「フルパワー解放!」
『BANNICING SMASH!』
「ギシャァァァァァァ!」
ヤミマジュウからヤミノチカラの水晶が飛び出てきたのをブレイダはキャッチし、一緒にいたサリエールも小さくなって元のサイズに戻った動物を抱きかかえた。
「ふう…」
「完了。さあ、基地に戻ろう」
「うん、サリエールちゃん」
二人は胸のコアクリスタルを外し、変身を解除してデバイスをポケットにしまった。
「体は大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。あの時は急な攻撃で気絶しちゃっただけだったし、心配ないよ」
「そう…それならいいんだけど…あまり心配かけないで」
「うん、気をつける。それより、前にガディサイトって人が次からは自分で来るって言ってたけど…」
「…」
サリエールは俯いてそっぽを向いた。
「今日は来なかったね。気付かなかったのかな?」
それを聞いてサリエールは少しコケた。
「気になるとこそっち?ま、まあ、確かに今日は来なかったけど…」
「どうしたんだろうね?」
「さ、さぁ…そういう時もあるんじゃない?」
「うーん、まあいっか。その子と水晶を守れたんだし」
そう言いながらブレイダはサリエールが抱いている動物を撫でながら言った。
そして、二人は基地に入ってヤミノチカラと動物をガードナー局員に渡した。
「ブレイダはどうするんだ?」
「私は少し休んでから帰るよ」
「そう…ま、何も無いけどゆっくりしてって」
そう言ってサリエールは自室になっている仮眠室の部屋を開けて中に入った。
「少し待ってて。お菓子を持ってくるから」
サリエールがお菓子を取りに行っている間、ブレイダはテレビを見て待っていた。
『次のニュースです。昨日の夕方五時頃に児童が誘拐されると言う事件が起き、犯人は以前として捕まっておりません。目撃者によると犯人は黒い車に児童を乗せたあとすぐにどこかへ行ってしまったそうで、この車は以前誘拐事件を起こした犯人と同じものの可能性がありそうです』
「誘拐か…この辺りだな」
サリエールはお菓子の入った袋をテーブルに置いて椅子に座った。
「最近多いよね。咲ちゃん達も大丈夫かな…」
「もう小さな子供じゃないんだし、大丈夫でしょ」
そう言いながらサリエールはチョコを摘んで口の中に入れた。
「そうだといいんだけど…」
ブレイダもチョコを包装から取り出して口の中に入れた。
「それに、心配すべきなのは今から帰る貴女でしょ」
「そ、そうだね…」
ブレイダは少し苦笑いをしながら言った。
「それじゃ、わたしはそろそろ帰るよ」
「そう…分かった、道中気をつけて」
「うん、ありがとうサリエールちゃん」
そう言ってブレイダは椅子から立ち上がり、デバイスがある事を確認して部屋から出た。
「またね~」
「ああ、また」
そして、ブレイダは基地を出て帰路についた。
「今日も疲れたな~…」
すると、次の瞬間黒い車がブレイダの横に現れ、抵抗する暇もないまま数人の男に睡眠薬を嗅がされ、ブレイダは眠ってしまい、車に乗せられてしまった。
サリエールが部屋でチョコを摘んでいると、デバイスに着信が入り、サリエールは食べようとしたチョコを置いて電話に出た。
「もしもし?」
『もしもし、サリエール?』
「相川か…どうした?」
『ブレっちがまだ帰ってきてないって百合さんから連絡が来てさ、何か知らない?』
「ブレイダ?ブレイダなら結構前に帰った筈だけど…」
『そう…ありがとう、サリエール…』
「ま、待て、一応私も探してみるから、まだ気を落とすな」
『頼むよ、サリエール…』
そして、サリエールは電話を切って屋上に駆け上がり、変身して屋上から飛び、街に飛んだ。
(待っていて…ブレイダ…!)
「ん…んん…」
ブレイダが目を覚ました時には既に車の中ではなく、どこかの建物の中にいた。
(ここは…どこ…?)
手を動かそうとしたが縛られていて動けず、足を動かそうとしたがこちらも縛られていて動けず、おまけに目隠しをされて口にガムテープもされている様だった。
床はひんやりと冷たく、どうやらコンクリートの上に直に座らされているらしい。
身動き一つ取れないこの状況では助けも呼べそうになかった。
「んん…ん…」
「んんんー!」
「うるせえ!大人しくしろ!」
男性の怒号が聞こえると同時に鈍い音がした。どうやら、自分の他にも同じように誘拐された子供が何人かおり、その内の一人が倒されたのであろう。
「ボス、こいつらどうします?」
「そうだな…夜明けにこいつらを船に乗せて海外に売り飛ばす。多少は金になるだろ」
「分かりました。船を用意しておきます」
「ああ。いい上物が揃ったからな。俺達で遊んでもいいが、それじゃ値段が落ちてしまう。それでは意味が無い」
「ボス、こちらへ」
「ああ、楽しみにしていろよ…ガキ共。精々今のうちに日本の空気をたらふく吸っておくんだな」
そう言って男達は部屋から出た。
(全員出たかな…?)
ブレイダは音を立てないように静かに身体を倒し、目隠しを上手くずらして視界を確保し、なんとか身体を起こして周りを見た。
透明なドアから銃を持った男が見えたが、幸いにも後ろを向いていた様で、ブレイダの事には気がついていないようだった。
そして、子供達の年齢はまちまちで、幼児もいればブレイダより年上の学生もおり、その中にはブレイダと同じ学校の制服を着た女子もいた。
(さてと…まずはこれを外さないと…)
誘拐犯達の考えが甘かったのか、手首は縛られていたものの腕までは縛られておらず、ガムテープをなんとか噛みちぎって深呼吸をし、腕の縄を噛みちぎって手を解放し、足の縄を手で解いて身動きを取れるようにした。
(当分は硬いものは勘弁ね…さて、これが私一人なら脱出は出来るんだけど…他の子達も置いていけないし…)
ひとまずブレイダは身の安全を確保するため、そして可能な行動の範囲を増やすため変身し、ドアを開けて男が振り返るよりも早く手刀を打ち込んで気絶させた。
(よし…)
そして、ブレイダはドアの隙間から左右を見渡した。
どうやら、ボスと呼ばれていた男やその他の男達がいる部屋は別の階層の様で、廊下には他に扉がなく、どうやら地下のようだ。
(まずはサリエールちゃんに連絡をしないと…)
ブレイダは扉を閉めて、サリエールに通信を入れた。
すると、すぐにサリエールが出てくれた。
『もしもし、ブレイダ?今どこにいる?』
「いや、それが場所がわかんなくて…けど、誘拐された人達と一緒にいるよ。多分ここ最近誘拐された人達ばっかり」
『そう…分かった。今ガードナーの方でも誘拐事件を調査していたらしくて…場合によっちゃお手柄だよ』
「事件が解決出来て犯人も逮捕出来る、って訳だね。わたしは何をしたらいい?」
『とりあえず私にも分かるようにヒカリノチカラを高めて。その後にそこにいる子供達を解放して動けるようにしておいて』
「分かった。でも、気合い入れてどうするの?」
『私がヤミノチカラを高めれば位置が分かるように、ブレイダもヒカリノチカラを高めれば私も感知出来るから、その位置情報を基地に送れば後はガードナーがヘリを送ってくれるはず』
「なるほど、分かった!」
早速ブレイダは力を入れて光のオーラを出した。
『よし、位置情報は掴んだ。後は子供達を解放して、地上に出して…と言いたいところだけど』
「言いたいところだけど?」
『子供達を連れて出ては誘拐犯に見つかった時に人質に取られる可能性が高い。まずは建物の中にいる人間を気絶させるなりして。私もそっちに向かってるから、それまでの間耐えていて』
「分かった。頼んだよ、サリエールちゃん」
そして、ブレイダは通信を切り、子供達の拘束を解いた。
「お姉ちゃん…怖かった…」
「怖かったよぉー!」
「よしよし、怖かったよね。もう大丈夫。今お姉ちゃんがガードナーの人達に連絡を入れたからね」
そう言いながらブレイダは寄ってきた子供達の頭を撫でてあげた。
「あの、貴方は一体…」
「今はまだ内緒。とりあえず、皆はまだここにいて」
「お姉ちゃんは?」
「ここの人達をどうにかする。後から青い髪のお姉ちゃんが来るからその人達に着いて行って」
「分かった!」
「よし、いい子だ。将来美人さんだ」
そう言って女の子の頭を撫で、部屋を出た。
そして、階段を駆け上ると二人の男が銃を構えていた。
「撃てー!」
「どうやら聞かれてた様ね!はぁっ!」
ブレイダは男達の銃弾をブライトサークルで弾き、ブレイブレードを非殺生モードに切り替えて男達の頭をぶっ叩いて気絶させた。
そして、出していたブライトサークルを移動させて飛び乗り、迫って来た複数の男達にブライトサークルをぶつけ、怯んだところを一人逃さず気絶させて次の階層に向かった。
すると、白いスーツを着た男が刀を持ってブレイダの前に立っていた。
「ガキがいきがりおって…お前を海外に売り飛ばすのはやめだ。今すぐ切り刻んで魚の餌にしてやる」
そう言って男は刀を構えた。
「そうはいかないね。わたしにも待ってる人がいるんだから」
ブレイダも左手で剣を強く握って構えた。
「戦う前にいいことを教えてやろう…俺の剣の腕は二十段だ。これを聞いてもやるつもりか?」
「…ふふっ」
ブレイダは白い歯を少し見せて笑った。
「何を笑ってやがる!」
「貴方がどれだけ上手いかは知らないけど、大したことなさそうなのに変な自慢してるのがおかしかったの」
「ふ…すぐにでもその減らず口を叩き直してやるわ!」
そう言って男はブレイダに刀を振り下ろした。
しかし、ブレイダは焦ることなく剣で受け止め、弾き返した。
「な、なんだと!」
男は何度もブレイダに切りつけるがかすり傷一つ付けられず、ブレイダに延々と弾かれているだけだった。
「はっ!」
ブレイダは一瞬の隙を見つけ男の腹部に剣で叩きつけ、男は後ずさった。
「な、こ、こんな事が…」
「どうしたの?二十段なんでしょ?」
「く…クソガキぃぃぃっ!」
男は刀を振り回してブレイダに何度も斬りつけていく。が、ブレイダはそれを全て回避していた。
「ほらほら、鬼さんこちら~手の鳴る方へ~!」
ブレイダは若干煽りながらどんどん距離を取り、手を叩いて男をイラつかせていた。
「調子に乗りおって…!もう刀などいらぬわ!」
そう言って男は刀を放り捨て、傍にあった箱からロケットランチャーを取り出した。
「そ、そんなのアリ!?」
「灰になって消え去れぇぇぇ!」
そう言って男はロケットランチャーからミサイルを一つ発射した。
「えーとえーと…ん?」
ブレイダは手に持っていたブレイブレードに気が付いた。
「…一か八か!」
そう言ってブレイダは身体を捻り、片足をあげてブレイブレードを両手で持ってバットの様に構え、ミサイルをブレイブレードで打ち返した。
「な、何!?そ、そんなー!いやー!」
ミサイルは男のすぐ側で爆発し、辺りに爆音が響いた。
「ふう…終わった」
すると、別の通路からサリエールが走ってくるのが見えた。
「ブレイダ、大丈夫?今の音は…」
「ちょっと一悶着あってね…そっちも大丈夫?」
「ええ、会った敵は全員気絶させといたわ」
「じゃあ、後は子供達を解放して元の場所に届けよう」
そして、二人は地下まで行って子供達を部屋から出し、夜明けと共にやってきたガードナーの救助用ヘリに子供達を乗せ、ガードナーの護送用ヘリにボス含め十数人の男達を収容し、それぞれ飛び立って行った。
「ふう、一時はどうなるかと思ったよ」
「だから気をつけろって言ったのに…ま、無事で何よりよ」
「そうでしょ?だから…」
「でも!もう次はないからね!ちゃんと気をつけてよ!」
サリエールはブレイダに顔を近付けながら言った。
「は、はい…気をつけます」
「よし。…まあ、誘拐された子供達を助けられたのはブレイダの活躍もあってこそだからね。今日はゆっくり休みな」
「うん。そうするよ…ふわぁ…」
次の瞬間ブレイダはサリエールに倒れ込んでしまった。
「ちょ、ちょっと大丈夫?」
よく見ると、ブレイダは寝息を立てながら安堵した表情で寝ていた。
「ったく…今日だけよ」
サリエールはブレイダを運んでガードナーの仮眠室に入り、自分も隣で寝ることにした。
ガードナーの仮眠室には、午前中からずっと寝ている二人の局員がいたが、誰も起こそうとはしない。今だけは、子供達の為に頑張った二人に休息をあげよう。
ちょっと短いんじゃないですかねぇ…まあ、いつもヤミマジュウと戦っているのを直ぐに終わらせちゃったし、多少はね?
では、また次回!
ここ最近話を思い浮かべるのに一週間かかっているのは内緒だ