二人の魔女   作:ADONIS+

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24.時間移動

 カオスから美神たちが時間移動したと連絡が入ったので、私たちは美神除霊事務所に行くことにした。

 

 そこでは、おキヌとカオスが話し込んでいた。

 

「おう、お前たち来たか」

「エリーゼさん、アイシャさん大変なんです!」

 

 落ち着いているカオスはともかく動揺しているおキヌはちょっと面倒ですね。

 

「話はカオスから聞いたわ。おキヌちゃん落ち着いてちょうだい」

「で、でも…」

「心配しなくても時間移動した美神たちの行先には心当たりがあるわ」

「そうじゃな」

 

 そう、私とカオスは美神たちの行先などとうに知っている。

 

「どういうことですか?」

「実は私とアイシャとカオスの三人は13世紀に時間移動してきた美神たちと合ったことがあるのよ。今回はその時間移動の筈です」

「そ、そんな事があったんですか。じゃあ美神さんは?」

「落ち着いて、結論を言えば確かにいろいろあったけど、ちゃんと未来に時間移動したはずだからそのうち帰ってくるわよ」

「そうなんですか?」

 

 私の返答に安心したのかおキヌは喜んでいた。

 

「まぁここで待つだけというのも暇でしょうから、あの当時の昔話でもしましょうか。カオスもいいでしょ?」

「おお、懐かしいのう」

 

 私の言葉にカオスは賛同したので、13世紀の昔話に興じる事にした。

 

 

 

「……とまぁそんな事があってな。ワシはヌルの施設を分捕ってそのまま50年ほどその地で研究をしておったんじゃ」

「そうだね。あのヌルの施設は本当に凄かったよ。おかげに研究の役に立ったわね」

 

 老人の昔話は長いと言うが、私たちとカオスの生きた時間は並の老人では歯が立たない程です。それだけに話す事には事欠かないですね。そんな風に話し込んでいると、美神たちが出現してきた。

 

「美神さん、横島さん、よかった無事だったんですね」

 

 美神と横島が無事に帰って来たことにおキヌは大喜びしていた。カオスはカオスでマリアの無事を喜んでいたし、マリアがマリア姫から託されたメッセージを聞いてカオスがしんみりとしていた。

 

 そんな風に、ここで終わればいい話だろうが、カオスが美神の荷物に気が付いた。それは大昔にいつの間にかなくなっていたカオスの道具だった。

 

「これはワシの道具ではないか! いつの間にかなくなっていたと思ったらお前がガメていたのか!」

「お、大昔の事でしょ。時効よ」

「時効って」

「この人は時間移動能力何て持つべきじゃないな」

 

 美神のあんまりな行動におキヌや横島も呆れている。まったくです。折角昔の事を思い出して感傷に浸っていたのに台無しですよ。

 

 それに美神のやっている事は時間犯罪そのものですね。過去で犯罪を犯しても、大昔の事だから時効と言い切るなんて困ったものです。

 

 しかし、これは無視できませんね。時効うんぬんで無罪か有罪かはともかく、これらの道具はカオスの道具で、美神によって盗まれた盗品であるという事実は変わらないのだから正当な持ち主に返却するべきです。

 

「美神さん大昔だろうが、貴女がカオスの貴重な道具を盗んだ事には変わりはありません。悪い事は言わないからそれらの道具はカオスに返す事です」

「嫌よ。これは私の物よ」

 

 どこまで強欲なんだこの女は? というか何でここまで金銭欲が強いんだか、お金なんて生活する為に必要とする物や目的を果たす為に必要な物があれば十分な筈だ。いくら私でも他人の物を盗んでまで金銭を得ようなんて思わないぞ。

 

 大体、貧しい子供生活を送った事で守銭奴や金の亡者になったという話はよく聞くが、美神家は貧しいどころか、一般家庭に比べたらそれなりに裕福な家庭だった筈だ。それなのになんてこんな風になるのだか。まったく訳がわからないよ(byキュゥべえ)。

 

 私は転生してからお金に困った事などないから、理解不能なのもあるけどね。何しろ金なんか系統魔法の錬金(ゼロの使い魔)を使えばいくらでも調達できるし、監察軍のバックアップまであるのだ。これなら他人と考えが違ってくるものだろう。

 

 それはいいですが、これは何とかしないといけませんね。ふむ、ではこの手でいくか。

 

「そうですか。そこまで言うなら仕方ありませんね。では今回の事は美神公彦さんにご報告するとしましょう」

「な、何ですって!」

 

 父親に報告するぞ、という私の言葉に美神は顔色を変えた。

 

「貴方のお父さんもさぞかし悲しむでしょうね。娘が時間移動能力を悪用して盗みを働いたなんて聞きたくないでしょう。私もできればそんな事は言いたくはありませんが…」

 

 そこで言葉を切って、私は美神に視線を向けた。私は言外にどうなるかは貴女の行動次第だと伝えていた。それが分からぬほど馬鹿でもないだろう。

 

「う~。わ、分かったわよ。返せばいいんでしょ。返せば」

 

 流石にこれには美神も耐えかねて諦めたようで、大人しくすべての荷物をカオスに返した。

 

 えっ、これでも駄目だったらどうするのかって? 勿論、その場合は本当に美神公彦に報告していましたよ。その後で美神家が家庭内で揉めても知った事ではありませんからね。

 

 そういえば死津喪比女との戦いで、これらの盗品から美神が組み上げたカオス・フライヤーⅡ号が活躍していましたね。それがないとなると、下手をすれば美神たちが敗北して原作崩壊もありえますね。だから後で適当な魔法の箒を原価で美神に売りつけてやるか。それで何とかなるでしょうし、それでも駄目で、原作崩壊してしまっても私は別に困らないから別に構わない。

 

 しかし、これで私たちがこの世界でやるべき事は終わりましたね。もう、この世界で得る物もないでしょうから引き上げてもいいんですが、折角なのでアシュタロス編が終わるまではいるとしましょう。

 

 確かアシュタロス編では、宇宙処理装置によって世界中で悪霊、妖怪、魔族が大暴れして大混乱になるイベントがあったから、それをあの実験に利用できるかもしれないからね。

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