互いに睨みあい、相手の出方を伺う
「こっちは妖精の尻尾最強チームよ覚悟しなさい!!」
「何でルーシィが威張ってんの?」
ルーシィにツッコミを入れるエクレール。
「後は任せたぞ、俺は笛を吹きに行く。」
「!」
「身の程知らずの
そう言ってエリゴールは窓を割って別区画内へと移動した。
「ナツ!!グレイ!!エクレール!!三人で奴を追うんだ」
「「む」」
「え、俺も?」
「おまえ達三人が力を合わせればエリゴールにだって負ける筈がない。」
「「むむ..」」
納得いかないといった様子で互いを見るナツとグレイ。
「此所は私とルーシィでなんとかする。」
「なんとか..ってあの数を女子二人で?」
鉄の森の魔導師達は明らかにエクレール達五人よりは数が多い。二人で相手するには無茶ではないか?と、思うルーシィ。
「エリゴールは
エルザの話を聴かず、既に喧嘩の一本松手前状態の二人。
「聞いているのかっ!!!」
「「も....もちろん!!!!」」
流石のナツとグレイもエルザには逆らえず、仲良しアピールをしながら返事するしかなかった...のだが、
「いや、此所はナツとグレイの二人に行ってもらうとしよう。」
そう言ったのは、エクレールであった。
「な、何故だ!?」
断られるとは思わなかったエルザがエクレールを問い詰める。
「よく考えてみろエルザ、仮に俺を含めた三人でエリゴールを追い掛ける...そしたら、残った二人でアイツら倒すのか?...いくらなんでもそれは無理だろ。」
「む...」
エクレールが指差した鉄の森の魔導師達は、エクレール達よりも数が多い。この集団をエルザとルーシィ二人だけで相手にするのは不可能だとエクレールは言った。
「しかし、私ならば...」
「いーや、俺の心配してる所はエルザ...お前じゃない...ルーシィだ。」
「わ、私?」
「そうそう、ルーシィはまだまだ新人の魔導師...エルザ、いくらお前がS級でもこの数が相手では叶わない。」
「しかし!」
それでもエルザがエクレールに意見しようとした時、
「くどいぞ...!!!」
「!!」
その瞬間、エクレールの威圧感はエルザだけでなく、周囲にいた
「俺はルーシィを"守れ"と言ってるんじゃない...ルーシィに対して少しは"気を遣え"、と言ってるんだ...!....全く、相変わらず人の話を聞かない....よくそれでS級になれたもんだな...。」
「......」
威圧感を放った後は元に戻り、エルザに対して呆れた物言いで直ぐにナツとグレイに向き直る。
「ナツ、グレイ。」
「あん?」
「...なんだ?」
「さっきも言った通り、二人でエリゴールを追い掛けてこい...あぁ、勿論俺は二人の相性知ってるから仲良くしろなんて言わねーよ。」
「...いいんだな?」
「あぁ、手柄は二人のどちらかに譲る....行ってこい。」
「よっしゃ任せとけ!」
ナツは意気揚々と走っていく。
「あっ!オイ待てナツ!!!」
それを追い掛けて走っていくグレイ。
「オイ!おまえ達!!!」
ナツとグレイを叱責しようとするエルザを止め、
「良いんだよ、二人は"
エクレールは言った。
「しかし、あいつらは...」
「あぁ、"仲"は良くないな....でも、炎と氷..."相性"は良い筈だ。」
「......」
「何か言いたげだなエルザ。」
「......」
「まぁ、それは後で聞くとしよう。」
それと同時に鉄の森達がざわつき始めた。
「二人逃げた」
「エリゴールさんを追う気か?」
「まかせな」
すると鉄の森の魔導師 レイユールが行動を開始する。
「俺が仕留めてくる!!!」
「こっちも!!!あの桜頭だけは許せねぇ!!!」
レイユールに続いて、カゲヤマもナツを標的として追い掛ける。
「あ、二人追い掛けて行ったか....まぁ、あの二人なら大丈夫か」
そう言ったエクレールはルーシィの眼前に立ち、エルザはそのエクレールの隣に立つ。
「ルーシィは俺達が撃ち漏らした敵を倒してくれればいい。」
「え、でも...いいの?」
申し訳無さそうにするルーシィ。
「いいんだよ...大体、俺もルーシィもエルザに強制されて連れてこられた身だしな。」
「おいエクレール、そんな言い方は...」
エルザがエクレールに物申そうとしたが、
「ん?..."同意の上"だったか?...違うよな、"強制"だよな....俺のケーキバイキングを邪魔したこと....暫く許さないからな。」
「!!!!......す、済まなかった。」
「あのエルザが...謝った....!?」
エクレールは満面の笑みだが、エルザは冷や汗ダラダラで顔を伏せた。ルーシィはエルザには昨日始めて会ったばかりだが、エルザという人物を多少なりとも理解したつもりであった。しかし、エクレールに笑顔を向けられた瞬間、彼女は萎縮した。まるで、天敵に遭遇した草食動物のように...
「エクレールは
そう語ったハッピーの目から徐々に光が失われていく。
「えっちょっ!?ハッピー!?」
キャラ崩壊してるハッピーに戸惑いを隠せないルーシィ。エクレールは
「さて、待たせたな...
エクレールは雲を引き寄せると、着ているパーカーの色が白から黄色に変化する。
「女二人と男一人で何ができるやら....それにしても二人ともいい女だなぁ」
「殺すにはおしいぜ」
「取っ捕まえて売っちまおう」
「待て待て妖精の脱衣ショー見てからだっ」
口々に下卑た発言をする鉄の森達に
「ハァ....どうしてこういう輩は下衆しか居ないんだろうか...?」
(...まぁ、だから社会から爪弾き者にされるんだろうな...)
と、思ったが口にはしないようにした。
「下劣な」
と、怒りを見せるエルザに対して、
「かわいすぎるのも困り者ね」
と、嬉しそうな様子で別の世界に旅立ったルーシィ。
「これ以上
するとエルザの手に、剣が一振り現れる。
「剣が出てきた!!」
「魔法剣だ...まぁ、見てれば分かる。」
「めずらしくもねぇ!!」
「こっちにも魔法剣士はぞろぞろいるぜぇ」
「その鎧、ひんむいてやるわぁ!!!」
「わーお、下衆の集まり。」
エクレールが呆れた様子でいたその瞬間、
『!!!』
エルザは素早く跳び、一気に間合いを詰める。
そして、魔法剣士達を次々と凪払い、倒していく。
「凄ぇ...!」
魔導師達がエルザに圧倒されていると、
「オイオイ、余所見してて良いのか?」
『!!!』
今度はエクレールが魔導師達の頭に向かって回し蹴りを入れる。
「安心しな、死にはしねぇよ....まぁ、死ぬ程痛いだろうがな。」
フードを外して、顔を露出させる。
「本当は嫌なんだが......やっぱりこっちの方がやり易い。」
「こいつ、
「構うな、やっちまえ!!!」
次々とエクレールに襲い掛かる魔導師達。
「やれやれ、どうしてこうもワンパターンなのか...」
もはや呆れて何も言いたくない。そんな気持ちがエクレールから見えてくるほどであった。
「まぁ、」
次の瞬間、エクレールは姿を消し、いつの間にか魔導師達の眼前に現れる。
「だからこそやり易いんだがな。」
熱雷
エクレールの右手にはバチバチと雷が集まっている。
「あれは...?」
「エクレールは天候や雲の名前に合わせた魔法が使えるんだ。今は雷...つまり雷雲の状態。」
「雷雲の...状態...?」
「そう、この状態のエクレールは"速い"んだ。」
「速いの?」
「でもただ速いだけじゃない。まるで雷鳴の様に、突然現れては消える....それが、エクレールの魔法の一つ "雷の姿"」
「解説ありがとうハッピー、今度魚料理の上手い店紹介してやるよ。」
「あい!」
「さて、と...続けますか...!」
再びエクレールの姿が消え、次々に魔導師達が倒されていく。
「凄い...!」
圧倒的なエクレールの力にそれしか言えなくなったルーシィ。
「さて、あっちも片付いたかな?」
エクレールがエルザの方を見ると、殆ど倒していた。
「やっぱあいつ強いな....まぁ、当たり前か。」
ルーシィも見てみると、エルザは全身に白銀の鎧を纏い、両手に剣を携え、その背後には幾つかの剣が円を描くようにして形を成していた。
「あれは?」
「...魔法剣士は通常、"武器"を換装しながら戦う...だけどエルザは自分の能力を高める"魔法の鎧"にも喚装しながら戦う事ができる...それがエルザの魔法...」
《
「うわぁ」
エルザの鎧姿にルーシィは綺麗だと感じた。
「エルザ..!?こいつまさか....」
どうやら気付いたようだが、時既に遅し。
「舞え、剣たちよ...
円を描いていた剣を自身の半径200mに展開し、周囲の魔導師達を一気に倒す。
「ま...間違いねぇっ!!!コイツぁ妖精の尻尾最強の女...
「すごぉぉ━━━━い」
「相変わらず、やり過ぎ感が否めんな。」
ルーシィが歓喜の声を挙げる一方でエクレールはやり過ぎだと呆れていた。
「というかあたし、結局戦わなかったわね。」
「まぁ、それが一番いい。」
その一方で、エルザが取り零した魔導師が一人、駅の奥へと行方を眩ませる。
「エリゴールの所に向かうかもしれんルーシィ追うんだ!!」
「え━━━━っ!!?あたしがっ!!?」
突然の無茶振りに抗議を申し立てるルーシィ。
「頼む!!」
「はいいっ!!!」
しかしエルザの鋭い眼光に、成す統べなく後を追いかけることにしたルーシィ。
「どう見たって頼んでるとは思えない眼光だな、エルザ。」
「......いいからお前も奴を追いかけろ。」
再び鋭い眼光発動。やれやれといった様子でエクレールは素直に要求を呑む。
「へいへい....そうだ、エルザ。」
「?」
「少し休んでろ、此処まで飛ばしてきたんだ....あんま無理すんなよ。」
どうやらエクレールはエルザの魔力が残り少ない事に気付いた様子だ。
そう言ってそのままルーシィの後を追いかけるのだった。
「やはり見破られていたか...ふふっ。」
エクレールの言葉に対して、自虐的に笑うエルザ。
直ぐに喚装を解除してその場に崩れ落ちそうになるのを堪えている様子だ。
(エクレールの言うとおりだな...やはり、魔動四輪をとばしすぎたのがこたえたな....ナツ..グレイ....ルーシィ....エクレール....後は頼んだぞ)
エルザの思いが届いたかは分からないが、エクレール達は必ずエリゴールを止めるだろう。
それだけは今のエルザでも分かっていた。
エルザの循環の剣ってAGE-FXのファンネルに似てると思う。