東京にきた私たちは美神除霊事務所を訪ねて、美神令子や横島忠夫にあった。
訪問の理由はドクター・カオスと揉めたGSを見てみたかったからという理由にしておいた。これはカオスが優れた霊能者の体を乗っ取ろうとして、美神がそれを撃退した事から不審に思われることはなかった。
「13世紀の魔女というから物凄い老婆を想像していましたが、こんなにお美しいお嬢さんたちだとは思いませんでしたよ」
と、言いながら横島が私たちに馴れ馴れしくしてきた。
しかし、これでもまだマシになった方で、初めて会ったときは「生まれる前から愛していました」と、言いながらルパンダイブをして飛びかかり美神に殴られていた程である。正直な話、男は趣味じゃないので横島のセクハラに付き合うつもりはないが、原作の主要キャラなのであまり無下にもできない。
ちなみに私の容姿は雪村 涼乃と全く同じものだからかなりの美少女で、アイシャも緋宮あやりの姿なのでこの私に劣っていません。おまけに十分歳を取っているから私たちに手を出してもロリコンにならないという免罪符から、アプローチがそれなりにある。といっても相手にしないけどね。
「話が進まないから、あんたは黙ってなさい」
「は、はい」
美神が横島を叱責して私から引き離した。
「うちの丁稚が迷惑を掛けたわね」
「いえ、気にしていませんわ」
「そう、ありがとう」
美神としては私たちを無暗に怒らせたくないのだろう。ある程度配慮していた。横島の横槍がなくなったから美神と世間話を多少したが、そろそろ頃合いなので帰る事にした。
「さて、挨拶も終わりましたから、私たちはこれで失礼します。美神さん機会があればまた会いましょう」
「ええ、そうね。また会えるといいわね」
こうして私たちは美神除霊事務所を後にした。
「さてと、これで仕込みは十分ですね」
私がわざわざ美神と横島にあったのは美神たちが13世紀に時間移動する際の仕込みだった。あの二人は私たちの事を知っていたから未来の私たちは二人と合ったことがあると判断したのだ。
そうなると、どういった形で会う事になるかが分からなかった。というものこの世界の私たちはGSになっておらず、除霊作業をやっていないからGSそれも日本の民間GS事務所の二人との接点が分からなかったのだ。
私の予想では何らかの形で知り合いになると思うが、予想できない面倒な形でそうなるよりも自分から会いに行った方がいいと思ったのだ。幸いカオスが美神と対立したので丁度いい口実ができた。
それに私たちにとってキリスト教圏の欧州は居心地が悪いから、原作の舞台である東京に移住するついでにという理由もある。今の欧州は魔女狩りがなくなったとはいえ魔女というのはマイナスイメージが付きまとって何かと息苦しいです。
しかし、東京は地価が高いし広い土地の確保が難しいから、異界空間に闘神都市ソドムとゴモラを持ち込んで、そこを居住空間及び拠点としておいた。実のところ私たちはランス世界で闘神都市を建造してランス世界から撤退するときに闘神都市も持ち帰ったわけですが、その後の運用では問題が出ていた。
それはDQ3世界やバスタード世界でも闘神都市は悪目立ちし過ぎて持ち込めないという問題があったからだ。
闘神都市はあくまで空中都市でしかないから、宇宙空間に持ち込んで運用するなんてできないから隠密性という点では最低の代物だ。その為、ソドムとゴモラを監察軍が存在しているリリカル世界の無人世界に凍結するという手段を取らざるをえなかった。
リーラやエーファなどの人造人間たちはその闘神都市の管理の為に残して、私たちは異世界で活動する事にした。それ以降は時々闘神都市を改良したりする程度で基本的に闘神都市にいる時間は少なかった。
そんな状況だっただけに闘神都市ソドムとゴモラをGS世界の異界空間に持ち込んで使用すると伝えた時にはリーラとエーファは喜んでいた。彼女たちからすれば私たちの専属メイドという役割なのにそれを果たせない状態だったのが不満だったのだろう。そう考えると悪い事をしてしまったね。
そんなこんなで、現在の私は久しぶりに起動させた闘神都市ソドムのチェックをしている。それは長らく浮遊などの最低限の機能以外は停止させていたから、不備が出ている可能性があるからだ。
最もこのソドムとゴモラは何万年でも使えるようにメンテナンスフリーを追及しているからあくまで念のためですよ。
「エリーゼ様、マナバッテリーと霊子動力炉のチェックが完了しました。いずれもこの世界での使用に問題ありません」
「そう、それはよかったわ」
正直汎用性が割と高い霊子動力炉はともかくランス世界のマナバッテリーはちゃんと動くか心配だったんですよ。あれが使えないと人造人間たちの魔力充電が上手くいかず、私が直接魔力を与えないといけない状態になるからね。
ちなみに私の作った人造人間は電力ではなくランス世界の魔力で駆動するようになっていて、あまりにもマナバッテリーが使えないようであればマリアの様に電力で動くように改造する事も検討していたのだ。
電力もそうだけど下位世界における科学の汎用性は凄まじいものがあり、神秘や魔術などのオカルトはこの点では科学の足元にも及ばない。正直に言うと、オカルトの専門家である私にとっては複雑な思いです。
やはりオカルト一辺倒では駄目で、科学とオカルトを上手く融合させる事が私たちの目指す道になるでしょうね。
「さてと、先ほども言ったけど明後日にはカオスをここに招待するから歓迎の用意をしておいてね」
「かしこまりました」
そういえば、このソドムにトリッパー以外の客を招くのは初めての事であったね(リアルラピュタなこの空中都市に観光目的で来たトリッパーは過去に存在していた)。
かつて仮初とはいえ味方だった聖魔教団の連中であってもここに招待なんぞしたことがなかったが、古き友であるカオスには見せておきたくなったのだ。
私が下位世界人に対して友情などという思いを抱くとは正直思わなかったが、私にも人間らしい情という物がちゃんとあるという事でしょうね。
解説
■リリカル世界の無人世界
『魔法少女リリカルなのは』で登場する次元世界は無限に思えるほどの膨大な世界を内包しており、その世界の中には人間が住んでいる世界もあれば人間が住んでいない無人の世界もある。
■マナバッテリー
ランス世界の聖魔教団が開発した魔力増幅装置。闘神都市に補助機関として使われており、魔導砲のエネルギー供給や、人造人間たちに魔力を充電させ、闘神に対するエネルギー供給などに使われている。