超光戦姫ブレイダ   作:シャイニングピッグEX

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新年あけましておめでとうございます。
初回から色々ぶっ飛んでます。
ヤミマジュウ・ヤミノザウルス五世登場


謎のヒロインS

新年も明け、友人達と神社へのお参りも済ませ、玲司達からお年玉を貰って数日経ち、ブレイダは寝巻きのまま百合と一緒にコタツに入ってみかんを頬張ってだらけていた。

 

 「んー…暇ねぇ…ブレイダ、あなたどっか行かないの?」

 

 「つい昨日お参り行ったばっかりですよ…」

 

 そう言ってブレイダは一つ欠伸をした。

 

 「流石にこんな時にヤミマジュウも出ないでしょうよ…」

 

 「そうね…それこそこんな時に来たらやられちゃうわね…」

 

 そう言いながら二人は軽く笑った。

 

 すると、コタツの上にあった百合の携帯電話が鳴った。

 

 「百合さん、着信来てますよ」

 

 「んー?うん…」

 

 百合はそう言いながらコタツの中から片手を出し、電話に出るとそのまま仰向けに寝転んだ。

 

 「はいもしもし?」

 

 『もしもし、百合ねえさん?お久しぶりです、奈央です』

 

 「なお…えっと、声優の方ですか?」

 

 『東山奈央さんじゃないです』

 

 「えー?違うのー?」

 

 『違いますってば…零にいの妹の柊奈央です』

 

 「零の妹…あー!」

 

「えええなんですか急に!?」

 

 百合は急に叫んで起き上がり、ブレイダはそれに驚いて身体が跳ね上が

った。

 

 「来るのって今日だったっけ…?」

 

 『そうですよ。一ヶ月前位に伝えたじゃないですか』

 

 「そうだっけ…?ちょっと待ってね」

 

 そう言って百合は通話を繋げたまま、奈央とのチャット画面を開いた。その画面には確かにこの日に行く趣旨が伝えられていた。

 

 「マジだ…」

 

 いかにもやっちまったと言わんばかりの表情で百合は額を叩き、ブレイダは頭にはてなを浮かべていた。

 

 『はぁ…まあ、良いです。私とちゃんと会うのも十年ぶりですもんね』

 

 「ガードナーの基地だといつも画面越しだもんね。けっこう会ってるのに、なんだか懐かしく感じるわ」

 

 『ははは、そうかもですね』

 

 「ところで、奈央ちゃんは今どこに?」

 

 『今TK地区の駅を出た所です。もう少ししたら着きます』

 

 「うん、分かった。気を付けてね」

 

 そう言って百合は電話を切った。

 

 「百合さん、今のは誰から?」

 

 「私の夫の妹よ。貴方の叔母…って言っても会うのは十年ぶりだから覚えちゃいないわね。とりあえず着替えちゃいましょ」

 

 「はーい」

 

 そう言ってブレイダはコタツから出て自室に入り、セーターとジーンズを身につけた。

 

 すると、チャイムが鳴り、まだ着替えてる百合の代わりにブレイダが出た。

 

 「はーい」

 

 ブレイダが扉を開けると、そこには大きな荷物を持った赤い髪のツインテールの女性が立っていた。

 

 「あけおめことよろ~…ってあれ?部屋間違えた?」

 

 女性はそう言って部屋の名前を見た。

 

 「…いや、間違ってないよね…あれー?百合ねえに子供っていたっけ?」

 

 「あ、あのー…どちら様ですか?」

 

 ブレイダはおそるおそる女性に声をかけた。

 

 「あ、あー、ごめんね。緑の髪の女性っている?」

 

 「百合さんの事ですか?今着替えてますけど…」

 

 「あー、じゃあここだ。お邪魔するよん」

 

「あっ、まだ着替えて…」

 

 女性はブレイダの制止も聞かず部屋の中に入っていった。

 

 「あけおめことよろ~、百合ねえ。また女の子捕まえてない?」

 

 「捕まえてませんっ!」

 

 服を着崩しながらも百合はなんとか着替え終わっていた。

 

 「いやー、しかし本当に久しぶりだねぇ。いやー、本当、大きくなって…」

 

 百合の目線は女性の顔ではなく、胸の方に向き、舐め回すように見ていた。

 

 「ていやっ」

 

 「あだっ!」

 

 女性は百合の頭に手刀を叩き込み、百合は頭をおさえた。

 

 「ごめんね~、この人いつもこうなんだよ」

 

 そう言いながら女性はブレイダの方を向いて半分呆れながら笑って言った。

 

 「あ、あの、貴方は…?」

 

 「ああ、ごめん、まだ自己紹介してなかったね。私は柊奈央。百合ねえの主人の零にいの妹で、ガードナーの宇宙研究科所属。お嬢ちゃんは?」

 

 「わ、わたしは柊ブレイダです。ガードナー第七部隊フォワードです」

 

 「んー…となると零にいと百合ねえの子供?それにしちゃあどっちとも似つかないけど…」

 

 そう言いながら奈央はブレイダの顔を覗いたり、髪を触ったりした。

 

 「その子は拾い子よ。私の子ではないけど、自分の子供同然に育ててるわ」

 

 「ふーん、そういう事だったんだ、道理で。まあ、これから宜しくね」

 

 「あ、はい、宜しくお願いします」

 

 そう言ってブレイダは奈央が差し出した手を握った。

 

 「ところで、そっちには届いてないの?ブレイダがガードナーに入ったとか」

 

 「ああ、確かにアメリカの方にも情報は入っていたよ。第七部隊に新しい女の子が入ってヤミマジュウを倒し、ついこの間はサンタクロースと会ったとか。だけど女の子の名前までは公表されなかったんだ。だけど、まさか百合ねえのとこの子供だとは思わなかったよ。確かに子供と暮らしてるのは聞いたけどさ」

 

 「流石ガードナーと言ったところかしらね。ヤミマジュウとヒカリノチカラ、ヤミノチカラの事については何処よりも情報が早いわね」

 

 「そういう事だよ。それに、しばらくは私も日本支部にいる事になったし」

 

 「そうなの?」

 

 「ええ。並行宇宙…マルチバースにもヤミマジュウやヤミノチカラがある事も分かってきたし、そのヤミマジュウが日本に出たからね。知り合いもいるし、元々日本人の君が適任だと言われて来たんだ。しばらくは頼むよ」

 

 「そういう事なら大歓迎よ。明後日からガードナーで仕事があるから、また宇宙開発科に…」

 

 「あ、いや、私はガードナーのフォワードのサポートをしてくれって言われて来たんだ。並行宇宙の研究はアメリカ支部と宇宙支部でどうにかなるだろうし、私もフォワードのサポートをしようと思ってさ。だから困ることがあれば色々強く出来ると思うし」

 

 「そういう事ね。まあ、やる事はそんなに変わらないでしょうけど、また宜しくね」

 

 「ええ。喜んで協力しますよ。その前に、ブレイダちゃんの変身時のスペックを測らせて貰ってもいい?」

 

 「それは良いですけど、どこでやるんですか?」

 

 「確かTK地区の基地にも施設内に模擬練習所とかあった筈。そこを使うわ。早速行きましょう」

 

 「は、はい」

 

 早速、三人は暖かい格好をして外に出た。

 

 すると、大きな地響きと共に地中から十メートル程の体格で角の生えた四足歩行のヤミマジュウが出現した。

 

 「ギシャァァァァァァ!」

 

 「新年一発目ね!正直言ってめんどくさいわ!」

 

 「百合さんいつもに比べて凄く素直!もう顔に出てる!」

 

 ヤミマジュウを見る百合の顔にはめんどくさいとはっきり書かれていた。

 

 「まま、そんな事はいいじゃん。むしろ戦う所を見れるから基地に行かなくて良いわ」

 

 そう言って奈央は鞄の中から小型の機械を取り出し、片耳に装着して機械に着いた赤いレンズをブレイダの方に向けて耳元に着いたボタンを押した。

 

 「あ、あのー、奈央さん?その機械は一体…」

 

 百合は奈央の機械を見ながら言った。

 

 「ん?ああこれ?対象の色々な数値を測る機械よ。決して宇宙のどこかにある軍の戦闘力を測る道具とかではないわ。偶然似てるだけよ」

 

 「は、はぁ…偶然」

 

 「まあ、細かいことは気にしない。さっ、ブレイダちゃん、いつもやってる通りヤミマジュウ倒しちゃって!」

 

 「は、はい!トランス オン!」

 

 ブレイダはデバイスを操作して胸元に装着し、眩い光に身を包んで変身を完了した。

 

 「おおー、これがトランスオン…凄いな…」

 

 そして、ブレイダは剣を握り、ヤミマジュウの元に駆けつけた。

 

 「はっ!」

 

 ブレイダは素早く上に飛び上がってヤミマジュウの攻撃を避けた。

 

 「ヒカリノチカラの出力も上がってる…」

 

 「だぁぁぁ!」

 

 ブレイダは空中で前転をして剣を両手で握り、大きく振り上げてヤミマジュウの鼻目掛け振り下ろした。

 

 すると、ヤミマジュウの周りにバリアが張られ、ブレイダの攻撃は弾かれてしまった。

 

 「なっ…!?」

 

 「弾かれた…!ブレイダ!早く下がって!」

 

 ヤミマジュウはチャンスと言わんばかりに首を振り、ブレイダの胴体に頭突きを食らわせた。

 

 「あああああああっ!」

 

 悲鳴と共にブレイダの身体は地面に叩きつけられた。

 

 「ギシャァァァァァァ…!」

 

 「う…く…!」

 

 ブレイダが身体を起こす暇もなく、ヤミマジュウは前足でブレイダの身体を突き飛ばした。

 

 「うあああっ!」

 

 「ブレイダ!」

 

 ヤミマジュウはブレイダに狙いを定め、ブレイダの方に向かって進み始めた。

 

 「ヒカリノチカラの出力低下中…結構ヤバいかも…」

 

 ブレイダの胸のコアクリスタルは点滅が始まっており、身体も満足に動かせない程に痛めつけられていた。

 

 「くっ…まだ!」

 

 ヤミマジュウが両足でブレイダを踏み潰そうとした途端、ブレイダは身体の下にブライトサークルを作り、素早く動かしてヤミマジュウの攻撃から寸前で回避した。

 

 「まだまだ…本当の戦いはここからだ!」

 

 ブレイダは自分を奮い立たせ、力強く立ち上がった。

 

 すると、空の彼方から青黒い彗星の様な物がブレイダ達の元に急接近し、彗星が落ちた場所から煙と共にサリエールが鎌を持ってブレイダの前に浮上した。

 

 「あなたは…」

 

 「この程度のヤミマジュウに手こずるとはな…私の見込み違いだった様だ」

 

 そう言ってサリエールはヤミマジュウに急接近し、ヤミマジュウはブレイダの時と同じようにバリアを展開した。

 

 「…はっ!」

 

 サリエールの鎌はいとも容易くヤミマジュウのバリアを砕き、サリエールはヤミマジュウの角を斬り裂いた。

 

 「ギシャァァァァァァ!」

 

 それに怒ったヤミマジュウはサリエール目掛けて頭突きをしようとした。

 

 「…捉えた」

 

 サリエールは刃の伸びた鎌を振り下ろし、ヤミマジュウの首は重い音を立てて地面に落下し、頭が無くなった胴体は更に重たい音を立てて倒れ、首元からヤミノチカラの結晶が出現し、結晶はサリエールの手の平の上に落下した。

 

 「か、返して…!」

 

 「返せだと?何を寝ぼけた事を。何故貴様の様な弱者にやらねばならない。これは私がヤミマジュウの命と共に奪ったものだ。欲しければ私から奪ってみるんだな」

 

 「ぐ…!だぁぁぁ!」

 

 ブレイダは剣を強く握り、ブライトサークルを強く蹴ってサリエールの元に飛び立った。

 

 「はあっ!」

 

 サリエールはブレイダの剣撃を鎌で受け止め、ブレイダの首元を掴んで強く引き寄せ、ブレイダの息が一瞬止まった。

 

 「そんなボロボロの身体で私にかなうと思ったか?」

 

 「そんなのやってみなくちゃ…!」

 

 「やらずとも分かる…はぁっ!」

 

 そう言ってサリエールはブレイダの身体を離し、腹部に強烈な一撃を入れた。

 

 「あ…あが…っ」

 

 サリエールは落下しようとするブレイダを逃がすまいとブレイダの頭部を強く掴み、ブレイダの顔を片手で引っ張りあげた。

 

 「元々から違うんだ…何も無かったお前がずっと闘い続けてきた私に勝てる可能性など元々無かったんだ…」

 

 そう言うサリエールの顔は不敵に笑っていた。だが、その目には哀愁が感じられた。

 

 「う…うぐ…っ!」

 

 ブレイダは強くサリエールを睨みつけ、それが気に食わなかったのか、サリエールの顔から笑みが消え、少し歯軋りした。

 

 「…地獄に落ちろ!」

 

 そう言ってサリエールは振りかぶってブレイダを地面に投げ、それを追いかける様に飛び立ち、鎌を強く握って振り下ろした。

 

 「ああああっ!」

 

 サリエールはブレイダの胸を踏みつけながら着地し、ブレイダに顔を近付けた。

 

 「次に邪魔をするようなら死以上の恐怖を見せてやろう…二度と邪魔をしようなんて思わないようにな…」

 

 そう言ってサリエールはその場から姿を消し、百合と奈央は倒れているブレイダの元に駆け寄った。

 

 「ブレイダ!ブレイダ!?返事をして!」

 

 百合は何度もブレイダの身体を揺すったが反応は無く、奈央は素早くブレイダの胸に耳を当てた。

 

 「…大丈夫、まだ心臓は動いてる。とにかく、早くガードナーの医学部に!」

 

 「ええ!」

 

 百合と奈央はブレイダを車内に寝かせ、ガードナーの基地に向かい、ブレイダを医学部に送った。

 

 「…ブレイダ…」

 

 「百合ねえ…」

 

 待ち合い室の椅子で二人はブレイダの無事を祈りながら待っていた。

 

 「…そう言えばさ」

 

 「?」

 

 「百合ねえが心配してる時に申し訳ないんだけど、ブレイダのあの武器の名前ってあるの?さっき装着越しに見てた時、ブライトサークルの名前は出たけど、剣?の名前は出なくって」

 「あー…そう言えば…前に最適化された時、名前も無くなったのね」

 

 「ん?最適化?」

 

 「ええ。前の装着者からブレイダに受け継ぎ作業をする時にね。カラーリングや細部の調整、武器の形状やら色々変えたから、その時にリセットされたのよ」

 

 「そういう事ね」

 

 すると、待ち合い室に相川と橘が息を切らしながら走って入ってきた。

 

 「百合さん!ブレっちは…」

 

 「まだ診察中だけど…あなた達、どうしてここに?」

 

 「外で凄い音がして、その後に外に出てみたら百合さんの車を見かけたから何かあったと思って…」

 

 「外にはヤミマジュウの死骸が落ちてるし、ブレっちは車の中で寝てるから必死で追いかけたらこの中に入ってくのが見えたから、とにかく追いかけてたんです」

 

 「そういう事…」

 

 「百合ねえ、この子達は?」

 

 奈央は百合の方を向いて聞いた。

 

 「この子達はブレイダの友達よ。相川ちゃんと橘ちゃん」

 

 「初めまして、橘咲です」

 

 「は、初めまして…相川…翔子です…ふぅ」

 

 相川は息を整えながらなんとか橘と一緒に奈央に頭を下げた。

 

 「初めまして。私は柊奈央。百合さんの義理の妹よ」

 

 「義理の妹さんですか」

 

 「あれ?でも私達百合さんの主人を見たことが…」

 

 「おっと、相川ちゃん、ちょっとそれ以上はタブーよ」

 

 「?」

 

 すると、診察室の中から、手すりに捕まりながら歩くブレイダの姿が見えた。

 

 「ブレイダ!」

 

 百合は誰よりも早くブレイダに駆けつけ、三人もブレイダに駆け寄った。

 

 「大丈夫?」

 

 「なんとかね…あれ?橘さん?相川さん?」

 

 ブレイダは二人に気付き、二人はここに来た経緯をブレイダに伝えた。

 

 「そう言う事だったんだね…二人とも来てくれてありがとう」

 

 「礼なんて良いって良いって」

 

 「ブレイダが無事ならそれで良いんだ」

 

 そう言う二人はどこか恥ずかしそうだ。

 

 「あんたいい友達持ってるんだね。ちゃんと大事にしなよ?」

 

 そう言いながら奈央はブレイダの頭を撫でた。

 

 「は、はい」

 

 「これからは私ともどもよろしくね、お二人さん」

 

 そう言って奈央は相川と橘の頭も撫でた。

 

 「ところで、ブライトサークルって名前は誰が考えたの?」

 

 「それはブレイダ自身よ。それで、必殺技のバニシングスマッシュは橘ちゃんと相川ちゃん」

 

 「バニシングスマッシュって必殺技の名前だったのね。何の名前だろうとずっと考えてたわ。まあ、それならブレイダちゃんの武器の名前も一緒に考えてもらおうかな」

 

 「武器の名前?」

 

 「ええ」

 

 「どうする?翔子」

 

 橘は腕を組みながら相川の方を向いて言った。

 

 「わ、私!?うーん…剣でしょ?」

 

 「ソード…セイバー…うーむ…」

 

 「心に剣…輝く勇気…あっ!」

 

 相川は何か思いついた様に手の平の上に縦に拳を置いた。

 

 「ブレイブレードってどう?」

 

 「ブレイブレード?ブレイブブレードじゃダメなのか?」

 

 「それじゃちょっと言いづらいじゃん?それで、ちょっと縮めてブレイブレードって訳よ」

 

 「なるほどな…」

 

 「それに、ブレっちもヤミマジュウと戦うのには勇気がいるからさ、それで勇気の証の剣って事でブレイブレードって事よ」

 

 「確かに、あんな怪物と戦うのにも勇気がいるからね。凄く良いと思うよ」

 

 「それじゃあ決まりだね。どうせこれも名前入れるところあると思うよ」

 

 「そうだね。ちょっと待って…あった!」

 

 ブレイダはデバイスを操作し、早速名前を入力した。

 

 「えっと…こう…かな?」

 

 ブレイダは文字を入力し、最後に確認用の読み上げ音声を聞いた。

 

 『BRAVLADE』

 

 「うーん、まあ、少し怪しいが良いだろ」

 

 「そうだね。どうせ音声だけが聞こえるんだし、そこまで気にしなくても良いでしょ」

 

 「うん、ありがとう。大事にするよ」

 

 「まあ、名前を呼んでくれた方が愛着も湧くしな。大事にしてくれ」

 

 「とにかく、ブレイダが無事で本当に良かったわ。二人もありがとね」

 

 一同はガードナーの基地を出て、百合は車で二人を送り届け、そのまま家に向かった。

 

 「しかし、ヤミノチカラを狙う奴もいたなんてね…あの子も対策も色々しないとね」

 

 「うん…それに…」

 

 「それに?」

 

 「あの子の目は…どこか悲しそうだった」

 

 「…救ってあげたいって?」

 

 ブレイダはこくりと頷いた。

 

 「…分かった。私も、色々開発してブレイダちゃんの役に立つような装備を作るよ」

 

 「奈央さん…!」

 

 「私も、できる限りブレイダのサポートはしていくわ。また次は負けないように」

 

 「百合さん…!ありがとう…」

 

 「ま、それにガードナーとしてもあの子には色々聞きたいことが山ほどあるからねぇ」

 

 

 

 ヤミノチカラを男に渡したサリエールは一人星空を窓から見ていた。

 

 「…寂しい…?」

 

 何を言っているのだ私は。私にはあの方が…ガディサイト様がいる。いつも私の側にいるではないか。そんな感情を覚えることなどない筈だ。それに、彼女もいる。

 

 「…少し、良いか」

 

 そう言ってサリエールは目を瞑った。

 

 『あら、久しぶりね、サリエールちゃん。そろそろ私に身体を返してくれる気になった?』

 

 サリエールの周りには白い空間が広がっており、前方にはサリエールと全く同じ顔をした、どこかの制服を纏った一人の少女が立っていた。

 

 「そんなのではない。私にも寂しいと言う感情が芽生えた…どう言うことだ」

 

 「あなたが心のどこかでそう思ったんじゃないの?あ、だからまだ私が残ってるのか」

 

 「フン、お前に何が」

 

 「まあね、あなたの事が百パーセント、十割分かるかって言われたらそんな事はないけれど…同じ身体だもん、何を考えていて、何を感じているのか位は分かるわ」

 

 「フッ…言わせておけば…」

 

 「あら、本当に寂しくないなんて言える?話し相手がガディサイトさんか私しかいないのに」

 

 「…」

 

 「必殺技の名前も、武器も、衣装も、全てガディサイトさんから貰った物じゃないの。それを棚に上げてあの子…ブレイダちゃんに『何も無い』なんて言うのは酷いんじゃない?」

 

 「…黙れ、今すぐお前を消してやろうか」

 

 「あら、そんな事して解決するのかしら?解決するなら話は別だけど」

 

 「チッ…お前と話したのは時間の無駄だったようだ」

 

 そう言ってサリエールはもう一度目を瞑り、目を開けると自室に戻っていた。

 

 「…私にはガディサイト様さえいれば…充分だ」

 

 そう言いながら星を見つめるサリエールの目はどこか切なさそうだった。




今回はここまでです。
キャラ紹介
柊奈央(ひいらぎなお):百合の義理の妹で、昨年までアメリカにいたが日本にヤミマジュウが出たことを聞きつけて日本に帰ってきた。彼女の兄であり、百合の夫である零とは対照的に赤い髪の色をしている。
サリエール:ヤミノチカラを使って変身し戦う少女。その正体は未だに不明である。
???:サリエールの体の中にいるもう一つの精神。サリエールの肉体の中にずっといたらしく、ある意味サリエールの一番の理解者である。
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