二人の魔女   作:ADONIS+

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※43~47は様々な下位世界が舞台となっています。


多重クロス
43.滅びの箱(第二次ベヅァー戦争編)


『超時空世紀オーガス』を原作とする下位世界。その世界には三千世界監察軍の秘密研究所として使われているスペースコロニー『メンデル』が存在していた。

 

 その世界は監察軍の本部や支部が存在しない世界で、普通ならばそんな辺鄙な場所に研究所など作らないが、研究している内容が危険極まりない代物であった為に、万が一の事故に備えて可能な限り被害を抑える為に隔離された研究施設を用意していたのだ。

 

 そんな曰くつきのメンデルで、ジュデッカの機動テストが行われていた。このジュデッカとはスーパーロボット大戦で登場する半人半蛇型の機動兵器で、当然ながら監察軍の技術で魔改造されて桁違いに強化されていた。

 

 その最大の特徴は動力として特殊機関〝滅びの箱″を搭載した事だろう。この滅びの箱は、監察軍の最大の敵である破壊神ベヅァーの力を借りてエネルギーを得るという代物だった。

 

 これは毒を持って毒を制するというアイデアから、エリーゼが『スレイヤーズ』の黒魔術を参考に開発したオカルト寄りの永久機関だったが、対ベヅァー兵器として致命的な欠陥があったために実際に製造させることなく設計終了と共に凍結されて、監察軍にデータだけが残されていた代物であった。

 

 ちなみに欠陥と言うのは、『スレイヤーズ』の魔王シャブラニグドゥに対してその力を借りた竜破斬(ドラグ・スレイブ)で攻撃しても無意味なのと同じ理由だ。要するに「あんたを倒すのに力を貸してよ。ねぇあんた」と言っているような事なので使い物にならないのは当たり前だった。

 

 こうした問題からエリーゼはディス・レヴを採用して、滅びの箱は忘れ去られていたが、「滅びの箱でベヅァーの力を浪費させればベヅァーを弱体化できるのではないか?」という仮説が出た事でその状況が変わった。

 

 勿論、ベヅァーの持つ凄まじい力からすれば、たった一つの滅びの箱で浪費させられるエネルギーなど微々たるものでしかないが、それでもトリッパー達によるエネルギー中和と相まって滅びの箱を量産すればかなりの効果が見込める代物だった。

 

 彼らの試みが上手くいっていれば監察軍の対ベヅァー戦略も大きく変わる筈だったが、実験を開始した途端にジュデッカが暴走を開始した。

 

 滅びの箱から流れ出るエネルギーがジュデッカを侵食して乗っ取っていく。更にあろう事かジュデッカから破壊神ベヅァーの反応が検出されたのだった。

 

 この事態に機械仕掛けの科学者たち(スーパーコンピュータによる人工知生体)は何とか対処しようとするがどうしようもなかった。

 

 そして、勝手に起動したジュデッカが放った高エネルギーによって、彼らはコロニー・メンデルごと消滅した。

 

 その破壊の跡に唯一存在しているのがジュデッカいや、それを乗っ取った破壊神ベヅァーだった。

 

 ベヅァーは破壊の権化。下位世界創造の反作用によって意図せずに生み出されし者。そして数多の下位世界に滅びをもたらす破壊神。

 

 そのベヅァーの出現によって、ここに第二次ベヅァー戦争が勃発した。

 

 

 

「ふん、ここにはトリッパーはたいしていなかったようだな」

 

 そのベヅァーは自らが破壊したメンデルを一瞥する事もなく、更にトリッパーを始末する為に、より多くのトリッパーのいる世界に転移しようとしたが、いきなり宇宙艦隊が出現してベヅァーに砲撃を加えて来た。ベヅァーはそれをもろに浴びるが、全く効いていなかった。

 

 その艦隊の砲撃は地球規模の惑星であれば一撃に破壊できるほどの火力であったが、ベヅァーにとってはそんなもの微風のようなものだった。

 

「邪魔だ!」

 

 ベヅァーが腕を払うとそれだけで周囲に展開されていた艦隊が破壊されていくが、次の瞬間にはどこからともなく破壊された艦隊を優に上回る規模の艦隊が出現してベヅァーに攻撃を加えてきたのだった。

 

 

 

エリーゼside

 

 コロニー・メンデル消滅と破壊神ベヅァーの出現は電撃のような勢いで監察軍全体に伝わった。それによって監察軍本部と二つの支部では非常事態宣言が発令されたのだった。

 

 これにともない監察軍本部では多くのトリッパー達が巡洋艦などの艦船に乗り込んで各地の下位世界に分散していく。これは第一次ベヅァー戦争で大勢のトリッパーが本部ごと抹殺させてしまった教訓からベヅァーが出現した場合はトリッパー達は分散させて一気に叩き潰されないようにする為だ。

 

 ちなみに、これは本部だけがやっている事で、アトランティス支部と日本支部はそれぞれの独自の対応をしているだろう。監察軍ではその辺りのことまでいちいち口出しせずにそれぞれの支部に任せていた。

 

 今回の監察軍本部の対応はなんだか後ろ向きに見えるが、通常戦力ではベヅァーに歯が立たないから仕方ない。それにトリッパーを分散させてもベヅァーにとって監察軍本部は敵の本拠地なのだから狙われる可能性が高いのだ。

 

 しかし、流石に総司令官のトレーズ・クシュリナーダはここに残って全体の指揮を取っていた。トレーズの場合いくらベヅァーに攻撃してくる可能性があっても、総司令官が本部から逃げ出すのは何かと問題があるので、トレーズが残るのはある意味仕方ない事だった。

 

 そんな監察軍本部でユグドラシル・システムを使用する為に、私とアイシャは準備を進めていた。

 

「いよいよですね」

「本当に唐突だね。でもまだ出現する筈じゃなかったのに、一体どういうことなの?」

 

 かつての第一次ベヅァー戦争の際にトリッパーが激減して極めて危険な状況になったものの、その後行われたとトリッパー増員計画によって監察軍が進めるベヅァーの力を中和は順調にいっていた。当然ながら現時点ではベヅァーが出現する程のエネルギーなどない筈だった。

 

「前回はエネルギー不足を押して無理やり出現していたみたいだし、今回もそうだと思うけど…」

 

 ただ状況的に気になる物があった。まさかとは思うが…。

 

「一応、手筈通りにベヅァーが出現したあの世界にバイド艦隊を送り込んでいるけど足止めにしかならないでしょうね」

 

 ホシノ・ルリ率いるバイド艦隊は質量共にかなりのものであったが、相手があのベヅァーでは足止めしかできない状況だった。というより最初からベヅァーが出現した時に奴を足止めする為に用意された戦力なので、ベヅァーを倒すことは期待していない。本命は究極の鬼械神であるカーリーとドゥルガーなのだから。




解説

■メンデル
 ガンダムSEEDネタからバイオハザードやオカルトハザードなどが発生する可能性がある危険な研究をするために辺境の下位世界(超時空世紀オーガスの世界)に用意された研究用スペースコロニー。ちなみにカーリーとドゥルガーの開発もメンデルで行われた。本部や支部ほどではないがベヅァー出現時には少数のトリッパーがいたが、彼らはメンデルごと消滅している。

■ホシノ・ルリ
 当サイトのSS『トリッパー列伝 ホシノ・ルリ』に登場したトリッパー。バイド(R-TYPE)の能力を持っており、その特性から彼女が率いるバイド艦隊はベヅァーの足止め役を担当している。
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