二人の魔女   作:ADONIS+

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32.ネクロノミコン・機械語写本

 ミスカトニック大学を卒業した私たちは覇道鋼造にスカウトされた。これは原作にない展開で、恐らく私たちが卓越した魔術師であった為に彼の興味を引いたのだろうが、私たちはそれを丁重に断った。

 

 よくよく考えればイレギュラーである私たちが覇道鋼造と関わるとナイアルラトホテップに目を付けられる恐れがある。小説版軍神強襲で登場したエドガーのように排除される危険性は極めて高い。

 

 いくら私たちが強くでも現時点でナイアルラトホテップと戦えるほどではないから、それは避けるべきだ。そうした理由もあってアーカムどころかアメリカからも離れて、帝都東京に移住する事にした。

 

 190×年の東京では欧米人の美少女という外見である私たちはやたら目立った。21世紀と違って外国人が珍しくないというワケではないからね。

 

 しかし、私たちに視線を向ける日本人は多いが、実際に話しかける日本人はめったにいない。というのも日本語が通じるとは思っていないからだろう。

 

 現代でも英語などが下手なので外国人に話しかけるのを避ける日本人は多いから、この時代ともなればもっと酷いのだろう。

 

 ちなみにエリーゼとアイシャの元ネタは全然日本人に見えないが、一応日本人という設定だ。しかし、GS世界で欧州人として生まれた影響もあって私たちの外見はどうみても白人女性である。

 

 まぁ両親が中世ヨーロッパの人間なので遺伝子的に考えれば当たり前という考えもあるが、魔女を自称するからには見た目が日本人女性よりも白人女性がいいのは言うまでもないだろう。この辺りは死神のこだわりの結果かもしれない。まあ、そんな事はどうでもいいけどね。

 

 さて、東京暮らしですがやっぱり時代が古い事もあって平成日本とは違いますね。レトロな空気があるのでこれはこれでいいですけどね。

 

 しかし、この帝都東京はアーカム程ではないけど怪異が出てきます。思わず「サクラ大戦かよ!」と突っ込みたいぐらいアレな東京ですが、ここは無限螺旋とは関係が薄いからこの辺りは安全地帯であろう。アーカムよりはマシだね。

 

 

 

 そんな東京に来ましたが、実はここで学ぶような事がないので、取りあえず暇つぶしに魔導書を作る事にした。

 

 実は私たちはまだ魔導書持ちではない。書と契約できるだけの位階(クラス)にはとっくに到達しているがどうもしっくりと来なかったのだ。

 

 そういえばミスカトニック大学でも結局私たちが書を持たずに卒業した事を疑問に思っている者は多かった。というもの陰秘学科では優秀な生徒が書と契約するのは常識だったからだ。

 

 しかし、そこで契約できる書といっても所詮は二流の魔導書だ。あのネクロノミコン・ラテン語版ならばともかくそこいらの書では鬼械神(デウス・マキナ)を召喚できない。というか機神召喚の術式は魔術の奥義でもあるから最高級の魔導書でないと不可能だ。

 

 まぁ純粋な鬼械神(デウス・マキナ)は人間やめないと負担が大きすぎてまともに使えない代物だけどね。いくら私たちでも人外になるか、自分の命を削りまくって死ぬなどという結果は御免ですからどのみち鬼械神(デウス・マキナ)は最初から使うつもりはない。

 

 覇道鋼造も言っていましたが、私たちが欲しいのはこの先百年を戦い抜くことができる人間の為の鬼械神(デウス・マキナ)なのです。

 

 ここで魔導書といえば古臭い本をイメージするだろうが、私は斜め上を行くことにした。私たちが考えたのは覇道鋼造がデモンベイン制御用魔導書として用意したネクロノミコン・機械語写本だ。

 

 あれは機械がネクロノミコンの記述を理解できる言語で翻訳した写本で、最新の解析機関を使用することでのろまな人間を遥かに超える情報処理速度を発揮した。といってもこの時代相応の速度でしかないが、魔術と科学が上手く融合させる事でかなりの効果を発揮できていた。

 

 そこで私が思いついたのが原始的な解析機関などではなく、より高性能のコンピュータを用いたらどうなるかというものだった。

 

 それも現代日本のスーパーコンピュータなどではなく、ブリタニア帝国で主流となっている超光速演算が可能なタキオン型量子コンピュータをベースに使ったらどうなるだろうか?

 

 その凄まじい情報処理速度で魔導書の術式を行使できるとなれば、大規模な儀式魔術も完全に無人化することもできる。この辺りは『魔法少女リリカルなのは』のデバイスの発想にも通じる物があるが、これを利用すればあのディス・レヴの制御もできるかもしれない。

 

 元々、私たちはディス・レヴの制御に関しては科学一辺倒ではなく、オカルト技術を用いた実験をやっていた上に、それを発展させてオカルトと科学を融合させた制御方法を模索していた。

 

 それを考えれば高度な科学技術によって作られたタキオン型量子コンピュータのOSがオカルトたる魔導書の写本であるという非常識極まりない組み合わせもありだろう。

 

 まあ、タキオン型量子コンピュータといっても魔導書のハードとして使う以上ある程度の改良が必要だ。やはり鬼械神やディス・レヴとの相性を考えると純粋科学技術のコンピュータではなく、オカルト染みたコンピュータじゃないとね。

 

 そうなると『ふしぎの海のナディア』で登場するブルーフォーター(正式名はトリス・メギストス)あたりが有力かな? いや、あれは光コンピュータだったからそのままじゃスペックが低い。となるとブルーフォーターをタキオン型量子コンピュータに改造するのもありだろう。

 

 

 

 このアイデアから、魔導書用コンピュータ〝ネオ・トリス・メギストス″を完成させてネクロノミコン・機械語写本をそのOS(オペーレーティングシステム)としてプログラミングした。更にディス・レヴ制御用の術式もソフトウェアとしてネオ・トリス・メギストスにインストールしておいた。

 

 これらを用いた実験は概ね成功してディス・レヴを安全に使用できるようになった。なお鬼械神(デウス・マキナ)とディス・レヴの制御に用いられたネオ・トリス・メギストスのネクロノミコン・機械語写本はディス・レヴの強大な負の霊力を浴び続けた結果、僅か数年で精霊として実体化できるようになったが、それは余談である。




解説

■ナイアルラトホテップ
 ナイアーラトホテップ、ナイーラソテップ、ニャルラトホテプ、ニャルラトテップなどとも表記される。クトゥルフ神話などに登場する架空の邪神。デモンベイン世界では物語の黒幕である。

■サクラ大戦
 セガサターン用ドラマチックアドベンチャーゲームで、大正時代の東京が舞台であるが、魔装機兵や降魔が跳梁跋扈する世界観である。

■デバイス
 デバイスは魔導師(魔法少女リリカルなのは)が使用する機械仕掛けの杖で、このデバイスの補助によって魔導師は詠唱を必要とせずに強力な魔法を行使できる。

■タキオン型量子コンピュータ
『宇宙戦艦ヤマト』の世界で入手した超光速で動く粒子(タキオン)を用いたコンピュータ。超光速で演算できる為に何らかの方法で物理法則の壁を超越できるのならば、これを用いた機体は超光速の機体制御が可能になる。

■光コンピュータ
 現代のコンピュータは電子や電気を使った動作・制御を用いて記録や情報処理を行っているが、光コンピュータは光(光子)のみで動作・制御するコンピュータである。その性能は2010年代最速のスーパーコンピュータであっても一千万年はかかる演算をわずか一瞬で処理可能なほどで、まさに究極のコンピュータと言えるが、あくまで光の速度で演算するためタキオン型量子コンピュータよりも性能が低い。

■ブルーフォーター
『ふしぎの海のナディア』に登場する青色の結晶状アイテムで、正式名はトリス・メギストス(賢者の石)。金属位相体オリハルコンでできた三次元基盤の光コンピュータで光のエネルギーを固体状態にしており、死んだアトランティス人の魂が帰る場所と推測されるなど妙にオカルト的なコンピュータである。

■ネオ・トリス・メギストス
 エリーゼたちがブルーフォーターをタキオン型量子コンピュータに改造した代物。外見はブルーフォーターと同じく青色の結晶状の形をしている。鬼械神のメインコンピュータであるが魔導書として携帯も可能で、人型に変形して精霊形態になったり、そこから更に魔術師と融合してマギウスモードになれる。ブルーフォーターことトリス・メギストスを新たに作り直した為に新たな賢者の石(ネオ・トリス・メギストス)という名称にしている。

■OS(オペーティングシステム)
 OSはコンピュータのハートウェアを操作する為の基本ソフトの事で、代表的な物としてはパソコンのWindowsシリーズが上げられる。
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