流石に悲しい路線に行く訳にはいかんのじゃ…
ブレイダはガディナの手を払い、キッとガディナを睨みつけた。
今までとは違い、ブレイダの気迫でガディナを圧倒していた。
「大丈夫?サリエールちゃん」
そう言ってブレイダは微笑んでサリエールに手を差し伸べ、サリエールはその手を取った。
「ありがとう、ブレイダ」
「礼なんて言いっこなしだよ。それに…」
ブレイダはガディナの方を向いた。
「あなたにはキッチリ借りを返さないとね」
そう言ってゆっくりとブレイダはガディナに歩いて近付いた。
ブレイダの眼光は強く、昨日の彼女とはまるで別人だ。
「く…う…ううううーっ!」
そして、手にブレイブレードを出現させて強く握り、ガディナが撃った銃弾を弾き、そのまま歩き続けた。
「な…こ、この…!」
ガディナはそう言ってブレイダに向けて二発弾丸を発射した。
「…はぁっ!」
ブレイダは走り出し、構えた剣で弾丸を弾き返してガディナの懐に入り込んだ。
「う!」
「だぁぁ!」
ブレイダは渾身の力を込めて剣でガディナに叩きつけた。
「うわぁぁぁっ!」
ガディナは強く吹き飛ばされ、ガレキの山に突っ込んだ。
「ぐ…」
「………」
ブレイダは立ち止まり、ガレキの山の方を見つめた。
「…ブレイダ…?」
「ふぅっ!」
すると、ガレキの山からガディナが飛び出し、上空に留まってブレイダを見下ろした。
「く…なんでだ…!昨日あれだけ痛めつけてやったのに…!」
ブレイダは上空に浮くガディナを見上げた。
「…」
ブレイダはガディナの方を見つめていた。
「ううう…!今すぐお前を倒してやるー!」
そう言ってガディナはブレイダに向けて飛び出した。
「そう…」
ブレイダはそれだけ言うとガディナの突進を最小限の動作で回避し、ガディナはそのまま地面に頭から突っ込んだ。
「痛たたたた…!ど、どうして避けるのよ!」
「あら、避けちゃ悪かった?」
そう言ってブレイダは転んだガディナの方を向いた。
「当たり前でしょ!避けないでよ!」
「分かった、次は避けない」
そう言ってブレイダはガディナの方を向いて棒立ちで立った。
「さあ、来るなら来て」
そう言うブレイダは先程よりも強くガディナを睨んでいた。
「う…うわぁぁぁー!」
半ば震えながらガディナは銃口をブレイダに向けて連射した。
しかし、銃口が震えているのか銃弾はブレイダの身体をかするばかりだった。
「お、お前なんかお前なんかお前なんか…!」
「声と銃口が震えてるよ。ちゃんと狙って撃たなきゃ」
「な、何!?そっちが避けてるんでしょ!?」
「バカ言わないで。わたしはここから動いてないわ」
「そ、そ、そんな…ことが…う、う、うそだ…」
ブレイダは真っ直ぐ歩いて進み、弾丸の嵐の中を通ってガディナに歩を進めた。
「あ、当たれ…当たれ当たれ当たれえええ!!」
そうしている内に弾切れを起こし、ガディナは弾丸が出ない銃の引き金を何度も引いた。
「はぁっ!」
ブレイダはガディナの銃を薙ぎ払って手から飛ばし、矛先でガディナの身体を一突きして一瞬動きを止めた。
「がっ…」
「はぁぁっ!」
そして、剣を大きく振りかぶって強くガディナの身体に叩きつけた。
「がァァァァ!痛い…痛い痛い!痛い痛い痛いあああああ!」
そう叫びながらガディナは左肩を押さえた。
「なんで…なんでなんでなんでなんで!どうして私があなたに…!!」
そう叫んでガディナはブレイダに向かって飛びかかってきた。
「簡単なことよ」
「!」
ブレイダは剣を構え、飛びかかってきたガディナの身体に剣を強く叩きつけてガディナを地面に叩きつけた。
「あなたがわたしの大切な人に手を出した…それだけよ!」
「ブレイダ…」
「ぐうううううっ!舐めるなぁぁぁぁ!」
ガディナは素早く立ち上がってブレイダに殴りかかった。しかし、ブレイダはその拳を掴んで受け止め、腕を上に払い除けて腹部に肘打ちを入れ、後ろ回し蹴りでガディナを蹴り飛ばした。
「く…!これだけは使いたくなかったけど…!」
ガディナは胸のコアクリスタルを外して操作し始めた。
『INFINITY EXCEEDS!START!』
「!」
「来る…!」
ブレイダはサリエールの元にまで下がり、それぞれ武器を構え臨戦態勢に入った。
『Process one』
デバイスの音声と共にガディナは勢いよく飛び上がり、一切の動き無しで音速を超えてブレイダに突撃し、ブレイダが避ける間もないまま上空に連れ去った。
『Process two』
ガディナはブレイダを音速を超える速度を出し、凄まじい力でブレイダを地面に叩きつけた。ブレイダが叩きつけられた場所には五十メートル程のクレーターが出来上がっていた。
「う…!」
「あは…あはは、あはははははは!そうだ!もっと足掻いて見せろ!」
ブレイダが立ち上がろうとする暇もないままガディナはブレイダの髪を掴み、強く頭突きをし、ブレイダは一瞬気を失いそうになった。
「まだまだ…これから全力でぶっ壊してあげる!」
そう言うとガディナはブレイダを地面に一発叩きつけ、もう一度持ち上げてブレイダの身体を殴り始めた。
「りゃあ!だぁ!」
「がっ!げふっ!がはっ…!」
「前は何本か残しちゃったけど…今度は完全に骨一本残さず壊す。その腕も!脚も!身体も!完全にねぇ!」
『Process three. Process four. Process Five』
ガディナはブレイダを殴ろうとする拳を進化させ、見るのも恐ろしい程に巨大で醜悪な拳になっていた。
「ぐ…ううっ…!」
ブレイダは両腕でガディナの腕を剥がそうとしたが、ビクともしない程に強くブレイダを掴んでいた。
「今度はさせない!はぁぁっ!」
そう言ってサリエールは鎌を握りガディナに向けて振り下ろした。
「なっ!くっ!」
ガディナは慌ててブレイダを離し、サリエールはブレイダの身体を急いで支えた。
「やってくれるじゃない…出来損ないどもめ…!」
すると、ガディナは何を思いついたのか、不敵な笑みを浮かべてコアクリスタルを銃にセットし、ブレイダに銃口を向けた。
『Process one』
「これでもくらえ!」
ガディナは引き金を引き、ブレイダに紫色の光弾を放った。
「うああっ!」
光弾を受けたブレイダは地面に倒れ込んだ。
「ふ…」
ガディナはコアクリスタルを胸に戻した。
「あなた…ブレイダとか言ったわよね…あなたは今のままでいいの?」
「え…?」
「そんな出来損ないの約立たずを守り、結果いつもあなたが傷ついているじゃない。本当はどこかで思ってるんじゃないの?一人でやった方が良いって」
「そんなことない!サリエールちゃんは私の…!」
「パートナーなんて言いたい訳?その子はあなたを助けるようなこともろくにしないまま私にヤミノチカラを渡して、あげく昨日もあなたに大怪我を負わせたのよ?助けることもしないで」
「違う…サリエールちゃんは…!」
ブレイダの拳は怒りでわなわなと震え、歯を食いしばってガディナの方を睨みつけていた。
「何が違うの?そんな自分の相棒も守らない、サポートしない、しかも自分勝手…これ以上酷いやつなんていないわ」
「…私…私は…」
口を開けたままサリエールは首を横に振った。
「もちろん、アタシが襲ったのはあなたを倒さなきゃいけないから。だけど…そこの約立たずがあなたを守らない理由がどこにあるの?そんなパートナー、もう捨ててしまえば?」
「黙れぇぇぇぇぇぇ!」
ブレイダは立ち上がって叫んだ。
すると、ブレイダに異変が起き、ブレイダのコアクリスタルが紫に染まった。
「ああああああああぁぁぁ!!!」
ブレイダの中のヒカリノチカラはヤミノチカラへと変わっていき、段々と増殖を始め、ブレイダの体表にも変化が現れ始めた。
「なんだ!?何が起こっている!?」
玲司は司令室で 解析をしている神凪に聞いた。
「分からない!ブレイダちゃんの体内のヤミノチカラの侵食率…80%…100%…120%…!?まだまだ上がっていくわ!」
「ブレイダ…!?」
「あああああ…!ああああああああぁぁぁ!はぁぁぁぁ…」
正気を失い、肩で息をしているブレイダにガディナが近付き、耳打ちをした。
「あなたの標的は、そこの青い髪の子よ…」
そう言われてブレイダはサリエールの方を向いた。
「全力でやりなさい。あれはあなたから全てを奪ったのよ」
「ガァァァァァァ!」
ブレイダのバトルスーツも白から黒に染まり、オレンジのラインも赤黒く血のように染まった。
そして、剣を握り、サリエールに襲いかかった。
「ガァァァァァァッ!」
「ブレイダ…くっ!」
ブレイダは剣を振り回し、サリエールはそれを避けるのが精一杯だった。
「ウウウ…アァーッ!」
ブレイダは足元に紫色のブライトサークルを出現させて強く蹴って飛び出し、サリエールに急接近した。
「!!」
「ダァァッ!」
ブレイダは強くサリエールに剣を叩きつけた。
「がはっ…!」
ブレイダは弾んだサリエールの首を掴み、力強く握って持ち上げた。
「ウウウウ…!
「がっ…ぐっ!」
サリエールは鎌を慌てて掴み、ブレイダに当てて無理やり腕を引き剥がした。
「ゲホゲホッ!…く…!」
「グ…グアアァァァ!」
ブレイダは尚もサリエールに襲いかかり、サリエールの鎌を掴んでサリエールの身体ごとビルの壁に押し当てた。
「ブレイダ…お願い…目を覚まして…!」
「ウアアアアアッ!」
ブレイダは獣のような雄叫びをあげながら剣を振り上げ、サリエールは覚悟を決めて目を瞑った。
「…?」
サリエールは恐る恐る目を開けた。
「ウウウ…」
ブレイダの剣はサリエールの前髪の直前で止まり、腕が震えていた。
「ウウ…」
「ブレイダ…?」
「…わたし…は…」
ブレイダの変身が解け、正気に戻ったブレイダは辺りを見回した。
「…これ…は…うっ!」
ブレイダに激しい頭痛が走り、頭を押さえてしゃがみ込んだ。
「ブレイダ!?」
「うっ…ううっ!」
ブレイダは震える手を見つめていた。
「わたしは…わたしは…うわぁぁぁー!」
そう言ってブレイダはどこかに向かって走り出した。
「ブレイダ!待って!」
「…」
ブレイダは一瞬立ち止まったが、何も言わず、どこかに走り去ってしまった。
「あらら…ま、自分の行いのせいよね。せいぜい頑張りなさい」
そう言われてサリエールはガディナの方を向いたが、もう誰もおらず、その場にはサリエールだけが残っていた。
「ブレイダ…私がもっと助けてあげていれば…」
空は鉛色に染まり、雨が降り始めた。
「違う…助けなきゃいけなかったんだ…なのに…私は助けようともしないで…!どうして…どうして何も出来なかったの!…」
サリエールの叫びが谺響する。その叫びはとても辛いものだった。
サリエールは雨に打たれながらガードナーの基地に向かって歩いていた。
全身は雨で濡れ、顔には涙とも雨とも分からない水滴が付いていた。
辺りを歩く人間は誰もサリエールのことなど気にも留めず、自分の行くべき場所に向かって歩くばかりだった。
雨はどんどん強くなり、降水量も増え、サリエールの足元にも段々と水溜まりが増えてきた。
「……」
サリエールの脚は震え、ついに膝を地面についてしゃがみ込んでしまった。
「…ブレイダ…」
雨に打たれているサリエールは歩くことを辞めてしまった。
「今日はブレっちこないね。どうしたんだろ」
「さあな…風邪とかじゃないのか?」
橘と相川は傘をさして学校に向かっていた。
「風邪かなぁ…あの健康優良少女が風邪なんてひくかね」
「さあな…バカは風邪ひかないなんて言うからブレイダはバカではないんだろうな。咲と違って」
「な、なにおう!」
「ははは、そう怒るな怒るな。…ん?」
橘は道端にサリエールが座っているのを見つけた。
「サリエール…どうしたんだ?」
「ブレっちは一緒じゃないの?」
橘と相川はしゃがみ込んでサリエールの顔を覗き込んだ。
「…ブレイダは…」
二人はサリエールから一連の事情を聞いた。
「…つまり、ブレっちの身体は今はヤミマジュウと同じ、ってこと?」
「…うん、ごめん、私が守れていれば…」
「過ぎたことを気にしても仕方がない。今はブレイダを探すことが先決だ」
「うん…でも…今会ってもなんて思われるか…」
「大丈夫」
そう言って相川は立ち上がってサリエールに手を差し伸べ、サリエールはそれを見て顔を上げた。
「今はまだ困惑してるだけだよ。ブレっちがあんたを嫌いになんてなる訳ない。約束する」
「…でも…」
「サリエールとブレイダなら大丈夫だ」
橘もサリエールに手を差し伸べた。
「…分かった。会って話してみる」
そう言ってサリエールは二人の手を掴んで立ち上がった。
「私たちはまだこれから学校があるから…終わったら探すのを手伝うよ」
「ありがとう、二人とも」
「気にするな。いつも助けて貰ってるんだ。こういう時くらいは、な。がんばれ」
「…うん!」
サリエールは強く頷き、走り出した。
「はぁ…はぁ…」
息を切らしながらブレイダは森の中を走っていた。
「…」
ブレイダは立ち止まり、木陰に座り込んだ。
「…私はもう…戦うことが出来ないのかな…次変身したらまた…」
そう言いながらブレイダは虚空を見ていた。
「ウガァァァァァッ!」
すると、森の中で巨大なヤミマジュウが目覚め、木々を倒しながら街の方に向かっていた。
「あれは…ヤミマジュウ!皆には…近付かせない!」
ブレイダはデバイスを取り出し、デバイスを操作して右手に構えた。
「………!」
先程の暴走していた時間がふと脳裏を過ぎる。だが、そんな事は気にしていられなかった
「…トランス・オン!」
ブレイダは胸にデバイスを装着し、一気に変身を完了させた。
「ううう…ウウウ…く…!」
全身に電流が走り、ブレイダは動きを止めた。
「くっ…グググ…ぐ…!あああっ!」
ヤミノチカラに飲まれそうになるのを必死に抑え、ブレイダは剣を握った。
「わたしは…ヒカリノチカラで戦う…ガードナーだァァァァァ!」
すると、ブレイダを囲っていたヤミノチカラがガラスのように割れて砕け散り、ブレイダの体内のヤミノチカラがヒカリノチカラへと変わった。
「はっ!」
ブレイダはオレンジ色のブライトサークルを出現させて乗り込み、ヤミマジュウの元に向かった。
「はぁぁぁっ!」
ブレイダはブライトサークルから強く飛び立ち、ヤミマジュウの顔に剣の矛先を叩きつけてヤミマジュウは地面に倒れた。
「はぁ…はぁ…ぐ…!」
まだ身体が痛むのか、ブレイダは肩を押さえながら剣を強く握った。
「わたしはもう…負けない!」
ブレイダは走り出し、ヤミマジュウも立ち上がってブレイダに向かって拳を振り下ろした。
ブレイダは剣でヤミマジュウの拳を弾き返し、素早くターンしてヤミマジュウに一歩近付いて身体を剣で突き、ヤミマジュウはよろめいて後ずさった。
「もう私は逃げない!誰も傷つけさせない!」
「ウガァァァァァッ!」
「はぁぁぁぁぁっ!」
ブレイダはヤミマジュウが振り下ろして来る拳に合わせて飛び上がり、ヤミマジュウの周りにブライトサークルを多数出現させ、最初のブライトサークルを強く蹴って飛び出した。
『BANNICING SMASH!』
「だああああああああああああぁぁぁ!!!!」
ブレイダは音速を超え、さらに加速して行きながら剣にヒカリノチカラを貯め、ヤミマジュウに向かって剣を力強く振り下ろした。
「グアアァァァァァァ!!!!」
ヤミマジュウが紫の炎をあげて爆発し、ヤミノチカラの水晶と動物が落ちてきた。
着地したブレイダは水晶を拾い上げ、ヤミマジュウを倒した事を確認した途端に力が抜け、背中から倒れそうになった。
すると、その背中を誰かに支えられ、後ろを見た。
「…サリエールちゃん…ありがとう」
「…良いよ、ブレイダが無事なら」
サリエールはブレイダを支えて立たせ、肩を貸して歩き始めた。
「いつからいたの?」
「ちょっと前…かな。ブレイダの叫びが聞こえて、それを聞いて走ってきたの」
「そっか…」
「うん…今まで守れなくてごめん、ブレイダ。私、これまで以上に頑張るからさ…もっと、頼って」
「…うん、ずっとずっと、頼りにしてるよ」
そう言ってブレイダはサリエールに向かって前と変わらない笑顔を見せた。
「あ痛たた…」
ブレイダは顔を歪めながら腕を押さえた。
「だ、大丈夫!?」
「う、うん。でもちょっと痛むかな…」
「そんなのちょっとじゃないよ!とにかく基地に戻って回復アイテム飲まなきゃ!急ごう!」
「うん!」
サリエールは変身してブレイダをお姫様抱っこして飛び上がった。
「ふえ!?ええ!?」
「しっかり掴まっててね!」
そう言ってサリエールは一気に速度を上げて飛行を始めた。
「はやーーーーーーい!」
ガードナーの基地で回復アイテムを飲み、身体中のケガを治した。
「学校の先生には一応言ってあるけど…遅刻にして学校に行く?」
百合はカーテンを開けながら言った。
「うん。咲ちゃんや翔子ちゃんも待ってるだろうし」
「分かったわ。先生には連絡しておくからブレイダは学校に行きな」
「はい!」
そう言ってブレイダは用意されていたカバンを持ち、靴を履いて基地の入口を出た。
「行ってらっしゃーい!」
「…行ってらっしゃい」
「行ってきます!」
そう言ってブレイダは笑顔で学校に向かった。
「…もうすぐ、高校三年生か…」
そう言う百合の目はどこか寂しそうだった。
今回はここまでです。
次回からブレイダちゃんとサリエールちゃんは高校三年生!乞うご期待!
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