6.魔道都市(サイラーグ編)
魔道都市サイラーグ近郊に私とアイシャは転移した。
「あれが魔道都市と呼ばれていた頃のサイラーグですか」
「そうみたいだね。まぁここにいても仕方ないから実際に行ってみようよ」
「ええ」
流石に街中で転移するのは人目に付きすぎるのでサイラーグ近郊に転移したが、その為これから街に入らないといけなくなった。
サイラーグ・シティに入り、私とアイシャは前回と同じ中世ヨーロッパ風の街並みを眺めていた。この手の街並みは13世紀の欧州で見慣れているが、やはり異世界なために違いはそれなりに目につきますね。
このサイラーグ・シティはライゼール帝国のほぼ真ん中にある街で、原作では巨大な神聖樹フラグーンが街のシンボルとして存在している。まぁそのサイラーグは、魔獣ザナッファーやコピーレゾに壊滅させられ、その後は冥王フィブリゾによって死者たちが住まう渾名通りの死霊都市にさせられて、さんざん不幸な目に合っていた。
そんなサイラーグであるが、原作の120年ほど前に魔獣ザナッファーに滅ぼされるまでは魔道士協会の本部がある事から魔道都市と呼ばれているほど魔道が進んだ街だった。
残念ながらサイラーグにあった魔道士協会本部が崩壊した後は、新たに魔道士協会本部が建てられることもなく、各地域の魔道士協会支部がてんでバラバラに活動している状態になっていた。
それだけにこの世界の魔術を学びたいのならば、魔道都市時代のサイラーグに行ってみるのがおすすめです。
ちなみに私たちがこの世界を選んだのは、この世界の魔術がかなり強力だからです。実のところGS世界の魔法は霊力に依存しているだけに、基本的に霊力の低い人間では不利なんですよ。確かに私たちは人間の限界を超えた霊力を持っていますが、それでも高が知れています。
とてもじゃないが、この世界の竜破斬(ドラグ・スレイブ)みたいに魔法ひとつで街を壊滅させる事など不可能です。
そういう事で、私たちは原作開始の200年ほど前のサイラーグ・シティに来たわけです。
ここで「まったく異なる異世界に来たら読み書きどころか会話すらできないだろ!」と、突っ込む方がいるかもしれません。
しかし、私たちには【理解】というチート能力があります。
街中で人々の話声を時間をかけて聞いていれば言葉を理解してこの世界の言葉を使いこなせるようになり、本屋に行っていくつかの書物を早読み(本のページを軽くめくる。その際に【分割思考】と【高速思考】を併用すれば一冊に付き数秒程度で可能)するだけで文字を理解して使いこなせるようになった。
本当にこの能力は便利です。前世でこんな能力を持っていたら、外国語の習得に四苦八苦している世の学生さんたちから嫉妬されていたでしょうね(汗)。
「それでどうするの?」
「やはり魔道士協会に行きましょう。さっさと魔術を学びたいですから」
魔道士協会とは魔術を習得したい人たちの為に設立された組織で、魔道士になりたい者から授業料をもらって講義をしたり、所蔵している魔道書等の書物を閲覧させたりしています。
最も悪用者が続出しかねないから、教えてくれるのは理論や概念のみで専門学校みたいな感じらしい。
そんなわけで魔道士協会にお金を払い、魔術を学ぶことにしました。その予算に関しても金塊や宝石類を大量に持ち込んでいるから問題ありませんよ。
何でそんな物を持っているのかというと、実は監察軍の原子配列変換技術を用いれば金や宝石類などはいくらでも量産できるからです。そうなると、金塊もそこいらの石ころと同じ程度の価値しかありませんし、宝石もガラス玉のようなものです。
そんな物を持ち込んで資金にしているのは悪辣に見えるかもしれませんが、これらはれっきとした本物で、この世界ではちゃんと価値があるので倫理的には問題なかったりします。まぁ、この世界の金や宝石の流通量が若干増えた所でたいした事はないでしょう。
原作ではリナが親に頼んでかなり幼い時から魔道士協会で魔術を学んでいたようだったので、もしかしたら他は年少の子供ばかりかもしれないと思っていましたが、実際に講義を受けていた人たちは子供の他にも私たちの外見年齢(15歳)と同じぐらいの人や大人も結構いましたね。
よくよく考えてみれば、ある程度成長してから魔道士になりたいと思った人や、親のお金ではなく自分で授業料を稼いで講義を受ける人がいても可笑しくありませんね。
ここで理論や概念だけでなく、魔道書などの書物を読むことができたのは好都合でした。ここは魔道士協会本部というだけあって協会付属の図書館の規模が大きくて並の人間では生涯をかけてもこれを学習しきることは出来ない程でした。勿論、並の人間ならば、という但し書きがつきます。
私たちはこれを一ヶ月も掛からずに制覇した。いや一ヶ月近くもかかったと、逆にこの図書館の規模を褒めてあげていいでしょう。
魔力に関しても私たちの魔力容量(キャパシティ)はどうも人間離れしているようで、「まるであのレイ=マグナスのようだ」と講師たちからは凄まじい評価されて早々と卒業することになりました。というか私たちの学習能力が高すぎて飛び級みたいな感じになってしまいましたね。
後は実践と、覚えた魔術を片っ端から試しまくりましたが、どうも私たちは魔力容量が大きすぎて手加減しないと過剰攻撃になってしまうようですね。
そんなわけで魔術の強弱やアレンジ、更にはオリジナルの魔術の開発など50年ほどやって大体満足できる程の実力を付けたので、この世界から立ち去る事にした。
余談として、50年の間にこの世界にあったダークスターの五つの武器の一つ颶風弓(ガルヴェイラ)を回収して研究しました。どうやって手に入れたかって?
まず、衛星軌道上から豪雪地帯にある半球状の建物を検索して探し当てました。
人間では解除が難しい厄介な竜族の結界にしてもN2爆弾(新世紀エヴァンゲリオン)を設置して建物ごと結界を爆破処理。
エンシェントドラゴンが仕掛けた最後の結界だけは破壊できませんでしたが、そこは神滅斬(ラグナ・ブレード)で破り、ガルヴェイラをゲットしたわけです。
こんな過激な事が出来るのもガルヴェイラが武器の形をしていてもれっきとした高位魔族であるからだ。純粋な物理攻撃であるN2爆弾ではガルヴェイラを破壊できませんから自重せずに済みました。
ダークスターの五つの武器が有する使用者の意志力を増幅して光を生み出す能力や、魔術を桁違いに増幅する機能は興味深かったので徹底的に研究して、これらのデットコピーを作れるまでになりました。
流石に高位魔族そのものであるオリジナル並みの機能は無理だったが、それでも十分満足のいく物に仕上がったので大満足ですよ。
流石にガルヴェイラをこのまま持ち帰るとスレイヤーズTRYのブレイクになってしまうから置いていきましたけど、本当は持ち帰りたかったですね。
解説
■魔獣ザナッファー
本来は魔法を防ぐ封魔の鎧だったが、異界黙示録(クレアバイブル)の不完全な知識で作られたために人間を取り込んで魔獣に変化してしまうという欠陥品になってしまった。
■コピーレゾ
現代の五賢者の一人、赤法師レゾのコピーであると同時に魔族との融合体(恐らくキメラ)である為に人間離れした魔力容量(キャパシティ)を持っていた。彼の使う魔術の威力はサイラーグを一撃で壊滅させたほどである。
■冥王フィブリゾ
原作第一部のボスキャラで、コピーレゾによって殺されたサイラーグの住民に仮初の命を与えて生ける死者にしていた。
■竜破斬(ドラグ・スレイブ)
魔王シャブラニグドゥの力を借りた人間が使用可能な最強の黒魔術(重破斬は規格外な魔術である為に例外)。ドラゴンを一撃で殺すことができるほどの魔法で、これを筆頭にこの世界の魔術はかなり強力である。
■レイ=マグナス
原作の千年前の伝説の魔道士。降魔戦争の時に彼の中に存在していた七つに分かたれて封印されていた魔王シャブラニグドゥの一つが復活した。
■ダークスター
異世界の魔王で五つの武器を作り上げた存在。TRYで登場。後のロストユニバースではダークスターとその五つの武器は神話として語られており、その当時開発された兵器の名称にその名が使われている。
■颶風弓(ガルヴェイラ)
光の剣(正確には裂光の剣)と同じくスレイヤーズの世界に存在していたダークスターの五つの武器の一つ。そのあまりの破壊力をエンシェントドラゴンたちが恐れた為に彼らの神殿で封印される事になった。
■スレイヤーズTRY
スレイヤーズのアニメ第三期。アニメオリジナルストーリーなので原作とは内容が違う。