第4話です。
ここから少しずつ核心に触れていくかも
これが…ブレイダ…」
サリエールは、部屋のモニターに映し出されたブレイダの戦う様子を見ていた。
「そうだとも、サリエール。これが君のここの世界での宿敵と言ったところだ」
青い髪の男がポケットに手を突っ込み、不敵な笑みを浮かべながら暗闇の中から月明かりの下に出てきた。
「あいつが俺に捕まる直前に放ったヒカリノチカラ…様々な並行宇宙に散らばらせたのは間違いだったみたいだな…」
「貴方のコピー元…ですか」
サリエールは男の方を振り向きながら言った。
そう言うと、男の目付きが変わり、口元からも笑みが消え、その次の瞬間、男は黒いオーラを纏った青いエネルギーの刃を手に発生させながら一瞬でサリエールに近付き、彼女の喉元に矛先を向け、サリエールは少し後ずさった。
「次にその事を言ったら世界の前に貴様を消す」
「も、申し訳ありません」
サリエールは地面に膝をつき、頭を垂れた。
「…まあ良い。あいつの力を奪って正解だった。今や俺は神に等しい力を持っている。最早敵など誰もいない」
そう言って男は刃を消し、サリエールも頭を上げた。
「…お言葉ですが、何故一度ヤミノチカラを世界に放ち、ヤミマジュウにしてもう一度回収を?」
「以前来た時には俺のヤミノチカラが足りなかった。だから、この世界を完全に闇に染める事は出来なかった。だが、生物にヤミノチカラを取り込ませ、ヤミマジュウにする事でヤミノチカラも強まり、もう一度集める事で俺のヤミノチカラが強まり、今度こそ世界を闇に染める事が出来る、という訳だ。既に二体が倒されてしまったが、次からのヤミマジュウを全て倒し、ヤミノチカラを回収すれば問題はない。だが、俺が倒そうとすればヤミノチカラごと砕いてしまうかもしれない。そこで、お前の出番という訳だ」
「そう言う訳でしたか…」
「そうだ。期待しているぞ、サリエール」
「はっ。お任せください」
「頼もしい限りだ」
少し笑って男は暗闇の中に消えた。
「…次の戦士はいつまで持つか…」
夜空の星を窓から見ながらサリエールは呟いた。
「ふぁぁぁ…」
ブレイダは大きな欠伸をしながら両腕を強く伸ばし、その後脱力して腕を落下させた。
「随分眠そうだねブレっち」
「うーん、ちゃんと寝てるのになぁ…」
ブレイダは目を擦りながら言った。
「流石にあれだけ動けば疲れも溜まるよな。今日の体育は休むか?」
「ありがとう橘さん…でもちゃんと出るよ…」
「そう言いながら寝そうになってるのはどこのどいつだ」
当の本人がうとうとして言っていても説得力はまるでない。寝そうになって倒れそうになったブレイダを二人は慌てて支えた。
「こりゃあ休ませるしかないね」
相川は苦笑いをしながら言った。
「とは言ってもとても人に言えることじゃないしな…どうしたものか」
すると、校門の前で一人の若い男の先生に出会った。
「おはよう、三人とも」
「あ、如月先生。おはようございます」
「おはようございます、如月センセ」
「おう、おはよう。あれ?柊のやつどうしたんだ?具合でも悪いのか?」
如月はブレイダの顔を覗き込みながら言った。
「なんて言うか…」
「少し疲労困憊…みたいな?」
「なるほど…柊は立てそうか?」
「どうかな…」
「…一度だけ…多分立たないとは思うが…」
そう言って二人はブレイダを降ろし、倒れそうになったブレイダを如月が支えた。
「…そっか。事情は分かんねえが、めちゃくちゃ疲れてんなら仕方ねえ。ゆっくり休ませてやんねえとな。とりあえず、先生が保健室に運んでおくから、お前らは先に教室に行ってろ」
「でも担任の先生には…」
「ちゃんと先生から言っておく。任せてくれ」
「…分かりました!ありがとう如月センセー!」
「おう!お前らも遅れないようにな!」
そう言って如月は二人に手を振った後ブレイダを担ぎ、保健室の方に向かった。
「んじゃ、私達も行く?」
「あ、ああ。そうだな」
そう言って二人は自分達の教室に向かった。
「しかし残念だなぁ。ブレっちの変身後の姿と必殺技名考えてきたのに…」
「どんなの考えてきたんだ?」
「色々考えてきたんだよ。まあでも、それはブレっち本人に決めて貰おうよ」
「それもそうだな。私達でも何個か候補を決めておこう」
早速二人は教室に入り、橘は自席にカバンを置いて相川の席に向かった。
「どんなのを考えてきたんだ?」
橘は相川の持っているメモを覗きながら言った。
「えーとね…まずは電光超人ブレイダ」
「パソコンの中で戦う訳じゃないだろう」
「んー…じゃあ、光の使者ブレイダ」
「闇の僕達をとっととお家に帰すのか?」
「帰すわけじゃないね…んー…仮面ライダーブレイダ」
「仮面でもなければバイクにも乗っていないぞ…乗ってるとしたらあの足場くらいだ」
「えー?じゃあ…」
色々言い合ってる内に始業の鐘が鳴り、橘は自席に戻った。
担任の先生が教室に入り、HRが始まった。
「柊は少し体調が悪くて保健室で休んでいる。平気になったら授業に参加するそうだ」
それを聞いて橘と相川は胸をなで下ろした。
如月は保健室に入り、白衣を着た髪の長い女性の先生に声をかけた。
「おう、光先生」
「あ、如月先生。おはようございます」
光も如月に気付き、席を立って軽く一礼ををした。
「おはようございます光先生。ちょっと急患って言うか、一人休ませてやってくれねえか?」
「?別に良いですけど…どうしたんですか?」
「ああ。2-Cの柊が凄く疲れが溜まってるらしくて、ちゃんと寝てもこんな風だから、保健室で休ませようと思ったんですよ」
「そういう事でしたか。分かりました。担任の先生にはもう伝えましたか?」
「これから伝えに行きます。じゃあ、後は任せますね」
「はい。ゆっくり寝かせておきます」
「よろしくお願いします」
そう言って如月はブレイダをゆっくりとベッドに寝かせ、光に軽く会釈をして保健室を出た。
光も、ブレイダの容態を書類にまとめた。
また、あの日の事が夢に甦る。
ダーク・デイの日の事をまた思い出す。この光景はもはや嫌という程ブレイダの脳裏に焼き付いている様だ。
しかし、今回の視点は自分ではなく、誰かの視点からの光景だった。
崩壊していく街を上から眺めていたかと思うと地面が急接近し、明らかに自分の視線の高さではない視点から空を見上げていた。
そして、少し走った後に、瓦礫の近くに赤ん坊と一枚の紙を見つけた。赤ん坊は今にも命の灯火が消えそうになっており、手の平から眩い光を放ち、赤ん坊の命を助け、自分の視点も赤ん坊に移った。
その後、ブレイダの命を助けた男が何かを言ったが上手く聞き取れず、男はブレイダが入った籠を持ち上げてこの場を逃げ出し、ブレイダがいた場所の付近の瓦礫はさらに崩れた。
そして、一人の女性にブレイダを預け、身体から眩い光を放ち、敵の親玉の元に急いだのを見届けたところで、目が覚め、身体を起こした。
「あ、おはよう、柊さん。体調はどう?大丈夫?」
ブレイダに気がついた光が振り返って言った。
「お、おはようございます。体は大丈夫です」
「なら良かった。如月先生から凄く疲れてるって聞いて、寝かせてたんだけど、どう?疲れは取れた?」
「ま、まあ、それなりには」
「良かった。どう?授業は出れそう?それとも、まだ休む?」
「いえ、大丈夫です」
そう言いながらブレイダはベッドから立ち、保健室を出ようとしたが、少しよろめいて倒れそうになった所を光に支えられた。
「やっぱりまだ寝てた方が良さそうね」
「でも、休む訳には…」
「身体を壊しちゃ元も子もないよ。まだ少し寝てて」
「う…はい」
ブレイダは大人しくベッドに向かった。
すると、突然校庭の方から地響きがし、光は窓に近付いた。
校庭には大穴が空き、二体の赤と青のヤミマジュウが暴れていた。
「大変!すぐ逃げないと!…って、あれ?」
保健室にブレイダはおらず、開いた扉が空しく軋むだけだった。
ブレイダは壁にもたれながら走って保健室を抜け出し、外に出て誰もいない所に出て、端末を操作した。
「トランスオン!…くっ…!」
ブレイダは変身して、剣を杖替わりにして座り込み、ブライトサークルに乗り、ヤミマジュウの元に急いだ。
胸のコアクリスタルは既に点滅し、立つのもやっとである。
ブレイダに気付いた相川と橘はブレイダに駆け寄った。
「ブレっち!大丈夫!?」
「立てそうか?」
「少し…キツいかも…」
そういうブレイダの息はかなり上がっており、とても辛そうだ。
『こちら玲司。通信出来るか?』
「は、はい、こちらブレイダ…」
もはやヘッドホンに手を当てる力も無いようだ。
「どうしようどうしよう…何か出来ることは…」
「…ブレイダ、とりあえずこれを」
橘はポケットに入れたスポーツドリンクの入ったペットボトルの蓋を開け、ブレイダに渡した。だが、ブレイダは肩で呼吸をするので精一杯で、受け取ることも大変そうだ。
「…仕方ない、ブレイダ、ドリンクを流し込むから口を開けろ。」
「う、うん…」
ブレイダは言われた通り口を開け、橘はブレイダの頭を支えながらブレイダの口にペットボトルの口を入れ、スポーツドリンクを飲ませた。
「全部飲んでいいからな」
「もう授業は終わってるから、心配しなくてもいいよん」
やがて、ペットボトルの中身が空になり、ブレイダは力を振り絞って立ち上がった。コアクリスタルは点滅してはいるものの、なんとか戦えそうである。
「ありがとう、二人とも…すぐ戻ってくるね」
「あまり無茶はするなよ」
「ヤバくなったら帰ってきて!」
「うん」
ブレイダは剣を構え直した。
すると、腕に突然ブレスレットの様な金色の輪が転送され、装着された。
『こちら玲司。今、そちらに簡易的なエネルギー供給装置を送った。調べたところ、君の中のヒカリノチカラがかなり少なくなっていたんでな…一回きりの片道切符みたいなもんで壊されたら終わりだが、今だけなら役立つだろう』
すると、腕の輪が光り、ブレイダのコアクリスタルの点滅が治まり、ブレイダ自身のヒカリノチカラが供給された事でブレイダにも元気が戻った。
「ありがとうございます玲司さん!」
『よし!ささっと倒してやれ!』
「はい!」
ブレイダは二体のヤミマジュウにも臆することなく、ヤミマジュウに立ち向かって行った。
「ウガアアアアアア!」
「ゴアアアアアアア!」
二体のヤミマジュウはそれぞれ赤い光線と青い雷を角から放ち、校庭を壊していた。
それを見たブレイダは二体の頭部に飛び立ち、剣で二体の頭を叩いて牽制し、ブライトサークルの上に着地して二体の間に立った。
「こらー!ダメでしょー!」
ブレイダに気圧されたのか、二体は動きを止めてブレイダの方を見ていた。
「ウガアアアア…!」
「こう言うことしちゃダメだよ!分かってる!?」
「ウガ…」
「ゴアアアアア!」
青いヤミマジュウが角に雷を充填し、ブレイダに向けて雷を放った。
しかし、ブレイダはすぐにブライトサークルで雷を反射させ、雷は空の彼方に消えた。
「あなたも!まだ話してるでしょ!」
「ゴア…」
「な、なあ、あいつ怪獣に説教してないか?」
「確かに…二体とも大人しくブレっちの話聞いてるね」
二人は半ば呆然としながらブレイダの様子を遠くから見ていた。
「とにかくこっちも時間がないの!さっさと決めさせて貰うね!」
ブレイダは二体の周りにブライトサークルを幾つも展開し、サークルから飛び立とうとした。
すると、いつの間にかもう一人の、青い髪の少女がブレイダの前に浮いており、ブレイダを手で制した。
「戦闘…開始」
「え…?」
二体のヤミマジュウは少女に襲い掛かった。
「刈る」
少女はそう言うと手に持っていた、エネルギーの刃の鎌を上段に構えた。
「ウガアアアア!」
「ゴアアアアア!」
二体のヤミマジュウは少女に襲い掛かった。
「…甘い。そこは私の間合いの中」
少女は鎌を振り、ヤミマジュウに一閃のもとに切り伏せ、二体の首を刈り、二体の首は地面にゴトリと言う重い音を立てて落ち、身体の中からヤミノチカラが出現し、少女はそれを回収した。
「そ、そんな…酷い!何も殺さなくても!」
「言っているがいい。それとも、お前もこいつらと同じ様になりたいか?」
少女は鎌の刃をブレイダの喉元に近付けた。
ブレイダの背筋は凍り、何も言うことが出来なかった。
「…やはりこの程度か。期待した私が間違いだった」
そう言って少女はその場から瞬間移動して消えた。
鎌が離れた途端、ブレイダは脱力し、ブライトサークルに尻もちをついた。
「…あの子は…一体」
ブレイダは立ち上がり、ブライトサークルから降りて変身を解除し、相川と橘も駆け寄ってきた。
「ブレイダ、大丈夫か?」
「うん、これでエネルギー供給が来たから、もう大丈夫だよ」
「良かった~!ブレっちが復活しなかったらかと思うとご飯ものどを通りそうになかったよ~」
「「そりゃあまだ試してないからな/ね…」」
「何はともあれ、何事もなくて良かった」
すると、遠くからジャージを着た如月とブレイダの鞄を持った光が三人の元に駆け寄ってきた。
「お前達無事か!?怪我はないか!?」
「柊さんも大丈夫!?」
「はい。この通り」
「私達も怪我はありません」
「そっか、良かった。お前達に何事もなくて良かったよ」
そう言って如月は胸をなで下ろし、額の汗を拭った。
「如月先生、貴方達の事を真っ先に思い出して探しに行ってたんですよ」
「いや、光先生に言われて思い出したんだよ。皆を避難させて、終わったと思ったら光先生が言ってくれてな」
「まあ、柊さんも、二人も怪我がないなら先生はもう何も言いません。流石に柊さんがいなくなった時はびっくりしましたけど」
「無事にこうして見つけられたんだから言いっこなしですよ、光先生」
「そうですね。今日はこんな事がありましたし、万が一の事を考えて今日はもう学校は終わりなので、三人も帰宅してください。幸い、学校周辺には何事も無かったそうなので」
「分かりました!」
ブレイダも光から鞄を受け取り、相川と橘も更衣室で着替えて鞄を取りに教室に戻った。
「ん、三人とも無事だったか。ほら、お前達の鞄だ。寄り道せずに帰るんだぞ」
相川と橘は担任の先生から鞄を受け取り、三人は帰路に着いた。
「あ、そうだ、ブレっち、昨日ね、ブレっちの変身後の名前と必殺技名を色々考えてきたんだよ」
「そうなの?」
「ああ。私達で色々候補も絞ったんだ」
「ほれ、これがリスト」
ブレイダは相川からメモを受け取った。
「好きなの選んで良いよ」
「分かった!じゃあ…この『超光戦姫』って名前にするよ」
「じゃあ、変身後は超光戦姫ブレイダ、ってとこだな」
「祝え!新たなるヒロインの誕生を!」
相川は両腕を広げて、肘から下を上に曲げて斜め上に広げた。
「それ誰に言ってるの?」
「さあ?で、必殺技名はどうする?」
「んー…どうしよ、色々あって迷っちゃうなー…」
ブレイダは顎に手を添えてメモを何度も上下に見た。
「このバニシングスマッシュってのもいいんだけど…ストライザーブレイクってのも捨てがたいんだよね…」
「よし、じゃあこうしよう」
相川は二枚メモ用紙を取り出し、それらの表にそれぞれの必殺技名を書き、後ろに隠して両手でシャッフルし、裏面を見せてトランプのカードを持つ時の様に持った。
「好きな方を引いて、そっちの方を採用しよう。これなら文句ないでしょ?」
「うん!」
そう言ってブレイダは少し悩んだ後、左の方を引いた。
そこには、『バニシングスマッシュ』の文字が書かれていた。
「決まりだね!これでめでたく変身ヒロインだ」
「めでたいもんなのか…?」
「まあまあ、良いでしょ。名前とかって登録出来る?」
「ちょっと待ってね…あった!」
デバイスには必殺技名を入力する画面が用意してあった。
「よくこんなの用意してあるな…」
「まあまあ、何でもいいじゃん。入れちゃお入れちゃお」
「そうだね」
ブレイダは英語で文字を入力し、最後に音声で確認した。
『BANNICING SMASH!』
「大丈夫そうだね。ありがとう、二人とも」
二人は嬉しそうに笑い、ブレイダも嬉しそうに笑った。
「よし!じゃあ、帰ろう!」
三人は手を繋ぎながら帰った。
「ヤミノチカラを回収出来ました」
「よくやった。次もこの調子で頼むぞ」
男はサリエールから二つのヤミノチカラを受け取り、体内に吸収した。
「…全ての宇宙に君臨するのは…この俺だ」
男は不敵な笑みを浮かべ、そう呟いた。
「では、失礼します」
サリエールも自分の部屋に戻った。
「…今度こそ、最後まで俺の手駒として働いてくれよ、サリエール。いや、No.675」
男から笑みは消え、そう呟いた。
今回はここまでです。
相川さんが真似したウォズが出ている仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVERも絶賛公開中です!
中の人は初日に見に行きました(自慢)
キャラ紹介
如月先生:ブレイダ達のクラスの体育を受け持つ若い先生。生徒を一番に考え、先生とも対等に接する良き先生。
光先生:ブレイダ達の学校の保健医。普段は保健室で務めており、生徒達の健康を一番に考えている。