魔法科高校の無信仰者   作:苺ノ恵

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よう…一か月ぶりだな(震え声)

短い文章で恐縮ですが、暇つぶしに見てやってください。


episode20.

 

 

 

 

 

「いいか。スー二等兵。貴官の役割は正門に居座る生徒二名の無力化と司波深雪嬢の足止めだ」

 

 戦闘音がある程度収まったのを確認した私は二等兵と最後のブリーフィングを行う。

 

 スー二等兵はアイフェイスを下げると変音機を調整しながら私に問う。

 

「腕の一本程度は折ってもよろしいでしょうか?』

 

「貴官が単身で四葉家と戦争に臨みたいというのであれば私は止めないが?」

 

 私の返答にハハハと乾いた笑い声を溢した二等兵は胸元に右手を置いて、私たち魔導士の生命線を指し示す。

 

『…宝珠の使用許可をお願いします』

 

 珍しく二等兵を緊張感が襲っているようで、日頃の能天気さは影を潜め、軍人独特の冷え切った感情が彼女の周囲を覆っていた。

 

「無論だ。流石の私も彼女を相手に武器を隠して戦えとは言わん。___相手は振動系統、特に氷結系の広範囲魔法を得意としている魔法師だ。極力、彼女の魔法を無力化し、拘束される前に離脱するよう心掛けろ。任務遂行時間は2分、行けるな?」

 

『当然です。なんたって私は貴女のメアリーなんですから』

 

 お互いに背を向けて駆け出す。

 

 

「___スケープゴート作戦、開始!」

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 アンティナイトは有用な軍事物資である。

 

 その効果は魔法師ならず魔法に関心のある者ならば誰でも知っていることだろう。

 

 不規則なサイオン波を意図的に乱立させ、魔法式の構築を阻害する対魔法装置。

 

 その価値は国にもよるが、とある国では戦車の制作費用に匹敵する額とも言われている。

 

「経済の基本は損得勘定だ。いかにコストを抑え、最高のリターンをいただくか。輸送料が相手先持ちならこれほど美味しい話はないな」

 

 今回のアンティナイト密売は仕組まれていたことだ。

 

 密輸業者、犯罪組織、ブローカー…etc

 

 警察組織への情報提供で得た謝礼額も相当なものだ。

 

 我々軍は潤沢な資金力を。

 

 警察組織は優良な昇進材料を。

 

 市民にはさらなる平穏の享受を。

 

 まさに歓喜万来。

 

「まあ…それもこれも、ここで私が失敗すれば全て水の泡。上層部の古狸どもは、文字通り皮算用する羽目になるのか…それはそれで悪くはないがな」

 

 悪態を吐きつつ私はスー二等兵が去ったのを確認してから、サイドパックに装備していたポケットマギクスを四つ取り出す。

 

 指の間に挟み込んだポケットマギクスに宝珠を経由して魔力を流し込む。

 

【利け。神を自称する醜悪の恢塊よ。ここに貴様の御業は地に伏した】

 

 私の言葉に演算宝珠が黒い光を帯びる。

 

 それはまるで神の怒りに触れた象徴のようで___

 

【なれば私がこの地を統べる存在に座す】

 

 どこまでも美しく視界を覆う夜空のような___

 

【これが人。これぞ人。ここに人間こそがこの世の統治者たる所以を示す】

 

 それは悲しい悲しい___

 

 

 

 

 

【封絶】

 

 

 

  _____冷たい光

 

 

 世界が黄昏色に染まる。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

『___遂にあの冒涜者は禁忌を犯したか』

 

 全にして無。

 

 無にして全。

 

 時空の概念すら超越した場所にその存在は座していた。

 

『何故だ。何故神を信仰しない?祈りを捧げない?救いを求めない?』

 

 故にその存在は理解できない。

 

『人間よ。何故貴様らは___【生】を、苦しみ続けることを望むのだ?』

 

 理解できないからこそ悍ましい。

 

 生という苦しみを受け入れ、在ろうことか我が子に、未来に負の遺産を送る狂った種族。

 

 どこまでも罪深いその在り方を。

 

『我は正さねばならない』

 

 その存在は跳ぶ。

 

 行き先は、標す必要もない事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

【封絶】

 

 存在Xの使用していた時空歪曲による空間制御の究極系。

 

 それを神の冒涜による奇跡の暴走と、自身の心象風景の具現化モジュールにより、極めて精巧な【偽物の空間】を生み出す。

 

 黄昏色に染まった世界を視認し、無事術式の発動を終えたことに安堵した私は、魔力光をカーソル上に展開し対象の物質をロックしていく。

 

「空間座標…把握、対象数リード…____【回帰】」

 

 ボトボトッ…。

 

 指輪の付いた数十の指が私の足元の地面に落ちる。

 

「……まさかこれほど上手く行くとはな」

 

 物体の相対位置を固定し、中点を軸に頂点の空間に付随した物質を移動させる術式。

 

 心象風景を具現化しているこの中ではイメージがそのまま現象として現れるような全能感を憶えてしまう。

 

「___だが、これはばかりは予想外だぞ?貴様はどこまで私のプライベートな空間を踏みにじる気だ?」

 

 私は懐のホルスターから小銃を引き抜き構える。

 

「存在X」

 

 

 

 

 

 そこには、十師族の中でも鉄壁の守りを誇る___

 

 

 

 

 

 十文字家次期当主____十文字克人の姿があった。

 

 

 

 




次回、ターニャVS十文字(存在X)

8月中旬投稿!!














………予定(小声)

それではまた戦場で
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