拝啓 お父さん、お母さん。このたび俺は魔王になりました、助けてください。 作:のろとり
最近ジバコイルにロックオンと電磁砲つければ強くね?と思ってます。
後は鉄壁とボディプレスで持ち物は風船かなぁ……試してないから強さは分かりませんけど。
「…………」
自分が上を向いてるのか、下を向いているのか。
方向感覚が失われるような、真っ黒な空間……切れ目の中に元・魔王は居た。
無重力空間のように、フヨフヨと浮きながら何もない空間に向かって拳を振るう。
「…………」
しかし何も起こらず、元・魔王と同じように浮いているモノが空間を飛び回る。
何発も殴るが、ただただモノがそこらじゅうを飛び回るだけで、何も変わらない。
「…………」
すると何処からか明るい光を感じた。
だが元・魔王は見る気が無く、光を気にせずまた殴り始める。
このまま切れ目の中を漂い、その体が力に耐えきれずに死ぬまで空間をさ迷うのだろうか……そんなとき、元・魔王の視界には光が入ってくる場所が見えた。
「…………ァ」
そこからは新・魔王と、新・魔王に止めを刺されそうな白雲が見えた。
すぐにその切れ目は閉じてしまったが、その光景はしっかりと元・魔王の頭に入っていた。
それを見た元・魔王は意識が戻ったのか、無意識なのか、何も言わなかった口から声が漏れた。
「…………」
目の前の「光り」が出てた場所を殴ろうと、元・魔王は拳を握る。
先程とは違い、ただ力任せに殴るのではなく意識的に指一本一本に力を入れ、自身が居る「空間」そのものすらも破壊するかのように、拳を振るった。
【…………ゥ】
するとガラスのように空間にヒビが入り、パリーンと言う音と共に元・魔王は切れ目の外へと飛び出した。
「う、あぁ……」
「ザコガァ」
元・魔王が切れ目から出てくる少し前、外では新・魔王によってほぼ壊滅状態となっていた。
海楽は新・魔王に投げ飛ばされて何処かに飛んでいき、雷鳴は地面に埋まっており、空良も殆ど力を使い果たして膝を着けて呼吸を整えている。
「がはっ、ごふっ!」
新・魔王に貫かれたミサはコーランの魔法でなんとか回復し、呼吸を整え始める。
回復してる途中で新・魔王に攻撃されそうになったが、狼男と雪女が身を呈して庇った。
ミサほどではないが、二人も重症のため回復しなければ死んでしまうだろう。
「く、くうか……」
「オセェ!」
そして白雲は新・魔王に首を捕まれていた。
なんとか逃れようと、切れ目が不安定な中『空間ワープ』を使おうとするが、切れ目が現れた瞬間に新・魔王に地面に叩きつけられ、切れ目が閉じてしまった。
そして新・魔王は止めを差そうと腕を上げた。
「し、らく……くん」
疲労困憊空良はなんとか白雲を助けようと剣で自身を支えて立とうとするが、バランスを崩して倒れてしまう。
なにも出来ず、ただただ悔しさで胸がいっぱいになったとき、突如ガラスの割れるような音が辺りに響いた。
「グゥ!」
空中にブラックホールのような穴が出来たかと思うと、そこから何かが飛び出してきて、その拍子に出来た突風が起こり白雲は吹き飛ばされる。
「……し………らく」
穴から元・魔王であった。
少しずつ意識が保てるようになってきており、吹き飛ばした白雲の元へゆっくりと一歩、一歩と近付いていった。
その隙を新・魔王は見逃さなかった。
「『吸収』」
新・魔王はゆっくりと歩く元・魔王に接近し、右手で力を吸収した。
前回のように体が耐えきれなくならないよう、吸いとった瞬間に魔法で左手から触れたモノ全てを切り裂くほどの威力を持つ風を出した。
しかし元・魔王に左手首を掴まれて上に向けられた。
風は空へと消えていき、がら空きになった体に元・魔王の拳が入り、新・魔王は吹き飛んだ。
【…………し、らく】
「ま、おう……さま?」
新・魔王に力を吸収された影響で、力が弱まり意識が段々と覚醒し始めた元・魔王。
その足で白雲まで近付くと、白雲は意識が朦朧としてる中、近くに居るのが魔王だと気付いたようで声を出す。
「まお……さま………よか、た……」
元・魔王の意識が戻ったことにだろうか、それとも新・魔王を倒してくれるであろうと言う安心感だろうか。
白雲はそれだけ言うと口から赤い液体を出し、動かなくなった。
元・魔王は少しずつ覚醒し始める意識の中で、白雲との思い出が走馬灯のように駆け巡ってきた。
初めて転生したときに会ったときのこと、初めて仲間になったときのこと、初めて見捨てようと思いたくなかったこと、色々と迷惑をかけてしまったこと……頭が真っ白になって様々な思い出が頭に浮かんだ。
「ザコナンカドウデモイイダロォ」
新・魔王の一言で浮かんできた思い出が消え始め、元・魔王の体がピクッと動く。
今の発言が癇に障り二人は同じ言葉を繰り返す。
新・魔王は一人しか居ない元・魔王の言葉が二重に、まるで元・魔王が二人居るかのように聞こえたが気のせいだと思い、全てを消し去ろうと右手に炎を溜め始める。
その威力は元・魔王は耐えきれるだろうが、他の倒れてる白雲や疲労困憊の空良は耐えきれず、そのまま消し炭になるだろう。
「ジャアナァ」
新・魔王の右手から炎が放たれる。
視界の全てを覆い尽くすほどの範囲と、触れたモノを全て炭にするであろう威力を持っているため、いくら元・魔王と新・魔王に二回も吸収された状態でこれを全て消すのは難しいだろう。
元・魔王にとって、その炎はゆっくりと向かって来ているように感じた。
それは目の前のモノがスローに見えているだけでそんなことはないのだが、元・魔王には関係なかった。
大切な仲間を消そうとしてる新・魔王を倒したいと、手から血が出るほど強く拳を握り、下を向いていたからだ。
その叫びと共に全員は炎に包まれる。
熱い、焼けるなどと考える暇もないほど早く、炎は体全体を包んで自分の体を炭にしていく───
「ナァ!」
ことはなく、まるでドーム状の何かがあるかのように炎は元・魔王達に当たること無く、元・魔王を避けるように左右へと飛んでいく。
何が起こったのか、それを確認しようと原因であろう元・魔王を見る。そこには……
何事もなかったかのように、先程とは違う姿で新・魔王に向かって左手を伸ばしている元・魔王が佇んでいた。
子供程度しかなかった身長は180cmほど成長しており、ショートカットだった銀髪は肩甲骨辺りまで伸び、髪と同じ色をしている目は見るモノ全てを恐怖で動けなくするほどの鋭さを持っていた。
これが【マジン】なのだろうか、助けろください。
……次回のタイトルコールどうしよ、新・魔王を覗けば一周したことになるし。
【マジン】
漢字で書くと『魔人』である、地味に雷鳴が「魔人ブ〇」と言ってるシーンが伏線になってた(絶対に分からない伏線)
後付け設定だが、【マジン】になるには一定の条件を満たしてないとなれない。
・魔物の魂と人間の魂と一つの体
・強大な力
・二人の感情と言葉がシンクロする
今までは片方しか意識がなかったり、片方が眠ってたりしてたので三つ目の条件を満たすことがなかった。
それとこの姿では魔法が使えず、さらに魔力の消費も激しいので早めに決着を着けないと魔力が尽きて元の姿に戻ってしまう。
完結後にキャラ設定と裏話の投稿
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両方いる
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両方いらない
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キャラ設定のみいる
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裏話のみいる
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作者に任せる