超光戦姫ブレイダ   作:シャイニングピッグEX

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はーじまーるよー!!


Don't lose your fate

「あら、零じゃない。どうしたの?」

 

  夜遅くに仕事を終え、帰ろうとしている百合は廊下の途中で零に出会った。

 

  声をかけられ、考え込んでいた零は我に返って百合の方を向いた。

 

  「ん、ああ、百合か。お疲れ」 

 「お疲れ様。一体どうしたの?」

 

 「今後の事に考えててな」

 

 「もう終わった後の事を考えてるの?」

 

 半ば呆れながら笑って百合は言った。

 

 「違うよ。ガディサイトをどうやって誰一人犠牲を出さず倒せるか…ずっと考えてた」

 

 「え…」

 

 その言葉を聞いた百合から笑顔が消えた。

 

 「奴は俺や百合、さらには玲司の力も持っている…恐らくだが、ブレイダやサリエールでも勝てる相手ではない…」

 

 「じゃ、じゃあ私達が合体して戦えば…」

 

 「あの時は完全に力を取り戻した状態で、敵も同じ位の力量だったから勝てたんだ…だけど、今回はそういう訳じゃない。強さも、その次元も何もかもが違うんだ…」

 

 「そんな…それじゃつまり…」

 

 「ああ。どう考えても戦えるメンバーの誰か一人は必ず死ぬか、あるいは消えるかだ。最悪…ブレイダもサリエールも、そして俺達も…」

 

 「…何か、アイデアは無いの?」

 

 「…あると言えばあるが…正直言ってこいつは賭けだ」

 

 「賭け?」

 

 「上手くいけばガディサイトを圧倒できる。だが…失敗すれば命の保証はない…」 

 

 「ちょ、ちょっと待ってよ。それはいったい誰にやらせる気なの?」

 

 「それは…」

 

 すると、外で地響きが鳴り、零と百合は窓から外を見た。

 

 「ヤミマジュウ…!」

 

 「しかも二体!?」

 

 二体の巨大な人型のヤミマジュウは悲鳴のような鳴き声を発しながら街に迫っていた。

 

 「急いで司令室に行くぞ!」

 

 「ええ!」

 

 二人は廊下を駆け出して司令室へと向かった。

 

 まだ玲司と神凪は来ていないらしく、零は急いでインカムを取ってブレイダとサリエールに連絡を取り、百合はモニタリングを開始した。

 

 「ブレイダ!サリエール!聞こえるか!二体のヤミマジュウが現れた!至急現場に向かってくれ!」

 

 『もう向かってます!』

 

 『こんな時間に来るとは思いませんでしたけどね』

 

 画面を切り替えると、ブレイダはブライトサークルに乗り、サリエールと並んで飛行している様子が見えた。

 

 「オオオオオオ…」

 

 「アアアアア…」

 

 二体のヤミマジュウは男のような声と女のような声を発しながらまっすぐブレイダ達のマンションに向かっていた。

 

 「街を壊さないで向かっている…?」

 

 「どういう事…?」

 

 ブレイダとサリエールは顔を見合わせて首を傾げ、ヤミマジュウの元へ近寄った。

 

 ヤミマジュウは二人に気付いていないのか、目もくれずマンションの方に一目散に向かっていた。

 

 「と、とにかく呼びかけてみよう」

 

 「ええ」

 

 二人はヤミマジュウ二体の顔の前に向かい、ヤミマジュウの前で停止してヤミマジュウ二体の動きをとめた。

 

 「さあ、ここまでよ。一体何のつもりか知らないけど、ここらで止まりなさぶっ!」

 

 サリエールの言葉を聞かず、一体のヤミマジュウはサリエールを腕で叩き落とした。

 

 「サリエールちゃん!っ!」

 

 サリエールの心配をする間もなく、ヤミマジュウはブレイダの眼前に迫り、二体とも両腕を広げていた。

 

 「!!」

 

 ブレイダは両腕で顔を覆い、目を瞑った。

 

 「オ…オオオオ…」

 

 「アアアア…アアア…」

 

 「へ?」

 

 ヤミマジュウ二体は両腕でブレイダを抱きしめていた。

 

 「ど…どういうこと…!?」

 

 サリエールは呆然としながら瓦礫の欠片を落としながら立ち上がってブレイダの方を見て言った。

 

 「ちょ、ちょっと!離して!」

 

 ブレイダは力一杯ヤミマジュウの腕を引き剥がし、ブライトサークルを素早く足元に出現させ、手を伸ばした二体のヤミマジュウから離れ、浮かんできたサリエールと合流した。

 

 「近くに寄るのは危険ね…」

 

 「どうしようか…」

 

 すると、ヤミマジュウ二体はブレイダの方に向かって走り出した。

 

 「オオオオー!オオオオー!」

 

 「アアアアアアアー!」

 

 「敵はブレイダ狙い…ブレイダ!貴方は囮になって誰もいない所へ誘導して!私は街の人達の避難をさせるから!」

 

 「分かった!」

 

 ブレイダとサリエールは二手に分かれ、サリエールは地上近くへ降下して近隣住民の避難の呼びかけを始めた。

 

 「こちらです!急いで!」

 

 人々はサリエールの言葉に従い、ヤミマジュウがいる逆方向へと向かっていった。

 

 「オオオオー!」

 

 「アアアアー!」

 

 二体のヤミマジュウはサリエールの読み通りブレイダの方に向かって走り出した。

 

 「おーにさーんこーちらー!手ーの鳴ーるほーうへー!」

 

 「オオー!」

 

 「アアアアアー!」

 

 ブレイダはヤミマジュウが追ってきているのを確認し、前傾姿勢になりながらブライトサークルに乗ってなるべく人がいない所へ誘導を始めた。

 

 「オオオオー!」

 

 「アーアアーアアー!」

 

 「それにしても…あの鳴き方、他のヤミマジュウとは違う様な…」

 

 ブレイダは耳元のイヤホンに手を添えながら言った。

 

 『こちらでも音声や音波の解析をしているが…法則性が全く読めねぇ。一体何が元となってこのヤミマジュウは生まれたんだ…?』

 

 『ヤミマジュウと同じ体構造や特徴を持ってるから、ヤミマジュウと見て良いんだろうけど…オレンジ色や白に反応するような動物なんているかしら…?』

 

 『何にせよ、ヤミノチカラを叩き出せば分かる事だ。さっさと倒してしまうんだ』

 

 「はい!」

 

 

 零達との通信を切り、街の外れにある広野にヤミマジュウを誘導した。

 

 「よし!ここなら人も動物もいないはず!」

 

 そう言ってブレイダは一つの岩山の上に移動してブライトサークルを消し、岩山の上に立った。

 

 「オオオオ…」

 

 「アアアア…」

 

 ヤミマジュウ二体はブレイダの方に走り出し、両腕でまたブレイダを捕まえようとした。

 

 「もう捕まらないよ!とうっ!」

 

 ブレイダは岩山を蹴って強く飛び上がり、ヤミマジュウ達の後ろの岩山に乗り移った。

 

 「オオオ!オオオ!」

 

 「アアアアアアアー!」

 

 「本当に何言ってるか分かんないや…」

 

 そして、ブレイダの横にサリエールが避難指示から戻り、ブレイダの横に立った。

 

 「さてと…サリエールちゃんも戻ってきたし、終わりにするよ!」

 

 「一気に決める!」

 

 二人は武器を握りしめ、オレンジと青のオーラを放ち始めた。

 

 「「フルパワー解放!!!」」

 

 二人の武器はエネルギー充填を開始し、二体のヤミマジュウの周りに無数のブライトサークルが出現した。

 

 だが、ヤミマジュウはお構い無しにブレイダに迫った。

 

 「え!?」

 

 「何っ!?」

 

 突然のことに呆気に取られた二人はエネルギー充填を止め、ブレイダはブライトサークルを消そうとした時だった。

 

 「オオオオー!」

 

 「アアアアー!」

 

 ヤミマジュウはブレイダを握り潰すかの様に両手で強く掴んだ。

 

 「が…っ!」

 

 「ブレイダ!」

 

 「オオオオオー!」

 

 ヤミマジュウはブレイダをそのまま体内に取り込み、二体のヤミマジュウは両手を繋いで一体のヤミマジュウに合体した。

 

 「オアアアアー!!!」

 

 男の声と女の声が混ざったような鳴き声が辺りに響いた。

 

 「そんな…」

 

 「…いいことを教えてやろう、サリエール」

 

 「!!」

 

 声が聞こえ、後ろを振り向くとガディサイトが立っていた。

 

 「ガディサイト!貴方一体何を!」

 

 そう言ってサリエールはガディサイトに武器を向けた。

 

 「ヤミノチカラとヒカリノチカラは相対するもの…お互いに打ち消し合う性質がある。ブレイダとか言うガキはヒカリノチカラで、ヤミマジュウはヤミノチカラで…ここから先は言わなくても分かるよな?」

 

 「…!!」

 

 全てを察したサリエールは目を見開いた。

 

 「さっさと助け出してやらないと、まずいかもな」

 

 そう言ってガディサイトは高笑いしながら夜空に消えていった。

 

 「ブレイダ…!待ってて!すぐ助けるから!」

 

 そう言ってサリエールはヤミマジュウに向かって飛んでいった。

 

 

 「本当に良いのかなぁ…せっかく親子が十数年ぶりに出逢えたと言うのに…」

 

 ガディサイトは遥か上空からヤミマジュウを見下ろし、ニヤリと笑いながら言った。

 

 

 「オアアアア!!!」

 

 サリエールは空を駆ける矢の様にヤミマジュウに向かって高速で飛行していた。

 

 「ブレイダ!!返事をして!」

 

 ヤミマジュウの中にいるブレイダは気絶しているのか、目を閉じて力なく身体の中で浮いていた。

 

 「ブレイダ…」

 

 

 「…」

 

 ブレイダはゆっくりと目を開き、周りを見渡した。

 

 「ここ…は?」

 

 辺りを見渡すと、周りは焼け野原になり、人々は悲鳴をあげながらヤミマジュウから逃げ回っていた。

 

 「ヤミマジュウ…!」

 

 ブレイダはポケットに手を入れ、デバイスを取り出そうとした。

 

 「…!デバイスがない…!?」

 

 よく見ると、自分の身体も縮んでおり、あの時に戻っているようだった。

 

 「ダーク・デイ…!」

 

 「ブレイダー!ブレイダー!!」

 

 「ブレイダー!」

 

 すると、自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、ブレイダは声が聞こえる方を向いた。

 

 「ブレイダ!良かった!無事だったのね!」

 

 「さあ、逃げよう!」

 

 ブレイダの前には優しそうな青年と金髪の女性が立ってブレイダに微笑みかけていた。

 

 「…お父さん!お母さん!」

 

 ブレイダは涙を流しながら二人に抱きついた。

 

 「怖かったよね…寂しかったよね…」

 

 「父さんと母さんが来たからもう大丈夫だ。さあ、逃げよう」

 

 「あ…」

 

 言葉を返す暇もなく、ブレイダは母に抱きかかえられ、ブレイダの両親は走り出した。

 

 その直後に、自分が今さっきまでいた場所にヤミマジュウが放った火炎弾が落ちるのが見えたを。二人が来るのがもう少し遅ければきっと火だるまになっていたのだろう。

 

 「遅くなって本当にごめんね。今まで本当に怖かったでしょう」

 

 ポケットに手を伸ばしかけていたブレイダは慌てて手をひっこめた。

 

 「う、ううん。ちゃんとお父さんとお母さんが来てくれたから、もう大丈夫」

 

 「良かった。さあ、このまま一緒に行こう」

 

 「うん!」

 

 ブレイダは行く先を見ないまま、母に抱きかかえられてどこかに向かった。

 

 

 「ブレイダー…!」

 

 突然、ブレイダの身体に異変が起きた。ブレイダの身体が脚から徐々に紫に染まり始め、ヤミマジュウと同化を始めている。

 

 『闇の世界に引き込まれ始めている!早くしないと手遅れになるぞ!』

 

 「はい!」

 

 しかし、ヤミマジュウはサリエールを近づけまいと四本の腕で暴れており、依然として近付く事も叶わなかった。

 

 『…仕方ない!サリエール、ヤミマジュウの腕を切り落としなさい!それしかないわ!』

 

 「分かりました!」

 

 サリエールはヤミマジュウの真上に移動し、鎌を頭の上で振り回しながら強く握って構えた。

 

 「フルパワー解放!」

 

 サリエールは青色のオーラを放ち、鎌に素早くエネルギーを充填しながらヤミマジュウに近付いた。

 

 そして、ヤミマジュウが攻撃しようとするのを見切り、カウンターで切り伏せ、左の上の腕を切断した。

 

 「オアアアアァァァァァ!!!」

 

 ヤミマジュウの悲鳴が響き渡り、サリエールは素早く後退して間合いを取った。

 

 

 

 「うわあああぁぁぁぁぁ!!!」

 

 ヤミマジュウの攻撃が父の左肩に当たり、父の左腕が跡形もなく消し飛んだ。

 

 「お父さん!」

 

 「ぼ、僕は大丈夫だ…。は、早く逃げよう」

 

 父は笑顔を崩すことなく、先に進み始めた。

 

 「ええ!急ぎましょう!」

 

 「…ヤミマジュウ…絶対許せない…!」

 

 

 すると、ブレイダの身体の同化のスピードが少し早くなっており、既に足首から下が見えなくなりかけていた。

 

 「そんな…!」

 

 『くっ…!』

 

 『…こうなったら完全にブレイダが同化する前に腕を全部切り落として助け出すしかない!今はそれが最善策だ!』

 

 「でも私のスピードじゃ…」

 

 『まだこいつは試作段階でぶっつけ本番だが…やるしかない!サリエール!今からそちらにアップデートプログラムを送る!アクセスコードは RIZING AXCELだ!』

 

 「分かりました!」

 

 サリエールは素早くコアクリスタルを外し、デバイスを操作してアクセスコードを打ち込み、胸に再度装着した。

 

 すると、サリエールの衣装が変化し、腰に着いたマントはサリエールの足に巻き付き、腰と腕に着いた青い装置は薄く伸ばされ脇から横腹まで装着され、腕に着いたマントは首から胸までの部分を覆い、流線型の様に靱やかで人魚を思わせる様な姿へと僅か0.00001秒で変化を終わらせた。

 

 「これは…」

 

 『名付けてライジングアクセルフォーム。ブレイダのオーバーブーストとは対照的にパワーではなくスピード特化だ。装着者の技量や身体の負荷がどこまで掛けられるかにもよるが、今のサリエールなら通常の最大五千倍の速さまで出しても耐えられるだろう』

 

 「五千倍!?」

 

 『いつもはマッハ1行くか行かないかくらいだ。それに最大だから、無理にそこまで出さなくても戦える相手なら大丈夫だろう』

 

 「分かりました!」

 

 そう言ってサリエールは岩山を蹴って飛び出し、ヤミマジュウへと向かっていった。

 

 『AXCEL START!』

 

 「一気に行くよ!サウザンド!」

 

 『Thousand AXCEL!』

 

 すると、サリエールの頭のアクセサリが全身にバリアを張り、空気抵抗を受けないようにした後、千倍の速度でヤミマジュウに向かって行き、武器を構えてエネルギーを貯めた。

 

 「刈る!」

 

 サリエールはヤミマジュウの攻撃を見切り、残りの腕を全部切り落とすと共にヤミマジュウの身体に九百九十七回もの斬撃を浴びせた。

 

 「オアアアア!!!」

 

 『AXCEL OUT』

 

 サリエールの体からバリアが解除され、サリエールは岩山に降り立った。

 

 「はぁ…はぁ…これが千倍…!」

 

 サリエールは息を整えながらヤミマジュウの方へと向いた。

 

 「後はブレイダだけ…!」

 

 そう言ってサリエールはライジングアクセルを解除し、ブレイダの元へと向かい、ヤミマジュウの中へと入った。

 

 

 「うわあああ!!!」

 

 「きゃあああ!!!」

 

 父の右腕と母の両腕がヤミマジュウの攻撃によって切り落とされ、二人の身体はヤミマジュウの攻撃でズタボロにされ、その場で倒れてしまった。

 

 「お、お父さん!お母さん!しっかりして!」

 

 ブレイダは二人の元へと駆け寄った。

 

 「ブレイダ…ごめんね…やっぱり私達は…あなたを助けられないみたい…」

 

 「早くブレイダだけでも向こうへ走るんだ…!」

 

 「で、でも…!」

 

 「大丈夫。私達は必ず追いつくから…」

 

 「僕達の事は良いから早く!」

 

 「…!」

 

 泣き出しそうなのをぐっと堪え、ブレイダは走り出した。

 

 

 「…!ここは…!」

 

 気付けば、周りは火の海になっており、ヤミマジュウがそこかしこで暴れ回っている場所に来ていた。

 

 「ヤミマジュウがこんなに…!今は分からないけど倒すしかない!」

 

 『RIZING AXCEL』

 

 「フォーサウザンド!」

 

 サリエールは素早くライジングアクセルフォームに変わり、四千倍の速さで周りにいるヤミマジュウを全て切り伏せ、ヤミマジュウを倒してライジングアクセルフォームを解除した。

 

 「ブレイダはどこに…あっ!」

 

 サリエールは小さなブレイダが闇の中へ入ろうとしているのを見つけ、走り出そうとしたブレイダの腕を掴んで走り出そうとしたのを止めた。

 

 「離して!わたしは逃げるの!」

 

 逃げようとする小さなブレイダをサリエールは両手で捕まえ、強く抱き締めた。

 

 「大丈夫…もう大丈夫だよ…」

 

 「でもお父さんとお母さんが…!」

 

 「…!そうね…貴方にとってはこっちの世界の方が良いのかもしれない…だけど…これはきっとブレイダが思い描いていた夢…あなたのお父さんもお母さんも必死にあなたを守ろうとしてた…本当なら二人もいる方が良かった…だけど!今貴方がここを受け入れてしまったら皆に合わす顔がないのよ!まだまだあなたには辛いことが待ってるかもしれないけど…あなたは決して一人なんかじゃない。私がいる!」

 

 すると、小さなブレイダは暴れるのを止め、ブレイダは元の姿へと戻った。

 

 「…サリエールちゃん…ごめんね…ごめんね…!」

 

 そう言ってブレイダは大粒の涙を流した。

 

 「良いんだよ。だって、親友じゃない」

 

 「…うん!」

 

 そう言って、サリエールはブレイダを連れて闇から引き離し、上空に斬撃を放って世界にヒビを入れ、元の世界への出口を作った。

 

 「さ、行こう」

 

 「うん!」

 

 ブレイダは差し出された手を掴み、サリエールはしっかりとその手を掴んで出口へと向かって飛び出した。

 

 「…」

 

 ブレイダは父と母の姿を上空から交互に見下ろした。

 

 

 サリエールとブレイダはヤミマジュウの体内から脱出し、近くの岩山へと降り立った。

 

 『…ブレイダ!大丈夫か!?』

 

 「…はい。もう大丈夫です!」

 

 『よし!では終わらせるんだ!』

 

 「「はい!フルパワー解放!!」」

 

 再び二人は武器にエネルギーを充填し、ヤミマジュウの周りには無数のブライトサークルが出現した。

 

 『BANNICING SMASH!』

 

 『FATAL END!』

 

 「「だぁぁぁー!!」」

 

 二人は同時に飛び出し、ブライトサークルの間を反射しながら最高速度まで速度を上げ、強烈な一撃をヤミマジュウへと叩き込んだ。

 

 「オオオオ…アアアア…アオアアア…」

 

 男のような声が聞こえ、そして女のような声が聞こえ、そして最後に二つが混ざったような声が聞こえ、ヤミマジュウから二つのヤミノチカラの水晶が飛び出すと共にヤミマジュウの元となった生物が、いや、生物だったものが落下した。

 

 「…!あれは…!」

 

 「そんな…嘘だよ…嘘だって言ってよ…」

 

 ブレイダとサリエールは一目散にヤミマジュウの元となっていた生物だったものへと向かい、抱き上げた。

 

 「…どうして…お父さん…お母さん…」

 

 両腕の代わりに無数の切り傷が身体にあるその遺体は間違いなくブレイダの両親のものだった。

 

 「まさか…最初からずっと…」

 

 己の愚かさにようやく気がついた。

 

 この二人はわたしをずっと求めていたのだと。愛しい子供を親が抱きしめるように、この二人もずっとそうしたかったのだと。だけど、それに気付くのが遅すぎた。

 

 「…私のせいだ…私が…両腕を切り落としたばっかりに…」

 

 「…サリエールちゃんは何も悪くない…何も悪くないよ…わたしが…わたしさえちゃんと気付いてあげていれば…」

 

 二人の間を冷たい夜風が通り過ぎた。

 

 「…まさか、戦ってる相手がお父さんとお母さんだなんて思わないよ…」

 

 「ブレイダ…」

 

 「…ごめん、サリエールちゃん。今は…一人にさせて…」

 

 「…」

 

 そう言ってブレイダはサリエールに背を向け、母の遺体と父の遺体をブライトサークルに載せ、自分もブライトサークルに乗って基地へと向かった。

 

 サリエールのコアクリスタルの点滅音が辺りに虚しく響き渡っていた。




今回はここまでです。
人の心がないのかって言われたら否定できねぇ

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