この度、クロス(@crossryou)様のオリジナルキャラクター、「変身ヒロインブレイダちゃん」でのSSを書かせて頂けることになりました。
久しぶりに書いたので拙い点も有りますでしょうが、どうか宜しく御願いいたします。
ブレイダちゃんはpixivかニコニコ静画で「ブレイダちゃん」と検索すればヒットするので、気になった方は是非是非。めちゃくちゃ可愛いです。
サイレンが鳴り響き、闇の魔物達が街で暴れ回る。
突如として現れた脅威に人々は抗う術を持たず、ただ逃げ惑うだけだった。
機関銃、戦車、戦闘機…全ての武器がスクラップと化し、勇敢に立ち向かって行った人々は次々に魔物達に消された。
家族、友達が目の前で消されていく中、彼女だけは運良く一人の男性に助けられ、命拾いをした。
彼女を救った男性は彼女を抱きかかえ、彼女を素早く安全な場所に隠すと闇の勢力に立ち向かって行った。
その男性は光の力を身に纏い、闇の勢力と激突し、互いの激しい攻撃で辺り一帯に眩い光が放たれる。
「…また、この夢…」
彼女は目を覚まし、制服に着替え、スカートを履き、寝癖がついた生クリームの様な色の髪をくしで溶かし、居間に顔を出した。
「おはよう、ブレイダ。朝ごはん、出来てるよ」
「おはよう、百合さん」
ブレイダと呼ばれた少女は椅子に座り、百合と呼ばれた緑のショートヘアーの女性の前に座った。
「やっぱり、まだお母さんとは呼んでくれないか」
「ごめんなさい、そんなつもりじゃなくて」
ブレイダは慌てて百合に謝った。
「良いのよ。ブレイダがそう言う時は、あの夢を見る時だもの。また見たんでしょ?」
「うん…」
ブレイダはトーストを食べながら頷いた。
十数年前の冬の某日、「ヤミノチカラ」に魅了され、怪物となった「ヤミマジュウ」達が世界中を襲った事件。その事件は「ダーク・デイ」と呼ばれ、ブレイダもその被害者の一人で、今もそのトラウマが心に残っているのか、彼女はその夢に悩まされている。
両親を幼くして亡くした彼女を百合が引き取り、ブレイダは百合の養子となった。
「今日はガードナーの集会があるほよ。それで、今回は貴方も必要だから、今日は早く帰ってきてもらえる?」
「うん、分かった」
「最近またヤミマジュウが暴れだしそうって事だから、気を付けてね」
「うん、ありがとうユリさん」
ブレイダは朝食を食べ終え、玄関で靴に履き替え、マンションの部屋を出た。
「いってきまーす!」
「いってらっしゃーい」
ユリはブレイダを見送ると、部屋に戻った。
マンションの階段を降りると、二人の男女が花壇の花に水をやっているのが見えた。
「おはよう、ブレイダちゃん。今日も早いな」
「おはようございます、玲司さん。今日は神凪さんも一緒なんですね」
「ああ。神凪、ブレイダちゃんだ」
車椅子に座っていた女性はブレイダの方を振り向いた。
「おはよう、ブレイダちゃん。今日も頑張ってね!ほら、飴ちゃん」
神凪は弱々しいながらも拳を握り、ブレイダにポケットに入っていた三つの飴を渡した。
「ありがとうございます、神凪さん。頑張ります!」
ブレイダもそれに応える様に拳を握り、白い歯を見せて笑ってみせた。そして、制服のポケットに貰った飴を閉まった。
「今日ガードナーの集会があるって事はもう聞いた?」
「ああ、はい。百合さんから」
「ん、それなら良いや。また百合によろしく言っといてな。それじゃ、いってらっしゃい」
「わかりました!いってきまーす!」
玲司と神凪もブレイダに手を振りながら見送り、ブレイダも後ろを振り向きながら手を振り、朝日の方を向いて学校に向かって走り出した。
少しして、同じクラスの二人の女友達と出会った。
「おはよ、ブレっち」
「おはよう、橘さん、相川さん」
「おいっす、ブレイダ」
ブレイダは髪が長く、制服を着こなしている橘と髪が短く、袖の中に手を入れ、制服を着崩している相川の元に駆け寄った。
「どしたん?今日いつもより暗いよ?」
「え?そ、そう?」
「ブレイダ、耳元触ってみ」
「え?耳?」
ブレイダは橘に言われるまま耳元を触った。
「あ、あれ?いつものヘッドホンがない!?」
カバンの中も探したが、いつものヘッドホンはなかった。
「ブレっちは前からそうだよ。何か嫌な事があれば大体何かを忘れるかしてるもん」
「この前は制服のリボン、そんでもってその前はスマホ。結構前にカバン忘れた時は、この子学校に何しに行くんだと思ったくらいだ」
その事を思い出し、ブレイダは顔を赤くした。
「その節はご迷惑を…」
「まあ、今回が初めてじゃないしね、カバンを忘れる事に比べたら全然マシだよ」
「こーら、翔子も余計なことを言わないの」
「はーい、ごめんなさーい、咲おねーちゃん!」
そう言いながら相川は舌を出しながら頭を軽く小突いた。
「一回どついたろかホンマに…」
橘は拳を持ち上げ、わなわな震わせながら言った。
「ま、まあまあ、ほら、朝貰った飴があるからさ、これ食べて落ち着いて」
ブレイダはポケットから飴を取り出し、橘と相川に一つずつ渡して、自分も袋を開けて口の中に放り込んだ。
「おっ、ありがとな、ブレイダ」
「さんきゅ~」
そう言って橘と相川も飴を口の中に入れた。
「ミルク味か…食べてて落ち着くな」
橘は目を瞑り、飴を味わうように舌で転がしていた。
「おふくろの味だぁ…」
もう既に食べ終わった
「相川さんのおふくろじゃないでしょ…」
「バレた!?」
相川は驚いた様な顔をして二人を見た。
「騙される奴がどこにいる」
橘はやれやれといった感じで頭をおさえて首を左右に振った。
「あっそうだ。今日帰りにプラバ行こうよ。新作のメニュー来たし、ちょうどあたしクーポン持ってるんだ」
「私はいいが…ブレイダは?」
「ごめん、今日は大事な用事があって行けない」
「むー、そっかー…残念。じゃあ、また今度にしよっか。プラバは逃げない!」
「ふふ、そうだな。また今度、時間が開いた時に三人で行こうか」
「うん、ありがとう、橘さん、相川さん」
「良いってことよ!ブレっち!」
相川はブレイダの肩に手を置き、サムズアップしているのだろうか、制服の袖口から真っ直ぐな親指が見えた。
学校に着いた三人は『2-C』と書かれた教室に入り、自分の席にカバンを置き、またすぐに相川の席に集まった。
「で、さっき言ってたプラバの新メニューって?」
「これこれ。『ダブルスイーツマキシマムドライブ』。これは飲み物じゃないんだけど、期間限定でやるんだって」
相川の見せたスマホの画面には、横に二色、縦に三つ、計六色のパフェにスプーンが挿入された写真が映し出され、上にデカデカと『プラネットバックスの新しい風!さあ、お前の味を数えろ!』と書かれていた。
「うええ…何だこの見ただけで胸焼けしそうなスイーツは…」
そう言って橘は胸をおさえた。
「何味があるの?」
「えーっと、一番上がメロンとチョコ、真ん中がストロベリーとクリーム、それで一番下がソーダラムネとマンゴー、ってとこかな」
「何だその合わなそうな合いそうなわからんチョイスは…」
「その内真ん中に生クリームが挟まってエクストリームとか言いそうだね」
「勘弁してくれ…」
「『ダブルエクストリームマキシマムドライブ』?いや、『エクストリームダブルマキシマムドライブ』?どっちにしても凄そう!」
相川は目を輝かせながら言った。
すると、担任の教員が教室に入り、ブレイダ達は自分の席に着いた。
「ホームルームやるぞー。委員長ー。」
「きりーつ」
クラスの委員長の号令で教室の全員が立ち上がり、ブレイダ達の一日が始まった。
~~~~~
HRが終わった後、ブレイダと橘は相川の元に来た。
「そう言えば…ブレイダは知っているか?ヤミマジュウの噂」
「ヤミマジュウの噂?」
「うん。まだ本当か嘘かは分からないが、近々また来るそうだ」
「あ、それ私も聞いた。なんか朝ニュースでやってたって」
「ヤミマジュウ…か」
「ヤミマジュウってのは、ヤミノチカラってのに惹かれてくるんでしょ?ずっと前に来て全部持ってったんじゃないの?」
「それはそうだが…まあ、根も葉もない噂だ。近くを通る位だろう」
「………」
「咲、この話はちょっとこれ以上は…」
相川はブレイダの顔が暗くなるのを見て、橘にこっそり耳打ちした。
「あっ、そ、そうだな。すまん、ブレイダ」
橘は慌ててブレイダに頭を下げた。
「ううん、もうずっと前の事だし、噂の話だし、気にしなくて良いよ。第一、そんなに覚えてないし…」
「そ、そうか…」
「しっかりしなよ~。女子弓道部の部長でしょ?」
「どうもこう言うところには無頓着だな…私もまだまだかもな…だが制服をしっかり着れん翔子に言われたくはないな」
「うっ…痛いとこを突いてきなさる…しかも超ド正論で」
「ふふふ、ありがとう二人とも」
微笑みながらブレイダは言った。
「翔子のそう言う所は見習いたいものだな。テストで毎回赤点を取って居残り補習をさせられてるところを見ると、きちんと勉強しなきゃと言う気になれる」
「余計な一言のダメージがデカいっ!」
~~~~~
学校が終わり、ブレイダ、橘、相川は帰路に着いていた。
「今日は何で部活ないんだっけ?」
「顧問の先生が二人とも出張に行ってしまったし、ここ最近休みもろくに無かったから休みにしたんだ」
「ああ、そういう事ね…」
「まあ、部員の羽根を伸ばせるにはちょうど良い」
「ここ最近ずっと部活、部活で忙しかったもんね」
「ああ。三年生の先輩も引退したし、二年生が引っ張っていかないとな」
「大変そうだねぇ」
「まあ、大変かと聞かれたら大変だな。体力作りやら色々しないといけないしな」
そして、ブレイダのマンションが見えてきた。
「あ、じゃあ私こっちだから…またね、二人とも」
「ああ、また明日な」
「じゃーねー」
ブレイダは二人と別れ、マンションの部屋に入った。
「ただいまー」
「おかえり、ブレイダ。帰ってきてわるいんだけど、すぐに着替えて」
「はーい」
ブレイダは靴をぬぎ、自分の部屋に入って私服に着替え、制服とスカートをハンガーに掛け、居間に入った。
「着替えたよ。…ところで、私のヘッドホンは?」
「ああ、それなら向こうに行けば分かるわ」
「?」
ブレイダは首を傾げながらも百合の言葉を信じ、車に乗ってガードナーのTK地区基地に向かった。
「ガードナーに私が所属?」
「そうよ。その第七部隊に入るの。それぞれポジションがあって、フォワードはヤミマジュウとの戦闘、ディフェンダーは市民の避難誘導、キーパーは基地でその二つのポジションへ指示を出すってとこかしら」
「ヤミマジュウって…わたしヤミマジュウと闘うの?」
「そうよ。貴方には特別な力がずっと眠ってる。それを解放すればヤミマジュウなんてちょちょいのちょいって感じ」
「はあ…」
ガードナーとは、ダーク・デイをきっかけに出来た、ヤミマジュウに対抗すべく結成された組織の事で、正式名称は「Global United All Reflection Doing Needs Every Range」と言う。普段はボランティア活動や遭難した人々の救助など、自衛隊や軍隊に代わって活動をしている。
「ましてや何年も眠らせてるから、起こしてあげれば、凄い戦力になるんだけど…どう?嫌なら嫌でも構わないけど…」
「………」
「まあ、そんな急かす話でもないし、じっくり考えておいて。無理にやらせても可哀想だしね」
「…ありがとうございます」
少しして、百合達はガードナーの基地に到着した。
「やっぱりいつ見ても大きいなぁ…」
建物は東京ドームが三個位入りそうな大きさで、これほどとは言わないものの各都道府県、各国の州に基地が設置してあり、本部はパリにこれの二倍程の大きさの基地が建てられている。
「こっちよ、着いてきて」
ブレイダは迷子にならないようユリに着いていき、「第一会議室」と書かれた部屋に入った。
中には玲司、神凪が小さい箱を持って待っていた。
「やあ、ブレイダちゃん、百合。思っていたより早いね」
「こんにちは、玲司さん。神凪さん」
「おかえりなさい、ブレイダちゃん。早く来てくれてお姉さんは嬉しいよ」
「ありがとうございます、神凪さん」
「さて、早速本題に入ろう。これを見て欲しい」
玲司はそう言って小箱を開け、中身を見せた。
「新しい…ヘッドホンと、スマホ?」
中には、見たことのない形状のデバイスとヘッドホンが入っていた。
「ああ。ブレイダちゃんのヘッドホンを勝手に使用して済まない。だが、ヤミマジュウに対抗する為、元々あったシャイニングシステムをこちらに移植し、改造したものだ」
「シャイニングシステム?」
「ああ。装着者に眠るヒカリノチカラを解放させ、ヤミマジュウに対抗出来る力を作り出す…早い話がこれを使えば戦える様になるって訳だ」
「へぇー…」
そう言いながらブレイダはデバイスとヘッドホンを手に取った。
「通常時はスマートフォンとヘッドホンとして使用可能だ。そして、変身時は、ヘッドホンが通信機となり、君に戦う力を与えてくれるだろう」
「戦う…力…」
すると、サイレンが鳴り響き、辺りで強い地響きが起きた。
「何だ!?」
会議室にあったモニターにニュースが映し出され、そこには、十mほどの巨大な怪物が街を襲っていた。
「こんな時に…!」
「ブレイダ、戦うか戦わないかは君の自由だ…君が戦わない事を選ぶなら、俺が行くし、戦う事を選ぶなら俺達は全力で君をサポートする」
「………」
「…どちらでも大丈夫だ…早く決めてくれ…」
「…わたし、戦います!」
「よし!」
ブレイダはヘッドホンとデバイスを持ち出し、急いで外に向かった。
「えーと…これだ!」
ブレイダはデバイスを操作し、変身シーケンスに入った。
「トランス オン!」
ブレイダの着ていた服は変わり、ヘッドホンにアンテナの役割を果たす部分が追加されて頭部に装着され首から股間にかけて黒いタイツが装着され、その上に戦闘用ジャケットが覆いかぶさり、脚にも太腿から爪先にかけて黒いソックスが装着され、ヒールの様な靴がつき、手首、足首にプロテクターが装着され、蒸気を吹き出しながらしっかりと外れないように蒸着し、腰からスカートが前以外を覆うように装着され、スマホ型のデバイスは胸に戦闘用ジャケットのボタン代わりとなり、リボンも現れて装着され、左手に剣が現れ、それを強く握り、変身が完了した。
「キシャオオオオオオオ!」
「まってまってまって無理無理無理無理無理だから!」
相川は、巨大なヤミマジュウに驚いて腰が抜け、逃げれないでいた。
ヤミマジュウの角にエネルギーが溜まっていき、相川は咄嗟に顔を両腕でおさえた。
「!!」
「だあああっ!」
「キシャアアアアッ!」
ヤミマジュウは悲鳴とも、雄叫びとも分からぬ奇声を発しながら横に倒れた。
「…?」
相川の前に新たなヒカリノチカラを持った戦士が立った。
「ごめん、待たせちゃったね。後は任せて」
戦士は少しだけ振り向き、相川にそう言うと颯爽とヤミマジュウに向かっていった。
「あ…あ…」
「翔子!立てるか?」
「え、あ、うん…」
走ってきた橘に手を借り、相川は立ち上がった。
「…光の戦士…?」
「光の戦士?」
ヤミマジュウに立ち向かう戦士は、雲の隙間から溢れた光に照らされ、まさしくそれは「光の戦士」と形容出来る新たな希望の光だった。
今回はここまでです。
次回は、ブレイダちゃんの戦闘からスタートです。
キャラ紹介
柊ブレイダ(ひいらぎぶれいだ):今作の主人公。苗字は養母である百合の苗字を使っている。ガードナー第七部隊に所属する数少ない「ヒカリノチカラ」を持つ戦士で、部隊唯一のフォワード。学生と戦士を両立しており、基本は真面目だがどこか天然が入っている。趣味はヘッドホンで音楽を聴くことで、使っているヘッドホンもかなり愛用している。
橘咲(たちばなさき):ブレイダのクラスメイトで、一年生の頃からの友達。成績も良く、弓道部の部長を務めるが、どこか無頓着なところがある。趣味は読書と映画鑑賞。
相川翔子(あいかわしょうこ):同じくクラスメイトで、成績はあまり良くないものの、周囲への気遣いがとても出来る。決して悪い子ではない…が、先生への反抗心があるのか、制服をしっかり着たことはあまりない。趣味はゲームと漫画を読む事。
柊百合(ひいらぎゆり):ブレイダの養母。ダーク・デイの後に身寄りのなくなったブレイダを引き取り、未熟な母親ながらもブレイダを育てている。元々は婚約する予定だった彼氏がいたが、彼氏もダーク・デイで行方不明になっている。