宇宙世紀0100年代に入っても、地球連邦は相変わらず腐敗と増長を続けていた。そんな連邦に見切りをつけた大企業ブッホ・コンツェルンのマイッツァー・ロナは私兵組織クロスボーン・バンガードを結成。更に高貴な精神が持つ者が人民を統べるというコスモ貴族主義を掲げて、マイッツァーはコスモ・バビロニアの建国を目指し地球連邦に戦いを仕掛けた(コスモ・バビロニア建国戦争)。
長きに渡る準備で力を整えていたクロスボーン・バンガードは平和が続いたことで実戦経験がなかった地球連邦の駐留軍を撃破して、サイド4のコロニー群を制圧。このサイド4でコスモ・バビロニアの建国宣言を行い、月から派遣された地球連邦軍艦隊すらも壊滅させた。
この大企業の頭首とはいえ一個人の私兵集団による異常な大戦果には当然裏がある。原作を知っていた日本支部はかなり早くからマイッツァーを支援しており、彼を大企業の長にまで押し上げていたのだ。更に地球連邦に不満を持つマイッツァーを煽り、小型MS開発とそのパイロット養成を支援して私兵集団クロスボーン・バンガードを設立させるなど、最早その内情はクロスボーン・バンガードの皮を被った日本軍という有様だった。
また、このコスモ・バビロニア建国戦争ではMSの性能差という要素が地味に大きかったりする。というのも日本の支援を受けたクロスボーン・バンガードの小型MSが原作よりも性能が向上していたのに対して、地球連邦軍は当時MSの市場を独占していたアナハイム社の怠慢の所為で小型MS開発が遅々として進まず、性能で劣る旧世代のMSで戦う羽目になったからだ。
結局、このコスモ・バビロニアの建国自体は失敗に終わったが、この戦争とその後の木星戦役によって地球連邦軍の弱体化と地球連邦政府の宇宙への無関心さが誰の目にも明らかになっていた。
各スペースコロニーはそんな旧態依然としたままで統率力を失っていく地球連邦への不満が爆発して、連邦の統治から脱却して次々に自治政府が樹立していった。
この統一政体の崩壊が発生したのは、日本支部がスペースノイドの連邦への不満を煽ったのもあるが、スペースコロニーの数が一年戦争の事に比べてあまりにも多くなりすぎた為に、現状の地球連邦では統治することが困難になり、それが旧世紀時代のような多数の独立国家が誕生する土壌となったからだ。
その後、この独立国家間で対立と紛争が続発したが、こうした事態になっても地球連邦にはそれを止めるだけの影響力も姿勢もなかった。
こうした群雄割拠の戦国乱世の様な宇宙の混乱は戦国時代に例えられて、やがて宇宙戦国時代と呼ばれるようになった。
この宇宙戦国時代に付け込む形でザンスカール帝国が建国されて、地球連邦の意向を無視して軍備増強を進めていくが、地球連邦はこれを放置してしまう。その結果、ザンスカール帝国は各コロニーを制圧して、地球にも侵攻してきた(ザンスカール戦争)。
このザンスカール帝国に対して地球連邦の動くはあまりにも遅く、ザンスカール帝国に危機感を抱いた民間人の有志がリガ・ミリティアというレジスタンス組織を結成してザンスカール帝国と激しい抵抗をするようになり、それでも地球連邦軍は一部の部隊がリガ・ミリティアと共闘することはあったが、戦争末期になるまで動くことはなかった(戦争末期には連邦軍ムバラク艦隊が参戦している)。
この戦争で両陣営は指導者や指揮官をことどとく失った為に、ザンスカール帝国とリガ・ミリティアは壊滅して戦争が終結した。
こうして、ザンスカール戦争が終わったが、地球連邦はその後も衰退を続けて行く事になる。
大日本帝国の対抗馬として存在していた地球連邦が見る影もなく落ちぶれている中でも、大日本帝国は依然として超大国として火星圏に君臨していた。そもそも混乱しているのは地球圏と木星圏などの地球連邦の元勢力圏の話であり、日本の勢力圏は安定そのものだった。
日本が安定していたのは、大日本帝国が腐敗と衰退の限りを尽くしている地球連邦と違って、政府(日本支部)が健全で、軍も強大な力を保持し続けているからだ。
そもそも宇宙世紀において日本の力は突出しており、当時の地球圏では“日本に勝てるなら宇宙統一も可能”と称されていた程で、かなり恐れられていた。事実、日本軍には日本人以外の人類が束になっても勝ち目はなく、新興のコロニー国家風情が手を出していい存在ではなかったのだ。
そんな日本に対していくら紛争が頻発していてもわざわざ火星圏まで侵攻してくるバカは存在しなかった。仮にそんな事をすれば日本に潰される前に近隣諸国にスキを突かれて潰されただろう(宇宙戦国時代の乱世に火星圏まで大兵力を動かせば国防に大穴が空きます)。
まさに混沌とした時代であったが、日本にとっては、やたらと自分たちに突っかかってくる地球連邦が衰退するのは好都合だった。その為に宇宙世紀において大日本帝国は地球連邦と直接的な武力衝突こそ避けていたが、原作知識を利用して幾度となく内部分裂を煽り、影では熾烈な争いを起こしていたのだ。
しかし、日本に戦乱から逃れた難民が押し寄せてくるにあたって、繁栄を極めていた日本も眉を顰めた。
日本政府は難民の受け入れに関してとても厳しかった。それは一部の人権団体が抗議するほどであったが、それでも強硬な立場を崩さなかった。
これには勿論理由がある。
そもそも史実では様々な国家が民族や宗教などで国内問題を抱えており、これが国家に重大な悪影響を与えていた。特に移民国家で様々な民族の坩堝となっているアメリカ合衆国など、法律では自由と正義を謳いながらも実際は白人優位社会で、黒人などの有色人種は不平不満を溜め込んでいるという歪な社会になっている。
ちなみに日本では宗教問題や民族問題が表に出ないのは、国民多くが仏教徒の大和民族で、それ以外のアイヌと琉球民族も日本人化している上に、外国人の受け入れに対して厳しい制限を施しているからだ。更にこの世界では史実と違って在日朝鮮人や在日中国人などはいない。
これは内政の安定を考えれば実に懸命な政策と言える。この為、日本政府を裏から動かしている日本支部は頑として難民を受け入れなかった。一度受け入れたら難民が大量に流入して、様々な問題が発生することが分かりきっているのだ。
また、当時の日本の世論も難民受け入れには否定的だったことも理由にあげられる。というのもこの世界の日本は西暦時代から栄光ある孤立というスタンスをとっており、これが高じて日本人至上主義というか外国人嫌悪に繋がっていた。
これは平成日本であれば大問題であったが、日本支部としては国をまとめる為に外敵がいた方が都合が良く、更に日本人を団結させるためにこうした民族差別的な行動も黙認していた。
しかし、宇宙戦国時代が続いていく中で旧連邦勢力圏の治安の悪化と不安定化はかなりのもので、難民たちには安定した日本は唯一の楽園のように見えた為、いくら追い返しても次々に難民が押し寄せてきた。
これに嫌気が差した日本支部は以前から計画していた第三次宇宙遷都(大遷都)を実行する事にした。元々、『機動戦士Vガンダム』が終わった以上、これといったイベントも発生しないので、トリッパーたちも地球圏にそれほどまで拘る必要はなかった。
ボソンジャンプを使用して、各スペースコロニーを遷都先として開発が進めていた別の銀河に移動させるのは日本の技術力を持ってすれば簡単なことであり、彼らはそれを実行した。
かくして、大日本帝国は太陽系から撤退したが、その後も宇宙戦国時代は続き、それらの紛争を鎮圧する為に地球連邦政府が強硬策を取った為にコロニー国家群が激しく反発して全面戦争になった。
この戦争は事実上の連邦政府崩壊によって終結。その後、連邦とコロニー側は和解したが、コロニーの独立を認めざるを得なくなる。その際に、コロニー(植民地)という名称がセツルメント(隣保事業)に改められた。
連邦崩壊後の地球圏と木星圏はセツルメント国家議会とセツルメント自由同盟の二大勢力が対立する世界になる。その為、争いが終わることなく、その長きに渡る戦乱の果てに宇宙世紀1053年に太陽系の文明は崩壊。宇宙世紀という時代は終焉を迎えた。
しかし、宇宙戦国時代の最中に太陽系の外に進出していった大日本帝国の存在は記録に残り、黒歴史の一部として後のムーンレィスに伝わることになる。
解説
■宇宙戦国時代
この開始年は連邦政府の権威失墜が決定的となった木星戦役終結後の宇宙世紀0140年頃を開始年とする説が有力で、この世界では宇宙世紀0222年に地球連邦崩壊という形で終結している。
■第三次宇宙遷都
日本支部が計画していた遷都計画。ガンダム世界の舞台となる太陽系から一億光年ほど離れた別の銀河に遷都する計画で、そのスケールは前代未聞であった為に大遷都と言われるようになる。尚、技術流出を避ける為に持ち出せない施設などは利用どころか解析すらできないように処分されている。
■ボソンジャンプ(機動戦艦ナデシコ)
監察軍が銀河間航行に使用している時空間跳躍技術で、核となる演算装置を各地の銀河に設置することで銀河間を行き来する銀河間ネットワーク網を構築している。