残すところこれ含めて二回!
ブレイダの両親が死亡し、お通夜、葬式も終えて一週間も経った頃、ブレイダは学校に顔を出した。
「もう平気なの?ブレっち」
「うん。いつまでも落ち込んでいられないから」
「…あんまり、無理しないでね、ブレイダ」
サリエールはブレイダの顔を見て心配そうに言った。
「わたしはもう大丈夫。それに、無理しないのはサリエールちゃんもでしょ?」
「ええ…それはそうだけど…」
「じゃあ、それでいいんじゃない?」
「え?」
「今度はわたしがサリエールちゃんが無理しないように支えるから、ね?」
そう言ってブレイダはいつもと変わらない明るい笑顔をサリエールに見せた。
それを見て、サリエールも安心したように微笑んで見せた。
「それに、サリエールちゃんに辛い思いをさせてたのはわたしも同じだからさ。ごめんね、わたしのせいで」
「ううん。ブレイダが元気ならそれで良いよ」
授業開始時間が近くなり、ブレイダ達が席に着こうとした時だった。
突如、辺りの空が鉛色に染まり、大きな地響きと地震が起きた。
「な、何!?」
「とにかく机の下に!」
「早く!」
生徒達がパニックになりながらもブレイダとサリエールは焦ること無く周りの皆に指示を出し、生徒達は指示に従って机の下に潜り込んだ。
その直後に着いていた蛍光灯が落下して机の上で粉々に割れ、それに驚いた生徒達が悲鳴をあげた。
「一体何が起こってると言うの…?」
程なくして地震は収まり、駆けつけてきた如月先生の指示でブレイダ達は校庭に避難した。
『C区でヤミマジュウが出現しています。C区にお住まいの方は至急避難してください。繰り返します、C区でヤミマジュウが出現しています。C区にお住まいの方は…』
「サリエールちゃん、今の聞いた?」
「ええ。急ぎましょう!」
ブレイダとサリエールはデバイスを取り出し、人気のない場所で二体のバジンを呼び出した。すると、待ってましたと言わんばかりに二人の前に二体のバジンが凄まじい速度で降り立ち、その直後にバイクへと変形した。
二人はバイクにまたがり、ヤミマジュウの元へと急いだ。
「「トランス・オン!」」
二人はバイクに乗りながらデバイスを胸に装着し、身体が一瞬銀色に染まったかと思うと、体表にヒビが入り、ガラスが割れるみたいに体表の銀色部分が粉々に砕け散り、変身を完了し、二人の手には武器が握られた。
「百合さん達から連絡が来ないけど…今は急ごう!」
「ええ!」
二人はバイクの速度を高め、C区へと急いだ。
(何か嫌な予感がする…早めに倒して百合さん達の元へ行かないと…!)
C区へと辿り着いた二人はバイクから降り、四足歩行で暴れ回るヤミマジュウの前へと立ちはだかった。
「シャァァァァァ!」
ヤミマジュウは雄叫びをあげ、二人に前足を振り下ろして襲いかかった。
「はっ!」
「たっ!」
二人は地面を蹴って大きく飛び上がり、ブレイダはブライトサークルに乗り、サリエールもそのまま飛行してヤミマジュウの横へと回り込んだ。
「左右から叩こう!」
「分かった!」
二人はヤミマジュウの顔に一直線に突っ込んで強い一撃を与え、ブレイダは新しいブライトサークルを斜め後ろに作りながら今乗っているブライトサークルをヤミマジュウに向けて蹴り飛ばし、その反動を利用して別のブライトサークルへ乗り移った。
ヤミマジュウは怯むことなく口から怪光線を放ち、サリエールはブレイダの前に割って入ってヤミマジュウの光線を斬撃で切り裂き、その後ろからブレイダは空中でムーンサルトをしてサリエールを飛び越え、ヤミマジュウの頭に一撃加え、その反動を利用して大きく飛び、飛んだ先とヤミマジュウの周りにブライトサークルを作って、再びヤミマジュウに飛んだ。
『BANNICING SMASH!』
「フルパワー解放!だあああああ!」
ブレイダはヤミマジュウに攻撃しながらブライトサークルの間を何度も反射し、最高速度になったところでブレイブレードにもエネルギーを溜め終わり、ヤミマジュウに最大火力の一撃を叩き込んだ。
ヤミマジュウはひとたまりもなく、口からヤミノチカラの水晶を吐き出すと共に小さな動物へと戻ってしまった。
「はぁ…はぁ…」
「ふぅ…」
二人は息を切らしながらゆっくりと地面に降り、動物とヤミノチカラの水晶を手に取ったその時だった。
ガードナーの基地から爆発音が聞こえ、二人はその方を向いた。
「…まさか!」
「急ぎましょう!」
再びバイクにまたがり、ガードナーの基地へと急いだ。
「あれ?柊と二階堂は?」
「そういえばいないな…」
「まだ学校の中に残ってるのかな…」
橘と相川の周りの生徒達は二人が居ないことに気付き、騒ぎ出し始めた。
「ねえ橘さん、二人を知らない?」
一人の女子生徒が二人に聞いた。
「え、えっと…」
すると、学校の外からアクセルの音が聞こえ、三人はその方を向いた。
そこには、バジンにまたがってガードナー基地へと向かうブレイダとサリエールの姿があった。
「あれって…」
「柊と…二階堂だよな…」
「なんで二人が…?」
「…それは…」
「いや、きっと見間違いだよ。気が動転してそう見えてるだけだよ」
相川が上手くフォローを入れ、橘を助けた。
「…本当に…見間違いだったら良かったんだけどね…」
そう言う相川の顔は戸惑いと哀愁が混ざったような顔だった。
『OVER BOOST!』
『RIZING AXCEL!』
二人の身体は雷と共にオレンジの光と青黒い闇に包まれ、オーバーブーストフォームとライジングアクセルフォームへと変身した。
「皆…!無事でいて…!」
二人はバイクから飛び出し、バジン達もバトルモードへ変形して空から基地へ近付いた。
「あれは…!」
「ガディサイト!」
基地に光弾で攻撃をしているガディサイトを見つけ、二人は武器を構えた。
そしてガディサイトもこちらに気付き、二人の方を向いた。
「ほう?あのヤミマジュウをもう倒して来たか…では、そのヤミノチカラをこちらに渡せ」
「そんな事絶対しないよ!」
「そうよ!もうあなたなんて怖くないわ!」
「フン…愚か者め…貴様らはあの時の失態を忘れたとでも言うのか?」
「何!?」
そう言うと、ガディサイトは巨大な闇の球体を手のひらに乗せた。
「あれは…!」
「零さん!百合さん!」
「玲司さん!神凪さん!貴様ぁ!」
球体の中には零達が閉じ込められており、それを見たサリエールはガディサイトを睨んだ。
「下手に抵抗すれば…分かるな?さあ、そいつを渡すんだ」
「く…!」
サリエールは仕方なくヤミノチカラの水晶を手渡した。
「物分りが良くて助かるよ…さあ、次は他のヤミノチカラの水晶も渡してもらおうか」
「そんな!約束が違うじゃない!」
「別に良いんだぞ?こいつらを消すことなんざやろうと思えばいくらでも出来るんだ…」
そう言うとガディサイトは球体を徐々に縮め始めた。
「…くっ!少し待ってなさい!」
そう言ってサリエールは基地の中に入り、ヤミノチカラの水晶を十三個持ってきた。
「ふむ、確かに。ご苦労さま…では、最後の段階に移ろう」
「これ以上何を…」
「するつもりなの…?」
そう言ってガディサイトは基地の上空に飛び上がり、空中で制止してヤミノチカラを取り込んだ。
「ガディナ…!貴様の力を貰うぞ!」
そう言ってガディサイトはガディナが使っていたデバイスを胸に装着し、巨大な闇のオーラを出現させると共に変身を完了させた。
「ウオオオオオオオ!!」
『Process nine teen! Process twelve!Process…』
ガディサイトは尚も進化を続け、その体はもはや人と怪物の区別がつかない肉体へと変貌していた。
「あれが…ガディサイト…!?」
「もう原型を留めてない…!」
二人は呆然としながらガディサイトを見つめていた。
「見たまえ人類よ!新たなる完全な神の誕生だ!フハハハハハ!!」
そう言ってガディサイトは高笑いをし、片腕を空に掲げ、手のひらから黒い雲を発生させた。
「新たなる神には新たなる世界が必要だ…よって、この世界を作り替える。闇だけが支配するこの世をなぁ!」
雲はみるみるうちに日本、そして地球を闇で包んだ。
「さあ…最後に粛清だ…。この神に叛逆しようとする愚か者をこの場で処刑してやろう…我自身の手で!」
そう言うとガディサイトはゆっくりと二人の方に腕を向けた。
すると、どこからともなく触手が現れ、二人の四肢を拘束した。
「な…!?」
「う、動けない…!」
「神の裁きを受けるがいい!」
ガディサイトがそう叫ぶと、空から血のような色をした真っ赤な三又の槍が二人のコアクリスタルに突き刺さった。
「うああああっ!」
「きゃぁぁぁぁっ!」
二人の身体に大量の電流が流れ、力尽きると同時に変身が解除され、その場から瓦礫の山の中へと落下して行った。
「神に平伏せぬ愚か者には罰を…神に逆らうものには裁きを!これがあるべき姿の世界だ!」
ガディサイトの高笑いはいつまでも響いていた。
「そんな…嘘だと言ってよブレっち…サリっち…」
「サリエール…ブレイダ…」
体育館のテレビでライブ映像を見ていた相川と橘は両手で地面をついた。
何も出来ない自分に腹が立って、悔しくて、自然と涙が溢れ出てきた。
「なあ、あれって、三年の柊と二階堂じゃね?」
「ああー。ヤミマジュウが出てきた時によく居なくなってた二人か」
「やっぱりアイツらじゃ無理なんだよなー」
「ガードナーとか言う無能集団、本当に使えねえ」
「本当にアイツら、何やってんだよ。こういう時に動けよなー」
二人と同じようにテレビでライブ映像を見ていた一般生徒達は皆思い思いの言葉を口にしていた。
「クソっ、あいつら…!」
「よせ…翔子。今は喧嘩したって何にもならない」
喧嘩をしに行こうとする相川を橘が制止した。
「く…うっ…くっ…!くそう!」
翔子は力に任せて床を殴った。
「…今は悔やんでいても仕方がない。あの二人を探しに行こう」
「うん…」
二人が体育館から出て行こうとした時だった。
「うわっ!」
二人の前に二体のバジンがブレイダとサリエール、そして零達が入った球体を抱えて降り立った。
そして、球体を地面に降ろすと同時に零達を覆っていた闇が消え、四人はその場に倒れ込んだ。
身体中にたくさんの傷跡があり、それほどになるまで抵抗していたのだろうか、呼吸をするのが精一杯の様だった。
「あなたは…」
バジン達は二人の腕にブレイダとサリエールをゆっくり渡し、二人はブレイダとサリエールの身体を慌てて抱き抱えた。
「…この二人はまだ生きてるのか?」
『…微弱な生命反応を二つ感知』
ファイズバジンがそう言うと、ブレイダとサリエールは呻き声を漏らしながら目を覚ました。
「ここは…?」
「…学校?」
「…良かった、目を覚ましたんだな」
「如月せんせー!二人とも目を覚ましたよー!」
相川は如月を呼び、如月は光女医と共に二人の元へ駆けつけた。
如月は体育館にあるもので簡易的なクッションを作り、光は一人ずつそのクッションの上に寝かせた。
「今はここで安静にしていなさいね」
「…はい」
二人は壊れたコアクリスタルを見て、己の無力さを嘆くことしか出来なかった。
今回はここまでじゃあ!
続きは来年!待て!!!