文明の埋葬者   作:ADONIS+

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幕間七 正暦②

正暦1354年(皇紀12510年=シドゥリ暦12030年=アトラス暦10000年)

 

 佐天令子を筆頭とする三千世界監察軍がこの世界に干渉してから一万年が過ぎた。この一万年の成果によってこの世界の大日本帝国は大和銀河全土を開拓するという未曾有の繁栄を遂げていた。

 

 第三次宇宙遷都によって大和銀河に移ってから9000年程たっていた。その意味では大和銀河の開拓にかなりの時間をかけていたが、日本は急いで勢力拡大する必要はなにもないので、かつてのローマ帝国のように国力を無視して無理に領土を広げてはいなかった。

 

 そのおかげで統治体制に不備を出すことなく、繁栄を遂げることができたので結果としてそれが正解だったのだろう。現在では、近隣銀河の進出を計画しており、それらの地域でテラフォーミングをやっている最中であった。

 

 この近隣銀河の開発に関しては、監察軍が構築したヒサゴプランによる銀河間ネットワーク網を活用することで上手くやっていた。その為、近隣銀河でも移民が可能な惑星がそれなりに確保できる予定だ。

 

 実のところ日本の人口が五兆人を超えているので、将来的な居住地を考えると近隣銀河に進出する必要があった。

 

 

 

 そんな大日本帝国はブリタニア帝国及びアトランティス帝国との国交を樹立した。実はこれまで日本はブリタニアとアトランティスとは監察軍を通して非公式に協力関係を結んでいたが、公式に国交を結んではいなかった。その理油はブリタニア帝国の価値観にあった。

 

 ブリタニア人の国家の評価基準は、国力、軍事力、文明レベルを総合して判断されるので、あまりにもつり合いが取れない弱小国家の場合はどうしても軽視されてしまい対等な外交はできない。

 

 ここで「だったら、ブリタニアは後回しにして、先に日本と国交を結べばいいじゃない」という人もいるかもしれない。

 

 しかし、ブリタニアを無視して日本とアトランティスが手を結ぶような形になると、ブリタニア政府に不信を買いかねない。そんなことをしてもデメリットしかないので、ブリタニア帝国であっても軽視できないだけの力をつけてから国交を持つという選択をしたのだ。

 

 

 

 ブリタニア帝国、大日本帝国、アトランティス帝国の三カ国は、巨大星間国家にして異世界にわたる技術まで保有している紛れもない超大国で、この時代からこの三カ国は三千世界の列強もしくは単に列強と呼ばれるようになる。

 

 そしてこの列強三カ国は下位世界の維持を目的として三国同盟を結び、協力しあうようになった。こうして下位世界をブリタニア帝国が一極支配する体制から列強三カ国で管理する体制に変わっていった。

 

 その一環として、これまでブリタニア帝国皇帝直轄機関であった三千世界監察軍は大幅な制度変更を行い、列強共同の国際機関『三千世界監察軍』として再編成された。それに伴い、三カ国で三千世界監察軍が公的機関として公表されるようになり、臣民にも知られるようになった。

 

 こうして誕生した新たなる監察軍であるが、やっていることは今までと変わらない。

 ブリタニアにある本部が各地の下位世界に存在しているトリッパー達の支援に周り、日本支部とアトランティス支部はそれぞれ自分の世界にいるトリッパー達の相互支援組織として活動する為、これまでと同じだ。

 

 とはいえ、これで監察軍がシドゥリの手から半ば離れる事になり、シドゥリにとっては少々リスクの大きなこととなっていた。

 

 しかし、ブリタニアに存在するトリッパーがシドゥリ一人だけである以上、シドゥリの死後はトリッパーがブリタニアを支配するという体制が崩壊してしまう。そうなった場合、ブリタニアが監察軍というトリッパーを支援するシステムを残していくのか?という不安があるため、保険を掛けざるを得なかった。また、異世界間転移技術の独占を止めて三カ国に分散させたのも、いざという時のリスク分散が理由である。

 

 シドゥリは、『魔法少女リリカルなのは』の世界で監察軍を集中管理していた為に、第一次ベヅァー戦争で監察軍が一気に叩き潰されたしまったという事態を反省して、監察軍を『魔法少女リリカルなのは』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『∀ガンダム』の三つの下位世界に分散する事にしたのだ。

 

 これならば今後ベヅァーが復活して、監察軍の拠点がその下位世界ごと滅ばされる事態になっても、どれか一箇所でも残っていれば監察軍というシステムを残していけるだろう。

 

 

 大日本帝国は長き渡る鎖国体制を終わらせて他国と国交を持つようになったので、外交を行うために外務省が設立された。

 

 ちなみに国交といっても、21世紀の地球のように他国に海外旅行ができるわけではない。三カ国はそれぞれ別の下位世界に存在しており、それぞれの世界を行き来するにはユグドラシル・システムが必要で、とてもではないが一般人が使えるような代物ではなかった。その為、外国人の観光はなく、貿易というのも存在しない。

 

 とどめに三カ国とも巨大星間国家なだけに資源、市場、安全保障のいずれも自己完結しており、交流を持つ必要がなかった。

 

 外交においても三カ国に属さないとある下位世界の宇宙空間に設置しておいた外交専門のスペースコロニーに大使館などを設けて、そこで三カ国の外交が行われるという徹底振りだった。

 

 これはそれぞれの世界の安全保障への配慮もあったが、三カ国ともあまりにも長く鎖国状態が続いていたため、行き成り他国と距離を詰めるのを嫌ったためであった。

 

 かくして、三カ国は付かず離れずの国交を持つようになった。

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