7.系統魔法(ハルケギニア編)
スレイヤーズ世界から引き上げた私とアイシャは、次の行き先を原作が始める30年前の『ゼロの使い魔』の世界にした。
ゼロの使い魔の舞台となるハルケギニアに存在する魔法は系統魔法に先住魔法の二つだ。例外として虚無魔法があるが、これは例外的な物であるため無視して構わないだろう。
先住魔法は基本的にエルフなどの亜人たちが使う魔法で、仮にエルフや亜人たちに教えてもらうにしても現地の人間と彼ら亜人との関係はお世辞にも良好とは言えず、それが困難であることは原作を見れば容易に想像できる。
しかし、系統魔法は人間が使う魔法である為、この世界の人間に溶け込んで学習すれば比較的簡単に習得できる。
そういうわけで、早速ハルケギニア諸国の一つ帝政ゲルマニアに行くことにした。
ここで何故ゲルマニアにしたのかというと、ゲルマニア以外の国では貴族と平民との格差が酷くて、それが原因で余計なトラブルが発生するのを避けるためだ。このゲルマニアが比較的マシなのは平民でもお金があれば貴族になれるという制度のおかげだろう。
原作ではルイズなどは「金で爵位を買う野蛮な国」とゲルマニアを蔑視していたが、お金があるという事、つまりお金を稼ぐ能力があれば上に成り上がれるという実力主義な体制で為、貴族と平民の壁が低く、トリステインのように過剰なまでに平民を蔑視していない比較的健全な国家だ。
少なくとも生まれだけで、すべてを決するよりはいい。というかトリステインの貴族とか門閥貴族(銀河英雄伝説)みたいに歴史と伝統ばかり主張して腐敗していた連中ばかりだよ。
歴史と伝統に価値がないとは言わないけど、それをこだわり過ぎると碌なことがないからね。
ここで二次小説とかならば爵位を買って貴族になり原作介入と行くのですが、私たちはそうはしません。何故なら私たちは領地経営がしたいのではなくて系統魔法を学びたいだけだから、そんな無駄な事はしません。
今回は唯の大富豪として動きます。まず『スレイヤーズ』の世界のように言葉と文字を理解して、この世界に適応する。この辺りは最早テンプレですね(笑)。
次に金塊をこの世界の通貨エキュー金貨に代えて、生活しながらこの世界の常識を学ぶ。と同時にこの世界の魔法関係の書物を買い集めて系統魔法の学習を始めました。
幸い私とアイシャはこの世界の系統魔法にも才能があったようで、比較的簡単に杖と契約をかわしてコモンマジックを習得して系統魔法に入った。
こうして五年で四系統魔法すべてスクウェアに到達した。
この世界のメイジ(この世界の魔法使いの名称)の使う魔法は私たちの基準からすればたいした事はない。どうもスレイヤーズの魔法よりも効率が悪いようですね。派手さに欠けるというか、何かちゃちというべきかとても微妙です。
しかし、錬金と固定化は応用の幅が広く比較的有意義でした。何せ科学知識が豊富な私たちが錬金を使えば自力で様々な資源を調達できますし、固定化を使えば劣化しやすい書物や道具などをそのままの状態で保存できる。特に精密機械の保管には便利ですね。
それで今やっているのがさまざまなマジックアイテムの解析です。
私たちの【理解】は触った道具の構造を理解できます。つまり触るだけでその道具がどういう材料を使っていて、どういう工程で作られているのかが分かります。まるでどこかの赤い弓兵みたいですが、それだけにマジックアイテムから技術を収集する事もできます。
折角なので、ついでに私たち専用のマジックアイテムを作る事にした。
元ネタ繋がりで、私は雪村 涼乃のワンドに似せて弓型のマジックアイテムを作り、アイシャは緋宮あやりのワンドに似せてショットガン状のマジックアイテムを作りました。
この二つのマジックアイテムはスレイヤーズの世界で解析した颶風弓(ガルヴェイラ)のデータを元にしたので、意志力や魔法を増幅する機能があります。
私のマジックアイテム〝フライシュッツ″は光の矢を射る弓で、アイシャの〝エトワール・フィラント″は光の散弾を打ち出すショットガンという感じです。
ちなみにマジックアイテムですが、すべてお金で穏便に集めましたよ。フーケじゃあるまいし強盗なんかしません。世の中お金があれば大概の事はできます。
まぁそうこうしている内にあっという間に原作開始の時期になったので、この世界から撤退することにしました。
もうこの世界で得られるものはないでしょうし、一々原作介入なんかするつもりもありませんからね。
それと重要な事としてこの世界でスレイヤーズの魔法を一通り試してみたら全部使えました。それも精霊魔術も黒魔術も関係なく(汗)。
精霊魔法はこの世界にも精霊がいることから不思議に思いませんでしたが、魔族の力を借りる黒魔術が使えたのは驚きでした。
死神の説明によるとこれが【固有世界観】の効果らしい。
そもそも世界観の壁というのは私達トリッパーに重くのしかかるもので、特に私たちのような世界観の影響をもろに受ける魔法を主体とするトリッパーには死活問題なんです。
正直【固有世界観】があって本当によかったと思いましたよ。といってもこの能力にも制限がある。
自分に都合のいい世界観と言っても、本人がその世界観をきちんと把握していないといけないので、実際にその世界に赴いて現地の魔法や魔術を習得していく事で現地の世界観を把握していく必要があるそうです。
つまり今の私が『ファイナルファンタジー』の魔法を使いたいと思っても使えません。『ファイナルファンタジー』の世界には行った事がありませんし、あの世界の魔法を使った事もありませんからね。その為、自分でいろいろな世界に行って直接現地の魔法を習得していかないといけないわけで、これが私とアイシャが現在やっている事です。
正直な話、【創作物に出てくるありとあらゆる魔法や魔術などを無制限に使用可能】とかいうチート能力があれば、一々現地で学習なんかしなくても様々な世界の魔法を使えるわけですが、死神によると、そんな楽をすると本当の意味で各世界の魔法技術を習得できないし、チート能力に胡坐をかくだけのトリッパーになってしまうからダメだそうです。
確かにチートに胡坐をかくだけのトリッパーになるのもアレなので、多少の苦労は仕方ないでしょうね。それにチート能力のおかげで他人よりも遥かに効率的に魔法を習得できていますし、恵まれた才能も有ります。これで文句を言ってたら贅沢者でしょう。
解説
■エルフ
ゼロの使い魔にもエルフが存在しているが、人間との関係は極めて悪く、エリーゼも彼らと関わるつもりはない。
■赤い弓兵
型月世界の英霊エミヤの事。
■フーケ
原作のトリステインで様々なマジックアイテムなどを盗んでいた大泥棒。
■ファイナルファンタジー
『ドラゴンクエスト』と双璧をなしているRPGの超有名シリーズ。