アシュタロスが宇宙処理装置を使い、地球各地で悪霊、妖怪、魔族の死者がアシュタロスの部下として復活した。彼らは地球規模で大暴れしていたので、現在では地球全土が大混乱になっていた。
しかし、不意にそんな状況に変化が訪れた。出現した悪霊たちが次々に消失していったのだ。
その原因は片田舎に配置されているディス・レヴと、それを囲む巨大な魔法陣だった。それはエリーゼとアイシャが設置した物で、この魔法陣によって制御されたディス・レヴはこの世界の死霊や悪霊を次々に吸収していった。
現在私とアイシャは魔法の箒に跨り、ディス・レヴが配置している魔法陣の上空を飛んでいて、ディス・レヴを遠巻きに眺めていた。
「悪霊どもの吸収は上手くいったね」
「ええ、地脈と魔法陣の補助があるとはいえ、何とかディス・レヴの実験に取り掛かれたわ」
このディス・レヴは、『第3次スーパーロボット大戦α』で登場する負の無限力を用いる機関で、理論上は無限のエネルギーを得られる物だ。
かつて監察軍は対ベヅァー兵器の開発の過程で様々な無限力に興味を示して研究を行った。その結果として、イデ、ゲッター線、ビムラー、ザ・パワー、ムートロンなども研究対象になったのだ。
しかし、これらはいずれも超エネルギーを内包した強大な力で、厄介な事に意志を有する為に人間が完璧にコントロールするのに手を焼く代物なのだ。
おまけにイデを筆頭に、暴走した場合は監察軍本部やブリタニア帝国が存在している宇宙そのものを滅ぼしかねないものであった為に、無限力の研究は、『スーパーロボット大戦α』の世界で行われることになった。
そんなわけで監察軍では無限力の研究はそれなりに進んでいたが、負の無限力であるディス・レヴに関してはまったく進んでいなかった。というのもディス・レヴがあまりにも危険過ぎた為に設計段階で開発が凍結してしまい、実際に起動実験が行われた事すらなかったからだ。
今回私たちはその危険極まりないディス・レヴを用いた実験を行っていた。それは地脈と魔法陣によって、ディス・レヴでこの地球中の悪霊を吸収するという大規模なものだった。
本来ならば、そんな実験を行えばすぐに露見して各国政府やオカルトGメンなどから突き上げをくらいかねないものであったが、今なら問題にならない。何故なら地球規模で大混乱に陥っている為に、そんな状況を把握する事などできないからだ。
要するにドサクサまぎれに派手な実験をやっているのですが、このディス・レヴはその性質からこの手の実験に向いていますね。
「やってくれましたね。エリーゼ姫、アイシャ姫」
「あらヌルじゃない。久しぶりね」
「本当ね。懐かしのキャラ再登場という所かしら」
そんな私たちの前に人間の姿をしたヌルが現れた。確かに原作でもこいつは宇宙処理装置で復活していたから、私たちの前に現れても可笑しくない。
それにしても私たちが姫と呼ばれるのは本当に久しぶりですね。ここ700年ほどなかったですよ。
「ええ、懐かしいですが、アシュタロス様の為に貴女たちには死んでもらいます」
「まぁそう言うでしょうね」
分かりきったヌルの行動に私たちは微笑して、その数分後にはヌルがズタボロになっていた。
「ずっと死んでいた貴方が私たちに勝てるわけがないでしょ」
「少年マンガは強さのインフラが激しいから嫌いです!」
私たちにボコボコにされたヌルがなんかメタな発言をしていた。700年ぶりのヌルとの戦いは、ハッキリ言ってまともな戦いになりませんでしたね。あの時はヌルは地獄炉のバックアップを受けて強化されていた上に、私たちは未熟だったから大いに苦戦した。
しかし、異世界での自己向上特に、DQ3世界、ランス世界、バスタード世界などでレベルアップを繰り返した私たちの魂の力は桁違いに高まっており、霊力は5000マイトを超えていた。当然ながら、人間の領域を遥かに超越しているので、そこいらの中級魔族なら圧倒できるのだ。
「しかし、このまま負けるものか!」
私たちにかなわぬと見たヌルは、私たちを無視してディス・レヴに突撃した。ヌルは悪霊を一掃した魔法装置(ディス・レヴ)を破壊しようとしたのだ。
「なるほどね。悪い選択ではないわ。でも愚かね」
「ぎゃああああっっ!!」
不用意にディス・レヴに近づいたヌルがディス・レヴに取り込まれた。
「私たちでさえディス・レヴの半径50m以内には近寄らかなったのに、魔族が迂闊に近寄るからそうなるのよ」
ディス・レヴには近づいた生命体を取り込むという危険極まりない特性がある。おまけに下手にディス・レヴを機体に搭載して実験すると、その機体を自律稼働させかねないので、ディス・レヴ本体のみで実験をやらざるを得なかったのだ。
ついでに言えば魔族は霊体が皮をかぶっているような存在で人間よりも遥かに幽霊に近いので、ディス・レヴとは相性が悪い。その為、ヌルはディス・レヴに取り込まれてしまったのだ。
私たちはそれを淡々と眺めつつも上空から観察を続けていた。
「こちらのデータはこんなものか。ハルヒそちらはどう?」
『ええ、こちらのデータ収集も大体終わったわ』
私はウィンドウ(空中モニター)に映るハルヒと通信を行っていた。
現在、衛星軌道上では監察軍の巡洋艦が存在しており、彼女たちには今回に実験に協力してもらっていた。彼女たちもディス・レヴの起動実験には興味があったのだろう。
勿論、こんな実験が許されたのは、この世界が監察軍の勢力圏ではないからだ。極端な話、ディス・レヴが暴走してこの世界に甚大な被害を与えても監察軍にとっては問題ないし、私たちもこの世界にそれほど興味はないから仮に滅んでも痛手ではないのだ。
そうこうしている内に、地球各地で暴れていた魔族や妖怪たちが次々に消失していった。どうやら宇宙処理装置が破壊されたようだ。となると、そのうち各国の混乱が収まるだろう。
「ハルヒ、そろそろ潮時なのでディス・レヴを処理してね」
『わかったわ。じゃあまた後でね』
ハルヒがそう言うとウィンドウが消えて、ディス・レヴもその場から消えた。ハルヒは手筈通り、ディス・レヴを太陽に転送したのだろう。
たった一回の実験でディス・レヴを使い捨てるのは勿体ないが、あれは危険すぎるので手元に置いておけないし、だからといってこの世界に放置する事はもっとできない。その為、太陽に転送して焼却処分するのが妥当だったのだ。
「しかし、実際生で見てみると、本当にディス・レヴは厄介ね。いくら私たちでも自力でアレを安全に制御するのは難しいでしょうね」
「やっぱり何らかの制御システムが必要だね」
「そうね」
私たちの目的の為にもディス・レヴの制御は必要でしょうね。リスクはあるが、あの力は魅力的なのだ。
解説
■ディス・レヴ
ディス・アストラナガン(第3次スーパーロボット大戦α)の動力源。怨霊や悪霊などの宇宙中の負の存在の集合体からなる「負の無限力」を吸収して、それを動力とする。また原作では「生命が輪廻転生する際の狭間の力を使っている」と語られており、実際には死霊や悪霊以外の力も使われている。
■負の無限力
バンプレストオリジナル。反イデとされる力で、悪霊や怨霊などの意識集合体からなるイデに匹敵する無限力。
■イデ
無限力の代表格。イデオンの力の源。
■ゲッター線
無限力の一種で、ゲッターロボの動力源。
■ビムラー
無限力の一種で、ゴーショーグンの動力源。
■ザ・パワー
無限力の一種で、木星に眠る無限エネルギー。
■ムートロン
無限力の一種で、ライディーンの動力源。
■ハルヒ
監察軍の所属するトリッパーの一人で、当サイトのSS『トリッパー列伝 涼宮ハルヒ』に登場している。