第三次宇宙遷都から八千年以上の月日が流れていた。大日本帝国にとってそれだけの月日は帝都飛鳥を中心に大和銀河の多くを開拓するに十分な時間であった。
大和銀河とて無限ではないのでいつまでも開拓はできないが、それなら近隣の銀河に進出して開拓すればいいだけなのだ。その為、大日本帝国の黄金時代は留まることを知らず人々は繁栄を謳歌していた。
正暦元年(皇紀11157年=シドゥリ暦11077年=アトラス暦9047年)
大日本帝国 大和銀河 帝都飛鳥
VRMMOを利用した仮想空間にて政治家、官僚、企業家、軍人などの三千世界監察軍日本支部の幹部たちが集まり会議を行っていた。
「やっと正暦(コレクト・センチュリー=C.C.)になりましたね」
「そうだな。原作には後2300年以上あるからな。先が長いぞ」
「とはいえ、順調に計画通りに進んでいます。ターンXを地球圏に送り付けた甲斐がありました」
第三次宇宙遷都以降は日本は太陽系に監視に留めつつも、時代の節目に干渉して太陽系の文明を崩壊させていた。その為、『∀ガンダム』の設定に合わせて正暦以前にターンXを地球圏に送り付けていた。
地球圏ではこのターンXの驚異的性能に驚き、それを作り上げた外宇宙勢力(大日本帝国)に対応しようとしたが、当の日本は地球に関わるつもりはなかったために彼らの行動は空振りに終わる。
しかし、その備えはやがて地球圏の動乱に用いられることになる。皮肉にも外宇宙勢力に対応するために作り上げた∀ガンダムによって文明崩壊してしまったのだ。ある意味で彼ら自身が手を下すまでもなく自滅したのは好都合だった。
「それ以前にターンユニコーンガンダムの働きによってここまで時代が進んでいますからね」
「そうだな。あまり胸を張って言えんが、よくやってくれたのは確かだ」
ターンユニコーンガンダムは宇宙世紀のユニコーンガンダムをベースに様々な改良を加えた上に月光蝶まで搭載するほど魔改造を施したニュータイプ専用ガンダムで、当然ながらニュータイプによって運用されていた。
今回だけでなく、太陽系では宇宙世紀以降も文明崩壊が幾度となく起こった。それは日本がリギルド・センチュリー、未来世紀、アフターコロニー、アフターフォーといった時代の節目にターンユニコーンを送り込んで月光蝶で文明を崩壊させていたからだ。
当然ながら、大日本帝国は地球とは当の昔に縁を切っている状態なので、これは戦争相手でもない地球文明を問答無用で崩壊させるという問題行動である。その為、いくら国益になっても表立って言える事ではないし、裏工作の中でも特に機密事項の高い事であるので、日本支部の幹部たちしか知る者はいない。
それ以外は実行犯であるターンユニコーンのパイロットぐらいだろうが、そのパイロットも日本支部の幹部であった為に問題になっていなかった。
ちなみに、ニュータイプのパイロットは月光蝶による文明崩壊にともなう人間の大量死に大きな負担をかけるが、それは日本の技術で必要以上に精神に負荷が掛からないように安全装置を組み込んでいたので無事である。
まあ、やることがやることなだけに最初からある程度人格が破綻している人間を選んでいるため、元から壊れているといえなくもないが。
「それで、今後はどうする?」
「やはり原作開始を待つ予定だ」
「なら地球と月の戦争に介入すると?」
原作の争いに日本が大々的に介入するのかと疑問を抱く。確かに大日本帝国の発祥の地は地球であることは確かであるが、度重なる戦乱によってかつての日本列島はすでに失われており、取り立てて彼らが地球を特別視する必要はない筈だった。
確かにこれまでもターンユニコーンを使って太陽系の文明を崩壊させてきたが、あれはあくまで秘密工作でしかなく、日本が国を挙げて大々的に介入してきたことはなかった。
「それは、状況に応じて判断すべきだろう。後、2300年以上あるんだ。今決める事でもあるまい」
トリッパーの中には原作介入派もいるという事情もあるが、大多数は面倒事は嫌というのが本音だけに介入派は少ないだろうと予想されるが、それはどうでもいいだろう。。
かくして、その日の会議は終わったのだった。