番外編1
皇紀13521年(アトラス暦11011年=シドゥリ暦13041年)
正暦という時代が終わってから20年がすぎていた。その日、三千世界監察軍日本支部支部長を務める佐天令子はある報告を受けていた。
「はあ、テラフォーミングを終えたばかりの無人惑星に謎の武装勢力が現れたですって?」
大日本帝国では複数の銀河系でテラフォーミングを行っており、テラフォーミングが完了した惑星に入植するという手順を踏んでいた為、テラフォーミング作業中や完了直後は日本人がだれも住んでいない無人惑星であるというのは別に珍しくなかった。
しかし、日本人が入植していないにもかかわらず、謎のゲートが出現してそこから正体不明の武装勢力がこちらの惑星に出てきたという事例はこれまでなかった。
言うまでもないが、いくら入植前の無人惑星とはいえ該当惑星は大日本帝国の領土であり国費を投じてテラフォーミングを行った惑星なのだ。いくら臣民がだれも住んでいなくてもよそ者がかってに乗り込んできたというのは面白いわけがない。だが、いきなり武力行使で排除するわけにもいかないので、ひとまず使者を贈ることにした。
日本が送り込んだ使者が持ち帰った情報で相手が21世紀の中国人であることが分かった。更に世界情勢などから『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』の世界であることが判明したのだった。
あちらでは原作通り日本が東京銀座に侵略した帝国軍を返り討ちにして、逆に特地に自衛隊を送り込んでいる状態で、中国は日本にゲートを国際社会に開放するように要求していたところで自国内でゲートが出現した為、そこに人民解放軍を進行させたというわけであった。
当然日本は中国に即時退去を要求して問題のゲートを撤去、または破壊しようとしたが、中国はそれを拒否した。またこちらが大日本帝国であったことが問題で中国が反発するだけでなく、異世界の捏造されまくった歴史的問題を出して謝罪と賠償を要求しだしたのだ。
これらの問題はあちらの地球でも問題になったものの中国だけでなく特定アジア諸国がのきなみ大日本帝国に反発しており、現地の日本国も左翼が大日本帝国に強く反発するという事態になった。
当然ながら、これには大日本帝国は大激怒して、宇宙艦隊を用いて即座に該当惑星に存在するゲートを未だに居座っている人民解放軍ごと宙対地攻撃で粉砕した上にゲート世界の中国本土にも宇宙艦隊による宙対地攻撃を行い、一方的に壊滅させた。
はっきり言って21世記の中国など大日本帝国にとって軽く吹けば吹っ飛ぶような弱小国家に過ぎず、いくら中国があがこうが鎧袖一触で蹴散らされてしまったのは当然の事だった。
これによって中華人民共和国は崩壊して、その余波で現地では経済的混乱が起こってしまったが、そんなことは大日本帝国には関係なかった。
「まったく中国の馬鹿共にも困ったものね」
令子は中国の暴走に愚痴をこぼした。一連の攻撃で中国は直接攻撃だけでも数千万人もの犠牲者が出ており、経済的混乱などによる二次被害においてはその数倍はしていたが、国内世論は彼らに同情などしていなかった。
そもそも大日本帝国は三千世界の列強国家という自負があり、それがあの程度の連中にあそこまでコケにされて黙っていられないのだ。「そんな理由で」、と思う者もいるかもしれないが、面子というのは国家にとって大事なもので、それを守る為には多少の無茶もするのだ。
「とはいえ、こちらにつなかったゲートを早期に破壊できたのは幸いだったわ」
原作ではハーディが作ったゲートには致命的な欠陥があったが、そもそも常時異世界間をゲートで繋げるというのは無理があるのだ。監察軍とて必要な時に短時間だけゲートを展開して異世界間を移動することで余計な負担を掛けないようにしているが、あれにはそんな安全対策などしていない。はっきり言って不良品としかいいようのない代物だった。
もしも、中国に一々付き合って長々とあのゲートを繋ぎっぱなしにしていれば原作のように私たちのいる世界(宇宙)ごと次元震に巻き込まれて国土の各地で被害が出ていただろう。その為、穏便に早期解決するのが無理と見るや速攻で武力行使で中国を粉砕したのだ。
その結果、大日本帝国に出現したゲートは僅か一ヶ月ほどで消えることになり、こちらにこれといった被害はでなかった。
「問題はあの世界の日本ね」
21世紀の日本の左翼たちは大日本帝国を口やかましく非難しており、それが国内世論を刺激していた。まあ、偉大なる大日本帝国の臣民としてあの世界の日本人の姿に憤りを感じるのは無理もない。
しかし、だからといって介入するのは面倒なのでさっさと撤退して関係を断ちたいのだが、熱しやすい臣民たちはその辺りの損得勘定ができておらず、世論の突き上げが酷かった。
「まったく所詮は異世界なんだから撤退してしまえば関係ないというのに」
令子としては余計なことに目くじらを立てる臣民にいら立っていたが、こうなると、なんらかの手を打たないといけない為、この問題の解決に頭を痛めたのだった。