拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。   作:のろとり

104 / 131
拝啓 読者様

投稿が遅くなったので、文字数を多くして誤魔化しました。
3000文字近くあれば許されるよね……?


~『魔王』編です、助けてください。~
暴走してます、助けてください。


「ナンダァ」

 

新・魔王は目の前の光景に疑問を浮かべる。

どうやって不愉快に感じる人物(商人)は自分に気付かれずに元・魔王に近付いたのか、元・魔王が何故無傷で復活しているのか。

考えればキリが無かった。

だがやることは変わらない、ただ目の前の人物を全員捻り潰すことだ。

 

「…………」

 

新・魔王が動こうとしたとき、ビデオカメラのように元・魔王がぶれた。

瞬間、周りのモノ全てを吹き飛ばすような突風が起こり、地面が風で削れる。

近くに居た空良達は、反射的に目を閉じる程の風に襲われ、吹き飛ばないように堪える。

唯一無事なのは少しばかり離れていた新・魔王二人と、その光景を楽しむように見ている商人だけだ。

 

「ガァ!」

 

新・魔王の視界から隣に居たもう一人の自分が消えた。

まるでそこには誰も居なかったかのように、何も無かったかのように。

何が起こったのか分からなかった。状況を確認しようと、隣を見る。

 

「…………」

 

元・魔王が拳を放った姿勢で停止しており、重力に従いゆっくりと地面へと降りた。

「まさかコイツが殴ったのか……?」と考えるがあり得ない、雑魚が出来るわけがない。目の前の光景に対して言い訳をするが、それで何かが変わるわけではない。

 

「ザコガァ」

 

消えた自分の謎は置いておき、新・魔王は元・魔王を殴ろうと空を飛ばずに、地面に着地しようとしてる所を狙った。

 

「…………」

 

防御もしなかったし、見向きすら無かった。

殴った部分が少し凹んだ程度で、蚊に刺されたとすら思って無いだろう。

今まで圧倒的な力で戦ってきた新・魔王は、その行動に対して怒りが湧いた。

何発も、何発も……普段の元・魔王ならとっくに死んでるであろう程の拳を放ったが、何も変わらなかった。

 

「『吸収』」

 

今の力で勝てないのなら自身を強化すれば良い。

吹き飛んだ新・魔王が跳んできて自分自身を吸収し、今までより数倍強くなった。

もう暴走する前の状態の元・魔王や、空良が手も足も出ないほどの力を手にいれた。

 

「ガハァ!」

 

さっきまでなら全員を殺す、とまではいかないが雷鳴と海楽以外の人物を軽く殺せていただろう。

それでも、それでも今の元・魔王にその拳が届くことは無かった。

その力は天と地ほどの差が開いており、例え元・魔王を吸収しようとしても、体が力に耐えきれずに自爆することになるだろう。

 

「…………」

 

元・魔王は新・魔王の頭を掴み地面に叩きつけた。

頭からミシミシと骨が砕けるような音が聞こえ、地面に叩きつけた衝撃で周りに石が飛び散る。

 

「アァ…………」

 

新・魔王は焦点が合っていない元・魔王の顔を最期に見て、意識を失った。

 

 

 

 

 

「……強くね? てか俺らいらなくね?」

 

全員、その光景をただただぼんやりと眺めていた。

何が起こったのかは分からないが、いつの間にか新・魔王が倒されていた。

雷鳴の……全員の心境を表すとしたら「分からない」これが一番しっくりくるだろう。

 

「なんだよ、そんなご都合主義パワーアップがあるなら最初から使えよ~」

 

「あの速さから放たれる攻撃……今までとは尋常にならないほどの痛みを感じる!」

 

「何があったの?」

 

雷鳴は「倒せるなら速く倒してほしかった」と言いながらも、ようやく戦いが終わったことに安堵し、海楽は「攻撃を喰らいたい」といつも通りであり、強風や石が飛び散っただけで終わってたように見えたミサは訳がわからなかった。

 

「…………」

 

空良は元・魔王をジッと観察する。

新・魔王をたった数発で倒すほどのパワー、『オーバーホール』を使っても追い付けないほどのスピード、先ほどから何も喋らない不気味さ。

 

「魔王くんに何をしたの?」

 

元・魔王がこうなった原因であろう商人に質問をする。

戦いを見ながら「アヒャヒャヒャヒャ」と笑っていた商人が空良の質問に答える。

 

「彼が力を欲しいと言ったから、願いを叶えただけですよぉ!」

 

「願い?」

 

空良は商人の言った「願い」について考える。

今の話が本当なら元・魔王は自ら望んで今のような力を付けたと考えられる。

しかし元・魔王の様子と商人の不気味さからそれは違うとすぐに否定をする。

 

「あ、そうだ商人。お前俺の願いはどうなったんだよ! 魔王が地獄で苦しんでるのが見たいって言ったら、俺も地獄に送られたぞ! 責任者呼べ責任者!」

 

「それで地獄に送るのもどうかと思うぞ」

 

 

「雷鳴と海楽は何をやってたの……?」

 

雷鳴が空良と商人に会話を聞いて、自分の願いがちゃんと叶えられていないことを思い出して商人に怒る。

海楽とミサは呆れながら雷鳴はジッと睨む。

お前も地獄に来ただろ、と海楽に睨み返した。

 

「ッ!」

 

その三人の会話を聞いて空良は分かった。

雷鳴の思った願いと商人が叶えた願い。

そこに違いはあるが、商人はちゃんと叶えてはいた。

情報が少ないので商人が勘違いした可能性もあるが、おそらくは「叶えた相手を苦しませる」のが商人の狙いだろうと結論付けた。

 

「あ、魔王がこっち向いた」

 

ミサの呟きと共に全員が元・魔王を見る。

しかし空良はまだ商人に聞きたいことがあり、一度逸らした視線を商人に戻す。

 

「居ない?」

 

だがそこに居た筈の商人は居なくなっていた。

まるで最初からそこに居なかったように。

まだ近くに居るだろうか、居るなら捕まえて話を聞こう。

空良は商人のことを考えていて、元・魔王に対してあまり意識を向けて居なかった。

 

「魔王、俺に痛みをくれ!」

 

「そのご都合主義を早く使えやコノヤロー!」

 

海楽と雷鳴の二人が新・魔王を倒したことを……否、それとは全然関係ないが、元・魔王の元へ走っていく。

もしも空良が、それ以外の人物が元・魔王に対して「警戒」をしていたらこれから起こる出来事を回避出来ていたのだろうか。

IFの世界を考えるとキリが無く、とても意味のない行為であることは分かってはいる。

それでも望みたくなるような光景を目にしてしまう。

 

「え?」

 

全員の視界から海楽が消える。

まるで人が消えるマジックのように消えてしまい、一同は動揺する。

しかし誰が消したのかは見れば簡単に分かる、分かってしまう。

 

「ま、おう……様?」

 

否定したかった、気のせいだと思いたかった、幻覚が見えているのだと信じたかった。

そんな妄想が意図も容易く砕かれることになるのは分かっているが、それでも目の前の光景が信じられず、現実から逃げたくなった。

 

「…………」

 

元・魔王が海楽が居た場所に近づいて拳を放った姿勢で停止していたのだ。

そして次に殴るのは、一番近くにいる雷鳴である。

 

「ハッ!」

 

空良はこれから起こることが分かってしまい、それを阻止しようと『オーバーホール』を使い元・魔王へ接近する。

 

「なぁ魔王、海楽は殴れと言ったが加減ってものをだな……」

 

状況が飲み込めず、なんとなく海楽が殴り飛ばされたのだと考え、元・魔王に対して少しばかり説教をする。

 

「…………」

 

その速さに付いてこれる者は誰も居なかった。

テレポート的なことが出来る白雲も、異世界の勇者である空良も、元・魔王がどんな動きをしたか見えなかった。

 

「……ゲホッ!」

 

気が付いたときには雷鳴の腹に元・魔王の拳が入っていた。

雷鳴は何が起こったのか分からず、逆流してくる赤い液体を口から吐き出した。

 

魔王に殴られました、助けてください。 by雷鳴




今回で新・魔王が二人死にました。
残りの一体は何処かに居ます……どこにいるんだろ。


【元・魔王(暴走状態)】
商人に願いを叶えてもらった元・魔王の姿。
「力が欲しい」と願った結果、コントロール出来ないほど膨大な力を与えられた。
【マジン】とはまた違ったものである。
チート級な力を持っているが、その力に体が耐えきれてないのでほっとけば勝手に死ぬ。

完結後にキャラ設定と裏話の投稿

  • 両方いる
  • 両方いらない
  • キャラ設定のみいる
  • 裏話のみいる
  • 作者に任せる
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。