二人の魔女   作:ADONIS+

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プロローグ
1.魔法使い


 第一次ベヅァー戦争。それは下位世界の存続を目的とした三千世界監察軍に甚大な被害を与えた。その為、当時の監察軍はその立て直しに躍起になっていた。

 

 彼らがまず行ったのが、失ったトリッパーの増員だ。ベヅァーを抑え込むにはとにかくトリッパーの数を揃える必要があり、これは急務であった為に、トリッパー増員計画が進められていた。

 

 そして、それと並行して進められていたのが対ベヅァー兵器の開発だったが、実のところ、ブリタニア帝国で用意されていた対ベヅァー兵器である超16号がベヅァーに通用しなかったことから、思いっきり難航していた。

 

 これは、超16号は当時の技術レベルにおいて最高のスペックを実現しており、それを遥かに上回る人造人間を作り上げるのは至難の業だったからだ。

 

 それでも人道的な理由から一度は放棄したセル(ドラゴンボール)を参考にバイオテクノロジーを利用した人造人間計画を初めとして様々な研究が進められる事になったが、その一つとしてスーパーロボット計画が立ち上げられた。

 

 超16号は人間大のサイズで作れるロボットとしては最高の物であったが、やはり人間サイズではスペースの問題からパワー値も限られている。そこで50m以上の大きさのスーパーロボットであればその問題も解決できると言う考えだった。

 

 それにともない、監察軍ではゲッターロボ、イデオン、ライディーンといったスーパーロボットの無限力にかなり興味が持たれて盛んに研究されることになった。

 

 そうした研究の過程で、一時期デモンベインのような人間の為の鬼械神(デウス・エクス・マキナ)を作ろうという意見もあったが、それを操縦できる者がいないという問題があってそれは凍結されている。

 

 しかし、これは正直勿体ない。可能性があるのであれば試してみるべきだし、操縦できる者がいないのであれば作ればいいのだ。それは適当な転生特典を与えて育てれば事足りる。

 

 勿論、手間はかかるがベヅァーに対抗しうる戦力を得る為の必要経費と考えればやる価値はあるだろう。

 

 

 

「……というわけで、貴方達を魔女にスカウトします」

 と死神が言って来た。

 

「いや何で魔女なんです? 俺たちは男ですよ」

「そうだ。その通りだ!」

 

 真っ白でこの世とは思えない場所で、黒い服に身を包んで大鎌を持った髑髏という一般的な姿をしている死神の言葉に俺とこの場にいたもう一人の男が突っ込みをいれた。

 

「まぁ魔女は私の趣味ですよ。でも貴方達もこれを受けておいた方がいいですよ」

「どういうことです?」

「先ほども言ったように下位世界に転生しないのなら普通に輪廻転生の輪に戻るだけですが、貴方たちの次の転生先は虫の予定なんですよ」

「虫! 人間じゃないのかよ!」

「まぁ『一寸の虫にも五分の魂』と言うじゃないですか。そういうのもありなんですよ。さあ、どうします。このまま虫に転生しますか? それとも下位世界で魔女になりますか?」

 と、死神は言って来た。

 

「わかった。魔女になるとしよう」

「仕方ないな。俺もそうするよ。虫は嫌だ」

 

 俺ともう一人の男はしぶしぶそれを了承した。

 

 男なのに女に転生するのは好きではないが、これでは好き嫌いを言っていられない。

 

 それにしても、童貞で30を超えると魔法使いになれるという都市伝説は有名で俺もそれを知っているほどだが、まさか童貞の30過ぎで死んだら魔法使いではなく魔女に転生する羽目になると思わなかったな。

 

「まぁ私の趣味を押し付けるだけでは貴方たちに悪いので、貴方たちが優れた魔術師になれるように転生特典としてチート能力を上げますよ」

「おお、テンプレだ!」

 

 チート能力という言葉に反応する俺たち。

 

「まぁ能力の詳細については転生後に直接教えますからその時に試してください。あと質問はありますか?」

「俺たちの転生先はどの世界ですか?」

「そうですね。本当はデモンベインの世界と言いたい所ですがあそこは凶悪なので、最初は『GS美神 極楽大作戦!!』の中世ヨーロッパにします。まずはそこで中世魔法技術を習得してください。それからいろんな世界で魔法や魔術などのオカルト技術を学んでいくというのがいいでしょう」

 

 GS美神か。確か漫画を見たことがあるが、中世ヨーロッパとなると色々とありそうだな。

 

「それと貴方達は魔法技術を習得しやすい家に双子の姉妹として転生する事になります」

 

 双子ですか。まぁ分かり易くていいかもしれないね。「他に質問はありますか?」と、聞かれたがもう聞くこともなかったので、「ない」と答えた。

 

「では、転生します」

 死神がそう言うと俺たちは意識を失った。




解説

■第一次ベヅァー戦争
 シドゥリ暦2000年に破壊神ベヅァーが出現した事で勃発した戦争(超戦士伝説を参照)。このベヅァーは当時の三千世界監察軍本部とそこに存在していた多くのトリッパーを消滅させて、更に数多の下位世界に散らばっていたトリッパー達に刺客を送り付けることで抹殺した。最終的には超サイヤ人ミズナによって討ちとられたが、監察軍の受けた被害は甚大なものであった。

■トリッパー増員計画
 第一次ベヅァー戦争後に監察軍が進めた憑依型トリッパーを大幅に増員するための計画。その計画で大日本帝国とアトランティス帝国が建国されている。

■超16号
 ブリタニア帝国と監察軍が共同で開発していた対ベヅァー兵器。元々は全人工製の人造人間16号(ドラゴンボール)を監察軍の超技術で魔改造したもので複数体建造されていた。ブリタニア帝国では万が一にも暴走すれば自国を滅ぼしかねない事から最終兵器として扱われていたが、第一次ベヅァー戦争で現存するすべての超16号を投入したもののベヅァーにはまったく通用せずに撃破されてしまった。 

■死神
『ブリタニア帝国記』や『トリッパー列伝』などで、現実世界(上位世界)の人間をトリッパーにして下位世界に送り込んでいる存在。単独ではなく複数存在しており、個々に性格なども異なる。

■輪廻転生の輪
 上位世界では人間だけでなく動物や虫までも魂を持っており、それぞれ死後は転生するが、その転生する種族は決まっておらず、現世では人間であるが、来世では虫になるという状況も大いにありえる。
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