文明の埋葬者   作:ADONIS+

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番外編2

 その日、大日本帝国軍人の秋山祐一(あきやま ゆういち)大佐率いる『第一MS部隊』は、上層部からある命令を受けていた。それは現在問題となっているゲート世界の日本国に対する出動命令だった。

 

 この第一MS部隊は『ガンダム部隊』や『ニュータイプ部隊』などと呼称されており、その名の通り、使用する機体をガンダムタイプのMSで統一し、所属するパイロットはニュータイプで統一されているというかなり特殊な部隊だった。

 

 そもそも大日本帝国では人型ロボット兵器は可変戦闘機で統一されており、MSは試験的に使われているに過ぎないマイナーな代物だった。

 

 またニュータイプにしてもスペースコロニーを主な生活空間としていた宇宙世紀時代と異なり、主に高度なテラフォーミング技術によって地球と同じ環境の地球型惑星で生活するようになった日本人からニュータイプが出現することは極めて稀で、マイノリティな人材であったのだ。

 

 この部隊はそんなマイナーなガンダムタイプのMSとマイノリティなニュータイプを集めた秋山たちガンダムファンのロマンが詰まったかなり趣味的なものである。そのような摩訶不思議な部隊の存在が許されていたのは大日本帝国がガンダム世界であるという事と秋山の実績が大きかったからだ。

 

 とはいえ、ロマンの追及を優先している為、軍内部での評価や戦力的には今一だったりするが、これは仕方ないだろう。

 

 そもそも兵器という代物は量産性、整備性、運用性などを重視されるもので、実際大日本帝国軍ではその手の主力機動兵器は可変戦闘機ルシファーで統一されていた。

 

 いくらロボットアニメの世界だからといって現実にはアニメのように主人公機が無双するというわけにはいかないし、スーパーロボット大戦のような様々な種類の機体が混在する部隊などまっとうな軍隊から見れば非効率極まる無駄な存在なのだ。

 

 それでも秋山は様々なニュータイプ専用機のデータ収集という口実で部隊を維持していたが、やはり部隊としての実績もあった方がいいのは間違いないので、今回の任務はその意味では大きなチャンスだった。

 

 勿論、失敗したら目も当てられないが、相手が宇宙世紀時代の地球連邦軍にも劣る21世紀の地球国家ならばよほどのへまをしなければ問題はないだろう。

 

 つまり、秋山にとって今回の任務は失敗するリスクが低く、メリットが大きいという都合がよい事だった為、張り切って部隊を日本に向かわせたのだった。

 

 

 

 かくして秋山は監察軍で広く使用されているガーティ・ルー級巡洋艦三隻を伴い、ゲート世界の日本に行った。そしてこの三隻に搭載されたMS部隊を出撃させて示威行為を行った。ここで21世紀日本相手にアニメに登場する20m以下の人型ロボット兵器ばかり出して示威行為になるのかと思う人もいるでしょう。

 

 しかし、そのガンダム部隊にはガンダムダブルエックスとその専用ビットMS12機に加えて、最凶の黒歴史であるターンXまで含まれていたのだ。これらのMSは日本では極めて有名で、『∀ガンダム』や『機動新世紀ガンダムX』を見たことがある者ならばその脅威度は誰でも理解できるだろう。

 

 つまり、わざわざこちらの戦闘力を教えてやらずとも相手が勝手の最低でもこの程度の能力があると理解しているわけで、その意味では手間が省けるのだ。

 

 その行為は言うまでもなく砲艦外交以外の何物でもないが、∀ガンダム世界の大日本帝国とゲート世界の日本国の差を考えればこれでも紳士的な方だろう。その狙い通り、ダブルエックスやターンXを見た日本政府は大いに慌てたのだった。

 

 

 

 その結果、日本政府は此方の要求通り国内の左翼主義者たちを大々的に締め上げた。それは外患罪を超法規的に拡大解釈して、彼らの行動を『大日本帝国との関係を悪化させて勝ち目のない戦争を誘発して国家を滅亡させかねない重大な犯罪行為』と定義して問答無用で拘束、牢屋に放り込むという過激な行動だった。

 

 これには批判が出たが、日本政府の「彼らの行動を放置して戦争になれば中国の二の舞になる。国家の主権と国民の生命財産を守る為にはこうするしかありません」と、いう主張に多くの日本人が同意した。

 

 やはり中国の悲惨な現状から、それを避ける為なら多少の無茶は仕方ないと思うのが普通の人間なのだ。中には反発する者もいるが、それは日本政府の国家権力に抑えられて沈静化したのだった。

 

 こうして、日本の過激な左翼は抑えられ、日本政府は大日本政府に謝罪することでこの問題は穏便に解決し、大日本帝国はゲート世界から何とか撤退したのであった。

 

 

 

 正直、いくら日本人でも政治家とかはガンダムに詳しくなくて示威行為にならないかという不安もあったが、流石に大日本帝国が『機動戦士ガンダム』から『∀ガンダム』へと続く黒歴史の世界の国家ということで、その手のガンダムシリーズの情報収集ぐらいはやっていたようだ。

 

 まあ、いい歳した政治家や官僚が情報収集として大真面目にガンダムアニメを視聴するというのは想像するとシュールな光景だが、現実的に彼らはそうするしかないのだろう。

 

 余談であるが、秋山たちが出撃させたガンダム部隊に政治とは関係ない多くの一般人なガンダムファンが燃え上がり、大いに話題になった挙句、ガンダム祭りを巻き起こすのだった。

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