二人の魔女   作:ADONIS+

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40.消化試合

 第五使徒戦が終わって暫くして農協ロボもといJA(ジェット・アローン)が発表されたが、この世界ではネルフが干渉しなかった為に、JAは暴走することなく発表会を終えた。これは今のネルフに妨害工作などしている余裕がなかったからだ。何しろ戦績が一不参戦と二敗。これでは役立たずと言われても文句を言えない。

 

 そんな時期に第六使徒がエヴァンゲリオン参号機を輸送している国連軍太平洋艦隊を襲撃した。太平洋艦隊は強力な艦隊であるがA.T.フィールドの反則的な防御力には対抗できない。その為、彼らは使徒迎撃の実績を有する特務部隊デモンベインに救援を求めた。

 

 余談ではあるが、太平洋艦隊にはエヴァ参号機が乗っているが、パイロットのトウジは本部で訓練の為に不在なので動かせなかった。まぁ例え動かせたとしても陸戦タイプのエヴァンゲリオンでは海戦などまともにできないからどうにもならなかっただろう。

 

 そんなわけで私はカーリーで即座に戦いを挑んだ。言うまでもないが私のカーリーは鬼械神アイオーンのシャンタクのようなフライト・ユニットがなくても自力で高速飛行(超光速巡航)が可能なので、その外見はいつもと変わらない。

 

 そんなカーリーでも海中にいる敵を叩くのはこれまでとは勝手が違うが、そんな些細な事は問題にならない。

 

 私がカーリーを介して発動させた魔術によって第六使徒は空中に引きずり出した上で、ハイパーボリア・ゼロドライブで仕留めた。

 

 こうして第六使徒戦は終了したが、手ごたえがなさすぎた。確かに使徒はこの世界の通常兵器では倒せない強さであるが、カーリーやドゥルガーを使うほどの相手ではない。正直、蟻を潰すために核兵器を使っているような過剰なところがあると言わざるをえない。

 

 最近では消化試合というか、単純作業をやっているようで飽きて来たから予定を切り上げる事にした。どうせネルフが第十七使徒戦まで持ちそうにないから遠慮など無用だ。

 

 

 

「エリーゼ、アダムの処理は終わったよ」

 

 使徒殲滅が終わり、アーカムシティで覇道邸の主である六十代程の老人(覇道一鉄)と優雅に茶を飲んでいるとアイシャがそう報告してきた。

 

 私は今回の使徒戦で太平洋艦隊にアダムが持ち込まれる事を原作知識で知っていた為に、アイシャにアダムの処理を依頼しておいた。

 

 常人では太平洋艦隊で運ばれているアダムをどうこうすることはできないだろうが、数多の世界の魔導技術を極めた私たちにとってその手の工作は容易い事であった。

 

「そう、ご苦労様でした。これで使徒によるサードインパクトは阻止できるわ。後はネルフを潰すだけね」

「しかし、よろしいのですか?」

 

 予定の切り上げに一鉄がやや心配しているようだ。

 

「確かに予定とは違うけどネルフは最後まで持ちそうにないからね。それならこちらから動いて主導権を握った方がいいでしょう?」

「確かにそうですな」

 

 現在のネルフは崩壊寸前で、各国でネルフ不要論が異常なまでに高まりいつ潰されても可笑しくない状態だった。最早第十七使徒戦まで持たないだろう。何しろ、各国にあるネルフ支部の職員たちは沈みゆく船から逃げ出すかのように次々に辞職しており支部の維持すら不可能な状態になっている。ゲンドウによってイエスマンばかり揃えられているネルフ本部でさえ辞職者がかなり出ているのだ。

 

 この世界のネルフがここまで追い詰められている理由として、原作と違ってネルフ以外に使徒を殲滅可能な組織が存在している事と、ネルフに使徒殲滅の実績がない事が上げられる。

 

 原作ではネルフ以外に使徒殲滅が不可能でサードインパクトを阻止するために渋々嫌なネルフに我慢していた各国であるが、この世界ではそんな事をする必要がなく、国連議会ではネルフ叩きが激しさを増していた。

 

 そこではネルフを潰すべきだと主張する反ネルフ派の国とネルフを擁護する国連内部のゼーレ派が攻防を繰り広げているが、ゼーレ派があまりにも劣勢であった。

 

「まぁそんなわけで悪いけどアダムや使徒たちには退場してもらうわ」

 

 まずはアダムを排除して使徒によるサードインパクトを阻止する。しかる後にゼーレとネルフ(ゲンドウ)の人類補完計画を阻止するという手順だ。その為、不確定要素となる第七使徒から第十七使徒には登場する前に退場してもらった。

 

 どうやったかというと、単に覚醒する前に攻撃して殲滅しただけだ。

 

 元をただせば使徒は私が作り上げた奉仕種族で、使徒という仕組みも私が構築した物だったから未覚醒状態でも見つけるのは容易く、後はA.T.フィールドさえ発生させていない標的を潰すだけでよかった。

 

「後はネルフを潰すだけですな」

「ええ、使徒を処分した今、ネルフ本部にあるリリスとそのコピーであるエヴァ初号機を始末すればチェックメイトだし、各国の根回しはやっているのでしょ?」

「はい。日本政府を初めとした各国も私たちが提供した情報に驚いていました」

「そうでしょうね。人類補完計画なんてすべての動植物を巻き添えにした無理心中に付き合いきれないでしょうし」

 

 覇道財閥の伝手で各国に極秘情報を流したが、その反応はかなりの物だった。まぁゼーレやネルフがこれまでやってきた事やこれからやろうとしている事を知れば、ゼーレよりの国家ですら切り崩すのは簡単だった。

 

 彼らはゼーレ派といっても利害関係などでゼーレについているにすぎない。そんな彼らにとってゼーレやネルフがやろうとしている事は容認できる筈がなかった。

 

「ですがエリーゼ様。ネルフを潰すにしても、ゼーレは影に隠れると思われます」

「まぁ確かにそうだけど、計画通りいけばゼーレは無力化するわ」

 

 表では権力を奪われて指名手配され、裏でも権力を失うとあってはいくらゼーレでもどうしようもないだろう。後は大人しく朽ち果てさせればいいのだ。

 

 

 

ネルフside

 

 エヴァ参号機を輸送していた国連軍太平洋艦隊が第六使徒に襲撃されたが、特務部隊デモンベインによって殲滅された。これによってエヴァ参号機は無事に届いたものの、ネルフはまたしても実績を上げることができなかった。

 

 ゲンドウからすれば忌々しい事に今回に至ってはネルフに要請すら来なかったのだ。後になって国連からデモンベインによる使徒殲滅の情報が伝えられただけで、その扱いの悪さはネルフの現状を物語っていた。

 

 そんなゲンドウに追い打ちをかけたのが密かに持ち出していたアダムが行方不明になった事だった。運搬人である加持リョウジが言うには気が付いたらなくなっていたとの事だが、これはシャレにならない。

 

 アダムがどこにあるか分からないという事は、下手をすれば知らぬ間に使徒とアダムが接触して使徒によるサードインパクトが発生するかもしれないのだ。その為、ゲンドウは必至で捜索をするが、元々アダムに関しては極秘事項であるがために大っぴらに探すこともできず、結局頓挫してしまった。

 

「碇、アダムも問題だが、国連でも反ネルフの国の勢いが強くなりすぎている。はっきり言って拙いぞ」

「分かっている!」

 

 冬月に言われるまでもない。今の状況は拙い。しかし、ゲンドウにはどうすればいいのか皆目見当も付かなかった。

 

 ここで短絡的に特務部隊デモンベインに対する破壊工作でも仕掛けようにも覇道財閥のガードが固すぎて彼らの施設が見つからなかった。これは彼らが空間転移でいきなり現れるという理不尽な兵力展開方法を採用している事が原因だった。おかげでどこにデモンベインの施設があるのか分からないのだ。

 

 こうなると、正攻法で使徒を倒して実績を上げるしかないが、戦績は二不参戦と二敗でどうみても役立たずになっている。というか国連議会で公然と役立たずと罵られており、ネルフは風前の灯火となっていた。

 

 まぁネルフが追い詰められているのは、これまでネルフが散々好き勝手してきたからなので自業自得であった。

 

 最早独自の補完計画と言っていられない。次に敗北したらその前にネルフが潰れて何もかもが台無しになってしまうだろう。ゲンドウはそう判断していた。

 

 しかし、ゲンドウは知らなかった。アダムや倒すべき使徒さえも既にエリーゼによって始末されてしまっていることを。

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