大日本帝国に一世紀近くも遅れていたが何とか宇宙進出を果たした地球連邦は、これまでの西暦から宇宙世紀と暦を改めた。
この切っ掛けはこれまでの国家間の垣根を取り払い地球連邦政府が樹立した事(大日本帝国を除く)。そして増えすぎた地球人口による環境対策や食糧問題、新たな資源開拓などの必要性から宇宙開発を推進する各界から従来の価値観を引きづる西暦に代わるものが必要だという意見が出たからであった。
こうして、西暦2045年。地球連邦の宇宙移民の開始を以って暦を宇宙世紀(U.C.)に変更されることになった。
ちなみにこの世界の大日本帝国ではそもそも西暦は一般に使われておらず、天皇陛下の即位で数え直される元号と、皇紀(こうき)が主に使われていた。その為、西暦が宇宙世紀に変わったとしても日本人からすれば「余所の国では宇宙世紀になったみたいだね」と完全に他人事であり、あまり関係なかったりする。
こうして地球連邦が地球からスペースコロニーの住民(スペースノイド)を支配するという構造が出来たが、当初はそれほど問題は起きなかったが、地球連邦は次第にスペースノイドに対する搾取と支配を強めるようになり、地球とスペースコロニーの格差が拡大した。これに反発したスペースノイドがスペースコロニーの自治権を地球連邦に求めて地球連邦と衝突するようになる。
この問題を煽ったのが、大日本帝国の存在であった。当時の日本は火星圏のラグランジュ・ポイントを拠点としてスペースコロニー国家になっていた。
大日本帝国は地球発祥の国家でありながら地球の重力を振り切り火星圏にまで進出するだけでなく、スペースコロニーに遷都して、君主(天皇)までスペースコロニーで生活していたのだ。
最も日本支部から言えば、日本列島が災害多発地域で資源がないという将来性の無さから日本列島に見切りをつけたのと、コロニー落としなどの宇宙世紀の戦災で受ける被害を抑えるためにすぎなかった。とはいえ、この大日本帝国の行動に地球圏のスペースノイドの多くが好感を持ち、相対的に地球に住むエリートがスペースノイドを見下している地球連邦への反発は余計に高まってしまった。
ちなみにこの世界の日本は火星のテラフォーミングはわざとやっていない。確かに第二次宇宙遷都以前にいち早く火星に到着して領有宣言をしていたが、火星は宇宙世紀に介入する為の仮の拠点にすぎなかったのだ。だから日本人は火星に住んでおらず火星圏のスペースコロニーで生活していた。
こうした背景により、宇宙世紀0058年に単独での自給自足が可能になったサイド3でジオン共和国が成立した。これに対して地球連邦はジオン共和国に経済制裁を実施しため両者の対立は強まっていった。
この状況にほくそ笑んだのは大日本帝国であった。当時の日本は確かにいち早く宇宙進出を行い技術革新を行って地球連邦を大きく引き離していたが、地球連邦との人口に大きな差があった。当時の日本人が5億人ほどであったのに対して、地球連邦は100億を超えていたのだ。
この圧倒的な人口比率はさすがの日本も軽視できず、もしも地球連邦が失策などせずにスペースノイドを上手くまとめ上げて日本に敵対して来た場合、いくら日本でも宇宙世紀のイベントを楽しむなどと言ってられなくなり、太陽系から撤退するしかなかっただろう。だが、その可能性はなくなった。
これでジオン公国が一年戦争で増えすぎた人口を間引いて地球連邦とスペースノイドの関係を徹底的に破壊してくれればいい。そうなれば地球圏は弱体化した挙句、バラバラに分裂していくだろう。
その仕掛けとして日本は経済制裁によって困窮したジオン共和国と接触して支援するようになった。表向きの名目は地球連邦の不当な経済制裁で困窮するサイド3の民衆に対する人道支援としていたが、その裏ではジオン共和国にミノフスキー物理学や、それを利用したミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉、そしてそれを搭載したモビルスーツ(旧ザク)などの技術を提供していた。
実は日本がここまでしたのは、原作でミノフスキー粒子を発見したトレノフ・Y・ミノフスキー博士がこの世界には存在しなかったからだ。
どうも日本支部の歴史改変の影響を受けたものだと思わえるが、流石にこれはガンダムの世界観をぶち壊しかねない事態であった為に、日本が発見した新しい粒子としてミノフスキー粒子と名付けて無理矢理ミノフスキー粒子にした。最もジオン共和国側は日本人が発見した粒子と技術なのに、わざわざミノフスキーという日本らしくない名前にした理由が分からないままだった。
この結果、サイド3では人型ロボット兵器MS(モビルスーツ)の開発が史実よりも早く進められるようになる。その間にジオン・ズム・ダイクンが死亡してザビ家が独裁体制を取る様になり、ジオン共和国はジオン公国になったが、それはどうでもいい事だった。
肝心なのは史実よりもジオン公国の軍事力が強化されていった事で、これによって一年戦争で地球連邦の被害が拡大すれば儲けものであった。
この一連の動きには地球連邦も警戒したが、ジオンが工作機械として開発していたのはおおよそ戦争の役に立つとは思えない人型ロボット(旧ザク)だった。また、ジオン側は意図的にこのモビルスーツの映像(どこにも軍事的価値を見いだせない)を一般に公開して地球連邦を油断させようとした。
このジオンの策は大いに成功して連邦は油断した。もし、彼らがミノフスキー粒子の存在を知りそれを用いた戦争を予想していればこうはいかなかっただろうが、日本とジオンはミノフスキー粒子の存在を隠蔽していた為に連邦は知る由もなかった。
こうして、宇宙世紀0079年に地球圏は大規模宇宙戦争に突入する。
ジオン公国は地球連邦政府に宣戦布告して、その直後に地球連邦軍に先制攻撃を仕掛けた。月面都市グラナダを制圧。続いてサイド1・2・4の各スペースコロニーを壊滅。これで確保したスペースコロニーをジャブローに落下させる事で地球連邦を壊滅させようとした。
しかし、スペースコロニーは落下の衝撃に耐えきれずに分解して、コースが大きくずれてオーストラリア大陸のシドニーに落下した。この開戦から一連の戦いを一週間戦争と呼ぶが、一説によるとこの一週間戦争で地球圏の半数が死に至ったらしい。
この軍民を問わない凄まじい数の虐殺は、宇宙世紀において後にも先にもジオン公国のみであった。日本支部も日米戦争で暗躍して多くの人々を死に追いやったが、それすらも些事に見える程のスケールだった。
その後、ジオン公国は史実よりは善戦したが、やはり地球連邦との国力差と、ザビ家内部の確執などによって追い詰められてしまい地球連邦に事実上の降伏をすることになる。最もジオン公国は日本支部が求めた役割を既に達成していたので、それは問題なかった。
解説
■地球連邦政府
元々は圧倒的な大日本帝国の脅威に対抗する為に樹立した組織であるが、建前としては旧来の国家間の垣根を取り払った人類初の統一政体と主張している。しかし、原作と違って日本が参加していないから不完全なものとなっている為に、宇宙世紀には日本を下して真の人類統一を目指すことになるが、それは思うようにいかず後に衰退して滅亡する事になる。
■皇紀(こうき)
神武天皇即位紀元(じんむてんのうそくいきげん)の略称で、皇紀の他にも皇暦(すめらこよみ、こうれき)、神武暦(じんむれき)、神武紀元(じんむきげん)、日紀(にっき)などともいう。初代天皇である神武天皇が即位したとされる年を元年(紀元)とする、日本の紀年法である。