拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。   作:のろとり

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拝啓 読者様

今回の話はややこしいので、後書きに纏めました。
本編が分かりづらい場合は後書きを見れば簡単です……多分。


俺の出番がない、助けてくれ。 by狼男

「じゃあ、いくよ」

 

ミサは元・魔王が居る場所から数キロ離れた場所で、突っ立っていた。

周りには誰も居なく、誰かに言うわけでもないのに自然と言葉が出た。

 

「『能力発動』」

 

その言葉と共にミサの視界には爆発が広がった。

まるで地面を整えるように、一瞬にして更地になるほどの爆発がミサを中心にして起こり、爆発が届く範囲全てを無に返すほどであった。

 

「…………」

 

「帰りたい」

 

「はぁ、はぁ……!」

 

その射程距離内ギリギリに三人はいた。

一人(空良)は胸に黒い穴を開けた状況で、目を瞑ったまま剣を構えている。

一人(雷鳴)は片手にビックリマークを握りながら「帰りたい」と呟く。

一人(海楽)はこれから来るであろう爆発の痛みに期待をして、頬を赤く染めている。

バラバラな考えや行動をしている者達であったが、これから三人に起こることは全て同じことである。

 

「「来たっ!」」

 

瞬間、爆発から発生した爆風が彼らを吹き飛ばそうとする。

彼らはそれに身を任せるまままっすぐ吹き飛ぶ。

吹き飛んでいるその彼らの視界にある人物が写り始めた、元・魔王である。

 

「…………」

 

元・魔王は飛んできた彼らに気づくと、視線を向けて地面を蹴り、ロケットのような勢いで彼らに迫った。

本来なら絶対絶命な状況ではあるが、これは既に彼らにとっては作品の一部に過ぎない。

 

「痛みが、来たァー!」

 

元・魔王が右手を握り、空良に対して拳を振るおうとしたとき、海楽が二人の間に割り込んできた。

拳を振るう瞬間に空良は『フライ』を使い、爆風で身を任せて飛んでいた状況から、自由に飛べるようになった。

空良は攻撃をかわせたが、海楽は攻撃に当たり流れ星のように何処かへ吹き飛んでしまった。

 

「…………」

 

しかし元・魔王にはまだ左手が残っている。

元・魔王がもう一度攻撃しようとしたとき、何かがぶつかった。

 

「魔王死ねやクソがあぁああ!」

 

雷鳴である。

元・魔王にぶつかった雷鳴は少しでも自身に注目を集めようと、空良が閃いた時に出したビックリマークをもぎ取ってバットのように何回も振り下ろした。

だが・魔王にダメージは無く、虫を払うように雷鳴を殴り、地面にピクトさん型の穴が一つ出来た。

 

「こっちだよ魔王くん!」

 

残った空良は地面に背を向けるような形で空中で静止し、元・魔王を呼ぶ。

自身が呼ばれたことに気が付いたのか、残りの獲物を仕留めるためかは分からないが、空良に向かって直進していった。

 

「『ウインド』」

 

『フライ』を解除して重力に従って落ちながら、片手から空に向かって風を出してさらに落ちるスピードを上げ、そして元・魔王のスピードを遅らせた。

 

「……やっぱり、真っ直ぐにしか来ないね」

 

空良はボソッと元・魔王の行動を呟く。

今まで元・魔王は直線でしか攻撃してこなかった。

わざわざ後ろに回り込んで殴ったり、魔法を使ったりすることはなかった。

それは本能の赴くままに力を振るってるからであり、魔法を使ったり相手の隙を付くと言った頭を使う行動は、理性が残ってないためしなかったのだ。

例えいくら強力な攻撃でも、何処から来るか分かれば対処のしようがある。

それに、今回はあくまで元・魔王を倒すのは目標ではない、閉じ込めるのが作戦である。

 

「今だよ!」

 

「『空間ワープ』」

 

元・魔王と空良の間に切れ目が出現した。

その切れ目に吸い込まれるように元・魔王は勢いよく入っていき、そこには何もなかったかのように切れ目が閉じていった。

 

 

 

 

 

「はぁ~~」

 

空良は作戦が成功して息を吐く。

この作戦自体を考えたのは空良だが、一つでも間違っていれば失敗して全滅してたことを考えると、息の一つも付きたくなるものだ。

 

(なんとか魔王くんを「閉じ込める」ことが出来て安心したよ……)

 

元々、空良は最初から元・魔王を倒そうと思っていなかった。

仲間を倒すなんてことは後味が悪い上、そもそも勝負にならないほど力の差があるのだ。

「倒す」なんてことを考える時点で無理なのだ。

ならば倒さずに封印すれば良いのだと考えた。

 

「あとはこっちでやるので、空良は休んで」

 

とは言っても、封印する道具なんて物は持ち合わせていない。

しかし似たようなことは出来る、その方法に必要なのは白雲の切れ目だ。

切れ目は真っ黒な別空間に繋がれており、その中に様々なモノを入れているのだ。

元・魔王を切れ目の中に入れて、その間に『身代わり石』で指輪を作って、それで元に戻す。それが空良の考えた作戦である。

 

「みんな集合!」

 

後は新・魔王が付けている指輪を取って、『身代わり石』を使うだけである。

疲れてるであろう空良には休んでもらい、地面に埋まってる雷鳴を引っ張り、何処かを飛んでる海楽は後で回収するとして、残りのメンバーを切れ目を使って集合させ、死んでいる新・魔王を探すことにした。

探すことにしたのだが……

 

「アイツどこ?」

 

何処にも居ないのだ。

元・魔王が暴れたり、風圧で吹き飛んだりしたのかと思ったが、遠くを見ても倒れてる人形なんてものは見当たらないのだ。

後はそこら辺に転がってるから回収して、ハッピーエンドと考えてたが、雷鳴は嫌な予感がし始める。

 

「ミサちゃん!」

 

遠くで休んでいた空良が声を上げる。

その声と共に何かを貫くような音が近くにいた全員に聞こえた。

 

「ヒサシブリダナァ」

 

全員が聞き覚えのある声であった。

それは既に死んだ人間の声であり、普通ならありえない話であった。

しかしその人物は海楽が持っていた指輪を嵌めており、それが目の前の事実を認識させるかのように、キラリと光っていた。

 

「ヨクモ『オレ』ヲコロシタナァ」

 

「新・魔王!?」

 

それを言ったのは誰であろうか。

誰かが無意識に言ったのか、怒りを込めて発言したのか気になる人物は居ない。

それよりも目の前の悪魔に対する警戒が強く、とてもそんなことを考える暇がないからである。

 

悪夢がまだ終わらないわ、助けてくれないかしら。 by雪女




新・魔王が後一人残ってました。
ついでに言うと死んだ自分自身も吸収してるので、かなり強くなってます。
…………これ、どうやって勝つの?


【今回なにしたか】
魔王戻すためには指輪が必要
だけど切れ目で持ってこれない……よし、直接取りに行こう!
そのためには魔王が邪魔だな~……あ、切れ目の中に入れて閉じ込めよう。
そして新しく指輪を作って元に戻す、これで終わりだ!
ってあれ、まだ終わらないのかよ。
しかも新・魔王が残ってた、これ詰んでね?

完結後にキャラ設定と裏話の投稿

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