そして長くなってごめんなーー!!!!
とりあえずつべこべ言わずに本編じゃ!
「百合~!!」
「零~!!」
百合と零の二人は笑顔で手を繋いでぐるぐる回りながら笑っていた。
「百合さんあんなに元気だったんだね」
「い、いや、元気すぎて逆に怖いんだけど…」
「でも、百合さん、零さんが帰ってきてから前より元気になったよね」
「うん。それに、零さんのおかげでわたしも元通り元気になれたしね」
そう言ってブレイダは無邪気に笑い、サリエール、橘、相川の三人も釣られて笑顔になった。
「しかし、お前もお前だよな。治った途端一分も経たない内に目を覚ますんだから」
「うんうん。本当にびっくりしたよ。でも早い内に目が覚めて良かった」
玲司と神凪の言葉に相川はうんうんと頷いた。
「そんなに早かったの?」
「それはそれはもう早かったよ。零さん達が出てきて、私達が様子を見に行ったらもう目が開いてるんだもん」
「そう言われてみると早いね…」
「まあ、零も戻ってきたし、ブレイダも元気になったしで何よりだな」
「うん…ところで、あの二人はいつまで回ってるの?」
神凪に言われて玲司は二人の方を見た。
零と百合の回れ回れメリーゴーランド状態は終わる気配がなく、玲司と神凪は半分呆れていた。
「…まあ、あの二人はほっといて、これからどうするかが問題だな」
あの二人は放置してブレイダ達は会議室の椅子に座った。
「ガディサイト本人も力を失った訳じゃないし…」
「オマケに俺や零、百合の力も持ってる訳だからな。本当に厄介な奴だな…」
「ふむ…未だに疑問なのだが…何故ガディサイトはサリエールやガディナの様な子供達を作っていたんだろうか…」
「確かに…なんでアイツ作ってたんだろうね?」
「うーん、ロリコン…とか?」
「それはないな。ガディサイトは地球人には興味はない」
「じゃあ、それこそ何でだろう…?」
「…」
サリエールは黙って机に肘をつき、口の前で手を組んでいた。
「サリエール、お前はどう思う?」
「…え?ええ、そうね…」
不意をつかれてサリエールは慌てて口を開いた。
「…確か…ガディサイトはずっと一人だったって言うのは以前聞いた事はあるけど…」
「劇団?」
「ひとり?」
「そっちじゃない」
そう言いながら橘は相川とブレイダの頭にチョップを入れた。
「…ええ、詳しくは聞いたことがないけれど、ずっと一人ぼっちだった…と」
「一人ぼっちか…確かにそりゃ辛いよな…」
「でも一人ぼっちだった過去と女の子達を作ることに何の意味が?」
いつの間にか椅子に座っていた零と百合が言った。
「お前らの復帰早いな…」
「いつまでも浮かれてられねえからな」
「うんうん。で、本当になんで女の子なんて作ったんだろうね?」
「ふむ。家族が欲しかったのであれば、母星にも同じ種族がいるはずだが…彼の家族がもういなくなってしまった、あるいはその星の種族がなんらかの原因で滅んだ、など、彼の周りに同じ種族がなんらかの理由でいなくなってしまったのであれば、彼が寂しさを覚えるのも無理はないだろう」
「そっか…」
「だが、それならば女の子だけではなく男の子も作れば良いだろう。何故ガディサイトは女の子にこだわったんだ?」
「そこだけが分からないね~。アイツがロリコンってのもあながち間違いじゃないかもよ?」
「とは言えども、惑星間での価値観はかなり変わる。美的感覚も違えば、何を良いと感じ、何を悪いと感じるかも変わってくる。一概にこれだ!と言うのは現時点では出せないな」
そう言ってレイジが締めくくった。
「まあ、そうだよね。今日は帰ろっか」
「うっし。じゃあ帰るべ帰るべ」
「おう。お疲れさん」
「じゃあ、わたし達も帰ろっか」
「ああ」
そう言って一同は各々の家に帰って行った。
パジャマに着替え、布団に入っていたブレイダは、ガディサイトの生い立ちについて色々考えていた。
(もしもガディサイトが…わたしと同じような生い立ちだったら…わたしと同じように、誰かに家族や身近な人を奪われていたら…わたしも同じように家族となるような人間を作ろうとしたのかな?)
すると、部屋のドアがノックされ、ブレイダは布団から出てドアを開けた。
「よっ、寝てるとこ起こして悪いな」
部屋の前に立っていたのは零だった。シャワーを浴びてきたのか、ほのかに石鹸の香りがしていた。
「ああ、零さん。良いですよ、まだ寝れなかったところですし」
「すまねえな、ブレイダ…ちゃん?」
「ああ、わたしのことはブレイダと呼んでもらって良いですよ!家族なんですから」
そう言ってブレイダは笑って見せ、零もにっと笑い返した。
「ありがとな、ブレイダ」
「いえいえ。立って話ってのもなんですし、入ってください」
「おう。わりいな」
そう言って零は部屋の中に入って電気をつけ、ブレイダはベッドに座り、零は床に座り込んだ。
「それで、どうしたんですか?」
「ん?ああ、ここ最近いろんな事があったし、ブレイダと色々話してみたいなって思ったんだ」
「そういう事ですか。…零さんが十五年前のあの日、わたしの事を助けてくれたんですよね?」
数秒の沈黙の後に、ブレイダが口を開いた。
「ああ。本当は他の人達も助けたかったけど、ブレイダだけしか助けられなかった…。例えブレイダの友人ではなくとも、家族ではなくとも、大切な命だった…」
「それは零さんのせいじゃ…」
「それは分かってはいる。分かってはいるんだけど…あの日の後悔が未だに心に残ってる…っと、悪いな、こんな暗い話をしてしまって」
「いえ…その時はわたしもまだ小さな子どもでしたし…」
覚えていない、と言えばそれは嘘になる。
あの日のことが十年以上経った今でも鮮明に夢に出てくるのだから。いや、正確には出てきてしまう、と言う方が正しいだろうか。
ずっと前の事だとは言え、心のどこかで零を許せないブレイダがいた。
「…零さんは、一度死んで生き返っているんですよね」
「ああ。自分の命を粗末に扱って、わずか十三年で死んだ」
そう言う零の表情は心做しか暗く見えた。
「今でも自殺して良かった、って思う事はあるんですか」
「生き返った当初はずっとそう思っていた。一度死ねば凄い力が手に入るんだって。でも、大切な存在が出来て、色々な世界で色々な人と巡り会って、気付いたんだ。ありふれた言葉だけど、皆短い命を一生懸命生きてるって事を。それに、一度死んだらもう大切な人達に自分の思いを伝えられなくなるんだ、って思ったんだ」
「…!」
「子供の時から好きだった子にも、ずっと遊んでたアイツにも、大人になった姿でもう一度会えないってのが凄く悲しいし、凄く寂しい。身体も成長しなくなったし、未来の自分に会うってことが出来なくなったのが一番悲しいね」
「…そんな模範解答みたいな事言って…」
「これが模範解答なのかどうか俺は分からない。だけど、自殺して色々考えてたら、こんな結論に辿り着いたって訳だ」
「でも、でも…零さんが見殺しにした人達の分を生きれる訳じゃないでしょ!」
「…!」
ブレイダは言ってしまってからはっとした。
「ごめんなさい…その…」
「良いんだ、ブレイダ。こればかりは言い返せる言葉がないからね。むしろ、ブレイダだけにしか言えない言葉だっただろう。俺も手が届くのに手を伸ばさなかった。だから、救える人を救えなかった。救えたはずの命を救わなかったんだから、当然の報いだ」
「零さん…」
「もしも、ブレイダが心のどこかで俺を許せない、許しておけないと思っているのなら、そのままでいい。それが力を持つ者が救える者を救わなかった戒めだから。それを忘れてしまっては大切なものさえも失くしてしまうかもしれないから」
「…」
「しかも、俺は敵に力を与えて、それでブレイダ達を苦しめていたんだ…ブレイダやサリエール、そしてレイジ達に恨まれてても仕方ないのかもしれない。ましてや百合は十五年も放ったらかしにされてるんだから、一番恨んでいるとしたら百合だろう」
「…零さんは、わたしに何を言いたいの?」
「ブレイダには未来をちゃんと生きてて欲しい、って事かな。それくらい」
「今を生きる…」
「今の現状を招いたのはこの俺だ。だから、俺は自分の手で責任を果たして、ブレイダ達にはヤミマジュウと戦わなくてもいい、誰とも争わなくて良い未来でずっと暮らしてて欲しい」
「零さん…」
「綺麗事になっちゃうけど、綺麗事で済ませられるような世の中ならいいと思う。誰とも喧嘩なんかしなくて、色んな人と手を取り合えるような世界。何かを一丸となって排除したり、倒したりするんじゃなくて、どんな人とも分かり合える世界。俺はそんな世界でブレイダに生きて欲しいんだ」
「…零さんはその世界で、わたし達と一緒に生きたい…と?」
「願うことならば一緒に生きていきたい。だけど…俺のように大きな力を持つものがいる限りその願いは叶えられないかもな」
「…それじゃ、零さんは…」
「全てが終わったら、俺達の使命は終わり、元の世界に帰る。百合や奈央は悲しむかもしれないが…それがルールであり、俺達の宿命だ」
「…そんなのって…」
「こればかりは守らないといけないんだ。使命を終えてやるべき事が終われば、世界は辿るべき道を辿ってあるべき姿の歴史になる。俺達みたいに歴史の外部から来たものは、出ていかなくちゃいけない」
「…零さんは寂しくないの?」
「そりゃあ寂しいよ。生きるか死ぬかの瀬戸際を共にしてきた仲間達と離れるのは本当に寂しい…だけど、俺がそういう風にまた生まれちゃったから…」
そう言う零の目には涙が溜まっていた。
「零さん…」
「いつかまた死ぬ時が来るのなら、後悔しないように死にたい。俺はこれで良かったんだって、死んだ後でもそう思えるようにしたい」
「…」
「…最後に聞いておくか。ブレイダ、君は俺達と一緒に生きていきたい?それとも…」
「…今はまだ、出せません。その答えは、まだ出したくない…」
「そっ…か。わかった。その答えが聞ける時を待ってるよ。おやすみ、ブレイダ」
そう言って零は立ち上がってブレイダの頭を撫で、部屋を出た。
バタン、と言う扉の音と共に部屋には暗闇が訪れた。
「…この選択が間違ってるのは分かってる…だけど…私は…!」
次の日の朝、校門でブレイダ達四人は如月先生に会った。どうやら今日は如月先生の当番らしい。
「おはようございます、如月先生」
「おう、おはよう!」
「おっはー!」
「おはよう!やっぱ元気な挨拶は気持ちがいいな!」
「おはようございます」
「おう!おはようさん!」
「おはようございます…」
「おはよう、どした?柊。元気ないな」
「ええ…ちょっと…後で相談に乗ってくれますか?」
「ああ。お昼休みにでも職員室に来てくれ。今日は体育は午前中だけだし、ゆっくり相手出来るぞ」
「ありがとうございます…」
そう言って四人は校門をくぐって校舎の中へと入っていった。
「どしたの?ブレっち」
「昨日零さんと色々話してね…とにかく訳は後で話すよ。お昼休み一緒に来て…」
「あ、ああ。分かった」
サリエールと相川は顔を見合わせて首を傾げた。
昼休み、ブレイダ達は如月先生の元へと訪ねた。
「ひとまず相談室に行くか。職員室じゃ話しにくいだろうしな」
「ありがとうございます、先生」
「ああ。いつも明るい柊がそんな顔をするって事はかなり大事な話だしな」
そう言って五人は職員室の向かいにある相談室へと入り、五人は適当な椅子へと座った。
「早速本題に入るが、何があったんだ?」
「…ええ。その前に…。サリエールちゃん、言ってもいい…かな」
ブレイダは不安そうな表情でサリエールの方を見て言った。
「良いよ。如月先生なら大丈夫」
サリエールもブレイダの方を見て強く頷いた。
「…分かった。ありがとう」
ブレイダもサリエールに頷き返し、再び如月先生の方を向いた。
「…実は…」
ブレイダは今までの事を全て打ち明け、そして、零の事を話した。彼はいつか消えてしまうが、一体何が自分の本心なのか分からないと言うことを如月に打ち明けた。
「そっか…その零さんにも助けられたけど、お父さんもお母さんも助けて欲しかった…か。うーん…」
「わたしは…本当は…零さんと過ごしたい。でも、零さんの顔を見る度に憎んでしまうんじゃないかって…すみません、こんなに自分勝手で…」
「いいや、柊は自分勝手なんかじゃない。もしも俺が柊と同じ立場だったら同じように零さんの事を恨んじまう。俺だけじゃなくて、周りの皆も助けてくれ!って言っちゃうな」
「先生…」
「もちろん、零さんや今のお母さんが頑張ってたのも知ってるんだろ?」
「まあ…」
「だからと言って、それでチャラになるもんじゃないもんな。だから、こうやって相談に来てるんだろ?」
ブレイダはコクリと頷いた。
「なら、その恨みや憎しみってやつを全部零さんと今のお母さんに言ってやるんだ。それで、その後にその反対の事も全部言ってやる。もちろん、どっちも自分が気の済むまでだ。それで、残った本心を素直に伝えてやればいい。俺が柊ならそうする。家族だからとか、家族じゃないとかじゃなくて、大事な人だからこそ、ましてやもうすぐいなくなってしまうなら、ちゃんと伝えるべき事は伝えられる内に伝えた方がいい」
「伝えられる内にって…如月先生…」
「ああ、俺の両親は子供の頃に交通事故で亡くなった。ちゃんとお礼も言えてなくて、今でも心のどこかに後悔が残ってる。だから、俺のダチにはそんな思いはさせたくないんだ。今日帰ったあと、じっくり話してやるといい。柊の言葉で、包み隠さず全てをさらけ出すくらいでな」
「先生…!はい!ありがとうございます!」
ブレイダの目には涙が溜まっていたが、ブレイダはそれを拭いさり、輝くような笑顔を見せた。
「そうそう、その顔だ。やっぱ柊には笑顔が似合ってる」
そう言って如月も笑い返した。
「どうだ、上手くやれそうか?」
「はい!とにかくやってみます!」
「そっか!分かった!結果を楽しみにしてるぜ!」
「はい!先生、ありがとうございました!」
「おう!頼ってくれてありがとな!またいつでも聞くぜ!」
「はい!」
そう言って五人は椅子から立ち上がり、相談室を出た。
「よし、じゃあ教室に戻るか。教室にいる先生も授業を始めてるかもしれないしな」
「大丈夫だよ、次は自習だし、やることもないし」
「?」
「今日終わらせるべき課題をもう終わらせてしまって、おまけに今日来るはずの先生が熱を出して来れなくなってしまったそうです」
「そういう事だったか。まあ、それならそれで俺が自習教室の監督をやるよ。ある程度の事なら答えてやれるしな」
「ありがとう、如月先生」
「気にするな。じゃあ、行くとするか」
そう言って五人は教室へと向かった。
その夜、ブレイダは百合と零に話を始めた。
零と百合は正座をしてまっすぐとブレイダの方を見ていた。
「…零さんにも、百合さんにもお父さんとお母さんを助けて欲しかった。例え死んでいたとしても、取り戻して欲しかった」
「…」
「ブレイダ、あのね…」
百合がなにか言おうとするのを零は手で制し、百合もそれを見て察した様に口を閉じた。
「…もちろん、仕方ないのは知ってる。零さんと百合さんが頑張って皆を、わたしを助けてくれたのも分かってる。だけど、だけど…本当はわたしだけじゃなくて、わたしの家族も助けて欲しかった」
俯いているブレイダの目は見えなかったが、ブレイダの目元からは涙が流れていた。
「そんなことしてる場合じゃなかった事も知ってる。もちろん、わたしだけじゃなくて他にも身近な存在がいなくなった人がたくさんいるのも知ってる…けど、それでもわたしは家族を助けて欲しかった!神様なんでしょ、ならわたしの家族も助けてって!今だったら言っている…。なにも出来ないわたしの代わりにわたしの家族を助けてって!叫んでる。…でも、分かってたんだ!そんなのは無理なんだって!ヤミマジュウには誰も勝てないんだって!助けられない命もあるんだって!」
声を荒らげながら、ブレイダは心に閉じ込めていた思いを叫んだ。
「ブレイダ…」
「こんなのわたしのわがままだから…これを言ったら百合さん達を困らせちゃうって思ってずっと言えなかった…ううん、言わなかったんだ…言っても出来やしないって分かってたから…」
「…」
「だけど…だからこそ、わたしは零さんと百合さんを、お父さんとお母さんと呼びたい!これからもずっと一緒にいたい!わたしが結婚してもずっと皆と一緒にいたいの!!離れ離れなんていや!戦いが終わったら、皆で海に行って海水浴したり、プールで遊んだり、山を登ったり…これからやりたい事が沢山あるの!それをやれずに別れるなんて絶対いやだ!!わたしはずっと零さんと百合さんの…お父さんとお母さんの子供でいたいの!!」
そう叫んでブレイダは大声で泣き出し、零と百合は立ち上がってブレイダを二人で抱きしめた。
「ごめん…ごめんねブレイダ。ずっとあなたの気持ちに気付けなかった。こんな情けない母親でごめんね…」
「俺もごめん…一番辛いのはブレイダだったのにな…ブレイダに寄り添えなくてごめん…」
ブレイダは二人の服の裾を掴み、嗚咽を漏らしながら大粒の涙を流していた。
「戦いが終わっても、皆で一緒にいようね」
「戦いが終わったら、色んなところに旅行に行こうぜ。地球で行ってない場所なんてないって言うほどな」
「…うん」
ブレイダは泣き顔のまま頷いた。
「そんなに泣いてちゃ可愛いのが台無しだぜ。俺達の娘には、笑顔が一番だ」
そう言う零も、笑いながらも涙を流していた。
「お父さんのカッコイイ顔も泣いてちゃ台無しだよ」
そう言うブレイダの顔には、いつも通り明るい笑顔が戻っていた。
「これでこそ、私達ね」
そう言って百合は静かに笑った。
今回はここまでです。
作る日がバラバラなのでちゃんと話になってるかどうか分かんねぇ
あと今回変身してねぇ
そしてコミケで「ブレイダちゃん読んどるで!」って言ってくれた人がいたのはめちゃくちゃ嬉しかった。
また感想、評価よろしくお願いします!