始めた
「エクレールが帰ってくる!?」「帰ってくるのって何時ぶりだ?」「確か半年ぶりじゃないか?」「帰ってきたら勝負だ!」
ギルド内では口々にそんな声が聞こえてくる。
そして、
ギィィ、とギルドの扉を開ける音がした。
「今帰った、マスターと話がしたい。....何処だ?」
扉を開けて入ってきたのは白いパーカーを着ており、頭にはフードを被った青年だった。残念ながら顔はフードを被っているためよく見えず、特徴的なこととしては彼のパーカーには雲の様なマークが描かれていた。
「エクレール!俺と勝負しろ!」
突然、ナツがエクレールの前に飛び出して炎を纏った拳を振り上げる。だが、
「え!?」
ナツの拳はエクレールの体をすり抜け、エクレールはそんな事知るかとばかりにナツを無視してミラの元へと向かう。
「オイ、待てエクレール!....俺と勝負しろー!」
ナツがまたエクレールに拳を振り上げる。だが、今度はナツの拳を受け止め、そのまま握る。
「イデッ!イデデデデデデ!!」
エクレールはナツの拳を潰すように力を入れて潰そうとしていた。
「ナツ、今の俺は機嫌が悪い....俺の言ってる意味...分かるな?」
エクレールの目は明らかな怒りを孕んでいた。
「あ.....あい。」
「ナツがハッピーみたいになった!」
ルーシィがついツッコミを入れる。
「.......」
そしてエクレールはまたミラの元へと足を向ける。
「今帰った。」
「お帰りなさいエクレール。」
エクレールは他の事には目もくれず最初にミラと言葉を交わす。
ミラはエクレールと話せたことが嬉しかったのかとても嬉しそうに笑っている。
「さて、マスターは何処だ?」
エクレールはキョロキョロと辺りを見回してマカロフを探す。
「ここじゃ。」
いつの間にかマカロフはエクレールの目の前のカウンターの上に座っていた。
「今帰った。」
「それはさっき聞いたわい。....それで、今回はどうじゃった?」
「あぁ、簡単な仕事だった...まぁ、事後処理に半年はかかったがな。」
と、愚痴を溢すように言い放った。
「
「やっぱすげえ....!」
周囲の魔導師達からは次々にそんな言葉が聞こえた。
「え?また?」
ルーシィは誰かが言ったまたという言葉の意味をミラに確認する。
「そういえばまだ言ってなかったわね、エクレールはこのギルド内では100年クエストを何度も成功させてるの....それも一番多く。」
「な!?」
そんなに凄い人なのかとルーシィは驚きを隠せなかった。
「そんな大層な事はしてないさ、やってることはただの後始末だよ新入りさん。」
いつの間にかエクレールはルーシィの隣の席に座っていた。
「初めまして、エクレール・ウェザリアだ....今後、仕事で一緒になったときは宜しく頼む。」
「は、初めまして....ルーシィよ。」
エクレールが差し出した手を取り、握手を交わすルーシィ。
「さて、ミラ....注文だ。」
「ええ、何時ものやつね。」
ミラは席を外すとそのまま店の奥へと姿を消した。
「さて、久しぶりのギルドだ....暫くはこの町に滞在するか。」
ふとエクレールはそう呟く。
「あの...今回はどんなクエストに?」
ルーシィは気になり、エクレールにそう訪ねる。
「うん?....ああ、今回は村一つを滅ぼしたとされる魔獣の討伐だ。」
「え!?.....それってかなり強かったんじゃあ....」
「?....いや、全然大したこと無かったな....クエスト行った初日にあっさり倒せたし。」
(あっさりと!?しかも初日に!?村一つ滅ぼしたとされるモンスターなのに!?)
ルーシィは改めてS級魔導師の凄さを思い知らされた。
「問題はそのあとの事後処理だな....村を復興するために一から家を建てたり、教師の代わりに子供に勉強教えたりと大変だったな。」
遠い目をしながらエクレールは語った。
「俺の事はともかく....そっちはどんなクエストに行ったんだ?....寧ろそっちの方が気になる。」
まるで子供の様に目を輝かせながらルーシィに近づく。
「わ、分かった、分かったから....その....近い。」
「おっと済まない、つい。」
エクレールは自分の軽率さを認め、ルーシィに謝罪してから席に座り直した。すると、
「.....可愛い。」
エクレールの顔を見てふとそんな事を呟くルーシィ。
「......!!!」
聞こえていたのかエクレールは怒ったような顔をしてそのまま席を立った。
「あ、あの......」
「.........」
ルーシィが声を掛けるもエクレールには聞こえていない様子で何も言わずギルドから飛び出していった。
「お待たせエクレール。....ってあら?」
エクレールが飛び出していった後、すれ違うようにミラが戻ってくる。
「ルーシィ、エクレールは何処?」
「あの...飛び出していっちゃいました。」
キョトンとしているミラに対してルーシィはエクレールが飛び出していった方角を指差す。
「ルーシィ....もしかしてエクレールに"可愛い"とか言った?」
「え?....あーそういえば言ったかも。」
ルーシィがそう言うとミラはあちゃー、と言って頭を抱えた。
「言ってなかったけどエクレールは"可愛い"って言われると嫌がって何処かへ行っちゃうの。」
「な、なんで?」
「彼、極度の恥ずかしがり屋でね、特に彼の顔を見て"可愛い"なんて言うと何も言わずに外に飛び出していっちゃうの。」
へー、とルーシィは納得した。
「でもどうしようかしら、この料理。」
ミラが運んできた料理を見ながらそう呟く。
それはまるでマグマの様に赤く、匂いから察するにとても辛い物のようだ。
「あの.....ミラさん、その....見るからに辛そうな料理は?」
「これ?.....エクレールのレシピ特性料理、その名も"激辛ドリア。」
ミラは笑顔でそう言うが、ルーシィからすればそんな危険物をこちらに持ってきて欲しくないのだが、
「うーん、このまま置いておくのも勿体無いし.....そうだ!ルーシィ、代わりに食べてくれない?」
「え!?.....い、嫌ですよ。」
何で自分が食べなければならないのだとルーシィは拒否する。
「遠慮しないで、ほら....あーん。」
ミラは笑顔だったが何故か怒っているようにも見える。そしてどうやら拒否することは出来ないようだ。
「い、いただきます。」
ルーシィは覚悟を決め、激辛ドリアを口にする。
そしてその後ルーシィは本当に地獄を見ることとなった。
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夜の街のとある一軒家にて、
コンコン。ノックして入室の許可を得るエクレール。
「失礼します。」
エクレールはミラに誘われ、彼女の自宅に来ていた。
「いらっしゃい、エクレール。」
ミラが笑顔で出迎えてくれ、エクレールは家の中に入る。
「おう!エクレール、久しぶりだな!」
リビングではエルフマンが筋トレをしていた。
「久しぶりエルフマン、半年ぶりだな。」
エルフマンは筋トレをしていた姿勢のままでエクレールと話す。
「今からご飯作るからエクレールは座ってて。」
「なら、お言葉に甘えさせてもらいますよ。」
エクレールはリビングにあるソファーに腰掛け、待つことにした。
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「うん、美味しい。」
「ホント!?......良かった。」
ミラが作った料理に舌鼓を打ちながらミラに料理の感想を伝える。
「これも全てエクレールの作った料理レシピのお陰よ。」
「それは良かった....ミラの手助けが出来たなら。」
エクレールは、何故か暗い表情でそう告げた。
「あの時.....俺が間に合っていれば、あんなことにはならなかったんだ.....済まなかったな二人とも。」
「.....」
「.....」
エクレールは昔、二人に対して確執があった為にそう呟く。
「そんな事ない。」
ミラがエクレールを励ますようにそう話す。
「"あの事"は私達が自分の力を見誤った結果、あんなことになってしまったの.....だから、エクレールは何も悪くはないわ。」
ミラは泣きながらエクレールを宥める。
「そうだぜエクレール!.....あれは俺が、俺自身が過信した性で......だから、お前は何も悪くはない!」
見ると、二人は泣いていた。
「済まない、....そんなつもりじゃ無かったんだ....だから、泣かないでくれ。」
エクレールはなんとか二人を宥めて、事なきを得るのだった。
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深夜、エクレールは風呂に入ったあと、直ぐにリビングのソファーを借りてそこで寝ていた。ミラとエルフマンは客人にそんな所では寝させられないと別の部屋を用意されたが、エクレールはそれを拒否してこの場所で寝ている。
「......スー、スー。」
静かな寝息でエクレールは熟睡していたのだが、
ドサッ
「グハッ、.....一体、な━━━━!!?」
エクレールの腹に何かが降ってきて悶絶しそうになったが、降ってきたものを見てそんな気が失せる。
「ミラ....」
寝惚けてここまで来たのだろうか、ミラの姿は見るからにネグリジェという女性用のパジャマであった。
「///....と、とにかく部屋に運ばないと。」
赤面しながらミラを見ないようにしつつ、ミラの寝室を探すエクレール。階段を登り、周りを確認するとそこには、
「あった...。」
階段側から見て右の部屋に『ミラジェーン』と描かれた看板が着いた扉が確認出来た。
「よい、しょっと。」
その部屋に入ろうと廊下を横切った時、ふとミラの部屋の隣にある扉が目に入った。
『....』
看板の文字は長い年月が経ってしまったせいか、名前の部分だけが掠れて見えなくなってしまっていた。
「....済まない、だが責めるなら俺を責めろ...二人は悪くない。」
立て札に手を
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「よいしょっと。」
ミラを部屋のベッドにゆっくり下ろし、そのまま立ち去ろうとしたが、
「え━━━━?」
エクレールは突如手を捕まれ、そのまま背中からベッドにダイブしてしまう。
「ミラ、寝惚けているのか?」
ダイブした原因を作ったミラは、幸せそうな笑顔でエクレールの手を握ったままスヤスヤと寝息を立てている。
「.....暫くはこのままかな。」
仕方ないとばかりにエクレールはミラのベッドに横になり、添い寝するようにして眠りにつこうとする。
のだが、
「えっと......ミラさん?」
寝惚けているミラは自分の胸にエクレールを抱き寄せてそのまま抱き締める。
(む、胸が.....苦しい...!)
そう思ってミラを退かそうとしたが、
「....めんなさい」
「え?」
ミラが何かを呟いた気がした。
ふとミラの声を良く聞くと、
「ゴメンなさい....ゴメンなさい。」
と誰かに対して謝罪の言葉を述べているようであった。
「全く、俺に気にするなって言っておいて自分が気にしてちゃ駄目だろ、全く。」
エクレールは仕方ないと言ってミラを力強く抱き締めた。
「せめて、今だけは....」
休ませてやってくれ。
そう口にしたかったが、そこで意識が途絶えてしまう。
そしてエクレールはそのまま朝までミラを抱き締め続けた。
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次の日、流石に帰ってきてから何もしないというのもどうかと思い、二階のクエストボードの前に立つ。
「う~ん、これといって楽しそうなクエストが無いな。」
どうやらエクレールは楽しいか楽しくないかで受けるクエストを決めているらしい。
「仕方ない....これにするか。」
エクレールが選んだのは盗賊退治のクエスト。
それもS級クエストに指定される程の難易度のものである。
「さ~て、今度の相手は俺を楽しませてくれるかな?」
エクレールは笑顔でそう呟いた.....呟いたのだが、
「エクレールが嗤ってる...。」「きっと"また"だ。」
「またあいつの"アレ"か。」
と、ギルドの魔導師達が口々にそう言った。
「~♪」
エクレールはそんな事気にも止めずギルドの外に出ようとする...が、
「ねぇ、エクレール...その、私も付いていっていいかな?」
ルーシィがエクレールを引き止め、付いていきたいと懇願した。
「?.....別にいいけど、何でまた?」
ルーシィに対して疑問を投げ掛けるエクレール。
「実は今月の家賃が払えなくって」
どうやら金欠が理由だったらしい。
「分かった....けど俺が今から行くのは普通のクエストじゃない、S級クエストと呼ばれる難易度の高いものだ。」
「分かってるわ。」
「だからクエストに行った時、俺がルーシィに指示を出す....それに従ってくれ。いいな?」
エクレールがいつになく真剣にルーシィに言う。
それに対してルーシィは、
「分かった....危なくなったら下がるわ。」
エクレールの指示に従うようである。
「分かった....なら取り分は山分けだ。」
エクレールは先程とは違った様子でルーシィに微笑んだ。
「ありがとうエクレール!....いやーこの前ナツにタカられてお金があまり無いのよね...アハハ。」
ルーシィがそう言うとエクレールの表情が即座に変わった。
「ナツが....タカった?....女の子相手に?....ハハハ」
その顔は言うなれば般若の面を具現化したようなリアルなものであった。
「ヒッ!」
これを見てしまったルーシィはビビってしまったが、
「ああゴメンルーシィ....でもそろそろ行かないとな。」
そう言ってルーシィを引っ張って連れて行ってしまう。
「えっ、ちょっ、あ━━━」
ルーシィは何も言えずエクレールのされるがままに連れていかれるのだった。
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マグノリアから少しだけ離れた町にて、
「此所が盗賊共のアジトらしい。」
「此所が。」
そこは廃墟と化したとある屋敷であった。
「さて、盗賊共居るかな~...!」
エクレールが急に立ち止まった。
「え?何?」
エクレールはルーシィの方に振り向いて近付く。
「え!?...ち、ちょっと!?」
ルーシィはつい、眼を瞑ってしまう。だが一向に何もしてこないので眼を開けてみる...するとルーシィの背中に雲のようなものが付いており、それにナイフを突き立てている盗賊の男も確認できた。
どうやらエクレールは背後から近付く気配を察知し、魔法を展開して防いだようだ。
「....っち、防いだか。」
盗賊は忌々しげにエクレールを睨み付ける。
「当たり前だ、あんな風に殺気を漏らしていれば俺ですら気付く。」
と、エクレールが口にする。
「へっ、だがそんな減らず口が叩けるのも今の内だけだ..オイ野郎共!」
男がそう叫ぶと、エクレール達を取り囲むようにして盗賊が現れた。
「やれやれ、やっぱりこうなるのか。」
「ど、どうするのよ...。」
呆れているエクレールとは対照的に不安そうにするルーシィ。
「どうするって?......決まってる。」
「押し通る。」
ニヤッと笑うエクレール。それが盗賊達の気に触ったのか、男がエクレールに襲いかかる。
「笑ってんじゃねぇ!!!」
男は剣をエクレールの頭に振り下ろす。だが、
「な........っ!!?」
「えっ...!?」
男の剣はエクレールの頭との間に出来た
「どうした...そんなもんか?」
「バ、バカな.....何で雲が.....。」
男は戸惑い、無意識に後退りしてしまう。
「今度は此方から行くぞ。」
エクレールが雲を掴み、そのまま空に向かって投げる。
「《
エクレールがそう呟く。すると晴天だった天気が何時の間にか雷雨へと変化し、エクレールのパーカーも白から黄色へと変わっていた。
「な......なんだコイツ!天気を変えやがった!?」
「そうか......思い出した!コイツ、
盗賊の一人がエクレールの招待に気付き、名前を叫んだ。
「エクレール!?....まさかあの『FAIRY TAIL』のNo.2 《
取り乱しながら盗賊はエクレールを睨んだ。
「ほう、懐かしいなその呼び名.....そうだ、俺がエクレールだ。」
エクレールはまるで悪人のような笑いを浮かべて答えた。
「さて、準備が整った........行くぞ!」
エクレールは盗賊の懐に潜り込んだ。
「《
エクレールは両掌から雷を発生させると盗賊に放った。
「グ....ガァァァァ!!!」
盗賊は絶叫するとその場に倒れてしまった。
「さて.....次はどいつが相手してくれるんだ?」
ニヤリと悪人のような笑顔を浮かべて盗賊達を見据える。
『や、やってやらぁ!!!』
男達はエクレールに対して一斉に襲いかかったが、
「《疾風迅雷》」
エクレールは全身に雷を纏わせ、男達を次々に倒していく。
「テメェら...退いてろ。」
「ボ、ボス!!」
すると盗賊達の後ろの方から巨人程ありそうなサイズの盗賊が出てきた。どうやら盗賊達のボスらしい。
「やるなエクレール.....だが、俺の攻撃はかわせまい!」
男は巨大な金棒を振り回し、エクレールに当てようとする。
「甘いな。」
エクレールは瞬間、男の背後に周り、回し蹴りを放とうとする。だが、
「.....!」
「何っ....!?」
盗賊はエクレールに気付き、そこから金棒をエクレールに当てた。
「ぐぁっ!!!」
エクレールは地面に叩きつけられ、身体に纏っていた雷が消え、パーカーも白へと戻った。
「終わりだ!....
「!!!」
エクレールの真上から金棒が振り落とされる。
「エクレール!」
ルーシィが叫んだが、その声に答えるものは居なかった。
「そんな......。」
「や....やった、やったぞ!遂にあのエクレールを倒したぞー!」
男は歓喜の声を上げ、ルーシィを一瞥する。
「よし、あの女は慰みものにしてやる。」
ニヤニヤと意地の悪そうな笑みを浮かべて近付いていく。
...........筈だったが、
ピシッ!
「ん...何の音だ?」
男は辺りを見回すが音の発生源は見当たらない。
「まさか.....!」
男は振り下ろした金棒の先端を見る。するとそこには亀裂が入っていた。
ピシピシピシッ!
亀裂が広がっていく音が響き、そして遂に....
パキンッ!
「だーれが
怒りに身を任せて金棒を破壊したエクレールがそこに立っていた。
パーカーの色は先程までの白ではなく"赤"へと変貌していた。
「
エクレールが呟くと先程まで雷雨だった天気が直ぐに晴天へと変化した。そして太陽は次第にエクレールの右手に集まりだし、
「俺のこの手が光って唸る!お前を倒せと輝き叫ぶ!.....シャァイニィング...!」
集まりきったところで、男に向かって放つ準備を整える。
「ま、待て待ってくれー!」
男は取り乱しながら静止させる。だが、
「フィンガァァァァァ!!!」
エクレールは必殺技を叫びながら男の腹に掌をぶつける。
すると男の腹に巨大な掌の形の火傷跡が残り、男は気絶し、後ろに倒れた。
「.......さて。」
ギラリ、と残った盗賊達を睨み付けるエクレール。
「残るはテメェらか........覚悟はいいな!!!」
エクレールは残党を追いかけ回す。
「逃げろ!!!」
「あいつには敵わねぇ!!!」
四方八方へと散り散りに逃げる盗賊達。だが、この数分後エクレールによって一人残らず討伐され、全員が評議会から送られてきた兵士に連行されるのだった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
「今戻ったぞ。」
エクレールがギルドの扉を潜ると、
「エクレール、俺と勝負しろ!!」
またナツが絡んできた。
「ちょっとナツ!?」
近くにいたルーシィはとっさにガードするが、ナツの炎は一向に来ない。目を開けるとそこには分厚い雲の盾がエクレールとルーシィを守っていた。
「よぉ、ナツ....ちょうど良かった。」
ニヤリと笑いながらナツをギルドの裏手に引っ張っていくエクレール。
「ちょっ、待て!どこに連れてく気だエクレール!」
「人気の無い場所。」
━━━━━━━━━━━━
そしてエクレールは山の中にナツを連れていき、自身の"雲"でナツを拘束した。
「あの.......エクレール.....さん?....これは一体?」
エクレールの異様な雰囲気に思わず敬語になってしまうナツ。
「決まってんだろ......."お仕置き"さ。」
エクレールはそう言うと右手に"太陽"を顕現させた。
「ナツ....俺前に言ったよな?......女の子に金を使わせるなって。」
エクレールに言われて気付くナツ。
そう言えばそんな事言ってたなと、今思い出したようだった。
「その様子だと今思い出したようだな。.......これは仕置き確定だなぁ」ニヤリ
「ヒッ!」
ナツはエクレールの様子に恐怖し、つい悲鳴をあげてしまう。
「さてナツ、お前、火は平気だったな......なら俺の"太陽"ならどうなんだろうな?.....ちょっと.....試させろや。」
その後、山中からナツの悲痛な叫び声が暫く続いた。
エクレール・ウェザリア
主人公 性別 男
中性的な顔立ちをしており、名前も女性らしいことからよく女性に間違われる。それがコンプレックスとなっており、普段はパーカーのフードで顔を隠している。
因みに超ドSで女性に対してだけでなくクエストで行く先々に迷惑を掛けた奴ら限定でお仕置きを施行する。(拷問レベル)
好きな食べ物は基本的に甘いものと辛いもの(激辛)