二人の魔女   作:ADONIS+

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※9~15は、『Rance IV -教団の遺産-』の世界が舞台になっています。


Rance IV -教団の遺産-
9.魔法院(聖魔教団編)


GI0344

 

 魔王ジルの暗黒の時代が終わり、魔王ガイによって人類は奴隷から解放されて三百年以上がすぎたこの時期、大陸の東半分を使う事を許された人類は多くの国家を建国した。その結果、人類社会はまがりなりにも秩序を築き上げていた。

 

 しかし、それらの国家を支えていたのは剣などの武器を用いた純粋な『力』で、後にこの大陸の文明の基幹となる筈の『魔法』は認められていなかった。その為、当時の人類社会は戦士が評価されている一方で、魔法使いは見下されていた。いや、それどころか人類圏で彼らはペテン師扱いなどの迫害を受けてかなり地位が低かった。

 

 そんな状況であるためにこの時代において魔法使いに対する人々の対応は冷ややかなものだった。

 

「おら、ペテン師風情が、俺たちの街に来るんじゃねぇ!」

 

 そういって街中で歩いていた魔法使いを殴る蹴るの暴行を加えている者たちも当たり前にいるぐらいだった。

 

 そして、その様な状況でも周囲の人間は関わりを避けて見て見ぬふりをしており、それを止めようとする者はいなかった。それが普通であったが、今回はそうではなかった。

 

「止めなよ」

 

 そんな彼らを止めようとしたのは、とんがり帽子を被っていかにも魔法使いと恰好の二人だったが、その二人がこんな街では見られないような絶世の美少女であった。彼女たちを見た男たちは欲望に染まったいやらしい笑みを浮かべた。

 

「おう、お嬢ちゃんたち魔法使いか?」

「お嬢ちゃんたちが俺たちの相手をしてくれるっていうのかい?」

 そう言って、彼らは少女たちに絡んだのだったが、相手が悪かった。

 

「爆裂陣(メガ・ブランド)」

 

 彼らは少女の魔術で吹っ飛ばされた。この爆裂陣(メガ・ブランド)は殺傷力が低いから、この手の輩を排除するのに重宝されていた。

 

「な、何だ! あれは!」

「魔法か!」

 

 しかし、街中だった事もあって大騒ぎとなった。

 

「お前さんたち来るのじゃ」

 

 それを見て、それまで暴行されていた魔法使い(よく見ればそれなりの老人だった)が、二人の手を掴んで走り出した。

 

 

 

「ここまで逃げれば大丈夫じゃ」

 

 老人とは思えない早さで移動した老魔法使いはかなり離れた場所でそう言った。

 

「それにしてもお前さんたち無茶をするのう。街中で魔法をぶっぱなすとはな。じゃが助けてもらったのは事実じゃから礼を言う。ワシはフリーク・パラフィン、見ての通り魔法使いじゃ」

「私はエリーゼ・ペルティーニ」

「アイシャ・ペルティーニ」

 と、私たちは名乗った。

 

 それにしてもフリーク・パラフィンですか。いきなり原作キャラと遭遇するとは奇遇ですね。まぁフリークはランス世界における魔法工学の天才でしたから、この世界の魔法技術を学習したい私たちにとって彼と会えた事は好都合ですね。

 

「フリークさん一つ聞きたいのですが、この世界では魔法使いが迫害されていますか?」

 

 原作知識では魔人戦争後に聖魔教団や魔法使いに対する反発から魔法文明に対する迫害が発生していたから、聖魔教団が登場する前の時代なら魔法文明は迫害されていない筈なのに魔法使いに対する扱いが酷いように感じたのだ。

 

「おかしなことを聞くのう。今は力が世界を支配しており、魔法は見下されているのは常識じゃよ」

 

 やはり、この時代でもそうなのか。私は面倒な事に舌打ちした。GS世界でも感じたが、こういう迫害は地味に厄介なんですよ。

 

「実は私たちは異世界から来た者ですから、この世界の常識に疎いのです」

「なんと異世界とな。にわかには信じがたいが確かに先ほどの魔法は異質な物を感じたな。あれが異世界の魔法なのか?」

 

 フリークはさっき使った爆裂陣(メガ・ブランド)の異常性に気付いたようだ。まぁこの世界にはあの系統の魔法はないし、基本原理が全く違うから魔法使いならば違和感があるのでしょうね。

 

「それで、私たちはこの世界の魔法を学びに来たのですが、フリークさんよろしければご教授願いたいのです。勿論代価としてお金をお支払いいたします」

 

 実際、金ならいくらでもあるので多少払っても問題ない。

 

「うむ、そうか。確かにお前さんたちからは凄まじい魔力を感じる。それだけの能力があるのならばワシらの魔法を覚えるのも簡単じゃな。なら引き受けようかの」

 と、フリークは快く引き受けてくれた。

 

 

 

 こうして、私たちはフリークから様々な事を学ぶことになったが、この世界でも私たちの魔法の才能は十分に発揮されて、これにはフリークも「これほどの天才が存在していたとは思わなかった」と言って魔法院に入学するように熱心に勧めて来た。

 

 魔法院というのは魔法使いたちの学校で、フリークはそこで講師をしているらしい。確かにフリークからこの世界の魔法の基礎を学んでいるが、それだけでなく魔法院で専門的に学んだ方がいいかもしれない。

 

 それに魔法院ともなれば魔法関係の書物も豊富だろうし、それから得られる知識も魅力的だ。

 

 こうして、私たちは魔法院に入学したが、入学試験の筆記と実技は共に最高で文句なしの入学だったことは言うまでもない。




解説

■GI0344
 ルドラサウム大陸で使われている魔王暦で、GIは第六代魔王ガイの略称。

■爆裂陣(メガ・ブランド)
『スレイヤーズ』の精霊魔術。地面を爆発で吹き上げる呪文。術者を中心に足元に波紋が広がり、土砂とともに吹き飛ばす。地面が剥き出しのところでないと使用できない。通常は殺傷能力は低いが、本編3巻及びアニメ第1期でコピーレゾが使用した強化版は竜破斬すら上回るほどの爆風を生み出した。殺傷力が低いのでリナが知り合いを吹っ飛ばすのによく使う。
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