二人の魔女   作:ADONIS+

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26.若返り

 アシュタロス編が終了して数か月がたった。大混乱になった各国も体制を立て直して何とか持ち直している状態であった。最も私たちにとってはどうでもいい事であったが。

 

 それと以前にも言ったが、この世界のオカルト技術は13世紀の頃に比べて衰退しているので、この世界で吸収できる物はなかった。とはいえ神魔族の技術、特にアシュタロスの技術などは私たちでも興味をそそられる物だったから、ある程度の技術を回収しておきました。

 

 どうやってそんな物を回収できたのかというと、アシュタロス一味が世界中にある神魔族の拠点を潰しまわっている時期に、アシュタロスたちの不在をついて南極のアシュタロスの秘密基地に潜入しただけです。

 

 この南極基地は原作ではアシュタロスが撃ち込んだ核ミサイルを美神たちによって呼び戻されて吹っ飛んでいるからそれまでに調べておきたかった。というよりも神魔族たちとの戦いからその後の逆天号の被弾辺りがタイムリミットだと思う。流石にアシュタロスが帰ってくる時にいたら危険すぎるからね。

 

 そんなわけで、限られた時間内に調査を行う事にしたが、宇宙のタマゴの実物が沢山あって様々な技術の資料があったので、それらに習得していった。

 

 普通ならば宇宙のタマゴの実物とか資料とかを盗んでいく物だが、私たちの場合は宇宙のタマゴを初めと下様々なアイテムなどは触るだけで構造を理解できるし、資料などパッと見るだけで理解できる。その為、わざわざ実物を盗んでいく必要はないからやっている事はコソ泥っぽいけど、ただの不法侵入ですね。

 

 これは傍から見れば犯罪行為ですが、GS世界の法律では魔族の人権は保障されていないから、別に魔族の住宅に侵入しても犯罪ではないですよ。まさに盗賊に人権はない、もとい魔族に人権はないという状態です。

 

 私としては少しでも収穫が得られたらいいな、と思っていたが、想像以上の物が手に入ったので、まさに笑いが止まらない状態でしたね。

 

 さすがにその事が神魔族に知られたら彼らに目を付けられてしまい厄介な事になるから目立たないように注意しましたよ。実際、アシュタロス編では私は美神たちにはまったく関わっていないので、名前すら出てこない状態です。

 

 

 

 そんな事で、この世界で得られる物はないからこの世界から引上げることにした。本当は弟子入り拒否の為に、中世魔法技術関係の書物を出版でもしようかと思っていたが、引き上げるならば一々そんな事をする必要などなかった。

 

 引き上げるにともない、カオスとマリアに別れの挨拶をする事にした。挨拶をするのがこの二人だけなのは、この世界では美神たちとはそれほど関わりがない為にカオスとマリア以外に別れの挨拶をするほどの仲の者がいなかったからだ。

 

「そうか、名残惜しいのう」

「はい、ドクター・カオス」

 

 カオスはしみじみとしていた。まぁ彼としてもなまじ長生きしている為に昔の知り合いなど私たちしかいないという有様になっているからね。その私たちがこの世界を去るのは寂しいのだろう。

 

「カオス、これは餞別ですわ。時の砂の呪文(サンズ・オブ・タイム)」

「何じゃ!」

 

 私の呪文によって砂の様な物がカオスを包み、そしてそこから若い青年が現れた。

 

「こ、これはまさか!」

「そう、私の秘術で貴方を800年ほど若返らせたのよ」

「若返りを完成させていたのか!」

 

 私が使った魔法はDQ世界の呪文で、対象となる者の時間を操る事で若返りや老化など自在にできる代物だ。今回はカオスの肉体の時間を800年ほど巻き戻した為、カオスの外見は私たちが初めて会った全盛期のカオスに戻っていた。

 

「おお、この溢れる力。なんと素晴らしい」

「カオス、不老になったわけじゃなくてあくまで若返らせただけだから、800年後にはまた元の老人になってしまうからね」

「そうか。まぁ800年も若返ればそれで十分だよ」

 

 それもそうだ。カオスはすでに千年以上生きている上に今回の若返りでまた寿命が延びたわけですからそれで十分なのでしょう。

 

「そう、じゃあカオスもう会う事はないと思うけどお元気でね」

「うむ、さらばだ」

「さようなら、エリーゼさん、アイシャさん」

 

 こうして、私たちはGS世界から撤退した。

 

 ちなみにカオスの若返りによって、私たちが他人の若返りまで会得していた事が知れ渡って、大きな騒ぎになった。何しろ世の中は平等ではないので、一般人よりも権力やお金がやたらとある人間はそれなりにいるが、そんな彼らでも時間だけは平等です。誰もが等しく老いて死んでゆく物なんです。

 

 それだけに大金を払ってでも若返らせてほしいと思う者たちは眼の色を変えたが、肝心のエリーゼたちがこの世界からいなくなったから、すべて空振りになってしまった。

 

 こうして、これらの騒動も人類史上最高であろう魔女たちのエピソードとして後々まで語り継がれていくことになる。




解説

■盗賊に人権はない
 リナ・インバース(スレイヤーズ)の名台詞。彼女はそう主張して盗賊いじめをやっている。

■時の砂の呪文「サンズ・オブ・タイム」
 マンガ『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』で登場するオリジナル呪文。時間を操ることで若返ったり元に戻したり出来る。
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