超光戦姫ブレイダ   作:シャイニングピッグEX

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三話目です。
重要な回は二話に分けて、日常の回は一話完結で進めようと思います。


君の夢

玲司、この間襲ってきたヤミノチカラの詳細が分かったわ。ダーク・デイの時と同じ物よ」

 

 研究室にいた神凪は、安全メガネを外し、横にいた玲司にヤミノチカラの水晶を渡した。

 

 「あの時と同じ…って事は、あいつはもうこの世界にいるってことか?」

 

 「断定は出来ないけれど、いるんじゃないかしら。ヤミノチカラは彼がいないと生産出来ないんだから」

 

 「……そうか」

 

 玲司はそう言いながら小さくため息を吐き、水晶を見つめた。

 

 「…あの日からもう十年も経っているのか…あいつは今も…」

 

 「………」

 

 神凪はズボンの太腿の辺りをギュッと握った。

 

 あの日、俺達が来た時にはもうあいつはやられた後だった。何も出来ずに連れ去られる親友の姿を見ている事しか出来なかった。敵の親玉が高笑いをしながら世界中を闇に包んでいく。俺達はただただ、皆を避難させる事しか出来なかった。いつも通りの日々が失われた人々からは笑顔が消え、絶望が世界を包んでいた。そんな時、百合があの闇に対抗出来る小さな小さな光を見つけ、百合は今でも女手一つでせっせと育てている。今ではダーク・デイの影も無くなりつつあったが、家族や友達、大切な人を無くした人は、その心の傷が癒える事は無い。それは百合だって同じ事だ。

 

 「…知ってるか…?今の百合の家にあいつの写真…無いんだ…」

 

 「えっ…」

 

 「忘れようとしてるのか、それとも思い出さない様にしてるのか…そこは俺にも分からない…だけど…百合は、心に相当深い傷を負った…なんなら、ダーク・デイの一番の被害者は百合だ…」

 

 「…私達がもう少し早く来ていれば…もっと早く到着出来てれば…百合と彼だけに任せずに私達も行けば…きっとこんな事は起きなかった…」

 

 「…これ以上はもう、やめておこう。神凪も辛いだろ」

 

 「…そうね…それよりも、今後の事について色々考えなきゃ」

 

 そう言って二人は研究室を出た。

 

 

 

 ヤミマジュウ襲撃から数日が経ったある日、ブレイダは橘、相川と共にプラネットバックスに来ていた。

 

 「今日やっと食べれるね!ダブルマキドラ!」

 

 三人がいるテーブルの上には例のパフェが置かれており、相川は目を輝かせながら服の袖越しにスプーンを握っていた。

 

 「最初見た時は大きいと思ったが、これくらいなら三人で食べれそうだな」

 

 橘もパフェの写真を撮り、スプーンを握った。

 

 「ただこれ本当に食べられるかなぁ…?」

 

 ブレイダも多少心配しながらもスプーンを握っていた。

 

 「まあまあ、これくらいなら大丈夫でしょ!さあさあ、食べよう!」

 

 「おっしゃ!」

 

 「うん!」

 

 そう言って三人はパフェを食べ始めた。

 

 「ここのメロンのアイス美味しいよ!」

 

 「チョコアイスも美味しいな」

 

 「二つをミックスして食べるのも美味しい!」

 

 三人はあれよあれよと言いながら食べ進め、パフェがあった器の中身はあっという間に空になった。

 

 「おお…あれだけあったパフェがもうすっからかんに…」

 

 そう言いながら橘は器の中身を覗き込んだ。

 

 「こう言うパフェとかはたまに食べると美味しいよね」

 

 「ただ、この量のカロリーは考えたくないな…」

 

 「「うっ…」」

 

 橘に言われてブレイダと相川は項垂れた。三人で食べたとは言え、クマのぬいぐるみ一つ分程の大きさを誇るパフェだったのだ。取ったカロリーも相当なものだろう。

 

 「また運動しなきゃいけないのかぁ…めんどくさいなぁ…」

 

 「まあまあ、相川さんも、ちゃんと動こうよ。まん丸でコロコロになっちゃうよ?」

 

 「うーむ…可愛い可愛い豚さんにならなってもいいかな…」

 

 相川はテーブルに頬をつけながら言った。

 

 「安心しろ。ちゃんと走らせてやるさ。最近の弓道部の一年もたるんでくる頃だし、こっちはもうたるんでるみたいだしな」

 

 そう言って橘は相川のお腹の僅かな肉をつまんだ。

 

 「あいだだだだだだだ!!!橘さん!何故つまむんです!?」

 

 相川はつままれた腹部をおさえながら早口で言い、橘は鼻で笑った。

 

 「これは走らなきゃダメそうだな」

 

 「そんな…嘘だ…嘘だそんなことー!」

 

 どこかで見たことのあるようなキャラクターの真似をしながら相川はテーブルに両腕をついて俯いた。

 

 「ほら、馬鹿な事やってないでいくよ。そろそろ混んできたし」

 

 「そうだね、出ようか」

 

 そう言って三人はプラネットバックスを出た。

 

 「いやぁ、三人で来れて本当に良かったよ。休日はやっぱりこうやって集まってどっかに行くに限るねぇ」

 

 相川は嬉しそうに笑いながら言った。それにつられて二人も微笑んだ。

 

 「しかし、珍しいよな」

 

 「?何が?」

 

 「ほら、翔子みたいな奴って大体、休みの日はアニメ見たりとか、漫画読んだりとか、家にいる印象があるだろ?」

 

 「あー、言われてみれば確かにそうだね。男子とかもそんなのが多いのかも」

 

 「お二人共どうやら勘違いしてるようだね」

 

 「違うのか?」

 

 「確かに、わたしみたいなオタクっぽい子は家に引きこもってると思われがちだけど、実はそうでもないんだよねこれが」

 

 「そう…なのか?」

 

 「ブレっち、なんでもいいから適当なアニメの名前言ってごらん。知ってるやつでいいから」

 

 「アニメ…うーん…」

 

 ブレイダは顎に手を添えて目を瞑った。

 

 「…ドラゴンボール」

 

 「おお、結構有名な所を選んだね。じゃあ、ドラゴンボールで説明しよう。ちょうどこの間ドラゴンボールの新作の映画が作られたじゃん?」

 

 「ああ、もう公開してるな」

 

 「もちろん映画がやるって事は舞台挨拶も当然やる訳よ。ドラゴンボールは老若男女問わず大人気のアニメ。見に行かないオタクがいない訳がないんだよ」

 

 「確かに、少し前にもテレビでやってたから、認知度は上がってるよね」

 

 「そう。ドラゴンボールはテレビの放送が終わった後も映画が作られる程の人気作品。そして、ドラゴンボールに限らず、テレビ放送にこぎつけ、映画もやった漫画は今や数えきれない程ある訳よ。勿論、オタクってのはアニメの流行に敏感だから、当然映画にも行くし、大好きなアニメのイベントがやるなら足を運ぶ。だから、決して引きこもりって訳じゃないんだよ。皆楽しいのが好きなのは一緒なんだよ」

 

 「なるほどな…」

 

 「オタクの人も意外とアウトドアなんだね」

 

 「うん。少し前にはキャンプのアニメが流行って、その時にはこぞって皆キャンプに行くくらいにはね」

 

 「翔子も将来はアニメ関係の仕事に就きたいのか?」

 

 「んー…まだ決めてない」

 

 「そうか…夢とかはないのか?」

 

 「夢?うーん…いつかはアニメを作る事かな。それでファンの人と交流したいなぁ…咲は?」

 

 「私か?私は…そうだな…やっぱり弓道部を全国大会に連れてってやる事だな。ブレイダはどうだ?」

 

 「わたし…そうだね…今は見つからないかな」

 

 「そうか…夢を持つってな、時々、凄く切なくなるが、時々凄く熱くなる、らしいぞ」

 

 「凄くいい言葉だね。誰かからの受け売り?」

 

 「まあな。知り合いのクリーニング屋が教えてくれたんだ。あの人の夢は世界中の洗濯物を真っ白にする事だそうだ」

 「なんだか壮大だね…」

 

 「かもな。本人もそう言っていたよ」

 

 そう言いながら橘は小さく笑った。

 

 「だけど、それくらいの夢を持ったって良いと思うぞ。私も大きな夢を持っているからな。ブレイダもなんだっていいから、夢を持ってみろ。私はそれを全力で応援するし、後押しもするさ」

 

 「橘さん…ありがとう。私も作ってみるよ。私だけの夢」

 

 「ああ。夢が出来たらでいいから、ゆっくりで良いから聞かせてくれよ」

 

 すると、大きな突風が起き、街に十メートル程の鳥の様なヤミマジュウが降り立ち、雄叫びをあげた。

 

 「キイイイイイイイッ!」

 

 鳥の様なヤミマジュウは腹部にあった口を開き、辺りの建物や人々を吸い込み始めた。

 

 「なんだ!?あの五角形みたいな鳥!?」

 

 「とにかく逃げるぞ!ブレイダ!翔子!」

 

 人々が逃げ惑い、一緒に逃げようとした橘に腕を掴まれてもブレイダは逃げようとせず、鳥のヤミマジュウの方を見つめていた。

 

 「…橘さん、わたし、今夢が出来たよ。それは…世界中の皆の幸せを取り戻す事。だから…見てて!私の変身!」

 

 「ブレイダ…」

 

 「ブレっち…?」

 

 ブレイダはデバイスを取り出し、端末を操作した。

 

 「トランス…オン!」

 

 ブレイダの身体は眩い光に包まれ、橘と相川は思わず腕で顔を覆った。

 

 「キイイイイイイイッ!」

 

 すると、鳥のヤミマジュウが頭部の角からブレイダ達に向けて光線を発射した。

 

 「だあっ!」

 

 それを何者かが弾き、二人の斜め後ろに着弾して爆発を起こした。

 

 「…あの時の…」

 

 「あ、あなたは…一体」

 

 二人の前に立っていた一人の戦士は振り向いた。

 

 「通りすがりの変身ヒロイン、ってとこかな?」

 ブレイダは少し微笑みながら言った。そして、一呼吸置き、言葉を続けた。

 

 「わたしは戦うよ。あのヤミマジュウと戦えない人達の分まで戦う。それがわたしの使命だと思うから」

 

 そう言ってブレイダは踵をかえし、ヤミマジュウの元に向かっていった。

 

 「ブレイダ!/ブレっち!」

 

 橘と相川は同時にブレイダの名前を呼び、ブレイダは二人の方を振り返った。

 

 「絶対…絶対に帰ってこい!」

 

 「帰ってこなかったら怒るかんね!」

 

 「…ありがとう、二人とも。絶対に帰ってくるよ」

 

 ブレイダは微笑みながら言い、橘と相川も笑顔で見送った。

 

 そして、ブレイダはヤミマジュウの元に向かって走り出した。

 

 

 

 「キイイイイイイイッ!」

 

 ブレイダはブライトサークルに乗り、ヤミマジュウと対峙した。

 

 『こちら玲司。聞こえるか?』

 

 「こちらブレイダ。はい、大丈夫です」

 

 『そうか…よし。こちらでブライトサークルのアップデートを作った。そちらに送信するから是非使ってみてくれ』

 

 玲司がそう言うと、胸のデバイス、コアクリスタルから着信音が鳴り、ブレイダは端末を操作してそれをチェックした。

 

 すると、ブライトサークルが光った。

 

 『Bright circle Can Move』

 

 ヘッドホンからアップデートの情報が聞こえた。

 「ブライトサークルキャンムーブ…分かった!」

 

 ブレイダはブライトサークルをサーフボードの様に動かし、ブライトサークルを動かしてヤミマジュウに接近した。

 

 ヤミマジュウは急な接近に驚いたのか、角から光弾をブレイダに発射した。

 

 ブレイダはそれを左右に数回かわし、次の弾を小さくジャンプして回避して最後の弾を剣で打ち返した。

 

 「キイイイイイイイィィィィィ!」

 

 「ごめん、すぐ助けるから!」

 

 そう言ってブレイダはブライトサークルから飛びあがり、ヤミマジュウの眉間を蹴り飛ばし、ヤミマジュウを後ろに倒した。

 

 『ブレイダ、奴は腹の口から物を吸収する様だ。接近するならあの口を封じてからだ』

 

 「分かりました!」

 

 ブレイダは耳元から手を離し、ヤミマジュウを見つめた。

 

 「あの口…そうだ!」

 

 ブレイダはなにやら閃いたようで、ヤミマジュウの腹の口に吸い込まれないように気をつけながら接近し、大きめのブライトサークルを作り、ヤミマジュウの腹部に密着する場所に出現させた。

 

 「よし!」

 

 「キイイイイイイイ…!」

 

 ヤミマジュウも立ち上がり、ブレイダはそれを見て足場のブライトサークルを動かして距離を取った。

 

 「キイイイイイイ!」

 

 ヤミマジュウは腹部に力を込め、ブレイダを吸収しようとした。しかし、ブライトサークルが蓋となり、ヤミマジュウの腹部には何も入ってこず、不思議に思ったヤミマジュウは首を傾げながら腹部の口のブライトサークルをつついた。

 

 「キイ?」

 

 「少し違和感あるよね…すぐ取ってあげるから、少し待っててね。フルパワー解放!」

 

 ヤミマジュウの周りに幾つものブライトサークルが出現し、ブレイダは剣を振り上げ、剣にヒカリノチカラを溜めながらブライトサークルを飛び立ち、ブライトサークルの間を反射しながら飛び始めた。

 

 「キイイイイイ!」

 

 ヤミマジュウはブレイダを狙いながら光弾を撃つが、どんどん加速して行くブレイダに当たる事はなく、ブレイダはやがて音速を超えた速度の一本の光の槍の様になった。

 

 『MAX POWER,Full Charge!』

 

 「はあああああ…!」

 

 ブレイダはまっすぐヤミマジュウの頭部に向けて飛び立った。

 

 「キイイイイイイイッ!」

 

 ヤミマジュウも負けじと光弾を放つが、全てブレイダに弾かれた。

 

 「だああああああっ!」

 

 ブレイダの剣はヤミマジュウの頭部に強烈な一撃を喰らわせ、ヤミマジュウをノックダウンさせた。

 

 そして、ブレイダはヤミマジュウの後ろに着地し、ヤミマジュウの腹部のブライトサークルを消した。

 

 すると、ヤミノチカラの水晶が現れ、ブレイダはそれを拾い上げた。

 

 『ありがとうブレイダ。水晶と動物は本部の方から回収班が向かうだろうから、君は友達の元に戻ってくれ』

 

 「分かりました」

 

 そう言ってブレイダは倒れ伏している動物の横に置いた。

 

 「お前も辛かったね…よしよし」

 

 そう言ってブレイダは鳥の頭を撫で、その場を後にし、変身を解いて橘達の元に戻った。

 

 

 

 「ブレイダー!」

 

 「おーい!」

 

 遠くから橘と相川が手を振りながらブレイダに駆け寄ってきた。

 

 「二人とも…逃げてなかったの?」

 

 ブレイダの素っ頓狂な質問に二人は少しコケた。

 

 「ん、ま、まあな」

 

 「ここからずっと見てたよ、ブレっち」

 

 「ああ、とてもかっこよかった」

 

 「ふふ、ありがとう、二人とも」

 

 そう言ってブレイダは少し微笑んだ。

 

 「最初ブレっちが変身した時はびっくりしたけど…だけど、打ち明けてくれて嬉しかったよ」

 

 「え?何で?」

 

 「変身ヒーローものとかって、普通あまり人には正体を表さないものなんだけど…でも、私達を信じて、変身してさ、夢も言ってくれて、嬉しかったんだ」

 

 「ああ。少し戸惑ったが…ブレイダが立派な夢を持ってくれたのも嬉しいし、私達を守ってくれたのも凄く嬉しかった。ありがとな、ブレイダ」

 

 「そんな…わたしなんて出来ることをしただけだよ」

 

 ブレイダはそう言いながら両手を胸の近くで左右に振った。

 

 「そうやって言えるブレっち、私は大好きだよ」

 

 「私も、調子に乗らないブレイダは私も好きだ。謙遜せずにもっと胸を張って良いんだぞ?それくらいの事をしたんだ」

 

 「そ、そうなのかな…」

 

 「ま、ブレっちは偉い!これでいいじゃん」

 

 「そうだな。さあ、帰るか」

 

 「うん。皆で帰ろう」

 

 そう言って三人は夕焼けの中、手を繋ぎながら帰路についた。

 

 

 

 

 「新たなヒカリノチカラを持つ戦士…か。お前はどう思う?サリエール」

 

 「あの程度、眼中にはありません。ですが、貴方が消せと言うなら消しましょう」

 

 「ふっ…そうか。だが今はまだ泳がせておこう。奴がどこまで強くなれるか、楽しみにしておけ」

 

 「はっ」

 

 二人のヤミノチカラを持つ戦士は、夜の闇の中に消えていった。




いかがだったでしょうか?
よろしければ感想等よろしくお願いします!
作中にも出てきた「劇場版ドラゴンボール超BROLY-ブロリー-」は絶賛公開中ですのでぜひぜひ。
ちなみに、この日はブレイダちゃんの作者様の誕生日でもあります。

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